宇宙に輝くウルトラの星   作:貴司崎

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暗黒宇宙の罠

 ──────◇◇◇──────

 

 

 極悪宇宙人 テンペラー星人

 凶悪宇宙人 ザラブ星人

 分身宇宙人 ガッツ星人

 暗殺宇宙人 ナックル星人 登場

 

 

 ──────◇◇◇──────

 

 

「……宇宙人連合が使っている宇宙船がワープアウトしたのはこの辺りですか」

「エネルギー波長はここで途切れているから間違いないはずだが……一体何故こんな辺境に……」

 

 俺と21先輩は新しく出来た犯罪組織『宇宙人連合』が怪しげな動きをしていると言う情報を得て連中を追っていたのだが、その途中で連中が有する宇宙船が宇宙でも辺境と言える方に向かったという情報を得て追っていた。

 ……しかし、この辺りには文明がある惑星も無いぐらいの辺境なんだが……まあ、この手の辺境に封印された古代兵器とか強大な怪獣とかが眠っているのは、この宇宙では良くある話だったりするんだが。

 

「……ところで連中は一体何処にいるんでしょうか。エネルギー反応からしてワープアウトしてからそう時間は経っていませんし、再びのワープ反応もないからこの宙域にいる筈ですが」

「辺りを探ってみても見つからないな。……ステルスなどで姿を隠しているか、或いは……」

 

 うーむ、ボガールの時といいこの手の探索は本当に上手くいかないなぁ……もう何度思ったか分からないけど、宇宙って本当に広過ぎるんだよう。

 ……宇宙警備隊の探知技術が低い訳じゃ無いんだが、宇宙船のステルス航行を始めとして探知を誤魔化す技術も色々と存在してるしね。

 

「……む、あちらの恒星から一番離れた惑星から妙なエネルギー反応がしているな」

「連中か、或いは“連中の活動の目”の方か……」

「他に手掛かりも無い、まずはそちらから調べてみるぞ」

 

 ……そうして俺は21先輩に続いて宇宙空間を飛行していき、“怪しげな反応”があったという惑星付近まで向かって行ったのだった。

 

 

 ──────◇◇◇──────

 

 

「……さて、ここが反応のあった惑星だが……」

「惑星全面が岩肌で大気もほぼ無い……まあ良くある岩塊型の無人惑星ですね。……この異様な()()()()()()()()()さえ無ければですが」

 

 そういう訳でその惑星に降り立った俺と21先輩だったのだが、その時点で惑星全体に『異常な濃度のマイナスエネルギー』が充満している事に気が付き、即座に全力での警戒態勢に移行していた……今までは殆ど空振りだったけど、ここでようやく“当たり”を引いたみたいだな。

 

「明らかに異常な事態だな。何故こんな何も無い惑星に異常なマイナスエネルギーが……アーク、何か分かるか? 浄化系の能力が使えるお前の方がマイナスエネルギーに対する感覚は鋭い筈だ」

「分かりました、探ってみます。……むむむ、どうもこのマイナスエネルギーは惑星全体から発生しているとかでは無く、()()()()()()()()()()()()()モノが全体に広まっている感じですかね。エネルギーの流れや濃度の違いを見るに」

 

 21先輩の指示で俺は惑星に流れるマイナスエネルギーの流れや濃度を読み取って、そう結論付けた……この『マイナスエネルギーの正確な感知』は浄化系の技術を習得する際についでに覚えた物で、実は結構な得意分野だったりするのだ。

 ……まあ、普通に感じ取るのと違って下手をするとマイナスエネルギーに()()()()可能性もある危険な技術なんだが、俺には適正があった様で担当の教官にも『上手く“割り切っている”お前ならマイナスエネルギーに呑まれる心配は無いだろう』とも言われたし。

 

「そうか良くやってくれた。それでマイナスエネルギーが流れ出ている元の位置は分かるか?」

「あっちですね」

 

 そうして俺は21先輩と一緒に辺りを警戒しつつマイナスエネルギーが流れ出て来ている座標まで向かっていった……正直言って、現在この惑星に流れるマイナスエネルギーは【ボガール】のそれと比べても桁外れに異様な気配がするからな。

 ……こう、何というかボガールの気配は“食欲”に偏っているから分かりやすかったんだが、ここのマイナスエネルギーの気配は『様々な負の感情が混ざり合っている』みたいな感じがするんだよな。後こう全体的にねっちょりした質感な気がする。

 

「……さて、着きました。ここからマイナスエネルギーが流れ出ているみたいですね……って、これは……」

()()()()()()()()()()な。マイナスエネルギーはこの穴から溢れ出ている様だ、俺でも分かる」

 

