宇宙に輝くウルトラの星   作:貴司崎

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智天使の最後

 ──────◇◇◇──────

 

 

 宇宙凶険怪獣 マザーケルビム 登場

 

 

 ──────◇◇◇──────

 

 

「ギギャァァァァァァッ!!!」

「「「「「AAAaaAAaaAaAaAaaa!!!」」」」」

「舐めんなコラァ!!! スペシウム光線! 八つ裂き光輪! ウルトラスパーク! アークブレード!」

 

 地球から遠く離れた火星と木星の間にあるアステロイドベルト、そこでは宇宙警備隊員アークと【宇宙凶険怪獣 マザーケルビム】並びにそれが生み出した多数のケルビム隕石群が周囲にあったいくつかの小惑星破壊しながら激しい戦いを繰り広げていた。

 ……具体的には四方から襲い掛かるケルビム隕石群に対してアークはスペシウム光線を薙ぎ払う様に照射して撃ち落とし、残ったものには八つ裂き光輪を投げ放ちながらそれを念力で操作して切り払い、そうしながら更にウルトラスパークを投擲してマザーケルビムを切り裂きつつ、アークブレスから光剣を展開して斬り込んでいった。

 

「アンギャァァァァァァァァッ!!!」

「チェイサァァァァァァッ!!!」

 

 斬り込んで来たアークに対してマザーケルビムは口から火球型エネルギー弾──弾道エクスクルーシブスピッドを拡散させる様に撃ち出して迎撃しつつ、自身も重力操作能力でその巨体からは考えられない程の速度で移動しながら距離を取り再びケルビム隕石群を産み出して射出していく。

 そんな的確な迎撃戦術に接近しようとしていたアークは、やむ終えず接近を中止して火球を躱しつつ距離を取って再び仕切り直すのだった……この様に先程からずっとお互いに相手を倒し切れない状況が続いていたのだが……。

 

「ギャァァォォォォオオオオ!!!」

「「「AaaAaaaaAAAA!!!」」」

「ええいっ! こいつらの体力と生命力は底なしか!」

 

 既にいくつものダメージを負い百を超えるケルビム隕石群を生み出しながらも未だに疲れた気配すら無く元気いっぱいで戦闘を続けられる生命力を持ったマザーケルビムに対し、何処までも追尾してくるケルビム隕石群の迎撃の為に出の早い光線技を連発していたアークは宇宙空間でのエネルギー回復量を消費量が上回ってしまい徐々にエネルギーの枯渇を起こし始めていた。

 ……そして何度かの攻防の後、ついにアークの胸にあるカラータイマーがエネルギーの枯渇を知らせる為に警告音を鳴らしながら点滅を始めてしまった。

 

「⁉︎ ……ギギギャァァァァァォォォォッ!!!」

「「「「「AAaAAAaAAaaAaAAAAAaAA!!!」」」」」

「チッ! こっちがエネルギー切れになると分かった途端に! 目敏いな!」

 

 そして、これまでの戦闘経験から『宇宙警備隊員のカラータイマーの点滅』がエネルギー切れを示すものだと知っていたマザーケルビムは、この機を逃すまいとケルビム隕石群を一気に多数生み出しながら、自身もこれまでと違いアークに対して接近しつつより苛烈な攻撃を仕掛けていった。

 ……だが、エネルギー切れによりこんな状況になってしまう事はアーク自身にも予測出来ていた上、向こうが勝負を急いで接近してくる事はむしろチャンスだと考えて、彼は攻撃を捌きつつ()()()()()()()()()()()()()()“反撃の準備”を整えていった。

 

「アンギャァァアアアア!!!」

「「「「「AAaAaaAaAaaaaa!!!」」」」」

 

 接近したマザーケルビムは今度は収束させた弾道エクスクルーシブスピッドをアークに放ちながら、ケルビム隕石群を四方に散らして彼が回避しうる地点を先読みして向かわせた……正面のエネルギー弾を躱した所にケルビム隕石群を襲わせる二段構えの戦術だ。

 ……それに対してアークはマザーの読み通りにエネルギー弾を上方向に飛ぶ事で回避してしまい、そこに待ち伏せていたケルビム隕石に襲い掛かられ……。

 

「……ここだ、行けっ! セブンガー! 目の前のケルビムを排除しろ!!!」

『◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️!!!』

「「AaaaaAaaaaAAa⁉︎」」

 

 そこでアークは今まで温存して来たセブンガー(自動修復済み)を召喚し、目の前に迫った二体のケルビム隕石に対して突っ込ませた……主にウルトラ族の活動が困難になる環境の惑星での戦闘を想定して作られたセブンガーは基本的に陸戦用だが、背中に付いたブースターを使う事で機動力に関してはやや低いもののある程度の空中飛行・宇宙空間移動も可能なのだ。

