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高次元捕食体 ボガールモンス
強化地底怪獣 エリマキテレスドン 登場
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「……殴って解決出来る簡単な問題から解決するとしよう」
「グググ……キッシャァァァァァッ!!!」
アークのそんな“こちらの事を大した脅威だと感じていない”目を見たボガールモンスは、それが強化された自身を下に見る物だと思い激怒しながら頭部にある発光器官からビームを放った。
……本来なら餌を狩る以外の戦闘では直ぐに逃亡するボガールがここまで積極的な戦闘に打って出たのは、狸寝入りしながら聞いていた先程の無様な同士討ちから連中が自分に内包されているエネルギーを警戒して全力で戦えないだろうと考え、その上で強化されている自分なら容易く嬲り殺せると思ったからである。
「……ああ、自分の内包エネルギーならこっちが全力で攻撃出来ないと思っているのか? ……別に貴様如きを倒すのに全力で攻撃する必要もないだろ」
「キシャッ⁉︎」
……そのボガールの浅はかな考えは、向かって来た光弾をエネルギーを纏わせた腕部で打ち払い、そのまま超加速移動で懐に潜り込んで来たアークの放った
「今の貴様はご自慢の内包エネルギーで相当に強化されているみたいだからな。……逆に言えば、多少ブン殴っても爆発はしないという事だろう?」
「ギシャァァァァッ⁉︎」
そんな事を言いながらアークはボガールモンスの腹部に強烈なストレートを放って悶絶させ、更にハイキックによる首刈り、そこから回し蹴りによる横胴への蹴撃、そして態勢が崩れた相手の首根っこを掴んで市街地から遠ざける形での投げによる地面への叩きつけを立て続けに見舞っていった。
……これまでの地球任務でイマイチ良いところが無かった所為でストレスでも溜まっていたのか、その攻撃は普段以上に苛烈だった。
「ちょ⁉︎ アークやり過ぎじゃあ……」
「問題ない、体表が分厚い場所や意識を刈り取れる場所に手加減しながら放ってるから“まだ大丈夫”だ。……それに万が一の事があったとしても
「……まあ、アークならそのぐらいは出来るかもしれないけど……」
一応、アークもボガールモンスの内包エネルギーに関しては常に最大限の警戒しており、もしもの時には残存エネルギーの全てを使ってでも爆発の威力を最小限に抑えるつもりであった。
……ちなみに爆発の一瞬でそのレベルのバリアを張るのは普通の宇宙警備隊員には難しいのでは? とメビウスは考えたが、『そもそもアークは普通じゃなかったや』と思い直して万が一時には自分もバリアを展開出来る様にエネルギーを集中しておく事にしたのだった。
「……それに俺の場合は
「色が変わりやがった⁉︎」
『黒くなったわね……なんかちょっと悪っぽい?』
「見た目で判断したらダメですよ! ……しかし、姿が変わるウルトラマンなんてこれまで見た事が無いし彼は一体……?」
そうしてメビウスを納得させたアークは、更にボガールモンスをどうにかする手段は他にもあると示す為に自身のもう一つに姿である『リバーススタイル』へと変身した……その際にGUYSメンバーが色々言った事に関してもスルーした。
ついでに投げっぱなしだったウルトラディフェンダーを手元に呼び戻すと、それをウルトラランスへと変形させて地面から起き上がろうとしているボガールモンスへと突き付けた。
「ウググ……マ、マダ……!」
「いや、そのまま眠ってろ……サイキックホールド!!!」
そしてランスの先端からリバーススタイルとなって強化された念力を放って、ボガールモンスを再び地面へと押し付けて身動き出来ない様にし……それと同時並行で空いているもう片方の手に膨大な冷気を集中させて……。
「……そんでもって最大チャージのウルトラフリーザーを喰らえい!!!」
「キッシャァァァァァ⁉︎」
それ冷却光線として倒せ伏したボガールモンスの上に発射して炸裂、発生した大量の冷気を降り注がせてボガールの肉体を一気に凍結させていった……ここまでが流石に冷却でなら内包エネルギーが爆発を起こす事は無いと考えたアークの『対ボガール戦術』だったのだ。
……それから数瞬後、そこには地面に倒れ伏したまま完全に氷漬けにされたボガールモンスの姿があったのだった。
「……ボガールを凍らせやがった……」
