宇宙に輝くウルトラの星   作:貴司崎

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母なる智天使

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 宇宙凶険怪獣 マザーケルビム 登場

 

 

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 ……【宇宙凶険怪獣 ケルビム】……この怪獣は母体である【マザーケルビム】が宇宙各地を移動しつつ、様々な惑星に卵を産み付けて繁殖する性質を持っている事から宇宙各地で生息が確認されている所為で名前の知られた怪獣であり、その外見は異名の由来にもなった凶悪にすぎる険しい顔つきを始めとして魔物を思わせる攻撃的な外観を持つ。

 

「ギャァアアアアアアアアォォォォオオオオオオオオオ!!!」

「……やっぱりクソでかいから迫力がすごいな。とりあえずウルトラサインで銀河系支部に連絡を……うおぅ⁉︎」

 

 ……その見た目に反せず戦闘能力も非常に高く、遠距離の相手には口から吐き出す可燃性粘液を空気との摩擦で発火させた火球『弾道エクスクルーシブスピット』、中・近距離では先端に鋭い棘が何本も生えたモーニングスターのようなコブの付いた長大な尾『超音速クラッシャーテイル』、更に至近距離では両腕の爪や頭頂の巨大な一角『裂岩マチェットホーン』と、攻撃面では戦況や相手を選ばないオールレンジな戦闘能力を持っている。

 また、体内に反重力推進器官を持ち宇宙・大気圏内問わず飛行も可能で、エラは確認できないが呼吸器が似たような機能を有しているのか水中でも難なく活動可能であり、更には音波を利用した怪獣の操作を行う個体もいるなど知能も相当に高いという万能系怪獣である。

 加えてマザーの場合は尻尾の先から大量の卵を隕石のように発射し攻撃する事すらやってのけ、今もウルトラサインを出したアークに対して敵対行為を認識したのか尻尾から隕石を投射している。

 

『ギャアアアアオオオオオオオオオォォォォ!!!」

「ええいっ! この隕石群は卵か⁉︎ ……惑星に産みつけられないからか孵化はしないみたいだが、単純に飛び道具としても厄介だな!」

 

 しかし、ケルビムやや細身な体型も相まって馬力自体に関してはやや力不足な印象があり、優れた攻撃面に反して防御力は控えめで特殊な防御技なども持ち合わせておらず、その意味では『攻撃は最大の防御』を地で行く怪獣とも言えるかもしれない。

 ……ただし、長い時を生きて成長した結果としてウルトラマンすら遥かに凌ぐ巨体を持つに至った【マザーケルビム】の場合だと()()()()()()の防御力と耐久力を備えており、当然ケルビムの高い各種攻撃能力をその圧倒的なスケールで実行可能である……つまりどういう事かと言うと……。

 

「ギシャァァァァァァッ!!!」

「チッ! スペシウム光線()()ではダメージを与えられんか……危なっ⁉︎」

 

 アークが投射される隕石を回避しながら放ったスペシウム光線はマザーケルビムの体表に僅かな焦げ目を作った程度しか効かず、逆にマザーは迂闊に接近した彼に対して身体を回転させながら超巨大な超音速クラッシャーテイルを見舞って来る……そんな状況であった。

 ……幸いマザーの格闘攻撃は巨体であるが故に大振りであり、ウルトラ族が高速で移動出来る宇宙空間という環境もあってアーク程の技量があれば回避する事は容易いのだが、その巨体から放たれる為に攻撃範囲が広くどうしても大きく動く必要が出来てしまう。

 

「ガァァァアアアォォォォオオオ!!!」

「今度はエネルギー弾か!」

 

 そうして一旦距離を取ったアークに対して、マザーケルビムは口からウルトラ族一人を飲み込む程の大きさの弾道エクスクルーシブスピット──可燃性粘液を体内でエネルギーに変換して、炎っぽいエネルギー弾として重力操作能力で打ち出す宇宙空間用──を撃ち放った。

 ……それもアークは辛うじて避けながら反撃のウルトラスラッシュ(八つ裂き光輪)をマザーに投げつけたが、放たれた光輪はその身体に僅かな切り傷を付けるだけに終わった。

 

(クソッ! デカイだけあって耐久力も生命力も桁違いだから攻撃も殆ど効かんか。……あのマザーケルビムを倒すには()()()()()()()が必要なんだろうが、俺のアークレイショットはタメに時間が掛かるから向こうの攻撃を回避しながらだと撃てないし、そもそもそれで倒し切れるかどうか……)

