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火山怪鳥 バードン
高次元捕食体 ボガール 登場
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そこは富山県中新川郡上市町にある大熊山……そこには少数の登山客が居るぐらいの静かな山だったのだが、ある日突如として火山が噴火し、更に局地的な地震や木々が立ち枯れると言う異常事態が起きていたのだ。
……その為にとある日の夜、異常事態の原因を調査する為にCREW GUYSのメンバーが現場に派遣されていたのだが……突然大熊山の山頂が大爆発を起こしたのだ。
「な、何⁉︎」
「地震⁉︎ いや噴火か⁉︎」
「……おい! アレを見ろ!!!」
そのいきなりの事態にCREW GUYSのメンバーは警戒するが、そこで隊員の一人『アイハラ・リュウ』が爆発が起きた山頂に
……その直後、爆煙が薄れていくと共に大熊山の山頂から一体の怪獣──まるで紅蓮の様な赤い身体に青ざめた頭部と巨大な翼を持ち、顔にある鋭い嘴の両側に赤い袋が付いている全体的に見れば“二足歩行の巨大な鳥に見える怪獣”が現れたのだ。
「キャシャァァァァァァァァッ!!!」
その怪獣──かつて地球を守っていたウルトラマンタロウと、彼を助けに来た宇宙警備隊隊長ゾフィーを一度は殺害した事もある大怪獣【火山怪鳥 バードン】の同族は煙が晴れると共にまるで自分の存在を主張する様に咆哮を上げた。
……それを見たCREW GUYSのメンバーは即座にバードンに対して戦闘態勢を取ったが、それよりも先に彼等には別の問題が襲い掛かった。
「か、怪獣だぁぁぁぁぁぁ!?」
「にっ逃げろぉぉぉ!!!」
「「「ワァァァァァァァ!!!」」」
そう、バードンの咆哮によって怪獣が現れたと知った麓の住人達が半ばパニックになりながらも直ぐにその場から駆け出して避難をし始めてしまったのだ……加えて、今回はただの調査任務だった所為で彼等が誇る戦闘機【ガンフェニックス】が基地に置きっ放しで殆ど打つ手が無かったのである。
……だが、それでも彼等はCREW GUYSとして人々の命を守るべく地上からバードンを攻撃して時間を稼ぐものと、街の住民を避難させるメンバーに分かれて行動しようとしていた。
「行くぞジョージ! 住民の避難が終わるまで出来るだけアイツの注意を引きつける!」
「ったく……了解!」
「ミライ君、私達は住民の避難を!」
「分かりました、マリナさん!」
そうして彼等は行動を始めたのだが、幸いと行ったらいいか地元の住民も酷い時には週一のペースで怪獣が出現する『魔境』地球に住む人たちなので幼い頃からひたすらに避難訓練をやらされており、更に地元の警官や有志の人々が避難誘導に協力してくれたお陰でスムーズに避難は進んで行った。
……問題はバードンに対して足止めを仕掛けようとしたメンバーの方だが、こちらも何故かバードンが
「キシャァァァ……」
「おいどうなってる? アイツ出てきたのに動きやがらねぇぞ」
「俺は怪獣には詳しく無いから分からん。……とにかく、住民の避難が終わるまで大人しくしてくれればいいが……」
そんなバードンの様子を見たCREW GUYSのメンバーは不気味に思いながらも、下手に手を出せばバードンが住民に目を付ける可能性があると判断して小型銃『トライガーショット』をいつでも撃てる様に構えながら様子を見続ける事にしたのだった。
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「…………」
……そんな誰もが突如現れたバードンに恐怖するか動揺する、或いはCREW GUYSのメンバーの様にバードンに対して戦意を燃やしている中、一人だけバードンに対してこれらとは全く異なる感情を向けている存在がいた。