「まあ、内包エネルギーの所為で表面しか凍ってないし時間をかければ解けるんだが……余計な動きを短時間封じ込めるなら十分だろう。後はコイツをどっか宇宙にでも運んで爆殺すれば全ての方が付くと思う。……ヒカリさんもこれなら良いですよね! まだ文句があるなら後二、三発は殴りますよ!!!」
「…………分かった、それでいい」
「やっぱりアークはすごいなぁ」
流石にここまで圧倒的な実力を示してボガールを制圧したのなら敵対するよりも従った方が良いと思ったのか、或いはボガールがフルボッコにされるのを見て頭が冷えたのか、はたまたこれ以上殴られたくないのかは定かではないが、拘束が解かれた後もツルギは大人しくアークに従う素ぶりを見せていた。
その一方的な戦い見ていたGUYSメンバーは手を出す事も忘れて驚愕の表情を見せて、メビウスはなんかちょっと天然な発言をしつつも内心では『地球を守る為にもっと精進を積まなければ』と決意を固めていたりした。
……こうして色々あったボガール事件は解決に向かおうとしていた……
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「……やれやれ、あのボガール思った以上に使えませんねぇ。せっかく宇宙警備隊の探知をある程度誤魔化せる細工と相応のエネルギーを与えて、ついでに怪獣が沢山いるこの星を紹介してやったのに……」
……アーク達とボガール(氷漬け)がいる場所からかなり離れた市街地、そこにあるビルの屋上に一人の“真っ黒な服”を来た男がアーク達がいる方向を見ながら落胆した雰囲気で何やら呟いていた。
……最も
「強化された時には多少は見所があるかと思いましたが、ああも容易くやられる程度の頭脳と実力なら空席の『邪将』の座は相応しく有りませんか。……まあ、アレは相手が悪かったとも言えますがね。あのゾフィーの息子、宇宙警備隊に入隊してボガールを追う任務を任された事は掴んでいましたが、どうやら実力に関しては親の七光りではない様で……」
だが、その『黒い男』は一転して雰囲気を“何か面白いモノでも見つけた”かの様に変えながら薄い笑みを浮かべていた。
「……とは言え、まだこの星への『惑星規模の認識改変催眠補助装置』の設置は済んでいませんし、あのボガールにはもう暫くこの星にいるウルトラマン達の耳目を引きつけて貰わないと行けませんしね。……少しだけ助け舟を出してやるとしましょうか」
そう言った男は突然パチンと指を鳴らした……直後、まるで
「……設置作業中に偶々見つけた『この星の地底に生息していた者達が作った地上への侵略用怪獣の一体』ですが、作った者達がかつてウルトラマンに倒された所為で未完成のまま放置されていたので、少し手直ししつつ私の意のままに動くように刷り込みをしたものです。……元はボガールの餌用だったのですが、この状況なら少しは面白い事になるでしょう」
……それだけ言った『黒い男』はそのまま身を翻して歩いて行き、その途中で跡形も無くその場から消え去ってしまったのだった。
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「……じゃあ話も纏まった所で氷が溶けない内に
とりあえずツルギを説得(物理)して後はボガールを宇宙に運べばいいという段階になった所で、突如として地面が揺れ始めた事にアークが気がつき……そこから一気に地面の揺れはその場にいる誰もが気がつくレベルにまで強くなった。
「……これは⁉︎」
「地面が揺れてる⁉︎」
「一体何だ⁉︎」
「⁉︎ 地中から何かが来るぞ! 気を付け「アンギャァァァァァッ!!!」
その突然の揺れにその場に居た全員が周囲を警戒した直後、アーク達から少し離れた地面が勢いよく弾け飛びそこから一体の怪獣が現れたのだ。
……その怪獣は身長60メートル・体重12万5トンという超重量級であり、全身は焦げ茶色の非常に頑丈な皮膚で覆われていて顔は鋭く尖っており、更に首元には一際目立つ
「何だ! あの怪獣は⁉︎」
「……ドキュメントSSSPに類似種族を確認! レジストコードは……」
「【地底怪獣 テレスドン】だ……! でも、あのエリマキは【エリ巻き恐竜 ジラース】のものに似ている……ひょっとして新種なんじゃ⁉︎」
『……じゃあもう【エリマキテレスドン】とかでいいじゃない』
『まあ、名前は分かりやすい方がいいだろうしな』
そう、現れた怪獣はかつてウルトラマンと戦った【テレスドン】の強化体──GUYSが付けたレジストコードは【エリマキテレスドン】──であったのだ。
