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皇帝近衛機 クリムゾンロベルガー 登場
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惑星ヤオトリ……その星は太陽系からそこそこ離れた(宇宙基準)別の恒星系に存在するヒューマノイドタイプ生物であるの『ヤオトリ人』が住む陸地3・海上7ぐらいの所謂“地球型惑星”の1つであった。
宇宙的に見て結構辺境にある惑星なのでそこまで有名では無いが、銀河連邦加盟惑星の1つだけあって相応に高い技術力と文明を持っており、特に星そのものやそこに住むヤオトリ人が有する『物質化可能な特殊エネルギー』の研究やそれを応用した物品、更に高い次元移動技術などで知る人ぞ知る感じの星であった。
『皇帝命令、戦闘、破壊』
「ダメです隊長! スパイダー型戦車の砲撃も効きません!」
「ファルコン型航空機の攻撃も効果無し!」
「残った無人機を前面に出して敵の注意を引きつけるんだ! その間に市民を亜空間シェルターに避難させろ!!!」
そんな惑星ヤオトリの都市の1つは突然現れた全身が真紅で頭部にブレードホーンが付いたロベルガー……【皇帝近衛機 クリムゾンロベルガー】が放つ光線による無差別攻撃によって大きな被害を受けていた。
その真紅のロベルガーは8本足で上部に大砲が付いた蜘蛛型戦車からのビームを受けても意に介さず、反撃に掌から手裏剣状の光弾を次々と放って蜘蛛型戦車を破壊し、空を飛ぶ鳥の様な形で両足がレーザー砲になった戦闘機からの攻撃も同じく効果なく、こちらも反撃の頭部からの光線の照射で撃墜されていく。
……幸いと言ってはアレだがヤオトリの都市や建物の殆どが物質化した特殊エネルギーで出来ているので火災などの被害は無く、防衛軍の兵器も殆どが物質化エネルギーで出来た無人機だったので人的被害は極小なのが救いだったが……。
『皇帝命令、攻撃、破壊』
「ホエール型の自爆特攻も撃ち落とされて効果が有りません!」
「ええいっ、この支部にはアレ一個しかないんだぞ! 生半可な怪獣であれば十分に屠れる威力はあるはずなんだが……色が違う高性能タイプなのか?」
「首都からの援軍はまだか⁉︎」
「駄目です! 他の都市にもロベルガーやインペライザーが合計で三体も!」
この【クリムゾンロベルガー】は皇帝直属の近衛兵として作られた機体であり、パワー・火力・装甲・頭脳などのあらゆる分野で通常の三倍の性能を誇る為、通常の兵器はおろかヤオトリ防衛軍の誇る対怪獣用自爆兵器であるクジラっぽい大型航空機の特効攻撃にも的確に対処されている状況なのだ。
……最も、そんな高性能のクリムゾンロベルガーもエンペラ星人から見れば普通のロベルガーとの差は誤差の範囲で、そもそも自身より遥かに弱い機械に護衛させる意味が見つからなかった事から本拠地であるダークプラネットに他と一緒に放置され、今回も丁度良く他の兵器への指揮能力を持っていたからと一般戦闘兵器を引き連れた襲撃役として使われているのだが。
『皇帝命令、攻撃、破壊』
「多分ここのヤツが一番性能が高いと思うんだが援軍は出せないのか?」
「さっきから何度も応答を掛けてますが本部もいきなりの襲撃で混乱しているらしく……」
「……異次元怪獣達を退けてから300年は平和だったツケか?」
「宇宙で起こっていたウルトラ大戦争にも軌道上の警備を強化するぐらいで、何も変わらず平和だったから対応が遅いのかも……」
惑星ヤオトリの防衛軍は300年ぐらい前までは異次元から来る怪獣と熾烈な戦いを繰り広げていたので、決してその戦力は低くないのだが……それでも長く平和な時代が続いていた以上は人員の経験不足は如何ともし難かった。
更に主力の無人兵器群がこの星にしかない特殊エネルギーで動く事もあって殆ど惑星近辺でしか活動できなかったので、大戦争にも自星の防衛以外は行っておらず、辺境で重要度の低い星なので外敵がほぼおらず都市部まで入られた経験も無かった事がそれに拍車を掛けていた。
「文句を言う暇があったら手を動かせ! それに近郊の惑星や宇宙警備隊への救援要請も出してるから、そいつらか首都の連中が来るまで持ちこたえるぞ!」
「でもさっきのエンペラ星人のテレパシーじゃ……」
「あんなエンペラか天ぷらか分からんようならヤツの戯言を間に受けるな! とにかく無人機は全機出して無駄に派手な色をしたあのロベルガーの進行を抑え込むぞ!!!」
『皇帝命令、攻撃、破壊』