「ガァオオオオオオオオオォォォォ!!!」

 

 圧倒的な巨体であるマザーケルビムの『生物としての単純な強度』の所為でアークが攻め切れないでいると、再びマザーはアークに向けて尻尾から隕石の様な卵を連続で撃ち放って来た。

 ……とは言え数は多くても軌道は直線なので、アークは容易く回避出来ると判断して移動して射線から逃れ……直後、数個の卵隕石の中から()()()()()のケルビムが生えると共に、その卵隕石群が自身を追尾してくる光景を見て思わず驚愕してしまった。

 

「なっ⁉︎ 卵の孵化には惑星のエネルギーが必要な筈じゃ……まさか“未熟児”か!!!」

「「「「AAAaaaaaaaaa!!!」」」

 

 そう、本来ならケルビムの卵の孵化には“惑星に流れるエレメント”や“次元破壊系兵器の余波である重力波”などの強いエネルギー波が必要であり、その為にマザーケルビムは繁殖に相応しい惑星を探す為にエネルギー波を探知しながら宇宙を放浪しているのだが……今回はアークを始末する為に栄養が足りない状態で卵を孵化させて、その重力操作能力による実質的な“使い捨ての弾丸”としているのだ。

 ……実際、そうして生まれたケルビムは肉体の一部が欠けていたり崩れていたりで、辛うじて重力操作による飛行能力のみが使える様な状態で孵化させられていた。

 

「要するに鉄砲玉か……なら撃ち落とす! アークスラッシュ! スペシウム光線!」

「「「「AAAaaaaaaaaa!?」」」

 

 それを見たアークは避けるよりも未熟児ケルビムを撃破した方が早いと判断し、光線や光刃で未熟児だから耐久力も低くなっているケルビムを次々と撃破していった……が、そうしてアークの動きを止める事がマザーケルビムの狙いであり、そこに向かって再び周りのケルビムを巻き込む規模の弾道エクスクルーシブスピッドを放った。

 

「ガアアアアアアアアアァァァァァァ!!!」

「ッ⁉︎ アークディフェンサー!!!」

 

 直前でそれに気が付いたアークは咄嗟に自分の身体を覆い尽くせるサイズのバリアを展開するが、その大きさに見合った出力を持つエネルギー弾を完全に防ぎきる事は出来ずにそのまま吹き飛ばされてしまった。

 ……だが、そこはウルトラ兄弟に散々扱かれて来たアーク、ダメージを受けつつも爆炎に紛れながら必殺光線(アークレイショット)のチャージ体勢に移行した。

 

「喰らえ! アークレイショット!!!」

「ギャァァァァァアアアアアア!?」

 

 そして爆炎が晴れた瞬間にアークは両手をL字に組んで必殺光線をマザーケルビムの顔面に向けて放った……が、咄嗟にマザーが首を振った所為で光線はその右耳部分に当たってしまい、そこを跡形も無く吹き飛ばすだけに終わってしまった。

 

「クソッ! 外れたかっ!!! ……それに俺の最強技でもあの程度のダメージとか……!」

「グワァァァアアアアアアォォォォオオオッ!!!」

 

 自身の必殺技を持ってしてもマザーケルビムを仕留め切れなかった事に歯噛みするアークだったが、耳を吹き飛ばされて激怒したマザーが再び大量の隕石卵を射出し、それら全てから未熟児のケルビムを孵化させた所を見て慌てて全力での飛行で距離を取り始めた。

 ……本来、この未熟児の強制孵化は貴重な卵を無為に消費する以上は大量の卵を産めるマザーケルビムにとっても余り使いたく無い戦術だったが、自身に大ダメージを与えたアークを危険視した事で『多少の損害を考慮してもここで確実に倒すべき』だと判断させてしまったのだ。

 

「「「「「GYAAAaAaaaaAAaAaAaaaa!!!」」」」」

「この数はっ! アークスラッシュ! アークブレード! ウルトラランス!」

 

 四方八方から迫り来る未熟児ケルビム隕石に対してアークはまず数発の光刃を放って数個の隕石生えたケルビムを撃破し、迎撃しきれずに近づいて来た個体を右手のブレードで切り裂きながら左手にウルトラランスを召喚しつつ即座に投擲、向かって来ていた複数体のケルビムに風穴を開けて撃破していった。