……いきなり現れたエリマキテレスドンに対して三人のウルトラマンとGUYSメンバーは応戦の構えを見せたが、それよりも早く『黒い男』によって操作されたエリマキテレスドンは襟巻きの縁を発光させながらデプス拡散熱線波──光線状に収束されたデプス熱線波を辺り一面に連射する技を放った。
「アンギャァァァァァッ!!!」
「させん! ブリザードウォール!!!」
それに対してアークはダメージを負って疲労したメビウスとツルギ、そして地上にいるGUYS隊員達を守る為に念力によって熱線を防ぐ冷気の壁を作り出してデプス拡散熱線波を防いでみせた。
……だが、彼等を守る事を優先したせいで熱線波の内の一つが氷漬けにされたボガールモンスに当たる事は防げず、その結果として熱線を浴びたボガールは凍結から逃れてしまったのだ。
「しまった⁉︎」
「キッシャァァァァ!」
「逃すかッ!!!」
そうして動ける様になったボガールに対して即座にツルギが抜き打ちのナイトブレードから光刃を放つが、それより早く復活したボガールは空間転移でその場から消え去ってしまったのだった。
……それを見て激怒しながら悔しがるツルギだったが、そこにエリマキテレスドンのデプス破壊熱線波──襟巻きで超振動波を増幅して放つ技──が直撃して大きく吹き飛ばされてしまった。
「グワァッ!?」
「ツルギ⁉︎」
「セリザワ隊長⁉︎」
「チッ、メビウスとヒカリさんはこれまでの戦闘でダメージと疲労が大きいし……ここは俺がやるしかないか」
「アンギャァァァァァォォォォ!!!」
吹き飛ばされたツルギに声をかけるメビウスとリュウを背に、エリマキテレスドンに向かい合ったアークは直接戦闘には不向きなリバーススタイルから戦闘能力に長けたシルバースタイルに戻ると、まずは手始めの牽制としてブレスからアークスラッシュを放つ……が、その光刃はエリマキテレスドンが展開した空気の壁『デプス反射砲』によってそのままアークに跳ね返されてしまった。
……それをアークは咄嗟に手に持っていたウルトラランスで光刃を弾きつつ、かつてアーカイブで見たテレスドンとは大分能力が違う様だと思考していた。
「おおっと⁉︎ 超振動波だけで無くて光線に対する防御能力まで備わっているとはな。……ここは近接戦しかないか」
「ギャォォォォ!!!」
相手が強力な射撃と防御能力を備えている以上、下手な光線技はエネルギーを消費するだけだと判断したアークはエリマキテレスドンに接近戦を挑んでいった。
……だが忘れてはならない。このエリマキテレスドンの元になったテレスドンという怪獣はトップクラスの体重を持つ重量級怪獣であり、地底人という司令塔を失っていたウルトラマンと戦った個体と違って、未だに『黒い男』の制御下にあるという事を。
「アンギャァァッ!!!」
「グオッ⁉︎ 重いし硬いなぁ! しかも接近戦も相当に上手い!!!」
接近したアークは果敢に拳や蹴りを放っていったが、このエリマキテレスドンは地底人の
更に操っている『黒い男』の技術によって皮膚の厚い部分で攻撃を受けたり、爪による攻撃をフェイントにして尻尾で不意打ちを仕掛けて来るなどの近接戦も仕掛けてくるのでアークも中々攻め切れないでいた。
……それを見たメビウスとツルギが加勢に向かおうとするが疲労とダメージによってその動きは精彩を欠き、辿り着くまでに迎撃の為に再びエリマキテレスドンが放ったデプス拡散熱線波を食らって吹き飛ばされてしまった。
「シェアァァッ⁉︎」
「ヌアッ⁉︎」
「二人とももう殆どエネルギー残ってないんだから下がって! ……って、俺のエネルギーもそろそろヤバいかな」
二人にそう言ったアークは自分の胸のカラータイマーが点滅しだしているのに気が付いた……流石の彼も初めての地球での連戦によって相応にエネルギーを消費してしまっていたのだ。
……何とかしてエリマキテレスドンの隙を見つけて短期決戦を挑むしかないか? ……と、アークが身構えつつも考えていたその時、地上と上空からエリマキテレスドンの顔面に向けてビームが放たれた。
「アンギャァァァァァッ⁉︎」
「俺達も忘れてんじゃねーぞ!!!」
『ウィングレットブラスター!!!』
そう、これまでは状況が目まぐるしく変わって手出しが出来なかった、地上のリュウ達GUYS隊員と上空で待機していたガンウィンガーによる攻撃である……ボガール相手には迂闊に攻撃出来なかったがエリマキテレスドン相手ならば特に攻撃を躊躇する理由も無く、更にウルトラマン達の窮地とあって彼等は果敢に攻勢に打って出たのだ。
