宇宙に輝くウルトラの星   作:貴司崎

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新人警備隊員アークの日記:驚愕編

 ◉月Γ日

 

 M25星雲支部での情報収集を終えた俺と21先輩は、次にアンドロメダ星雲支部に訪れて【ボガール】についての情報収集を行った。更に今回はアンドロ警備隊にも聞き込みに回った。

 ちなみに異なる治安維持組織には宇宙警備隊でも知らない様な情報がある事も多いとは21先輩の弁だ……この前作った伝手が早速役に立ったな。やっぱり協力関係と言うのは重要だね。

 

 それで聞き込みの結果だが、どうやらアンドロ警備隊のアンドロウルフさんが【ボガール】と交戦した事がある様だった……ただ、彼はその戦いの結果は散々なモノだったと苦々しい表情で言っていたが。

 ……何でも彼はとある惑星に住んでいた怪獣を食い荒らしていた【ボガール】を討伐する為に向かったのだが、そこで怪獣を食らっていたヤツと何度も交戦したのだが逃げられ続けたらしい。

 それでも彼はアンドロ警備隊の援軍が来るまで戦い続けたのだが、ヤツは援軍が近づいた時点であっさりとその惑星から姿を消してしまったと言う。

 

 大体、惑星ポントスの時と同じパターンだな。実力に関してもアンドロウルフさんはウルトラ兄弟とかと比べても遜色無いレベルだと思うのに、そんな彼でも【ボガール】は仕留めきれなかったのか。

 ……と思ったが、向こうから渡された記録資料を見ると【ボガール】もアンドロウルフさんと正面から戦うのは不味いと思ったのか、直接戦闘をとにかく避ける様に行動したり、凶暴な怪獣を呼び寄せて現地住民を襲わせる事で彼が自分を追えない様にすると言った事もしていたらしい。どうやら相手が強敵だと思えばそう言った手練手管を使うみたいだな。

 

 また、21先輩が『次元移動能力に長けたアンドロ警備隊なら【ボガール】の後を追えないか』と聞いていたが、どうも向こうは暗黒宇宙とかを経由して次元を移動しているらしく追跡は出来なかった様だ。

 ……そもそもアンドロ警備隊って人員が少ないからな。他にやるべき仕事がある以上そちらに回せる戦力が無いみたいだ……ウルフさんは凄く悔しがってたけど、俺達に“アイツをぶっ倒してくれ”と言ってくれたから頑張らないとね。

 

 

 ──────◇◇◇──────

 

 

 ◉月Ω日

 

 ……とまあ、それから【ボガール】を追って宇宙警備隊の各支部や協力関係にある治安維持組織を回って聞き込みを続けたのだが、余り芳しい結果は得られなかった。

 ……と言うか、宇宙規模でテレポートしまくる怪獣を見つけ出すとか無理ゲーじゃね! 当たり前だけどこの宇宙広すぎるんだよ! せめて居場所が分からないとどうしようもないんだが……。

 

 一応、各支部で【ボガール】の目撃情報や交戦情報とかは得られたんだが、どれもアンドロ警備隊の時と同じ様に逃げ回りながら怪獣を食べるとかだったり、或いは返り討ちにされたとかだったのでイマイチ有力な情報は無かった。

 ……ヤツが目撃されたという情報を聞きつけて俺と21先輩が駆け付けた時には既に逃げられていたというのも何度かあったからな。この広大な宇宙では情報伝達の速度がどうしても遅くなるし。

 そもそもアイツはどうも食欲のままに美味しそうな怪獣がいる惑星に訪れているみたいだから、中々行動パターンが絞れないし……どうにかアイツの動きを捕捉出来れば良いんだが……。

 

 

 ──────◇◇◇──────

 

 

 ◼️月α日

 

 よしっ! ペルセウス座星雲支部に【ボガール】が現れたという情報が来たぜ! ここからなら近いし今度こそ間に合うか? 

 

 

 ──────◇◇◇──────

 

 

 ◼️月β日

 

 だー! また逃げられた! 間に合わなかった、ちくしょう! ……あの【ボガール】め、俺と21先輩が来た事を察して逃げやがったな。同じタイミングでペルセウス座星雲支部の援軍も来ていたからそっちを察したのかもしれないが……。

 ……それと追跡もやっぱりダメだったし。21先輩曰く、どうも宇宙警備隊や銀河連邦の治安維持の監視が及ばないアンダーグラウンドな地区に逃げ込んでいる可能性が高いらしい。

 どうやら事前にその手の場所にいくつかの逃亡ルートを設定しているっぽいそうだ。本当に悪知恵が回る事だな! 

