宇宙に輝くウルトラの星   作:貴司崎

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宇宙警備隊員アークの日記

 □月○日

 

 そんなこんなで地球での初の単独任務も終わった俺は怪我とエネルギー消費を癒すために銀河系支部で休息を取りつつ、地球では任務に集中していたので書けなかった日記を再び書く事にした。

 まあ、あの【マザーケルビム】との戦闘では相手が異常にしぶとくてエネルギー切れ寸前まで追い込まれるぐらいに大変ではあったが、攻撃を食らった回数は少なかったしちゃんと防御したから俺が受けたダメージ自体はそこまででも無かったからな。

 ……態々、本国に戻るまでもなくしばらく休めば回復するだろう。地球から帰って来たウルトラの母の治療を受けたから怪我自体は既に完治しているし。

 

 その時にウルトラの母から地球で起きたメビウスとヒカリさんとCREW GUYSの人達と、マザーケルビムを呼び出すとかクソ面倒臭い事をしてくれやがった【ボガール】との戦いの顛末を教えてくれた。

 何でも俺が宇宙にマザーケルビムと戦いに行った後はメビウスが言っていた作戦通りにボガールを無人島に誘き寄せてバリアーで周囲を覆い、そこでメビウスとヒカリさんが協力して見事にボガールを倒したのだそうだ。

 ……だが、その後に死に際にボガールが苦し紛れにメビウスを道連れにしようとして、それを咄嗟にヒカリさんが庇った所為で彼は爆発に巻き込まれて致命傷を負って死亡してしまったのだ! やっぱボガールってクソだな!!! 

 

 ……まあ、そこは駆け付けたウルトラの母が固形化した命を持って来ていたので、特に問題なく蘇生すると共にボガールを倒した事で本懐を達して怨念が殆ど無くなっていた『復讐の鎧』を浄化したので一見落着になったのだけどね!

 銀十字軍の隊長であるウルトラの母は独自判断で『固形化した命』の持ち運びと使用が許可されている(当然報告とかは必要だが)し、彼女の技術であれば致命傷だって一瞬で治すぐらいは出来るのである。

 

 そんな感じでボガールに端を発した地球での騒動は一先ず無事に解決したのだが……肝心のヒカリさんはまだ戻って来ていません。というか引き続き地球で戦う事になったのウルトラの母は言っていた。

 詳しく事情を聞くと『復讐の鎧』が外れて素面に戻ったヒカリさんはこれまでの行いを思い返して死ぬほど後悔したらしく『迷惑を掛けたメビウスと地球人──セリザワに償いをする為に地球を守らせてほしい』と懇願して、ウルトラの母もそれに答えて彼を地球へと戻したらしい。

 ……ウルトラの母曰く『今の彼は暴走している時に行った事で強い自責の念を感じており、このまま光の国に連れ帰るよりも地球でしばらく戦わせて彼の気を晴らした方が良いでしょう。あのアーブの鎧は高次元生命体である【アーブの民】が彼に与えた一種の加護の様なモノであり、怨念こそ浄化したので再度復讐の鎧と化す事は無いでしょうが、()()()()()()()()()()()()ので彼の精神のケアをしておいた方が良いと判断しました』という事らしい。

 

 宇宙警備隊でも無いヒカリさんを地球に派遣とか色々と大丈夫なのかと思ったが、そこは親父が『彼の気持ちも分かるし、後日機を見てヒカリを宇宙警備隊に入れてそういう任務だったという事にして書類を誤魔化せば何とかなるだろう。……それにお前の報告からボガールの一件も何者かの意図が見え隠れしていたし、封印されている【ヤプール】の事もある以上は地球が再び狙われる可能性もあるからな。その為にベテランの隊員を地球に派遣するのは現在の状況的に難しいから、ある程度自由に動かせる“実力のある新人隊員”が入るのは悪くない』と言っていたので、上手くやってくれるのだろう。

