宇宙に輝くウルトラの星   作:貴司崎

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新人警備隊員アークの日記:交流編

 △月Ω日

 

 今日はウルトラコロセウムで21先輩や光の国の警備隊本部の隊員達と一緒に戦闘訓練を行った……何でも宇宙警備隊他いくつかの組織の先輩隊員達が各々の腕を磨くために定期的にこう言った合同訓練を行なっているのだとか。

 ちなみに少し前までは自主訓練は個人的なものが多く、こう言った合同訓練の頻度は多くなかったらしい、だが、あの『バット星人襲来事件』が起きてからは、特に若手隊員を中心として主に連携を磨く目的で合同訓練が良く開催される様になったのだとか。

 ……まあ、それからも襲撃受けたり大暴走したりとウルトラの星に危機が訪れまくってるからな。そりゃあ、基本的に真面目で正義感溢れる警備隊員達ならそうするよね。

 

 そんな合同訓練に俺は21先輩の提案で参加する事となったのだが、先輩からは『お前は単独での戦闘能力に関しては問題無いから、この合同訓練では“連携”と“他の隊員との顔つなぎ”を主にすると良い』と言われたのだ。

 詳しく聞くと宇宙保安庁の隊員は他の隊員の援護に行く事が多いから連携能力は必須だし、その知見で他の隊員の相談に乗る事もあるから顔つなぎは重要だとの事。

 ……まあ、言われてみれば納得だな。以前にビストさんから仕事内容を聞いた時にも、保安庁の隊員には直接的な戦闘能力以外にそう言った能力が求められるのだと思ったからな。そこまで考慮しているとは流石先輩! 

 

 まあ、そういう訳で今日は宇宙警備隊の先輩達と一緒に訓練をしつつ、彼等に色々な質問や指導をお願いしたりして交流を持ってみた……俺が宇宙警備隊の隊長の息子という事もあって向こうから積極的に話しかけて来たり、一緒に訓練をしようと言って来てくれたので顔つなぎは思ったよりスムーズに行ったのは幸いだったかな。

 ……勿論、連携訓練の方もしっかりとやったぞ。特に俺の一期上の先輩である文明監視員のゼノンさんのアドバイスは参考になった、あの人は21先輩を除く他の隊員と比べても連携の技量が頭一つぐらい飛び抜けていたからな。

 彼曰く『同期の友人とよくコンビを組んで戦っている時はフォローが俺の主な役割だったからな、そいつが超優秀なヤツだったから付いていく為に色々と訓練していたらいつの間にやら連携が上手くなっていた』との事らしいが。

 

 ……何はともあれ、ゼノンさんや他の先輩隊員の指導やアドバイスのお陰で連携の技術は大分上がったし、その彼等と知り合いにもなれたから21先輩に言われた『連携訓練と顔合わせ』という目的は十分に果たせたと思う。

 特に集団で単独の対象に近接戦を行う場合の訓練とか、先輩達の警備隊に於ける経験と実感を伴った話は非常に参考になったしな。良い一日だった。

 

 

 ──────◇◇◇──────

 

 

 △月Σ日

 

 今日からはパトロールの行動範囲を広めると21先輩に言われて、M78星雲から少し離れてM25星雲支部の管轄を巡回した……21先輩からは『支部毎の空気や環境の違いを良く見ておく様に』と言われたりした。

 ……そういう訳で21先輩について行って色々と観察してみると、光の国にある本部と比べると何処と無く隊員達の緊張感が高い様に感じられたのだ。そう言ったら21先輩には『目の付け所が良い』と褒められた。やったぜ。

 

 何故この様に緊張感が高いかを詳しく説明すると、まず昔このM25星雲支部の管轄周辺は光の国に近い星雲の中で“最も治安が悪い場所”だったのだ。具体的に言うと好戦的な宇宙人が住む惑星とか凶暴な宇宙怪獣とかの住処があって、それ自体は今でも変わっていない。

 そして宇宙警備隊が結成してから暫くは本部の警備隊員がM25星雲も対応していたのだが、警備隊が勢力を拡大して宇宙各地に支部を置いていった過渡期に入ると本部の人員が薄くなって対応が甘くなった時があったらしく、その際にM25星雲に生息する凶悪な宇宙怪獣が光の国付近まで行動範囲を広める事があったのだとか。

 ……流石にこれは不味いと思った宇宙警備隊はM25星雲に新しく支部を置いて目を光らせる事で、光の国周辺の治安を安定化させたと言う訳だ。まあ宇宙警備隊結成からその規模の拡大に掛けて色々とあった紆余曲折の一つと言う事だろう。