 ……そうして背中のブースターを全力で吹かせたセブンガーは向かって来たケルビム二体にカウンターでダブルラリアットをブチかまして吹き飛ばし、それによって正面の道が開いた間をアークは全速力で突っ切ってマザーケルビムに急速接近していった。

 

「グアッ⁉︎ ギャァァァァァッ!!!」

「やはり反応は早いか……だが、動きは遅い!」

 

 ……いきなり接近して来たアークにマザーケルビム一瞬だけ驚いたものの、直ぐさま両腕の爪と頭部の烈岩マチェットホーンを使って迎撃を試みたが、巨体故のサイズ差からアークの動きを捉えられずにそれらの攻撃は空を切った。

 そして、アークはマザーの懐に潜り込むと共に右腕のアークブレスのクリスタルサークルを回転させ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()を一気に解放した……最初にアークレイショットが通じなかった時点で彼はマザーを一撃で倒しうるエネルギーを使う為、カラータイマーが鳴るまで時間を早めるのと引き換えにブレスのエネルギー蓄積機能を使っていたのだ。

 

「ハァァァァッ!!!」

 

 ……そんな常にない気合いを入れた咆哮と共にアークは光剣──アークブレードを展開しつつ、それに解放したエネルギーを全力で注ぎ込みながら圧縮する事で通常時の数倍以上の長さと斬れ味を持つ長大な光剣を形成して大上段に構えながらマザーへと振りかぶり……。

 

「ブレードオーバーロードッ!!!」

「ギィヤアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!?」

 

 そのままアークは超大出力光剣を振り下ろしてマザーケルビムの肩口から脇部分までを袈裟懸けに斬り裂いて、その身体に斜めの深い裂傷を負わせたのだった。

 ……だが、マザーはその傷からの激痛によって叫び声こそ上げたものの未だにその命は途絶えてはおらず、苦しみながらも反撃に身体を回転させながらの超音速クラッシャーテイルを全力を技を出した所為で動きが止まっていたアークに叩き込んだのだ。

 

「アァ、アアアアアアァァァァァァッ!!!」

「なっ⁉︎ まだ……ゴハァッ!!!?」

 

 それに対して咄嗟にアークは腕を交差させて防御したものの、その圧倒的な質量による一撃は防御ごとぶち抜いて彼に大ダメージを与えながら吹き飛ばしていったのだった……。

 

 

 ──────◇◇◇──────

 

 

「……うぐぐ……結構キツイのを貰ってしまったな。エネルギーも殆ど無いし……というか、アレで倒せないとかどんだけタフなんだよ」

 

 吹き飛ばされたアークは身体を痛そうに押さえながらマザーケルビムからかなり離れた所でようやく止まりながら愚痴を吐いた……ちなみに彼は攻撃を受けた際に、敢えてその勢いには逆らわずにむしろ自分から後ろに全力飛行する事でダメージを軽減しつつマザーから距離を取っていたのだ。

 ……それでも受けたダメージはかなりの物で、更にはブレードオーバーロードを使って所為でカラータイマーは激しく明滅するぐらいエネルギーも残り僅かとなっていたが。

 

「……今はセブンガーが足止めしてくれているから一息つけるが、余り時間は稼げないだろうな」

『◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️!!!』

「ギャァァァァァアアアアッ!!!」

 

 そうしてアークが先程まで戦っていた場所を見ると、そこには背中のブースターを吹かせながらマザーケルビムに鉄拳を見舞うセブンガーと、やたらめったらに爪や尾を振るってセブンガーを払い飛ばそうとしている裂傷を負ったマザーの姿があった。

 ……尚、マザーは今までにない痛みの所為で我を失っている為か攻撃が雑になっており、そのお陰で宇宙空間での機動力に劣るセブンガーでも撃ち落とされずに足止めが出来ているといった状況である。

 

「「「AaAaAaAaaAAAaaa!!!」」」

『◼️◼️◼️◼️◼️◼️⁉︎』

 

 だが、それも残っていたケルビム隕石達がセブンガーに纏わり付いて動きを止めるまでの話だった……宇宙空間での運動性に難のあるセブンガーではその超パワーを持ってしても組み付いたケルビム達を引き剥がすのに手間取ってしまい、その隙に激昂したマザーケルビムが最大威力の弾道エクスクルーシブスピッドを放った。

 

「ガァァァァァアアアアアァァァァァァ!!!」

「戻れ! セブンガー!!!」

 

 そのエネルギー弾が当たる直前にアークがセブンガーを怪獣ボールへと回収したので破壊される事は免れたが、これにより邪魔者がいなくなったマザーケルビムは怒りのままにそのターゲットをアークへと移して全速力で彼の元へと突撃して来たのだ。

