宇宙に輝くウルトラの星   作:貴司崎

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宇宙警備隊員アークの日記・破

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 侵略星人 サロメ星人

 ロボット超人 にせウルトラセブン

 円盤生物 ロベルガー 登場

 

 

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 ウルトラマン達の母星『光の国』……宇宙の秩序の象徴とも言えるその星にも、現在起きている『第二次ウルトラ大戦争(ウルティメイトウォーズ)』による大火が迫り込んで来ていた。

 

『ゼェヤァッ!!!』

「チッ、セブンさんを模したロボットとは! サロメ星人め、やってくれる……!」

 

 光の国の近郊宙域、そこではアークを始めとする新人宇宙警備隊員達を中心に構成された『光の国防衛隊』と、エンペラ星人に下った【侵略星人 サロメ星人】の一派が送り込んだ【ロボット超人 にせウルトラセブン】()()が激しい戦いを繰り広げていた。

 ……この量産された【にせウルトラセブン】はかつて地球に来たサロメ星人がウルトラセブンのデータを解析して得た際、そのデータを報告ついでにサロメ本星に送っており、“ウルトラマン”を模したロボットなら戦力増強に有用だと判断されて量産された物である。

 

『ズェイアッ!』

「ええいっ! アイスラッガーまで再現されているのか!」

 

 そんな【にせウルトラセブン】が頭部の宇宙ブーメラン『アイスラッガー』を投げつけて来たので、アークは取り出したウルトラランスで打ち払いつつ接近していった。

 ……にせウルトラセブンには生体反応は無いので何時ぞやの【ババルウ星人】と違って警備隊員が本物と偽物を見間違える事こそ無いものの、アイスラッガーやワイドショットの再現などスペックは地球で作られた物よりも向上していたので警備隊員はやや苦戦を強いられていた。

 

「……だが、流石に本物のセブンさんと比べれば技の一つ一つがヌルいわ!」

『ゼッ⁉︎』

 

 ……とは言え、その性能はまだまだ“ウルトラ兄弟”の一角である本物のウルトラセブンには及ばず、そのセブンからの(超厳しい)薫陶を受けた事もあるアークにとっては対応出来るレベルの攻撃であった。

 そうしてアークはにせセブンが額から放ったエメリウム光線を躱しながら反撃のアークスラッシュを放って怯ませ、その隙に一気に懐に潜り込んで蹴りを打ち込んだ。

 

『ギィッ⁉︎』

「格闘技能はプログラム通りか。セブンさんの宇宙拳法まではコピー出来ていないようだな。アークブレード!」

 

 そのままアークは殴る蹴るの近接格闘戦でにせセブンを圧倒し、最後には展開した光剣によって袈裟懸けに斬り裂いて爆散させた……その直後、自身に向かって放たれる多数の光弾を察知して、慌ててその場から飛び退った。

 

『指令、宇宙警備隊員、抹殺』

「今度はロベルガーか! ……敵を撃破した隙を狙うとは生意気な」

 

 アークへと攻撃を仕掛けたのは暗黒四天王からサロメ星人に譲り渡されて今回の進攻に参加していた【円盤生物 ロベルガー】であった……インペライザーやロベルガーなどの戦闘兵器は暗黒四天王に降った勢力にも戦力として渡されており、現在の大戦争に於ける四天王側の優勢に大きく貢献する程に宇宙中で猛威を振るっているのだ。

 ……ちなみにこの二体の戦闘兵器の開発には暗黒四天王の配下となったペダン星人やサロメ星人などの高い技術力を持つ者達も関わっており、それ故に彼等には優先して供給されていたりする。

 

『指令、宇宙警備隊員、抹殺』

「ウワァ⁉︎」

「コイツ辺りを飛び回って……」

 

 そしてアークを攻撃したロベルガーは円盤生物由来の高い宙間機動能力を活かして宇宙を飛び回り、周囲で戦っている宇宙警備隊員へ次々と攻撃を仕掛けていった。

 ……警備隊員も反撃するのだがロベルガーの機動力に加えて、にせセブン軍団を相手にしなければならない事もあってその動きを捉えられずにいた。

 