 実力のある新人隊員(親父と同年代)ねぇ……まあ、ヒカリさんは鎧無しでもそこらの宇宙警備隊員より強いだろうけどさ。加えて特殊な事例で宇宙警備隊に入れたからキチンと正式に組織に組み込まれるまでの間──現在での宇宙規模事件が終わるまでぐらいには親父の直轄で色々動かせるって事らしい。

 ……どうも本当に警備隊の方で人員が足りていないみたいだな。俺もさっさと怪我を治して任務に復帰する必要がありそうだな……親父が過労死する前に。

 

 

 ──────◇◇◇──────

 

 

 □月◉日

 

 よっしゃ! 怪我もエネルギーも全回復! 流石はウルトラの母の治療だぜ! ……と言うわけで、出来ればもうちょっと惰眠を貪りたかった所だけど今日から宇宙警備隊の任務に復帰です。支部のみんなが常に忙しそうだからちょっと罪悪感が湧いて来たし……。

 まあ、丁度21先輩が戻って来た所だったからね。怪我が回復した事を先輩と親父に報告したら『それなら21が現在当たっている案件で、ちょっと人手と戦力が必要になりそうだから手伝ってくれないか?』と言われたので、怪我が治ったばかりだからリハビリと研修の続きも兼ねて先輩について行く事になった感じ。

 

 それで肝心の案件というのは『宇宙人連合』を名乗るいくつかの星人によって結成された武装集団が何やら不穏な動きをしているので、その調査及び本当にやばい事をしているのなら武力を持って制圧すると言う任務の様だ。

 ……それでその宇宙人連合の構成員は【テンペラー星人】【ガッツ星人】【ザラブ星人】【ナックル星人】の中でも宇宙中で様々悪事をやらかして、宇宙警備隊を始めとするいくつかの治安維持組織にマークされている過激思考の武闘派連中らしい。

 

 21先輩の調査によると、この宇宙人連合の構成員達はそれぞれの本星の侵略軍に所属していたが折り合いが悪かったり扱いに不満があったりして軍を抜けてフリーの傭兵的な犯罪者として活動していた連中らしい。

 まあ、この宇宙では力を持った種族の星や軍隊が他の惑星に侵略行動を主軸に活動するのは珍しくなく、そういう所から抜けて個人で犯罪者になるケースもそれなりに多いのだ……これが落伍者とかであればただのチンピラになるんだが、たまに実力があるのに軍に合わなくて抜ける場合もあり、そういう連中は軍隊時の経験と高い戦闘能力で厄介な犯罪者になる場合が多いのである。

 

 そして連中は落伍者では無く実力者の方であり、様々な宇宙を渡り歩きながら“それぞれ個人で”色々な犯罪行為を行ってそれなりに名を知られていたのだが……()()()()()そいつらが手を組んで『宇宙人連合』を名乗り犯罪行為を行い始めたのだという。

 ……これだけなら単に腕の立つ者同士がチームを組んだだけとも取れるんだが、その四人にはそこまで繋がりが無かったのにいきなり手を組んだ上、これまでは誰かに雇われる傭兵的な連中だったにも関わらず手を組んだ途端に何か明確な目的を持った様に非常に組織的な行動を取り始めた所が不自然な部分だと先輩は言っていた。

 更に連中はこの銀河系支部周辺で何かを探っている様な行動を取り続けており、元軍人故に四人とも実力はかなり高く、そこらの宇宙警備隊員が相手をするのは危険なので高い戦闘能力と調査能力を持った先輩に声が掛かった様なのだ。

 

 ……とは言え、連中は不審な行動を取ってはいるが『宇宙人連合』を名乗り始めてから際立った凶悪犯罪をした訳でもなく、現在めっちゃ多忙な宇宙警備隊が本腰を入れるのは難しいようなので新たに出来た犯罪者グループの調査というのが今回の主な任務になる様だ。

 勿論、何か重大犯罪を犯すなら即座に制圧する必要もあり、かなりの手練れではある連中の相手をする為に俺の協力も出来れば欲しいって事なので、怪我が治った俺も明日から21先輩に付いて任務に当たる事になったとさ。

 地球での任務で(あまり活躍は出来なかったけど)成長した俺を21先輩に見せる為にも頑張るぞい!