……彼等の攻撃の威力自体はエリマキテレスドンの強固な皮膚を穿つ程では無かったが、それでも予想していなかった者達からの攻撃だったのでデプス反射砲を使う事も出来ずに顔面へと集中攻撃を食らった所為で怯んでしまい……その隙を逃さずアークは接近してテレスドンの襟巻きを鷲掴みにした。
「とりあえず厄介なのはこの襟巻きだろ! ソォイ!!!」
「ギャァァァァァァァァッ!?」
そしてアークはその襟巻きを勢いよく引き千切った……このエリマキはテレスドンに強化手術で後付けされた部位であるので、その接合部は他の肉体部位と比べても遥かに脆くなっているのだ。
……とはいえ、いきなり肉体の一部分が引き千切られて
「襟巻きが無ければ貴様なんぞ只のテレスドンだ! どっせぇぇい!!!」
「アンギャァァッ⁉︎」
そのまま首根っこを掴んだアークに態勢を崩されて上で投げ飛ばされ、脳天から地面に叩きつけられてグロッキーになった……それによ脳を揺らされてフラつきながら動きが鈍ったテレスドンを見て、アークは即座に距離を取って自身の必殺光線の構えを取った。
……ただし、その技は右腕の『アークブレス』のクリスタルサークルを左手で回転させると共に腕を斜め上下に開く際、解放されたエネルギーとタロウ教官から習った
「喰らえ! これがブレスを手に入れてからこっそり練習して来た『完成版』アークレイショットだ!!!」
「アンギャァァァァァ…………!!!」
そうしてチャージを終えたアークは腕をL字に組んで大威力の必殺光線を未だにフラついているテレスドンに向けて放ち、その重厚な皮膚やタフな身体を物ともせずに跡形も無く爆散させたのだった。
……まあ、エネルギーの消費のし過ぎでカラータイマーの点滅は更に激しくなっていたが、あのままズルズルと戦い続けていたら負けていただろうから許容範囲内だろう。
「よし倒した……が、ボガールには逃げられたか。……こんな都合良くアレだけの怪獣が現れるとは思えないし、ボガールも怪獣を呼び出せる状態じゃなかった以上、やっぱり黒幕がいるのかねぇ」
……実質、戦いには勝ったが肝心の目的は果たせなかった状態のアークは肩を落としながら身体を薄れさせてその場から消えていったのだった。
あとがき・各種設定解説
アーク:光のラインは『ゼペリオン光線』のアレをイメージ
・完成版のアークレイショットは“威力だけなら”ゾフィーのM87光線Bタイプやエースのメタリウム光線に匹敵する威力。
・ただ、チャージに時間が掛かりエネルギー効率も更に悪くなっているので、出が早く基本技であるスペシウム光線と使い分けるスタイルで行くつもり。
・後、昔からゾフィー達にボコボコにされ続けていた所為でエネルギー不足時での戦いにも慣れていたり。
メビウス&ツルギ:あの後は同じくエネルギー切れで消失
・イマイチ活躍出来なかったが連戦とダメージの所為(ツルギの場合はアークが原因だが)で動きが鈍っていたのでしょうがない所もある。
GUYSメンバー:賑やかしでは終わらないのが地球の防衛チーム
・後日、レジストコードは正式に【強化地底怪獣 エリマキテレスドン】で登録された模様。
ボガールモンス:ボコボコにされた上で氷漬けにされた
・動ける様になったら即座に逃亡を選ぶぐらいにはアークを警戒している。
エリマキテレスドン:弱点は襟巻き
・この地球では『ウルトラマン』で出て来た地底人が改造していた2代目テレスドンという設定で、地上への本格進行用だったので性能は初代よりも数段上。
・こちらは改造手術の際、超振動波などの能力を増幅する器官としてエリマキを付けただけで、よく似ているがジラースのそれとは余り関係がない設定。
・ただ、ウルトラマンと遭遇した時点では完成しておらず、肝心の地底人も100万ワットの輝きで全滅したので仮死状態で地下深くに隠されていた。
黒い男:一体何フィラス星人なんだ……!
・ボガールを地球に差し向けたり宇宙中で騒ぎを起こしてウルトラマン達の目を逸らし、その隙に様々な暗躍をしているヤツ。
・今回の一件でボガールには見切りを付けており、代わりに『地球に封印されたアイツ』を仲間に引き入れる為に引き続き暗躍する模様。
読了ありがとうございました。
この作品の小説情報を見てみたら評価バーが全部赤くなっていて嬉しかったです。これも皆さんの応援のお陰です。これからも宜しくお願いします。