 ……だが、そうしてアークの足が止まったタイミングを狙って、マザーは重力操作能力を駆使してその巨体としてはかなりの速度で距離を詰めて更に超音速クラッシャーテイルを放って来た。

 

「ガァァァァァアアアアアァァァァァァ!!!」

「……そこのケルビム! 頭を借りるぞ!」

「AAaAaaa⁉︎」

 

 それを見たアークは接近して来ていた隕石ケルビムの一体の頭を踏みつけて跳躍する事でクラッシャーテイルの殺傷圏内から退避する……と同時に遠距離からの攻撃では拉致があかないと判断して、接近して来たマザーケルビムへと逆に近づいて接近戦に持ち込んだ。

 ……いきなり近づいて来たアークに対してマザーは両腕の爪と頭部の烈岩マチェットホーンを振るって叩き潰そうとするが、そのサイズ差から密着しながらヒラヒラと飛び回るアークを捉える事が出来ず、遂には顔の側まで接近して来たアークのブレードによって片目を斬り裂かれた。

 

「ギャアアァァァァァアアァァァ!?」

「……さて、ようやく片耳と片目を奪ったは良いがまだ倒すには程遠い……やはり()()()で倒すのは難しいか」

 

 更なるダメージを受けて絶叫するマザーケルビムを見ながらも、アークは相手のダメージと自分のエネルギー消費量から冷静に状況を見定めて『自分一人で倒すのは無理』だと判断していた。

 ……平気なふりをしてはいるが実を言うとアークはここまでの攻防で結構なダメージとエネルギーの消費を強いられており、いくら制限時間のある地球上とかではない宇宙空間での戦闘とはいえ、そう長くは戦い続けられないだろうと思っていたのだ。

 

「ギィィィアアアアアアァァァァァァ!!!」

「「「「「AAAaAaaaaAAaAaA!!!」」」」」

「おお、怒ってる怒ってる。……これでヤツの目が地球に向く事は無いだろうし、後は可能な限り持久戦しか無いかな」

 

 自身の目と耳を奪った怨敵に対して激怒の絶叫を上げるマザーケルビムと、その指示を受けて自分達一族の脅威を排除しようと自身の事など意にも介さず己を鉄砲玉として突っ込んでくる隕石ケルビム達を見ながら、アークはマザー達をメビウス達が戦う地球へと行かせない為にも一人での戦いを続けるのだった。

 

 

 ──────◇◇◇──────

 

 

「……フゥ、やれやれ本当にタフだな。やっぱり“身体が大きい”というのはそれだけでも厄介だ」

 

 そうして、しばらくの間マザーケルビム達と激しい戦いを繰り広げていたアークだったが、流石に地球からアステロイドベルトまでの移動、そしてケルビム隕石群を撃墜する為に光線の連続使用を行ったのが主な原因で少しエネルギーを消費し過ぎたので、戦闘中に隙を見てケルビム達を撒いてアステロイドベルトにある小惑星の影に隠れて身体を休めていた。

 ……勿論マザーケルビム達は今もアークの事を探しており、こうして隠れている彼が見つかるのも時間の問題だろうが、とりあえず一息つきながらエネルギーを回復させるぐらいは出来ている状況だ。

 

(さて、一応マザーの爪をへし折ったり、尻尾にダメージを与えて卵を産み難くしたりとかしたけど仕留めるまでには行かない……あれだけ巨大に成長していて卵を大量に産めるって事は、それだけ凄まじい生命力を持ってるって事だからな。そこそこのダメージでは致命傷にならないし直ぐに自然治癒で回復されてしまう)

 

 アーク自身も少しずつダメージを与えるよりも相手を仕留められるだけの最大火力で一気に倒すのが最適だと分かっているのだが、大量の隕石ケルビム群に追われながらマザー自身の攻撃にまで対応している以上、そんな大出力攻撃を撃つだけのチャージはほぼ不可能だったのだ。

 彼も内心としては『攻撃パターンは単純だから躱すのは難しくないし、多分親父みたいに簡単にマザーを屠れるだけの超威力攻撃が撃てるになら楽に片が付く相手なんだろうがなぁ』と思っているが、無い物ねだりをしてもしょうがないので出来る範囲でやるしかないと考えていた。