……そいつは大熊山の麓にある人気の無い森の中で一人佇んでいて、見た目だけは白いコートを着た地球人の女性に見えた……が、その目は現れたバードンを見つめて爛々と怪しい輝きを放っており、見る人が見ればとても人間には思えない程の異様な雰囲気を醸し出していた。
「キャッシャァァァァァァァァッ!!!」
「……フフ、コレハ中々食イ出ノアリソウナ獲物ガ出テ来タナ。態々目覚メサセタ甲斐ガアッタ」
それもその筈、ソイツの正体は地球にやってきて
……そして、このバードンもボガールヒューマンが自分の餌とする為に大熊山に隠れ潜んでいた個体を目覚めさせたものなのである。
「……ジュルリ……デハ、早速イタダクトシヨウカ……」
そうして目の前にある
「ッ⁉︎」
……が、その瞬間ボガールヒューマンは背後から
……その光景を見たボガールヒューマンは食事の邪魔をされた怒りから強烈な殺気を迸らせつつ、攻撃が放たれた方向を睨みつけた。
「……何者ダ」
「ようやく見つけたぞボガール。……しかし、バードンとは厄介なヤツを呼び出してくれたな」
ボガールヒューマンの詰問に答える様に攻撃が放たれた方向にある森の中から出てきたのは、金髪碧眼の外国人の男性──に擬態した宇宙警備隊員アーク(人間態)だった。
……彼は人間態の状態で右腕にアークブレスを展開させながらボガールヒューマンに向けて油断なく構えていた。
「……誰カト思エバアノ時ノ宇宙警備隊員カ。ツルギハ追ワナクテ良イノカ?」
「お前が怪獣を呼び出したから様子を見に来たんだよ。この前みたいに邪魔をされる訳にはいかないからな」
一目で目の前の相手の正体が以前に自分を追って来たハンターナイトツルギを連れ戻そうとした宇宙警備隊員だと見抜いたボガールは、こいつが以前散々下手を打った事を思い出して嘲笑を浮かべながら挑発を行った。
だが、アークはそれを聞き流しながら人間への擬態の偽装精度を下げて、代わりに人間態での戦闘能力を引き上げて戦闘態勢に入っていった……ウルトラ族の擬態は基本的に正体を隠蔽する偽装精度と人間態での戦闘能力が反比例するのだ。
……そうして、お互いの間の空気が一気に張り詰めていき……。
「キャシャァァァァァァァォォォォッ!!!」
「……それに地球で起こっている問題はここでお前を倒せば大体解決するからな!!!」
「面白イ、ヤッテミロ!!!」
……大熊山山頂にいたバードンが咆哮を上げると同時に、お互いに啖呵を切りあい傍目からはまるで消えた様に見える程の速度で移動しながら、ボガールの禍々しいエネルギーを纏わせた五指とアークの光エネルギーを纏った拳がそれぞれ相手を打ち倒さんとぶつかり合った!!!
「疾ッ!」
「死ネェ!」
その二つの攻撃の威力はほぼ互角でありボガールとアークはお互いに弾き飛ばされたが、二人とも即座に体制を立て直して高速移動を続行……ボガールが放った爪による一撃をアークが相手の腕部分を打ち払う事で捌き、カウンターに放たれたアークの回し蹴りはボガールが咄嗟に身を翻した事で躱された。
……その時、突然バードンはその巨大な翼を羽ばたかせてまるで戦っている二人から逃げる様にドンドン大熊山近辺から遠ざかってしまったのだ。それを横目に見たボガールは忌々しそうに舌打ちをした。
「……チッ」
「どうした? 折角の餌が何処かに行ってしまったぞ?」
「フン、貴様コソ宇宙警備隊員ナノニ怪獣ヲ見逃シテモイイノカ?」
「生憎、そっちは地球人とメビウスがどうにかするさ。……それよりも、今は貴様を放置しておく方が危険だからな!!!」
それだけ言うとアークは再びブレスから
「カァッ!!!」
「ふんっ!!!」
だが、アークも片手を前に突き出して衝撃波をウルトラ念力で相殺しながらボガールに接近、相手もそれに応じて二人は再び熾烈な格闘戦を演じ始めたのだった。
「チィ! イイカゲンニシツコイ!!!」
「それはこっちの台詞だ! アークブレード!!!」