「アーク! ロベルガーを頼む! にせセブンさんの方はこっちでどうにかする!」

「了解だ、フォルト!」

 

 それに対して実力と指揮能力からいつのまにか防衛部隊のリーダー的扱いになっていた宇宙情報局所属のフォルトは、これ以上ロベルガーに戦局を混乱させられる訳にはいかないと判断して、こちらの()()()()であるアークにロベルガーの対処を任せる指示を出した。

 ……それと同時ににせセブンを牽制しながら他の隊員に指示を出して攻撃を当てられる隙を作ってみせる戦いぶりを見せている所も、フォルトが新人隊員の中でも頭一つ図抜けた実力を持つ証拠であるのだろう。

 

『指令、宇宙警備隊員、抹さ「同じ事しか言えんのか貴様は!」ガァ⁉︎』

 

 ……それでも()()()()()()()としては高速で飛翔するロベルガーに高速移動を駆使して瞬時に追いついて拳を見舞っているアークと比べれば見劣りしてしまうだろう。

 そのままアークはロベルガーの得意とする光弾の連写を出させない様に至近距離での格闘戦によって相手を徐々に追い詰めていき、動きが鈍った所にエネルギーを込めたウルトラランスを投げ放ってその胸部を貫いた。

 

『指……令、宇宙警……備隊……員、抹……殺……』

「これでトドメだ! アークレイショット!」

 

 そのダメージによって完全に動きが止まったロベルガーにアークは自身の必殺光線を撃ち込んで粉々に爆散させた……そしてアークはすぐさま反転して未だににせセブンと戦う防衛部隊に合流してにせセブン軍団を相手に獅子奮迅の活躍をするのだった。

 

 

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 ▶︎月◉日

 

 うだー、サロメ星人めー! にせセブン軍団を送り込むだけ送り込んで自分達は逃げていきやがった! ……まあ、セブンさんの複製ロボットは全機破壊したし防衛隊員にも犠牲は出なかったから光の国の防衛自体は成功したんだが、最後にケチが付いた感じだな。

 ……しかし、だんだんと光の国に送り込む戦力が増えているっぽいんだよなぁ。今回もロベルガーが三体と後方支援にインペライザーが三体程居たからな。一応ロベルガーは俺が二体程撃破して最後の一体はフォルトが部隊を指揮して包囲殲滅、インペライザーの方も宇宙では動きが鈍い所を突いてゴリアテを筆頭にする近接パワー組が接近戦を挑んで破壊した訳だが。

 

 とは言え、流石に光の国の防衛戦闘も徐々に厳しくなっている以上は何かの対策を打たねばならないと思うんだが……ご存知の通り今現在大戦争中の宇宙警備隊にそんな余裕は無い。

 ……なので、とりあえず今出来る事として宇宙科学技術局の(変人)科学者達に頼んでセブンガーに宇宙戦闘用装備を追加して貰う事にした。セブンガーは通常だと陸戦用だから、宇宙空間ではブースターによる単調な機動しか出来ないからな。五分しか使えないとは言え宇宙でも動ける様になれば戦力の増強にもなるだろうと思ったのだ。

 

 そういう訳でセブンガーの宇宙戦用強化を技術局の科学者達に依頼し、それを聞いた彼等はそれはもうイイ笑顔で了承してくれた(ちょっと不安になったが)ので現在は技術局にセブンガーを預けているのだ。

 ……3日もあれば宇宙空間用装備と各種整備・調整が終わるらしいので、それまで敵が攻めて来ない事を祈っておこうか。

 

 

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 ▶︎月◇日

 