 

 成る程、それで凶悪な宇宙怪獣やら宇宙人やらが多くいる管轄だから、この支部の隊員達は緊張感が高いのかと俺は納得した……のだが、それを聞いた21先輩に『どちらかと言うと光の国本部の空気が少し緩んでいる、というのもあるんだがな』という予想外の言葉で返された。

 ……本部って一応宇宙警備隊の中枢だよな。親父とかウルトラ兄弟とかも詰めてるのに、そこの空気緩んでいるとは一体? と激しく疑問に思ったので21先輩に疑問に思った事を質問すると『治安が良すぎるからと新人の最初の配備先になってるから。後、支部は危険な場所や重要な場所に置かれているからでもある』と言われた。

 

 分かりやすく書くと宇宙警備隊が発足して勢力を強める内に『ウルトラの星から離れた治安が悪い場所や重要な場所が分かって、そこに支部を作る』→『その場所の治安が良くなる+宇宙警備隊の影響力拡大でウルトラの星近くの治安が良くなる』→『本部は治安が良くて危険が少ないから新人隊員の配属先になる+ベテランやエースは治安の悪い支部に移動になる』→『これらの結果から本部に新人、支部にベテランが多くなってしまった』って感じらしい。

 実際、本部よりも支部の方が事件の発生件数“自体”は多いからな。宇宙警備隊のお膝元で事件を起こすヤツは少ないから、親父も普段はこのM25星雲支部で現場指揮を執ってるしな。

 ……まあ、“それでも”ウルトラの星で事件を起こす連中はヤバイのしかいない、という問題点もある訳だが。その為に本部では先日みたいな訓練を積極的に行ったりもしているが……宇宙警備隊が人材不足気味だよな。重大な事件が起きた時に回す手が足りていない気がする。

 

 

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 ◾️月Ι日

 

 最近は忙しかったので中々日記が書けなかったが、少しだけ暇が出来たので俺がこれまで行動してきた事を書いて行こうと思う。

 

 まず、主にやった事は21先輩と宇宙警備隊の各支部を回りながら宇宙保安庁の仕事を学ぶ事だった……例えばアンドロメダ星雲支部でアンドロ警備隊の方達と交流して他の治安維持組織との付き合い方を学んだりしたな。

 まあ、アンドロ警備隊の人達は親父と面識があるらしく向こうから色々と俺に話し掛けて来たけどな。何でも昔親父がブラックホールに飲み込まれた時に別次元に居たアンドロ族に救出され、それから色々あってその力を宇宙の秩序を守るために役立てたいと考えた親父の提案によって結成されたのがアンドロ警備隊なのだとか。

 

 ……うん、宇宙保安庁として21先輩に着いて行って顔つなぎをしてると、こう行った親父に世話になったとか知り合いだと言う相手には結構声を掛けられるんだよな。

 今まで親父の宇宙警備隊での活躍は親父自身の口から聞く事か他のウルトラ兄弟から聞く事が主だったけど、こうやって普通の宇宙警備隊員や他の治安維持組織から話を聞くと改めてウチの親父って凄いなと思いました(小並感)

 

 しかし、ブラックホールに飲み込まれたのに生還したりアンドロ警備隊の設立に関わったりと、本当に親父って凄い有名人なんだよな……他の支部の宇宙警備隊員に聞いただけでも『凶暴な宇宙怪獣の群れに襲われた時、親父がM87光線で怪獣を一掃して助けてくれた』とか『暗躍していた犯罪宇宙人の拠点を割り出して事件を未然に防いだ』とか、そんな話に事欠かないからな。宇宙警備隊の隊長になった時にも宇宙警備隊ほぼ全体で大歓迎だったらしいし。

 ……地球での活躍だとイマイチパッとしない(穏当な表現)のにな親父。むしろそんな親父でさえ噛ませ扱いにされてしまう地球が魔境すぎるのかもしれないが。やはり。

 

 とはいえ、その親父の活躍のお陰で宇宙警備隊の各支部隊員との顔つなぎや、銀河連邦・アンドロ警備隊などの各組織との繋ぎが出来たのだから感謝するべきなんだろうが。

 ……まあ、俺は別に『これは親父の力であって自分の力ではない』みたいなコンプレックスっぽい事は思わない性格だからな。宇宙警備隊の任務に必要なら親父のコネでも存分に使わせてもらうぜ。流石に頼り切りになる気は無いし、コネを使えばその分期待が重くなる事も分かっているから、なお一層努力する気ではあるけどね。

