宇宙に輝くウルトラの星   作:貴司崎

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闇の会合/アークの選択

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 悪質宇宙人 メフィラス星人

 凶悪宇宙人 ドルズ星人 登場

 

 

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 惑星ジャルマの外れにある地方都市の一角、そこにはかつて計画的な都市開発の失敗によって異様なまでに入り組んだ住宅街が存在していた……その地区は複雑な地形をしているのでジャルマの治安維持組織の目が届きにくく、それ故に犯罪組織がよく隠れ家として利用しているのだ。

 ……最もここを本拠にしている様な組織の殆どは小規模な中小組織であり、正真正銘の巨大犯罪組織の場合には“合法的に”首都の一等地を拠点としていたりするのだが。

 それはそれとして複数の犯罪組織が居る所為でそれらの暴発を避ける為に治安維持組織の介入が難しく、それを利用して巨大犯罪組織が他の組織との話し合いに利用する一時的な会合場所として使われる事もあった。

 

「……やあ、お待ちしておりましたよ『知将』殿」

「これはこれはドルズ帝国外交官」

 

 ……そして現在その場所の建物の一つにて【暗黒宇宙大皇帝 エンペラ星人】直属の部下である“知将”メフィラス星人と、ドルズ帝国において外交官を務めるドルズ星人とその部下が秘密の会合を開いていたのだ。

 

「さて、では単刀直入に行きましょうか……事前の取り決め通り、貴方達ドルズ帝国は我々『エンペラ軍団』との相互不干渉の協定を結ぶという事で良いですね」

「ええ、我々が貴方達の行動に干渉しない代わりに、貴方達も我々に対して武力を行使しないという協定を結ぶ事を要求します」

 

 彼等の目的は『本当のエンペラ軍団』とドルズ帝国の間で相互不干渉の協定を結ぶ事であった……この協定はこれから宇宙警備隊と銀河連邦を相手に第二次ウルトラ大戦争(ウルティメイトウォーズ)を起こさんとするエンペラ軍団にとっては余計な敵を増やさない為のモノで、ドルズ星人にとっては本星の暗黒結界が意味をなさないエンペラ星人を敵に回さない様にする為の物である。

 ……メフィラスとしては出来ればドルズ帝国も戦力として加える考えもあったのだが、ドルズ星人は兵器だけを送り込んで自分達は安全圏に居座るのを主としているので戦線に加わる事に難色を示したので協定という型となったのだ。

 

「……ですが、我々ドルズ帝国としてはエンペラ軍団との()()()には応じますよ。【メモール】などの怪獣兵器や超能力薬も今ならお安くしておきますよ」

「それはそれはありがとうございます。この超能力薬などは面白そうですね」(【メモール】は私の“趣味”とは少しズレてますし)

 

 最もドルズ帝国は戦争に直接参加しないだけで商取引と称して兵器などを売り渡す気満々なので、実質的にはエンペラ軍団との同盟関係の様なものであるが、その辺りはお互いに織り込み済みである。

 ……そうしてエンペラ軍団とドルズ帝国という宇宙にとっては脅威となる協定の割には至極短時間でその話し合いは終了し、彼等は引き続いて現在この惑星ジャルマで『自分達を追って来た宇宙警備隊と銀河連邦のエージェント達』についての話を始めた。

 

「さて、それでは()()()()()()()()()()我々ドルズ帝国とエンペラ軍団の会合があるとそれとなく連中にリークしておきましたが、まさかウルトラマンタロウまで現れるとは……」

「確か彼が地球にいた時に貴方方と因縁がありましたか」

「ただ、ウチの地球侵略を企てた一部が試作型の【メモール】を一体送り込んだだけですよ」

 

 そう、宇宙警備隊に惑星ジャルマでの彼等の会合の情報が入ったのはドルズ星人自らが“知将”の提案によって情報を流したからだったのだ。

 

「……それで、態々ウルトラ兄弟をここに呼び寄せた理由は『宣戦布告』の為と聞きましたが」

「ウルトラ兄弟まで来たのは偶然ですが、彼等宇宙警備隊と銀河連邦に我々『真なるエンペラ軍』の力を見せつけようと思いまして。銀河連邦肝いりで独立したしたこの惑星ジャルマでウルトラ兄弟を打ち倒すなら十分な宣戦布告になるでしょう。……まあ、他の四天王も同時期にそれぞれ銀河連邦の重要拠点を宣戦布告代わりに攻め込む予定ではありますが」

 

 メフィラスが敢えて情報を流した目的は自分達の力を宇宙に示すデモンストレーションの相手として宇宙警備隊と銀河連邦のエージェントを選んだからであり、その為に再生機能付きの高級版【インペライザー】や【ロベルガー】を既に惑星ジャルマ近辺に持ち込んでいる。

 また、惑星ジャルマを戦場に選んだのは銀河連邦が態々全力で支援して宇宙進出を果たさせるぐらいに加盟惑星同士の交易の中継地点として地理的に重要な地点だからであり、この星が機能を停止すれば銀河連邦の動きをかなり制限出来るからでもあった。