 そういう訳で3日経った。幸いな事にこの三日間は光の国への襲撃は無かったので、新人が多いからかちょっと疲れ気味だった防衛部隊もしっかりと英気を養えた様だ。

 ……俺? 俺はこの程度の連戦で疲れる様な柔い鍛え方はしてないから。そもそも光エネルギーさえあれば体力とかも回復出来る訳だし、プラズマスパークがある光の国周辺で戦うのなら精神以外は大して疲労しないしね。

 

 そんで技術局に預けていたセブンガーの宇宙戦用装備の組み込みも無事に終わって新たな姿となった。その名も【セブンガー・スペースカスタム】だー!!! ……そのまんまじゃんと言ってはいけない。なんだかんだで技術局の変態達が総力を挙げて改造したのでかなりの性能に仕上がってる(と言ってた)

 まず、背中にはブースターに被せる形で翼型の宇宙空間用反重力推進システム『スクランダーウィング』を装備し、これまでのブースターと違って宇宙空間を自由に飛行可能になって機動性も大幅に強化されているそうだ。

 更に腕部は宇宙空間では格闘戦やロケットパンチが運用し難いとのデータを受けて、右腕はクローモード・ドリルモード・ビームモードの三形態に変形する多目的武装ユニット『マルチドリルアーム』に、左腕は貫通力に特化した誘導ミサイルを発射する『ドリルミサイルアーム』へと換装されている……ドリルばっかじゃね? とは俺もツッコミをいれたんだが『これがロマンだ!』の勢いで押し切られた。

 ……他にも射撃武装が無いので近接戦しか挑めないという戦闘データから通常形態でも使える様に口部から小型のミサイルを発射出来る様になっていたり、怪獣ボール自体に中のセブンガーを通常形態と宇宙戦形態を自由に換装出来る機能を付けたりと実際性能や使いやすさが上がってるから文句も言えないのだ。

 

 最もここまでやる気ある改造が行われたのは、俺がセブンガーを活用している事や大戦争での戦力補充手段の一つとしてセブンガーの少数量産が検討されて、開発者達のテンションがうなぎ登りに上がっているのも理由になっているのだが。

 改装されたセブンガーを渡された時も『これもアーク君がセブンガーを積極的に使ってくれたお陰だね! 試作型セブンガーに搭載された“教育型コンピューター”から得られた戦闘データのお陰で量産型に搭載する人工知能開発の目処も立ったしこれからもドンドン使ってくれたまえ!!!』とか言われたしな。

 ……まあ、彼等は技術と開発した物の性能だけは一級品だからな。セブンガーは今後の光の国の防衛に関しても十分な戦力になってくれるでしょう。多分。

 

 

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 ▶︎月△日

 

 うん、今日は【セブンガー・スペースカスタム】大活躍だったな……本日、光の国に攻め込んできたのは【宇宙怪獣 ベムラー】の群れであったのだが、パトロール中の俺が真っ先に見つけたので光の国に報告を入れつつ足止めの為に戦う事になったのだ。

 そして流石に少々数が多かったので単独で時間稼ぎは少し難しいと考えた俺は、手数を増やす為とせっかくカスタムされたんだから試験ぐらいはしておこうと言う考えからセブンガー・スペースカスタムを呼び出してベムラーとの戦いに挑んだのだが……出てきた瞬間、左腕のドリルミサイルの一切発射で一体のベムラーを爆散、更に反重力推進による機動性で瞬時に距離を詰めながら右腕のドリルによってもう一体のベムラーの胸部を貫いたのだ。

 

 新武装の調子も見たかったから一通り使って見せてくれとは指示を出してあったんだが、まさかここまで宇宙空間での動きが良くなっているとは思わず少し驚いてしまった……戦闘プログラムもアップデートしていたとは言ってたが、あの科学者達本当に腕前だけは一流なんだよなぁ。

 その後は俺も参戦してベムラーの群れの三割程度を撃破した所でセブンガーの活動限界が来て、その直後に他の防衛部隊からの援軍が来たので一緒に戦ってベムラーの群れを全滅させたのだった。何時ものロボット軍団と違って大して硬く無い相手だったから割と簡単に倒せたな。

 