 

「ギャアアアアアアァァオオオオオオオオオォォォォッ」

「やっべ、どうするか……うん、とりあえず逃げよう。アレは完全に俺の事を目の敵にしているみたいだし、逃げ回っていれば時間は稼げるだろ」

 

 それを見たアークが一瞬悩んだ後に即座に踵を返してマザーケルビムから逃亡し始めたのだ……尚、これは単に自分が生き残る為だけでは無く、完全にこちらをターゲットにしたマザーを引きつけながら逃げ回る事で地球へと狙いが向かない様にする為のものでもある。

 ……そんな最初の目的通り可能な限りマザーケルビムの足止めに徹するアークであったが、相手も各銀河系間を移動できるだけの重力操作能力を持つのでその追撃は苛烈を極めた。

 

「ガアアアアアァァァァァァッ!!!」

「いくらカラータイマーが鳴っているとはいえ、宇宙空間での飛行ならそこまで支障は出な……うわっとぉ!!!」

 

 全速力で宇宙空間を飛行するアークであったが、それでも怒り狂いながら同じく全力飛行するマザーケルビムを引き離す事は叶わず、背後から連続で撃たれるエネルギー火球を細かく動きながら回避するので精一杯であった。

 ……幸いというか先程のセブンガーを狙ったエネルギー弾によってケルビム隕石達は全滅しており、加えてこれまで負ったダメージによってマザーは新たにケルビムを産めないレベルで損耗していたので攻撃手段は弾道エクスクルーシブスピッドのみとなっており、そのお陰でどうにかアークは逃げ続ける事が出来ていた。

 

「ギィィィアアアアアアァァァァァァッ!!!」

「そうは言ってもそろそろキツくなって来たんだが、いつまでこの鬼ごっこを続ければ良いのか……んん? …………はいはい了解」

 

 だが、その逃走劇の途中でアークが()()()()()()()()素振りを見せた後、そんな独り言をつぶやくと同時に進路を変更してアステロイドベルトの先にある木星が見える方向へと飛行していった。

 ……そうして残り少ないエネルギーを振り絞りながらマザーケルビムの攻撃を躱しつつ全力飛行を続けたアークは、そのままアステロイドベルトを抜けて木星が見えるぐらいの地点に着いた。

 

「アンギャァァアアアアァァァァァァッ!!!」

「よしよし、付いてきてるな。……この位置なら周囲にある小惑星やら木星にも“余計な被害”は出ないだろう……なあ、()()?」

「……御苦労だったなアーク。後は任せておけ」

 

 そう言ったアークの視線の先には赤と銀の体と胸についたウルトラブレスター(いくつかのブツブツ)を持った一人の『ウルトラマン』──彼の父親であり宇宙警備隊隊長であるゾフィーが腕を水平に曲げなから構えていた。

 ……そう、“とある事情で”地球圏の近くにいたゾフィーはアークからの『アステロイドベルトにマザーケルビム出現、援軍求む』というウルトラサインを見て急いでこの場に急行して、そこでダメージを負ったマザーに追いかけられている彼を見て大まかに状況を察し『アステロイドベルトを抜けて指定した位置へとマザーをおびき寄せろ』という念話を送ったのだ。

 そして自身はアークの攻撃を受けても未だに活動を続けるマザーを倒せる一撃を放つ為に、周辺の惑星に影響が出難いこの場所で待ち構えていたという訳だ。

 

「ギィアアアアアアァァァァァァッ!!!」

「それじゃあ隊長! 後はよろしく!」

「ああ……M87光線!!!」

 

 そして怒りによってアークにしか目に入っていなかったマザーケルビムはゾフィーに気がつくのが遅れてしまい、彼に気が付いた時には既に最大威力に近いレベルにエネルギーをチャージされた『M87光線』が放たれていた。

 

「ッ⁉︎ ギャァァァァァァ…………!!!?」

 

 慌てて回避しようとしたマザーだったが時既に遅く、放たれた超大出力のM87光線が直撃した……個人で使える技としては宇宙警備隊でも最強の必殺技の前にはマザーケルビムの異常なまでに高かった生命力も無意味であり、その肉体は光線に呑み込まれて跡形もなく消滅したのだった。

 

 

 ──────◇◇◇──────

 

 

「……相変わらず凄まじい威力だな親……じゃなくて隊長。……しかし、ちょっとオーバーキル気味なのでは?」

「お前がアレだけダメージを与えてまだ倒しきれない様な相手だと思ったからな、念には念を入れて可能な限りの大出力で撃ったのだ。……まあ、今の半分くらいの威力でも倒せたかもしれんが」