 

 

 ──────◇◇◇──────

 

 

 ◼️月Σ日

 

 うむむ、やはり【ボガール】を捕捉するにはテレポートをどうにかするか、位置情報を探知出来る様な手段が無いとどうにもならない気がする。聞き込みだけではどうしようもない気が……。

 ……まあ、今回の調査任務の主目的は『現在この宇宙で起きている異変の黒幕が【ボガール】かどうか。或いは【ボガール】がこの宇宙で起きている異変に関わっているか』を確かめる事だから、聞き込みによる情報収集も無駄では無いんだがね。

 21先輩も『この手の聞き込みは九割がた無駄になるもの』って言ってたし。

 

 

 ──────◇◇◇──────

 

 

 ◎月Γ日

 

 今日も俺達は【ボガール】を追っているのだが中々捕まらない。最近では21先輩が知り合いのフリーの情報屋に聞き込みに行っている……そう言った人達にしか知られていない情報とかもあるから、先輩はある程度真っ当な相手を選んで繋がりを持っているらしい。

 ……尚、そう言った情報屋は知らない者に会ってはくれないという事なので俺はお留守番である。もうちょっと経験を積んだら紹介してくれると言われたので大人しく近くの支部で情報整理しつつ待つでござる。

 

 

 ──────◇◇◇──────

 

 

 ◎月Δ日

 

 支部で書類整備してたらフリーの情報屋に聞き込みに行っていた先輩が帰って来た……のだが、何とも言いがたい様な微妙な表情をしていた。変な情報でも摑まされたのかな? 

 そう言うわけで聞いてみると、どうも情報屋の所に【ボガール】に関する妙な噂が入って来ていたらしい。

 

 何でも『ハンターナイトツルギ』を名乗る鎧を着た謎の戦士が【ボガール】と“何度も”戦っているという噂があるんだとか……そんでもって、そのツルギさんは目撃した者の証言によると“ウルトラ族”である可能性が高いんだとか。光線とか光剣とか使ってたらしいし。

 ……色は青系だったらしいからもしウルトラ族ならブルー族系の戦士なんだろうが、宇宙警備隊のメンバーが【ボガール】と戦っているならその情報ぐらいは来る筈だしな。

 光の国以外にもウルトラ族は住んでるからもしかしたらそちら側の可能性もあるが、あの【ボガール】と互角に戦える程の実力者なら有名にはなってると思うんだが『ツルギ』という名は俺も先輩も聞いた事がないんだよな。

 

 他にも気になる点としてテレポート持ちで逃げるのが異様に上手い【ボガール】相手に、そのツルギ何某は“何度”も戦っているという所だ……俺達や宇宙警備隊各支部が追っているのに未だに捕まえられない【ボガール】を追える以上、そのツルギとやらは“何らかの方法で【ボガール】の居場所を探知しているのでは”と言うのが先輩の意見で、これまで散々苦労した経験から俺も同じ考えである。

 また【ボガール】は警備隊の各支部や銀河連邦からも追われており、もしそんな位置を探知出来る技術や能力があるならとっくに情報共有されているだろうという事で、おそらくそのツルギとやらは個人で【ボガール】を追っているのではないかと推測出来る。

 ……噂によるとツルギは鬼気迫る様な感じで【ボガール】と戦っていたらしいし、多分復讐とかではないかと思われる。

 

 まあ、ここまで書いた事は入手出来た噂レベルの情報から推測した事だから確証は殆ど無いんだがな。とにかく一旦光の国に戻ってその『ツルギ』という者が本当にウルトラ族なのか関係各所に問い合わせる必要があるだろうな。

 ……しかし、何か凄く嫌な予感がするんだが……やめよう、俺の勝手な推測でみんなを混乱させたくない。

 

 

 ──────◇◇◇──────

 

 