 

 

 ──────◇◇◇──────

 

 

 □月□日

 

 今日から『宇宙人連合』の調査の任務を始めた訳だが、まずやる事はボガールの時と同じ様に連中の足取りを追う事だった……この宇宙では基本的に何らかのワープ系能力やらそう言った機能付き宇宙船やらが基本なので、以前も書いたかもしれないが特定対象の位置情報補足がそれなりに難しいのだ。

 ……まあ、容易く次元移動ができるレベルのボガールと比べれば、連中が使ってるのは普通の宇宙船の様だからな。宇宙警備隊に蓄積された調査方法のノウハウで宇宙船のワープ機能のエネルギー波を追うなり、各支部や隊員の目撃情報を集めるなりすれば見つける事は出来るからなんとかなる範囲ではあるが。

 

 そうして俺は21先輩と一緒に連中の足取りを追っているのだが、一番最近の目撃情報では銀河系付近で何やら不審な動きをしているらしいのだ……どうも自分達の勢力を増やす為に同じ様にフリーで活動している犯罪者に声を掛けている様だな。

 そして連中が声を掛けているのは【ヒッポリト星人】を始めとして【アンチラ星人】【ファイヤー星人】【スチール星人】【レボール星人】の、同じ様にフリーで活動している犯罪者に声を掛けている様だ。

 ……ちなみにこの情報は連中の誘いを断って宇宙動物園に居る動物を盗もうとして宇宙警備隊に捕まった【スチール星人】からの情報である。どうにも声を掛けてはいるみたいだが、流石に初見の相手にあっさりと付いていく者は余りおらず仲間は集まっていないらしい。

 

 そして、その【スチール星人】から得た情報には、連中が『銀河連邦すらも支配できる絶対的な力を手に入れる為に協力しないか?』と言って勧誘を行なっていたというものもあった。

 ……そのスチール星人曰く『いや、初対面の相手にそんな事を言われても付いていく訳無いんですけど。……後なんか不気味な雰囲気だったし……』との事だが。まあそれが当然ではあるがな(ちなみにそのスチール星人は初犯&未遂だったので罰金と数年の懲役で釈放されるとの事)

 

 さて、問題は『銀河連邦すら支配できる絶対的な力』なんだが……この宇宙では与太話やら伝説やらを含めると、そう言った話には事欠かないぐらいに沢山あるからな。

 特に今現在宇宙中で活動している自称『エンペラ軍団』達も本当偽物問わずそう言った話がある場所に赴いて犯罪行為をしてるのもあって、その手の伝説が残ってる場所には宇宙警備隊などが見張りを置いているんだが。

 ……21先輩も連中の行動が妙にチグハグな感じがすると言っていたしもう少し足取りを追って、補足したのならいっそ強襲するのもありかと言っていたな。危険思想持ちみたいだしさっさと対応した方が良いだろう。

 

 

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 □月■日

 

 今日も追跡調査をしたんだが中々捕まらない『宇宙人連合』……連中が使ってる宇宙船はかなり高性能なヤツみたいだから銀河系を中心に色々な所に足を伸ばしている様で、更に行動がスカウトぐらいで余り問題を起こしていないから目撃情報も少ないんだよな。

 ……言ってる事は物騒でも今の所やってる実際にやってる事が重大犯罪って訳でも無いんだよな。今まで連中がやって来た事も一応犯罪な訳だけどあくまで傭兵的な感じだから宇宙警備隊としてそこまで重視して追って無かったから個人個人の情報も少ないし。

 

 とりあえず足取りを終えた範囲で連中が不審な行動を取った場所を上げてみると、連中はオリオン星付近にあった遺跡に不法侵入して何かを調べていたらしい……その遺跡は【オリオン星人】達が1億三千万年ぐらい前に様々な星を植民地にしていた時代の前線基地だったのだとか。