 

 そんな訳で本当に手強かったマザーケルビムをどうにか倒した俺と親父は、ようやく一息吐いた感じで木星をバックに二人で並んで話し合っていた……おっと、肝心な事を忘れてた。

 

「あ、そう言えば肝心の地球でボガールと戦っているメビウスとヒカリさんは……」

「そちらなら地球に向かっていたウルトラの母から既にボガールは二人に倒されたという報告が入ったぞ。……その際にヒカリ博士が重傷を負った様だがウルトラの母の治療で命に別状は無く、復讐の鎧も無事に解除されたそうだ」

「おおそれは良かった……って、随分と対応が早いですね。俺はマザーケルビムとの戦いで忙しくてその辺りの連絡はしてなかった筈ですが」

「……地球にウルトラの母を向かわせる様に頼んで来たのはウルトラマンキング殿だからな。ヒカリ博士が使っていた『ナイトブレス』は彼が授けた物の様で、その後も引き続き様子を見ていたらしい」

 

 そのキングじいちゃんからの情報で親父ははウルトラの母の護衛として地球圏にやって来ており、そこで俺のウルトラサインを見て駆け付けてくれたという事らしい。

 ……とにかく、メビウスもヒカリさんも無事でボガールも倒されたって事は、俺の地球での任務も無事に完了って事で良いんだよな。なんかあんまり活躍してなかった気がするが……。

 

「それでは隊長、俺の『ヒカリ博士を連れ戻す』任務はこれで終わりですか」

「そうなるな、よく頑張ってくれた。……この後はダメージが癒え次第、元の宇宙保安庁の任務に戻って貰う事になる。連続勤務でキツイかもしれないが、今は宇宙各地で問題が起きているから人手が足りんのだ」

 

 親父曰く、例の『エンペラ軍団』とやらが宇宙各地で活動を活発化させており、更に今まで燻っていた紛争地域や眠りについていた強力な怪獣の復活なども各地で報告されているのだとか。

 ……あからさまに何か裏で糸を引いている黒幕がいる感じだよなぁ。しかも宇宙警備隊としてはどれも見過ごせない問題だから黒幕の思惑通りだとしても対処せざるを得ないし。

 

「そう言えば、地球で任務に付いていた時もボガール探知機が機能しなかったり、ヤツを助ける様に都合のいい怪獣が現れたりしたな。……後で報告書に纏めときます」

「そうか頼む……やはりボガールを地球に差し向けたのも“何者かの意思”が関わっているか。……だが、これだけバラバラの問題が各地で起きていると黒幕の目的が読めないな」

 

 多分、色々な騒ぎを起こして目的を読ませない事も黒幕の狙いなんだろうが……まあ、ここで考えても何も分からないし地道に調べていくしか無いんだが。

 

「……さて、俺はもう銀河系支部に戻るがお前はどうする? メビウスに何か報告でもしていくか?」

「任務も終わったし俺も支部に戻って怪我を治しますよ。メビウスにはウルトラサインで報告しておけば良いでしょう。……アイツは地球で立派に『ウルトラマン』をやってましたしね。地球はメビウスとGUYSの皆さんに任せておけばいいでしょう」

「そうか……では戻るぞ」

 

 ……そうして俺はメビウスに向けて『マザーケルビム撃破、任務も終わったので帰還する』とだけウルトラサインを出した後、親父の後に続いて地球圏を後にしたのだった。




あとがき・各種設定解説

アーク:任務完了
・本人的には戦闘でそこそこ活躍出来たのは良いが、肝心のヒカリ説得に関しては余り力になれなかったので初任務としてはあんまり上手く行かなかったと思っている。

マザーケルビム:実は長い時間を生きてきた強個体
・……ではあったのだが、流石に全力のM87光線には耐えられなかった。

ゾフィー:息子が無事任務を終えて内心ではほっとしている
・ちなみにヒカリの命を救う為に『固形化した命』の持ち出し許可を取ったり、宇宙各地で起こる事件報告を隊長として纏めたりと現在進行形でめっちゃ忙しい。
・そういったストレスの発散とか息子の窮地とかもあってM87光線は全力を出した。

キング:ヒカリの事はずっと気に掛けていた
・なのでヒカリが自分の命をかけて戦っている事も把握しており、ボガールとの戦いで命を落とす可能性が高いと予測していた。
・なので、ゾフィーにその事を伝えてウルトラの母がボガールとの戦いが終わった辺りで地球に着く様に取り計らっていた。


読了ありがとうございました。
これでウルトラマンメビウス編の前半は終わりになります。後半のプロットとかを考えるのでこの作品の次回更新までしばらく空くと思います。
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