 そしてマイナスエネルギーの大元と思われる場所に着いた俺と21先輩が見た物は『空間に空いた巨大な黒い穴』だった……先輩の言う通りこの惑星を覆うマイナスエネルギーは“この穴の向こう”から流れ出ているみたいだな。

 

「……しかし、空間に穴か。珍しい現象だが無いわけでも無いが……自然に出来たモノにしては安定し過ぎているな」

「空間の向こう側からマイナスエネルギーが漏れ出ているのも怪しいですしね。……“穴”っていう事は何処かに繋がっているんでしょうが、この先は一体どうなっているのやら」

 

 とりあえずこのあからさま過ぎるぐらいに人工的な『空間の穴』、それを俺と21先輩は下手に触れない様に気を付けつつ調べていった……単に空間の歪みを直すだけなら光線のエネルギーで歪みを構成しているエネルギーを吹き飛ばせばいい。そうすれば後は空間の修正力が勝手に歪みを元に戻してくれる、士官学校でも普通に習う技術だ。

 ……だが、今回はマイナスエネルギーを放出している事などから明らかに自然発生的なモノでは無いからな。万が一にもいきなり空間が暴走して内部に取り込まれるとか、いきなり空間の崩壊が始まるとかにならない様に慎重に調べる事になった。罠の可能性もあるし。

 

「……ふむ、この穴は自然に空いたモノでは無く、完全に『ゲート』の類で間違い無さそうだな。こちら側の空間とは別の世界に繋がっているタイプの」

「俺の見立てでもそうだと思います。……しかし、だとするとこのゲートはマイナスエネルギーが溢れる空間に繋がっていると言う事に……」

 

 そんな感じで俺と21先輩は謎のゲートを念入りに調べていたのだ……が、そこでいきなりゲートの中から()()()()()()()()()が俺と先輩に向けて撃ち込まれたのだ! 

 

「セイヤッ! やっぱり罠だったか!!!」

「テヤッ! あからさまでしたしね!」

 

 ……まあ、奇襲や不意打ちの類いは俺も先輩も警戒していたので、二人とも大した威力でも無かったエネルギー弾を無造作に打ち払って事無きを得たのだが。

 ……そうして俺と先輩が戦闘体勢(ファイティングポーズ)を取りながら攻撃が来たゲートを警戒していると、その中から()()()()()が現れたのだ。

 

「……ふん、まあこの程度の小手先の攻撃程度は凌ぐか。鬱陶しい宇宙警備隊の蝿どもにしてはやる様だ」

「貴様の攻撃の威力が低かっただけでは無いか? テンペラーの」

「これ以上、我らの『大願』の邪魔をさせる訳にもいかん。ここで始末をつけるべきだろう」

「散々付け回されて鬱陶しかったからな」

 

 現れたのは【極悪宇宙人 テンペラー星人】【凶悪宇宙人 ザラブ星人】【分身宇宙人 ガッツ星人】【暗殺宇宙人 ナックル星人】の四人……情報にあった『宇宙人連合』のメンバーであった。

 ……よっし、攻撃して来たからこいつら全員揃って現行犯だよな! 故にここで連中をぶちのめせば追跡とか面倒な事をしなくて済むぞ(笑)

 

「貴様ら……一体何が目的だ!」

「我らの目的はこの宇宙を支配出来る『絶対的な力』を我が物とする事……最も、ここで死ぬ貴様らには関係の無い話だがな!!!」

「なっ⁉︎」

 

 そうテンペラー星人が言った直後、奴らの背後にあったゲートが一気に拡大しながら()()()()()()俺と先輩を覆い尽くしてそのまま呑み込んでしまったのだ! ……正直、俺と先輩もこの場で奴らと戦闘になると思っており、まさかゲートの方が動いて奴らごと呑み込むのは予想外だった所為で反応が遅れてしまった。ウカツ!!! 