 

(とは言え、あくまで“交易の中心地”と言うだけなので万が一ここの機能を潰せなくても他の襲撃が成功すればそこまで問題無いんですがね。だから囮の意味も込めて情報をリークさせたんですし。……この惑星ジャルマ襲撃は色々と布石を打つ為のモノなのだから)

 

 最もメフィラスは宇宙警備隊を過小評価はしておらず、実際惑星ジャルマ襲撃に関しては失敗する可能性も考慮しており、例えこの襲撃が成功しても失敗しても問題無い様に他にも様々な策を巡らせていたのだが。

 ……具体的には情報リークは宇宙警備隊の目をこちらに向けさせて銀河連邦重要拠点を攻撃する他の四天王の支援になる様にしているし、更に協定相手とは言え下手すれば後ろからこちらを撃ちかねないドルズ帝国に対して、自分達の“力”を見せつけてそんな余計な考えを抱かせない様に釘を打っておく狙いもあった。

 

「まあ、ウルトラ兄弟の相手を含めて後の事は全てこちらでやっておくので、貴方達はこのまま帰ってくれても構いませんよ」

「いえいえ、せっかくですからエンペラ軍の真の力とやらをこの目で見させて貰いますよ。……それに前もってこの惑星ジャルマには()()()の最新型【メモール】を配置しておきましたから。危なくなったらそれらを囮にして逃げますよ。最新型は宇宙警備隊にはよく効くでしょうし」

「ふむ……まあ貴方達がどうしようが自己責任の範囲ですから好きにすればいいでしょう」

 

 尚、メフィラスとしてはドルズ星人が敢えてボカしたこちら側の戦力(インペライザーとロベルガー)を見るために残る事は予想済みであったが、自らの商売場所の一つであるジャルマに()()()()()()である【メモール】まで配備しているとは流石に予想外だった。

 ……だが、おそらく超能力薬の密売で足が付いてジャルマから手を引くつもりだったか、私達に貸しを作って有利にする為の布石だろうと考えて、とりあえずこちら側にとって不利益にはならないだろうと思い直してスルーする事にした。

 

「それに最新型の【メモール】は遠隔起動出来る仕様ですから、使わないのなら後で回収しますよ」

「それはそれは『大変です外交官殿! 宇宙警備隊の連中がここを嗅ぎつけました!!!』……おや、中々早かったですね。別に過小評価していたつもりはありませんでしたが」

 

 そうしてメフィラス星人とドルズ星人が話を続けていた所で突然そんな通信が入った……とは言え、彼等にとっては来る事が分かっていた事なので悠々と撤退の準備をし始めた。

 

「では、我々は宇宙船に戻らせて頂きますね。エンペラ軍の真の力を楽しみにしています。……ああそれと、ついでに【メモール】も囮代わりに起動しておきますので」

「分かりました。……ではお気を付けて」

 

 そんな慇懃無礼な挨拶を最後にメフィラス星人とドルズ星人の二人はその場から消え去ったのだった……そして彼等が撒いた“悪意”が、この星にいるとある宇宙警備隊員と一人の少女の“結末”を運命付けてしまうのであった……。

 

 

 ──────◇◇◇──────

 

 

「んー? おじちゃん、ここで待ってればいいの?」

「ああ、あのままフラフラとうろつき続ける訳にもいかないだろうからな」

「アリスちゃん、ジュースとお菓子があるけど食べる?」

「食べる〜!」

 

 あれから俺はタロウ教官の指示でアリスを惑星ジャルマの現在は余り使われていない防衛軍施設の一つへと連れて来ていた……尚、万が一に備えて施設内の人間の殆どは退避させており、残っているのは俺と銀河連邦から派遣されたエージェントのアンドロメダ系L85星出身宇宙Gメンの“ガニメデ”さんと、ルパーツ星人の宇宙調査員“サミ”さんの三人のみである。

 ……とりあえず子供の保護とかに慣れているらしいサミさんにアリスの相手を任せつつ、俺は彼女に声を聞かれない様に別室でガニメデさんと現状について話し合う事にした。

 

「……それで、現在のこの星での調査状況はどうなっているんです?」

「先程の報告によると銀河のエージェントの一人がドルズ星人とエンペラ軍の幹部の会合場所を特定した様だ。現在タロウ殿を筆頭にそこへ突入している所だろう」

 

 成る程、調査自体は上手く行っている……と思いたいが、そもそもアリス(メモール)が街中を彷徨いていたのが偶然なのか、それとも何かの罠なのかという問題は付きまとうな。

 ……加えて、追い込まれたドルズ星人共が“何をするのか”という問題もある。

 

「ですが、追い込まれたドルズ星人が彼女……メモールを起動させる恐れがあります。少数ですが遠隔で怪獣に変えられるタイプも確認されていますから。……一応、この部屋の内部は通信などを遮断するバリアに覆われていますが、ドルズ星人の技術力に対してどこまで効果があるか……」