 さてそんな訳で俺と21先輩は光の国に戻って来たのだが、宇宙保安庁の方に『ハンターナイトツルギ』の事について問い合わせたら何故か『その場で待機していてくれ』という命令が下った……話を通していたビスト長官は何か焦った様な雰囲気だったし、どうやら嫌な予感が当たりそうな気がする。

 そうやって控え室で待つ事しばらく、ビスト長官に連れられた科学技術局のフレアさんと宇宙警備隊()()であるゾフィー(ウチの親父)がやって来た。

 ……その面々を見た俺と21先輩は少し驚くと共に、この一件が予想以上に厄介な事であると思い至り真剣な表情になった。

 

「……ゾフィー隊長に科学技術局のフレア博士まで呼び出したんですか。……長官、一体あの『ハンターナイトツルギ』には何があるんですか?」

「うむ、その事に関しての詳しい話はフレア博士にしてもらう」

「分かりました。……実はその『ハンターナイトツルギ』の正体は、先日連絡が取れなくなった科学技術局所属のヒカリ博士なんだ」

 

 何時もとは違い物凄く深刻な雰囲気なフレアさんは驚愕の事実を語り始めた……何でも連絡が取れなくなったヒカリさんを探していた科学技術局は彼が最後に残した『これから惑星アーブに向かう』という通信から、様子見の為に技術局で手が空いており外宇宙での活動経験があるトレギアさんをその惑星アーブに向かわせたらしい。

 ……ところが惑星アーブに訪れたトレギアさんが見たものは生命の気配一つ無く完全に死に絶えた惑星アーブと、その中で一人項垂れているヒカリさんだったのだ。

 

「トレギアから話を聞いた所によると惑星アーブに【ボガール】が襲来して、ヒカリはそれを阻止しようとしたが失敗したって言うのがそうなっていた経緯らしいな」

「……惑星アーブといえば何万年も争う事無く進化した超高度生命体が住む星だと聞いた事があるが、まさかボガールの手に落ちていたとは」

 

 21先輩は『惑星アーブ』について知っていたらしく沈痛な表情を浮かべていた……そんな星を守れなかったならヒカリさんがショックを受けるのも無理はないだろうな」

 

「……だが、話はそれで終わらなかったんだな?」

「ああ、そうして項垂れるヒカリをトレギアが見つけて連れ帰ろうとしたのだが、そこで滅びた惑星アーブの民の怨念がヒカリに取り憑いて鎧と化したんだ」

 

 そして、その誕生経緯からして明らかにヤバイ鎧を纏ったヒカリさんは自身を『ハンターナイトツルギ』と称して【ボガール】への復讐を行うと宣言、それを制しようとしたトレギアさんを攻撃した上で何処かに飛び去ってしまったらしい。

 ……まさかヒカリさんとトレギアさんがそんな事になっていたなんて……。

 

「……それでトレギアさんの方は? 怪我とかは大丈夫何ですか?」

「ああ、怪我の方は大した事無くてもう治っているんだが、アイツもヒカリが暴走したのを目の前で見た事が大分応えているみたいでな。今は仕事を休ませて療養させてるよ」

 

 俺の質問にフレアさんが答えてくれた後に続いて、親父とビスト長官が今後の宇宙警備隊としてこの件をどうするのかを話し出した。

 

「では今後の宇宙警備隊がどうこの件に当たるのかだが……まず『ハンターナイトツルギ』の正体がヒカリ博士である事は可能な限り秘匿する事にする。警備隊の中でもこの件を伝えるのは限られた人間だけだ」

「……ヒカリ博士は『命』の固形化技術などで宇宙ではかなり有名になっていますからね。下手に騒ぎ立てると要らぬ事を考える者が出ますか」

「お前達が集めた情報によれば、現在のヒカリ博士はあくまで【ボガール】を執拗に追い回しているだけで無闇に暴れ回ってはいない様だからな。今なら事が荒立たぬ内に抑えられるかもしれんしな」

 

 まずはヒカリさんの事の可能な限りの秘匿……まあ今の所『ハンターナイトツルギ』=ヒカリ博士ってのは知られてないからね。これが広がるとヒカリさんを狙う人達とかが増えかねないし。

 

「そしてお前達には引き続き【ボガール】の後を追ってもらうと共に、同じくヤツを追っているヒカリ博士に接触する任務を追加で言い渡す。……何とか説得するか、最悪無理矢理にでも光の国に連れ戻して貰いたい」