 ……そうして俺と先輩はゲートに飲み込まれてこの惑星から姿を消してしまったのだった。

 

 

 ──────◇◇◇──────

 

 

「……ここは一体……」

 

 ゲートに飲み込まれた俺が見たのは荒涼とした岩肌の大地と星一つ存在しない漆黒の空だった……まあ分かってたけど明らかに別の惑星というか別の次元っぽいな。

 ……というか、俺が今立っているここも惑星では無くそれよりも小さい小惑星ぐらいの大きさっぽいし、何より当たりを覆う異様なマイナスエネルギーと全く感じられない光エネルギーを考えると……。

 

「ここは……まさか『暗黒宇宙』か⁉︎」

「知っているんですか先輩?」

 

 そう俺が考えていたら隣にいた21先輩が突然そんな声を上げた……ゲートに飛ばされる時に先輩と離れる事が無かったのはラッキーだったな。しかし『暗黒宇宙』か……確かアーカイブで見た記憶がある様な……。

 

「暗黒宇宙……或いは『マイナス宇宙』とも呼ばれる普段我々がいる宇宙とは別次元に存在する宇宙の事だ。本来ならこの世界は光速度以下の航行手段では入ることが出来ず、光の速度を超えるスピードを出した際に入ることが出来る筈なのだが……」

「マイナス宇宙……確か昔にウルトラ兄弟が貼り付けにされた『ゴルゴダ星』があったとか言う場所じゃ……」

 

 確かエースさんが地球に派遣されていた頃……と、そこで俺はこれまで連中が取ってきた妙な行動に於ける共通点に気が付いた。

 

「……先輩、連中が接触した宇宙人とか赴いた場所は、全てエースさんが地球に居た頃にやって来ていた宇宙人に関係する所なんじゃ……」

「何? ……いや、確かオリオン星は地球のピラミッドに眠っていた【オリオン星人】の生き残りがエースと戦っていたし、おとめ座の精がヤプールに捕まって超獣に改造されたと言う……まさか、この連中の黒幕は……「ハァーッハッハッハァ!!! まんまと罠に掛かったな、ウルトラマン供よ!!!」

 

 俺と先輩が連中の行動の意味に気付きかけたその時、背後からか不愉快な笑い声が聞こえた来たので振り返るとそこには例の四人が立っていた。

 

「フハハハハ! 愚かな宇宙警備隊供よ。この暗黒宇宙が貴様らの墓場となるのだ」

「ここはかつてウルトラ兄弟が磔にされた『ゴルゴダ星』が破壊された際の破片が集まって作られた『衛星ゴルゴダ』。貴方達が死ぬには丁度いい場所でしょう」

「この暗黒宇宙は光が差さず、更にマイナスエネルギーに溢れているからなぁ。貴様らウルトラ族はその力を発揮出来ない場所なのだよ」

「そしてここには貴様ら光の力を持つウルトラ族では絶対に破れない闇の結界を展開してある……つまり貴様らはもう二度と元の宇宙には戻れないと言う訳だ」

(……どうします先輩? 連中が喋っている今の内に攻撃しますか?)

(いや、まだ連中には聞きたい事がある。……もし裏にいるのがあの()()()()だとすれば一大事だからな。連中が調子に乗っている今の内に情報を引き出しておきたい)

 

 そうして現れた宇宙人連合の四人は聞いてもいないのに現在の状況を語り始めた……何故こういう時に悪人はわざわざ積極的に解説をしてくれるのかと疑問に思いつつも、連中の話を聞きつつ先輩と秘匿念話で話し合っておく。

 ……その結果、とりあえず今は連中の話に乗ったフリをしつつ問答して可能な限り情報を引き出そうと言うことになった。まずは先輩が連中を問い質すので、俺は適当に驚いたフリをして連中にこっちの狙いを悟らせない様にする役割をやる事になった。

 

「このゴルゴダ星といい貴様らがこれまで訪れた場所といい……まさか! 貴様らの後ろにいるのは【ヤプール】か⁉︎」

「そんな⁉︎ ヤツはウルトラ兄弟が地球に封印した筈です!!!」

「ふん! 違うな、我々はヤプールの意思で動いている訳では無い。我らの手で地球に封印されているヤプールを解放し、その力を我が物として全宇宙を支配するのが目的よ!!!」

「この暗黒宇宙への移動ゲートや対ウルトラマン用の結界も全てはその為の物だったのですよ」

「その最終調整も兼ねて貴様らを罠に嵌めたという事だ。……後は結果も上々だったし、地球に行ってヤプールを復活させるだけ……」

「これまでのヤプールの足取りを追ってヤツの力を研究した甲斐があったという訳だ」

 

 21先輩の質問に対して、連中は随分あっさりと自分達の目的とか行動の理由とかをペラペラ喋ってくれた……俺の演技も中々捨てたもんじゃ無いな! まあ連中としては既にこっちを始末した気だから口が軽いんだろうけどね。

 ……じゃあ目的も分かったし連中をさっさと倒そうかと先輩に向けてアイコンタクトを送り、向こうもそれに頷いてくれたので俺達は連中へと戦いを挑もうとした……その直前、ヤツらの身体からこの暗黒宇宙に漂う物と同じ、しかし遥かに密度の濃いマイナスエネルギーが溢れ出した。