「その万が一の時には俺が“対処”します。それにこの辺りは人気も少ないですし被害も最小限に出来るでしょう」

「いえ、アーク殿…………分かりました、お任せします」

 

 そう言った俺に対して心配する様な視線を向けてきたガニメデさんだったが、少し考えた後に俺が事前に伝えておいた『対処法』ぐらいしか彼女をどうにか出来る手段が無いと考えたのか、複雑そうな表情でそれだけ言って黙り込んでしまった。

 

「それと、もしアリスが外を出歩いていたのが偶然では無いとしたら、こちらの動きが向こうに漏れている可能性が高いと思います。……だとすれば伝え聞くドルズ星人の行動から考えても少女一人を街中に放つだけで終わるとは思えないですね。単純に他にもアリスと同じ様な子が街に出ているとか」

「その可能性も考慮して既にジャルマの警察の方で調査を進める様に言っておきましたが、この様々な種族がいる広い惑星で不審な子供を見つけるのは難しいでしょう。只でさえ今はドルズ星人の確保の為に人手が割かれている状況ですから」

 

 まあ、ここにこの二人を配置してくれたのも結構ギリギリっぽいしな……結局はタロウ教官とドルズ星人の捕物がどうなるか次第って事になるか……。

 

「ふーん、アリスちゃんはお父さんとお母さんが大好きなんだねー」

「うん! おとーさんは仕事から帰ってきたときにわたしの頭をなでてくれるし、おかーさんはおいしいごはんを作ってくれるのー!」

 

 ああしてサミさんと普通に喋っているアリスを見ていると自分の力の無さが情けなくなるな……ちなみにサミさんはアリスから話を聞き出しながらどの程度記憶を操作されているのか、また精神面にどんな細工が施されているのかを調べているらしい。

 ……正直言って俺は今まともな精神状態でアリスと話せる自信がないからな。ああやって完全に自分を制御出来るプロの仕事は尊敬するよ。

 

「とりあえず今はタロウ教官の結果を待って【ビーッ!!! ビーッ!!! ビーッ!!! 緊急警報、首都北西部及び南西部及び東部郊外に怪獣が出現。付近の住民は速やかにシェルターへと避難してください】なんだと⁉︎」

「今確認します!!!」

 

 そうして待機していた俺達の元にいきなり警報と共にそんなアナウンスが鳴り響いた……それを聞いたガニメデさん即座に室内の機材を動かして怪獣が現れたという場所の映像をモニターに表示した所……。

 

『『『アンギャァァァァァッ!!!』』』

「コイツは……メモール!!!」

「やはり他にも仕込んでやがったな……!」

 

 モニターに映し出されたのは口から吐く火炎と手から出す赤いガスで街を破壊している【うろこ怪獣 メモール】の姿だった……やっぱり街中に放っていたのはアリスだけじゃなかったのか。

 ……チッ、という事は多分アリスの方も……。

 

「大変です⁉︎ アリスちゃんが急に苦しみ出して……!」

「……分かりました。すぐに行きます」

 

 俺がそう思った直後、向こうの部屋からサミさんが慌てた様子で飛び出して来てそう言った……仕方ない、俺も覚悟を決めよう。今この場で俺しか“対処”出来ないのだから、俺がやるしかないんだ。




あとがき・各種設定解説

“知将”メフィラス星人:策とは二重三重に巡らすモノ
・惑星ジャルマでの彼の目的はドルズ星人との協定・宇宙警備隊への宣戦布告・銀河連邦重要交易路の遮断・エンペラ軍の真の力を宇宙に示す・ドルズ星人への釘刺し・敵戦力の引きつけ・インペライザーとロベルガーの戦力確認といった所。
・加えてどれかの目的が達成されなくても対応出来る様にまだいくつもの策を講じている。
・尚、彼は基本的に用心深い性格だが内心で格下と思っている相手には“遊ぶ”悪癖があるらしい。

ドルズ星人:今回の元凶
・惑星ジャルマでの活動は銀河連邦が色々と手を回して頑張ったので余り上手くいかず、危うく尻尾を掴まれそうだったのでメフィラスとの会合に便乗して撤収するつもりだった。
・ところが撤収用の円盤をタロウに補足されたので足止めの為にメモールを起動させて街を攻撃させ始めた。

アークとアリス:選択の時
・ちなみにアリスが直ぐに怪獣化しなかったのはアークと出会った事で僅かに記憶操作に綻びが生まれて無意識の内に抵抗いているからである。

ガニメデ&サミ:銀河連邦のエージェント
・ガニメデの方は宇宙Gメンから派遣された昔地球に来たザッカルの元部下であるゴリゴリの武闘派で、サミの方は事務仕事や情報処理を専門としている銀河連邦の調査員の一人。
・二人共以前からタロウとは面識があって人格的にも信頼出来たので、今回アリスの保護に協力してくれる様に頼まれた形。


読了ありがとうございました。
色々と引っ張りましたが次回がアークとアリスの結末と選択の時です。
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