そうしてボガールとアークはお互いに人間態のままで周辺の森林が更地になるぐらいの激しい戦いを繰り広げていた……のだが、その途中でバードンが飛んで行った方向から強大なエネルギーを感知した二人は、一旦戦闘を辞めてその注意を僅かにそちらの方に向けた。
……二人が注意を向けた先には木々を枯らしながら地面に立つバードンに向かい合う巨人──ウルトラマンメビウスの姿があった。
「キシャァァァ!!!」
「シェアッ!」
「……ウルトラ戦士ガモウ一人……ココガ潮時カ」
「逃すと思うか?」
バードンとメビウスが戦う所を横目で見ながらボガールは撤退を視野に入れて行動しようとしたが、アークは『決して逃しはしない』と言わんばかりに右腕から光剣を展開しながらジリジリと間合いを測っていく。
……そうして先程までとは一転してその場には張り詰めた空気と静寂があり、お互いに動く事は無く相手の隙を伺い合う状態であった……が、そこでバードンと戦っていたメビウスが迂闊に飛び上がった隙を突かれ、相手の嘴に足を貫かれた事で状況は一変した。
「キシャァァァ!!!」
「シェアァァッ⁉︎」
「ッ! メビウス⁉︎」
ウルトラ戦士の身体すら容易く貫くバードンの嘴に貫かれ、更に頰にある毒袋からタロウとゾフィーを一度は殺めた程の猛毒を流し込まれたメビウスが苦痛のあまり地面に墜落してしまった。
……そして、それを見たアークも父親がやられた猛毒の事は知っていたので思わずメビウスの方を見てしまい、目の前のボガールに致命的な隙を見せてしまう事となった。
「馬鹿メ! 隙ダラケダ!」
「グァッ! しまった⁉︎」
当然、悪辣なボガールがその隙を見逃す事は無く、その一瞬でエネルギーを練り上げ今までのモノとは比べ物にならない規模の強力な衝撃波をアークに向けて放ったのだ。
……アークは咄嗟にウルトラ念力による防壁を貼ったが相手の衝撃波の勢いに押されて吹き飛ばされてしまい、何とか態勢を立て直すもののその間にボガールが空間転移でその場から消え去っていたのだった。
「……逃したか……メビウスの方は……」
「クッ……セヤァッ!」
「キシャァァァッ!!!」
アークがボガールの気配が周囲に無い事を確認した後にメビウスの様子を見ると、彼は猛毒に身体を蝕まれて苦しげに膝をついていたが最後の力を振り絞って左腕のメビウスブレスから
その光刃自体は飛翔したバードンに躱されてしまったが、それ以上の戦闘を嫌ったのかバードンはそのまま海の方向に向けて飛び去ってしまったのだった。
……そして、それを見届けるしか出来なかったメビウスは、まるで力尽きたかの様にその身を薄れさせてその場から消えてしまったのであった……。
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「……アレがGUYS JAPANの本拠地【フェニックスネスト】か。……しかし、このわらび餅ってヤツ美味いな」
さて、ボガールを取り逃がしたあの夜から一夜明けて、俺こと宇宙警備隊員アークは現在GUYS JAPANの本拠地フェニックスネストの直ぐ近くにまでやって来ていました。
……流石に重要拠点だから警備の人とか居るので敷地内には入れないが、独特な形状の施設だからか敷地の外から写真を撮っている観光客は結構いたりする。
まあ、そのお陰で俺がなんか『お餅フェア』ってのをやっていたお店で買ったわらび餅(カモフラージュ用)を食べながら敷地の直ぐ外をうろついていても余り目立たずに済んでいるのはありがたいな。
「……目的を達成する為ならこれで十分だしな……透視光線」
そうして俺は警備の人間に気取られない様に気を付けつつ、セキリュティにも引っかからない様に透視光線を使って基地の一点のみを見つめた……よし、メビウス居たな。
……流石にあのバードンの猛毒を打ち込まれたのは心配だったから、ちょっと診断に来たのである。さてさて……?