 現在のオリオン星はかつての隆盛が見る影もなく落ちぶれて……もとい規模を縮小しているが、昔は怪獣兵器とかを使って侵略活動を行っていた星の一つだったのだ。

 なので俺と先輩は昔作ったトンデモ兵器(この宇宙ではそこそこ見つかる)を『絶対的な力』だとして行動しているのではないかと考えてオリオン星の遺跡を調査しようと思ったのだが、落ちぶれて今は殆ど活動していないとはいえそういう惑星なので宇宙警備隊お断りだから無理でした。

 ……連中は本当に遺跡を調べるだけで特に何もせず立ち去ったので、無理矢理な強行捜査とかは流石に出来なかったのだ。宇宙警備隊だからって侵略活動メインの惑星に何をやっても許される訳では無いのである。無関係の住民とかも居るし、情報を貰えただけ良しとしよう。

 

 

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 □月△日

 

 奴ら『宇宙人連合』の足取りを追うと、今度は昔爆発した『おとめ座付近』で目撃情報があった様だ……とりあえず、俺と先輩も行ってみたのだが既に連中はここを離れた後の様だったが。

 その周辺を調べてみても特に異常は見られないし一体連中は何をしようとしているのか。正直その行動に一貫性が無くてよく分からないな。いきなりチームを組んだにも関わらず特に際立った犯罪行為をする訳でも無い……。

 

 21先輩も『それなりに名を知られていた犯罪者達がいきなりチームを組んだという情報が入ったから、何かをやらかす気だと思ったんだが……』と困惑気味である。

 ……【スチール星人】の証言にもあった『不気味な雰囲気』と連中の妙な行動、そして今まで声を掛けた宇宙人と立ち寄った場所……何か繋がりがあるのか? しかし、これらの組み合わせ、昔アーカイブで何か見た様な……。

 

 

 ──────◆◆◆──────

 

 

『……ようやくだ、ようやくあの忌々しい()()()()()()が作り上げた封印を破る準備が出来た』

『この星の近くにいた“我等”に共鳴する邪心を持った相応の実力者の無意識に干渉して、その精神を操って我等に課せられた封印を破らせるのだ』

『……だが、この封印のせいで精神操作の精度が大きく下がったのは問題だったな。中途半端な精神干渉の影響でお陰で我等に由来のある場所や生物へと無意識の内に引き寄せられるとは』

『それでも既に精神操作は完全だ。奴ら──宇宙人連合はそれが自分自身の意思だと思って我等の封印を解く為に行動するだろう』

『……それと、どうも宇宙人連合を探っている蝿供が居る様だが……』

『ならば、精神操作が完全である事のテストを兼ねて宇宙人連合にその蝿供を罠にかけさせるか。“アソコ”を使えば封印が解かれるまでの足止めぐらいは出来よう』




あとがき・各種設定解説

アーク:何かに気づき掛けているが……
・怪我自体は大した事無く一晩休んでエネルギーを回復させれば問題なく活動可能だったので、現在ブラック労働中の宇宙警備隊では長期休暇とか無理だった。

メビウス&ヒカリ&GUYS:大体原作通り
・ヒカリと融合したセリザワに関しては、融合深度が深く分離が不可能だった事と彼自身が地球を守る為にヒカリと一心同体になる事を望んだので融合したままとなって居る。
・真っ先に地球に行ったのはセリザワの精神の影響が大きく、現在は二人の精神が違和感なく混じり合った感じ。

宇宙人連合:出展『ウルトラマンメビウス&ウルトラ6兄弟』
・妙な行動をとっているのは何か目的がある訳ではなく、“そんな行動を取ってしまう状態である”のが理由。

謎の声:一体何プールなんだ……
・割とよくこの『一体何○○なんだ』ネタをやってるからそろそろ新鮮味が薄れた気がする。


読了ありがとうございました。
新ウルトラマン『ウルトラマントリガー』放送決定! ネオフロンティア系列だからこの作品にも影響を与えそうだけど楽しみです。
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