 ……ちなみにこのマザーケルビムは宇宙警備隊においても()()5()()()()で戦う事を推奨されている怪獣であり、そんな相手に一人で互角に渡り合っているアークの実力は確かだと表記しておく。そもそもこれだけの巨体を一撃で倒せる超威力の攻撃を即座に使える者など、この宇宙全体で見ても殆どいないだろう。

 

「ッ⁉︎ ……アンギャァァアアアアアァァァァァァ!!!」

「「「「AAAAAAaAaaa!!!」」」」

「おっと、気付かれたか」

 

 そんな事を考えていたアークだったが、隠れている彼に気が付いたマザーケルビムが小惑星に向けて弾道エクスクルーシブスピッドを放って来たのを察して素早くその場から飛び去った。

 その後を追って隕石ケルビム群が飛来するが単純な飛行速度であればアークの方が上であり、距離を取りながら時折光線や光刃を放ってケルビム達を撃ち落としていく彼を捉える事は出来なかった。

 

(よしよし、向こうは完全にこっちを敵視しているから逃げ続けても追ってくるな。このまま引き気味に戦っていれば『マザーケルビムを地球に向かわせずに足止めする』という最低限の目標は達成出来るか。……問題は俺のエネルギーだな。逃げたり隠れたりしながら回復させてはいるが……ぶっちゃけこのままだとジリ貧なんだよなぁ)

 

 今も涼しい顔でマザーの攻撃を躱しつつ向かってくるケルビム達に組み付かれない様にアステロイドベルトを飛び回るアークだったが、内心ではそろそろカラータイマーが鳴りそうなぐらいに損耗した自分のエネルギーを考えて冷や汗を流していた。

 ……そんな彼の内心など気にする筈もなく、目の前の敵を絶殺する事しか考えていないマザーケルビムはどんどん追加の隕石ケルビム群を生み出しながら、自身も更なる苛烈な追撃を仕掛けて来た。

 

「ガァァァァァァアアアアアアァァァァァァッ!!!」

「「「「「「「AAAaAaaaaAAaAaAaaaa!!!」」」」」」」

「本当にボガール絶対許さねぇ!!!」

 

 ……こんな厄介な事態を引き起こした元凶(ボガール)に恨み節をぶつけながらも、アークはマザー率いるケルビム達相手の時間稼ぎを続行していくのだった。




あとがき・各種設定解説

アーク:ボガール絶許
・アークレイショットはマザーを一撃で倒せる威力で撃つ場合には溜めに非常に時間が掛かるし、最初撃った時に負わせたダメージの所為でチャージ動作が警戒されているのでおいそれと撃てない状況。
・ちなみにリバーススタイルの方は重力操作能力の所為で念力が効きづらい、巨体だから凍らせるのも無理、ゲートは自分以外の生物を入れる場合には対象の許可が必要なのでケルビム隕石群には使えないと相性が悪すぎるので使ってない。
・ちなみにボガールは地球で原作通りGUYSの作戦にはまってバリアに覆われた孤島に閉じ込められ、そこでメビウスとツルギにボコボコにされた上で倒された模様。

【宇宙凶険怪獣 マザーケルビム】:要するにダイマックス
・宇宙警備隊やら凶悪宇宙人やらが跳梁跋扈するM87スペースの個体だからか、ウルトラマンゼット本編に出た個体よりも生命力・頭脳・戦闘能力などの性能がかなり高い。
・それでも特殊な防御技などは無いので、“【ウルトラマンゼットデルタライズクロー】の【幻界魔剣ベリアロク】が繰り出すデスシウムスラッシュ”レベルの手早く発動出来る超威力攻撃が使えれば一撃で倒す事も可能。
・隕石ケルビム群はマザーが発する重力波によって指示を受けているが、無理矢理孵化させられた所為で“自分達の種の繁栄を妨げる者を何が何でも排除する”意思しか持たないので指示が無くとも鉄砲玉になる事に躊躇は無い。
・というか、それを込みで強者が跳梁跋扈するM87スペースを生き残って来たこのマザーケルビムが編み出した戦闘技術の一つで、他にも弾道エクスクルーシブスピッドを宇宙用に運用するなどもそれに当たる。


読了ありがとうございました。
いつもの趣味の説明入れたら思ったより長くなったので分割しました。……後、新ウルトラマンがネオフロンティア系っぽいらしき情報が出て来たのでワクワクしてる件。
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