(……ふむ、毒にやられてベットで寝ているだけで命に別状は無さそうだな。……メビウスの様子からして、おそらくあのバードンはタロウ教官や親父が戦った個体と比べて弱い……いや、若い個体だったみたいだな。毒性が以前見た資料の物と比べて大分弱いし)
透視光線を介した大雑把な診断ではあるが、これなら自然治癒でも問題無さそうだな……というか、バードンの毒なんて俺の治癒技術じゃ治せないからなぁ。単純な負傷と違って解毒はそれなりの技術と知識がいるし。
……だが、あの負傷ではしばらくはまともに戦えないだろうな。あのバードンやボガールの今後の動向次第ではあるが……。
(最悪、俺が出張らざるを得ないかもしれないな。……親父からは『地球を守る事はなるべく地球人とメビウスに任せてほしい』と言われてはいるが……)
この地球派遣はメビウスへの修練や試練的な意味もあるし、そもそも惑星の事はその星に生きる者達がどうにかするのが筋だから、助けを求められない限りはホイホイ助力するのもあんまり良くない事なんだよなぁ。
……ボガールも行方を眩ませたし、ヒカリさんの方もまだ正確な位置は掴めないし……ボガールの方は昨日俺とあれだけ激しくやり合ったんだから、しばらくは迂闊な行動はしないと思いたいが……。
「あの野郎の行動基準はどこまで行っても『食欲』だからな。きな粉餅も美味い」
それ故に散々妨害された時どう出るかが読みにくいんだよなぁ……まあ、迂闊な行動を取ればその時こそ打ち倒せばいい訳だが。
「その為に、そろそろアイツにもこっちの事情を説明しておこうと思ってたんだが、今は療養中だしなぁ。……しゃーない、まずはヒカリさんの位置を探りつつ状況が動くまで待機だな。……柏餅も美味いモグモグ」
……そうして俺は手に持った各種餅シリーズを食べながらその場を後にしたのだった……あくまでカモフラージュ用だからな(強弁)
あとがき・各種設定解説
アーク:ふふふ、こんな餅を食べている外国人が宇宙警備隊だとは誰も思うまい……
人間への擬態:割とポピュラーな技術
・この宇宙では知的生命体で一番数が多いのがヒューマノイドタイプなので、人間への擬態技術は宇宙の色々な種族で使われている。
・それ故に一定以上の実力者なら擬態を見破る技術や道具を持ち合わせているのが普通であり、ウルトラマンの擬態や憑依が割とあっさり宇宙人に見破られるのはその為。
・ウルトラ戦士の擬態能力はそこまで高い訳ではなく偽装度合いと戦闘能力は反比例するのが普通だが、技術を磨けばアークの様に擬態の質を操作したりセブン21の用に二つを高レベルで両立する事も出来る。
CREW GUYS&メビウス:現在は第三話『ひとつきりの命』
・流石に生身で怪獣の相手をするのは(タロウ時空の人間でもない限り)厳しいので、今回は住民の避難を優先した。
・メビウスが変身したのはバードンがまだ避難が終わっていない地区の近くに降り立った為で、どうにか避難民を庇いながら戦っていたが猛毒を貰ってしまった形。
バードン:タロウに出てきた個体と比べるとかなり若い
・というより、タロウに出て来た個体がポケモンでいう『6V努力値こうげきすばやさ振り役割破壊わざ持ちでレベル80ぐらい』みたいな厨性能だった感じ。
・こっちは多分旅パ性能でレベル40ぐらい。
ボガール:だいたいこいつのせい
・流石に戦闘能力が高い上に高速で飛行するバードンを追うのは難しいので、今回は身を眩ませる事を優先した形。
読了ありがとうございました。
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