 

 後、21先輩との個人的な訓練で変身能力が大幅に上達した事もあったな……俺はイメージ力が低いから21先輩みたいに自在な変身は難しいと言ったら『じゃあ、俺が今まで変身してきた宇宙各地の生物の画像データがあるからこれらに片端から変身出来る様になろうか。変身元となる画像にそっくりそのままなら変身出来るんだろう?』と言われて、数百種の生物に変身させられたからな。

 ……21先輩曰く、変身する時のコツはまずモデルとなる人物と同じに変身した上で、その目や口元や顔の輪郭などの目立ちやすい生体部位を不自然にならない範囲で変形させるのが一番楽だとの事。

 もし元となった人物を知っている者に会ったとしても、そういった部分を少し変えるだけでも“良く似た別人”として勝手に判断してくれるからだって言ってたし……まあ、変身能力が必要な情報収集任務で本当に必要になるのは演技力の方だから、そこは追い追いとも言われたが。

 

 まあ、21先輩のお陰で大分宇宙保安庁の仕事も覚えられて来たし、後は一人で仕事が出来る様になれる感じで頑張ろうか。

 

 

 ──────◇◇◇──────

 

 

 ▲月α日

 

 今日は久しぶりウルトラの星へと帰ってきた。これまでは宇宙中の宇宙警備隊支部を巡って来たから本当に久しぶりに感じるな……21先輩は『俺は宇宙保安庁の本部に報告に行くから今日は休暇で良い』と言ってそのまま行ってしまったので、今日はちょっと光の国を散策して士官学校卒業以来会っていなかった人達に会いに行ったりした。

 

 そうやって会った人にタロウ教官もいたのだが、その時の彼から近く地球に新しく宇宙警備隊員を派遣するという話が持ち上がっていると聞いた……確か新人が派遣される場合には、俺も少し開発に関わった『正式採用版ブレス』が授けられるんだったか。

 ……それから聞いた内容は以前にウルトラの父から聞いたモノとさして変わりなく、並行世界関連で地球圏周辺には異常事態が起きているからM78宇宙の地球にも一人ぐらい警備隊員を派遣・在中させておくべきではという事になったとの事。ちなみにこの意見を出したのは親父、タロウ教官、レオ兄弟、80さん、ユリアンさん、ウルトラの父などの地球に縁のある隊員だったらしい。

 

 とは言え、これまでは力を失っているとはいえウルトラ兄弟が四人も在中している地球に、改めて戦力を送るのには上の人達も難色を示していた……だが今回士官学校を卒業した新人が入った事と、危険が起きやすい地球に念の為に新人を派遣しておくというウルトラの父の提案が通った型なのだとか。

 ……あの人、事前にここまで予測してあのブレス作らせてたのか。万が一何かが起きた時に備える形だから新人でもどうにかなるだろうしな。

 

 まあそれでタロウ教官は新人の中から地球派遣の候補者を探していたらしく俺にも声を掛けて来たのだが、今は宇宙保安庁での研修と業務が忙しいという理由で断らせてもらった。

 ……代わりと言っては何だがメビウスが以前地球に行ってみたいと言っていた事を教官に伝えておいた。教官もメビウスには声をかけるつもりだったのでこの後行ってみるとの事。さてどうなるかな? 

 

 ……後、科学技術局に寄った時に気になる話を聞いたな。何でも有給中で旅行に出かけていたヒカリさんからの定期連絡が途絶えたらしい。

 あの人は光の国でも重要人物だから休暇中でも定期連絡が義務付けられていたし、それを疎かにするタイプでは無い筈なんだが一体どうしたんだろうか? 

 流石にヒカリさん程の有名人が失踪とかは問題なので、トレギアさんを初めとする科学技術局や警備隊の一部が動いて行方を追っているらしいが……俺も色々とお世話になった人なので無事であってほしいものである。

 

 

 ──────◇◇◇──────

 

 

「……新人への指導任務ご苦労だったなセブン21」

「いえ、大変頼りになる新人だったので楽をさせて貰ってますよ、ビスト長官」

 

 そこは光の国にある宇宙保安庁の本部、その長官室でセブン21は上司であるビスト長官に諸々の報告を行なっていた。

 