 後、他の防衛部隊の人達からは『流石はアーク!』『やっぱりゾフィー隊長の息子だよな!』『ベムラーをああも簡単に撃破するなんて』とか言われたので、一応最初の遭遇時に対処出来たのはセブンガーの協力があったからこそだと宣伝ついでに説明してみた。

 その時、実際の戦闘映像も見せたお陰でセブンガー・スペースカスタムは割と好評価で自分も欲しいと言う人もチラホラいたから、これでセブンガーの量産を支持する人が増えるかもしれないな。

 

 

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 ▽月○日

 

 とりあえず光の国の防衛については意外となんとかなっていた……と言うのも、日々の散発的な侵攻のお陰と言うのも変だが、その所為で防衛部隊の新人隊員が多くの実践経験を積む事が出来たのでメキメキと成長しているのだ。

 加えて何度も部隊単位で戦い続けた結果、隊員同士での連携もある程度取れる様になったので何とか安定して攻め込んで来る相手を迎撃出来る様にはなって来た。

 

 ……たが、流石にインペライザーやロベルガークラスの相手だと単騎で相手取れるのはフォルトやゴリアテなどの一部部隊員だけで、更に単独で確実にそのレベルの連中を倒せるのは未だに俺一人というのが問題だ。

 実際、インペライザーやロベルガーは技術局の解析によると自動再生機能とかが付いて性能が高い高級品と、量産性を重視して性能はやや劣る量産品の二種が存在しており、高級品クラスになるとウルトラ兄弟ですら苦戦するレベルらしい。

 まあ、光の国への侵攻に使われているのは全て量産品だったから、高級品は連中でもおいそれと使えない程度には貴重な物なんだろう。セブンガーの量産にはまだ時間が掛かるし、この辺りの対策を練っておいた方がいいかな?




あとがき・各種設定解説

アーク:光の国防衛部隊のエース格として活躍中
・防衛部隊での役割は遊撃、とりあえず強い相手を単騎で真っ先に倒して味方の被害を減らす役割。

セブンガー・スペースカスタム:強化されたセブンガー
・大活躍したのは周りの被害を気にする必要がない宇宙戦なので、地上用からは意図的に廃された高火力装備を装着しているからでもある。
・元々セブンガーの頭部・背部・腕部には追加装備用の換装機構が組み込まれており、オプションパーツを付け替える事によって様々な戦況に対応できる汎用機として設計されていた。
・それ故にコストが掛かったり活動時間が短くなったりした一面もあったが、アークが存分に活躍した事が上層部の耳に入り大戦争に戦力が必要だった事もあって少数量産される事になった。

光の国防衛部隊:その大半が新人だが割と頑張ってる
・アークという例外を除けば、宇宙警備隊としては稀少な指揮官としての才能を目覚めさせたフォルトや、持ち前のタフさで前衛を張っているゴリアテ、的確に周りをサポートしているアムール辺りの評価が高い模様。
・地球で活躍しているメビウスや防衛任務で腕を上げた士官学校の同期生も居る事から“黄金世代”と呼ばれているとか。

サロメ星人:にせロボットを作る事に定評のある連中
・本編に登場した一派は暗黒四天王の古参の協力者で、エンペラ星人を敵に回したくないサロメ星から報酬を貰って派遣された技術者達。
・自分達のロボット技術を提供してインペライザーやロベルガーの開発に貢献したので優先的に戦力を供給されているが、大戦争に直接関わる気はあまりなく自分達のロボット兵器を売りに出して儲ける事を優先している。
・今回光の国に攻めて来たのも暗黒四天王への『自分達は協力してますよ』的なアピールと、ウルトラ戦士達のデータを収集してにせウルトラ戦士の生産に活かそうという目的から。


読了ありがとうございます。
遂に『ウルトラマントリガー』開幕! 第1話から色々な伏線に加えて、まさかの『ゼペリオン光線』によるトドメとかティガ世代の作者にはぶっ刺さりまくりでした。今後も楽しみです。
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