 

「なっ⁉︎」

「このマイナスエネルギーは……!」

「フフフ、我々が復活させたヤプールを意のままに操る方法を考えていないとでも? ……その答えがこの『マイナスエネルギー制御技術』と言うわけだ!」

「これによってマイナスエネルギーの塊であるヤプールを我らの支配下に置くのですよ」

「まあ、キチンと機能するか確かめる為にも試験運用は必要だからな……その為にはヤプールが残したマイナスエネルギーが充満するこの『衛星ゴルゴダ』はちょうど良かったのだよ」

「だからこそお前達をここに引き込んだのさ……さあ! この場にあるヤプールの怨念達よ! そこにいる憎っくきウルトラ戦士を葬る為に再び蘇るのだ!!!」

 

 奴らがそう言った直後、その身体から溢れ出るマイナスエネルギーとこの衛星ゴルゴダに漂うヤプールの怨念が混ざり合っていく……そして、それらの濃密なマイナスエネルギーは俺達の目の前で凝縮して一つの形を成した。

 ……そいつは赤と金の身体を持ち、右手にはナイフを持ち左腕には鉤爪が生え、胸部には緑色のクリスタルが埋め込まれている明らかに戦闘に特化していると分かる姿をした人型であった。

 

「……アレは確かかつてゴルゴダ星でエースさん達ウルトラ兄弟と戦った……」

「【異次元超人 エースキラー】!!!」

「……ふむ、まあこの衛星ゴルゴダのマイナスエネルギーを集めればあの形になるだろうな」

「これで実験は終わりだな。……では、我々はさっさと元の宇宙に戻って地球へ向かうとしよう」

 

 そうして現れたエースキラーを見た宇宙人連合は再び背後に例のゲートを発生させて、悠々とその中に入って行こうとしていた……それを追おうとした俺と21先輩だったが、その前に身体からマイナスエネルギーを迸らせるエースキラーが立ち塞がった! 

 

「……ウゥゥゥルゥゥトラァァマァァァン!!!」

「じゃあ後はそいつと遊んで行くがいい。……最もエースキラーを倒した所で貴様ら光の戦士ではこの暗黒宇宙から出られないがな! ハッハッハァ!!!」

「待てっ!!!」

 

 そして俺と21先輩が恨みの叫びを上げながら襲い掛かって来たエースキラーから距離を取っている間に、連中はさっさとゲートの中に入ってしまい、そのまま再び閉じてしまって衛星ゴルゴダには俺達とエースキラーだけが残された。

 

「UUUURUU◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️!!!」

「……エースキラーってロボットだと聞いたんですが……」

()()はエースキラーの皮を被ったヤプールの怨念の塊なのだろう。……それより来るぞ!」

 

 ……暗黒宇宙の衛星ゴルゴダにて俺と21先輩は、ヤプールのマイナスエネルギーの塊とも言える【異次元超人 エースキラー】と戦う事になってしまったのだった。




あとがき・各種設定解説

アーク&セブン21:意外と演技派
・尚、格別演技が上手い訳では無い(光の国では上位)のだが、相手の精神がかなり不安定だったので情報を聞き出す事に成功した感じ。

宇宙人連合:本人達は真面目にやっている……“と思い込んでいる”
・実際には彼らの諸々の技術とかはヤプールが無意識を介して刷り込みをした物だし、エースキラーも彼らのマイナスエネルギーを介してヤプールが復活させた物である。
・この後は地球に向かって『ウルトラマンメビウス&ウルトラ6兄弟』原作に続く感じで、その間にヤプールの精神干渉もかなり安定して地球に付いた頃には発言や行動に違和感が無くなっていく模様。
・闇の結界に関してはヤプールが対ウルトラマン様に作った光属性メタの結界で、性能は某暗黒宇宙大皇帝が地球を覆った物の劣化の劣化の劣化ぐらい。

【異次元超人 エースキラー】:『マイナス宇宙』『ゴルゴダ』なのでコイツ
・実際には21が推測した通り、マイナスエネルギーが衛星ゴルゴダに残るエースキラーの情報を読み取って形を得たモノである。
・……だが、読み取ったのは『ウルトラマンエースと戦ったエースキラー』の情報全てなので戦闘能力はほぼ据え置き。


読了ありがとうございました。
次回はVSエースキラー。ウルトラ兄弟全ての技を使う異次元超人に二人はどう戦うのか、お楽しみに。
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