「ほう、お前がそこまで言う程か。あのゾフィーの息子のアークは」

「ええ。……単騎としての戦闘能力であれば既にそこらのベテラン隊員を超えていますし、経験さえ積めば勇士司令部でもやっていけるでしょう。それでいて自分の力への傲りもなく、保安庁の細々とした仕事や技術へも理解を示して積極的に技術を習得しようとしています。……また、新人にありがちな正義感の所為で警備隊や他の組織の実情を見て幻滅する事も無く、自分なりに割り切っている感じでしたね」

 

 ウルトラの星の住民は善性で正義感の強い者が多く、それ故に組織や世間に存在してしまう“矛盾”を忌避する傾向が結構あるので経験不足な新人隊員はそこで色々と悩む事もあるのだ。

 

「成る程、そう言った性格であれば情報収集任務も経験を積めばこなせそうだな。……物は試しと導入した新人隊員の直接入隊だったが思った以上に当たりを引いたらしい」

「“情報収集”には色々と割り切りが必要ですからね」

 

 ……そうして、二人は新人の出来という当たり障りの無い“雑談”を終えて“本題”に入っていった。

 

「……先日、お前から報告のあった【ディノゾール】の群れの件だが……まだ確定情報では無いが、どうやら【ボガール】が関わっている可能性が高い様だ」

「あの“高次元捕食体”が⁉︎ ……確かにそのレベルの相手であれば【ディノゾール】の群れを誘導するぐらいは出来ますか」

 

 この【高次元捕食体 ボガール】は非常に高い戦闘能力と知性を持ち、更に一つの星の生態系すら消滅させてしまう程の邪悪な食欲を有する、宇宙警備隊に於いてでも特級の危険生物に設定されている程の相手なのだ。

 ……だが、ビストが告げる情報はこれだけでは無かった。

 

「……また、こちらも確定情報では無いがグローザ星、デスレ星、テンペラー星、ナックル星、ガッツ星……そしてメフィラス星系の一部で不穏な動きがあると報告があった」

「どれもこれも、この宇宙に於ける強豪宇宙人ばかりですね。……その内、一部の者が不穏な行動をする事は割と良くある事ではありますが、それだけの者達が()()()()()に行動を起こすというのは明らかに不自然ですか」

「うむ。我々宇宙警備隊でもこれまでの一連の事件には裏で何か“強大な存在”が動いている可能性があると見ている。……無論、()()()()()()を考慮した上でな」

 

 ……その『ウルトラの星にとっても深い関わりのある最悪の可能性』を頭に思い浮かべた二人はため息を吐きながらも、更に雰囲気を真剣な物に変えて話を続けていった。

 

「そういう訳でな、流石にお前を遊ばせておける状況では無くなった。……セブン21、お前にはアークと共に【高次元捕食体 ボガール】の行方を追って欲しい」

「……他の星系の調査は専門技術がいるから今のアークでは厳しいですが、基本的に個人で行動する【ボガール】の痕跡を追うだけなら可能ですか」

「うむ、他の連中と違って【ボガール】は知性こそ高いが己の食欲に忠実に行動するから、その行動は陰謀なども少なく非常に分かりやすい。……どちらかと言うと必要となるのは戦闘能力であるから、お前の話を聞く限りアークが足手まといになる事も無いだろう」

「そうですね。……分かりました、その任務アークと共に受領します」

 

 ……こうして新人隊員アークは新たなる戦いに赴く事になったのだった。




あとがき・各種設定解説

アーク:人材ガチャで言うSSR枠
・加えて条件を満たせば覚醒イベント付き……闇落ちイベもあるかもしれないけど。

21先輩:アークの事はかなり高く評価している
・戦闘・事務・情報収集とあらゆる分野で一流の能力を持っていて長官からも頼りにされている。

ビスト長官:思ったより良い人材が入って来て内心ウハウハ
・現在は警備隊や宇宙情報局とも協力して、この宇宙の異変の“原因”の詳細を全力で調査中。
・ちなみにこの後地球に派遣されるのが新人のメビウスなのはこれらの事件の調査に警備隊の全力を尽くしていたからで、可能性はそこまで高く無いが万が一何か起きた時に備えて新人を送って対応させ、それでもダメなら時間が稼がれてる間に援軍を代わりに送るプランだったという設定。

ヒカリ&トレギア:どうなったかはギャラファイ大いなる陰謀のエピソード5を参照


読了ありがとうございました。
ギャラファイがM78スペースの過去話を描写してくれるお陰で(話のネタ的に)非常に助かっている今日この頃。
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