「勿論、他の宇宙警備隊員の少数の信頼出来る者に事情を話して捜索に当たらせている。……のだが、知っての通り現在宇宙規模で不穏な動きがある以上、余りこの件にばかり人手を割く訳にはいかないのが現状だ」

 

 当然だが秘匿するだけで放置とかする訳がなく、警備隊としては信頼出来る者に極秘任務を与えてヒカリさんを連れ戻す事にした様だ。

 

「それは構いませんが……アークもこの任務に参加させるんですか? 確か彼はヒカリ博士の知り合いだと聞いていますし、新人には辛い任務になるのでは……」

「大丈夫ですよ21先輩。知り合いである俺の言葉なら聞く可能性もありますし、それでダメならブン殴ってでも制圧して連れ戻せばいいだけでしょう?」

 

 そんな風に21先輩が俺の事を心配してそう言ってくれたが、これでも宇宙警備隊に入った時からそのぐらいの覚悟は出来ているからな! 大丈夫ですよ! (何故かちょっと引かれたけど)

 ……それにさっさと解決しないとヒカリさんの立場がドンドン悪くなるしね。ここは心を鬼にしてでも早期解決を目指さないと。

 

「実際、今のヒカリさんはアーブの民の怨念に取り憑かれて暴走しているんでしょうからね。早くどうにかしないと」

「うむ、最悪の場合【レイブラッド】に憑依されて光の国を襲ったベリアルの様になりかねんからな」

「……アレ? ベリアルは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()んじゃ無かったっけ?」

 

 親父の発言に対して俺がそんな事を言ったら周りから怪訝な目で見られた……ああいや、確かに親父の言う通り()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()な。

 ……士官学校でも習った筈なのに何で俺はこんな風に思ったんだろう? 疲れてるのかな。

 

「……とにかく、どうにかしてヒカリ博士を連れ戻してくれ。【ボガール】相手の任務と並行なのでキツイとは思うがよろしく頼む」

「こちらの方でも可能な限りの支援をしよう」

「分かりました。お任せ下さい必ずヒカリ博士を救出してみせます」

 

 そんな訳で俺と21先輩の任務に『ヒカリさんの救出』が追加されたのだった……彼には本当に色々と世話になったしどうにかしてやりたいが、ボガールの追跡まで含めるとかなり難易度の高い任務になりそうだな。頑張らねば!




あとがき・各種設定解説

アーク:何か変な電波(並行世界)を受信し始めた
・作者的にはギャラファイがファンサービスの嵐だったので思わずネタを入れたくなった(メタァ

セブン21:長年宇宙保安庁で働いているので色々と伝手がある
・彼が繋がりがあるのはごく真っ当(白よりのグレーぐらい)な情報屋で情報の報酬も(経費で)ちゃんと払っている。
・向こうとしても報酬の払いがいい上に、いざとなれば最強の錦の旗である宇宙警備隊を頼れるのでwin-winの関係。

ヒカリ:とうとう闇堕ちして『ハンターナイトツルギ』という黒歴史時代に突入した。
・闇堕ちの描写はギャラファイ大いなる陰謀のエピソード5を見よう(ダイマ)
・尚、このツルギ=ヒカリは影響を考えて極一部にしか知らされていなかったので一般警備隊員は殆ど知らない。

ゾフィー隊長・ビスト長官:面倒な時に面倒な事が起きたので対応に苦慮している
・いち早く解決したいのは山々なのだが、光の国を代表するレベルの有名人であるヒカリの暴走であり下手に騒ぎを大きくするとマイナス要素しかない現状なので秘密裏に動くしかない状態。
・これに関しては下手をするとヒカリを狙う犯罪者や宇宙警備隊の士気の低下などで、現在不穏な空気が蔓延している宇宙の状況を更に悪化させかねない事情もある。
・そこでツルギ=ヒカリが知られていない事を利用して、それを秘匿しつつ『謎の戦士ハンターナイトツルギ』を追うという名目で警備隊を動かして情報を集めながら信用出来るメンバーに連れ戻しを頼む方針。


読了ありがとうございました。
あけましておめでとうございます(ちょっと遅い)今年も小説投稿頑張っていきますので応援よろしくお願いします。
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