それでも惑星ヤオトリの防衛軍は税金を無駄遣いする様な無能ではなく、実戦が無くてもキチンとシミュレーターなどでの演習を繰り返して来たので、特に災害対策訓練に力を入れていた事もあって住民の避難誘導などは非常にスムーズに進んでいたが。
……実際、彼等は非常に良くやっており、遠隔操作する各無人機を連携させて回避とゲリラ戦を中心とした戦術でクリムゾンロベルガーを足止めしつつ警察機構と協力する事で、都市の住民
「都市部住民のシェルターへの避難は完了しました!」
「良くやった! 後はあの趣味の悪い色のロベルガーを倒すだけだ!!!」
「いや隊長! これまでの戦闘で無人兵器がもう半分もやられてるんですよ! このまま俺達も撤退するべきじゃ……」
「阿保か! あのエンペラ星人の配下であるアイツが亜空間シェルターに干渉出来ないとも限らないだろうが! 放置して亜空間に引っ込む方が危険だ!!!」
「隊長! ロベルガーがこの本部へ……⁉︎」
『皇帝命令、攻撃、破壊』
……だが、彼等防衛隊はその活躍の代償としてシェルターへの避難は出来ず、また敵から逃げる訳にも行かなかった事から、無人兵器を指揮する者達の排除に行動パターンを切り替えた飛んで来たクリムゾンロベルガーの襲撃を受ける事になってしまった。
無論、防衛隊の本部はバリア機能がある他にも、特殊エネルギーの応用で建物そのものが非常に頑丈になっているお陰でロベルガーの光弾や光線を受けてもあっさり破壊されるという事は無かったが、それでも徐々に倒壊しつつあった。
『皇帝命令、攻撃、破壊』
「防衛用砲台起動! とにかく撃ちまくれ! それと無人兵器で手の空いているヤツをこっちへ!」
「ダメです! 砲台が次々と破壊されて……⁉︎」
「無人兵器もこちらに来れる物が……⁉︎」
「だったら手持ち武器を出せ! 私が出る!!!」
防衛隊本部に攻め入ったクリムゾンロベルガーは通常の三倍の頭脳と性能で的確に防衛隊の戦力を潰して行き、一気に彼等を窮地に追い込んで行った。
……それでも防衛隊のメンバーは自分の星を守るという誇りから最後まで諦めずに戦おうとし、
「見様見真似、流星キーック!!!」
『皇帝命レッ⁉︎』
惑星ヤオトリの防衛隊本部が破壊される寸前、救援要請を受けてやって来た宇宙警備隊員アークが上空から飛び蹴りをクリムゾンロベルガーに見舞って吹き飛ばし本部から距離を離した。
「宇宙警備隊保安庁所属のアークです! 救援要請に答えてやって来ました! 他の所にも先輩が向かってます!」
「おお! 助かった! ……そのロベルガーが性能が高い改造機みたいだから気を付けてくれ! 街の住民の避難は終わってるから多少派手に暴れてくれても問題無いぞ! こちらも戦力を整えたら援護に回る!」
「分かりました!」
本部の前に立ちはだかったアークは防衛隊に事情を簡潔に説明し、同じ様に事情を簡潔に説明してくれた隊長に礼を言うとクリムゾンロベルガーに戦いを挑んで行った。
『皇帝命令、光の者、破壊!』
「コイツ、狙いを俺に……好都合だな!」
「……頼むぞ、ウルトラ戦士よ」
そうして防衛隊の者達が見守る中、エンペラ星人からの
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『皇帝命令、光の者、破壊!』
「コイツは……確かに普通のロベルガーとは性能が段違いだな!」
戦いながら可能な限り市街地に被害を出さない様に広いスペースがある所までクリムゾンロベルガーを誘導したアークだったが、相手の思っていた以上のスペックに舌を巻いていた。
最新型の円盤生物であるロベルガーはこれまでの潜入・工作活動に長けた円盤生物群と違って、円盤形態への変形による高速移動と怪獣形態での高い戦闘能力を活かした強襲用戦闘兵器として作られている……と、そこまではアークも光の国の防衛で何度も戦っているから知っていたが、普通のロベルガーの怪獣形態は精々そこそこ強い怪獣レベルなのに対し、このクリムゾンロベルガーは明らかに戦闘特化のインペライザー以上の力を持っていたのだ。
『皇帝命令、光の者、破壊!』
「アークディフェンサー!!!」
円盤生物でありながら地上を高速で走破するクリムゾンロベルガーは走り回りながらも両手の手裏剣型光弾を正確に放ってくるので、アークは咄嗟にバリアを展開して防がざるを得ず……その隙に一旦停止したクリムゾンロベルガーは頭部からバリアを突き破れるだけの高出力の光線を放って攻撃する。
「うおっ⁉︎ 危なっ……アークスラッシュ!」
『皇帝命令、光の者、破壊!』
バリアが破れる寸前に地面に転がり込んで回避してアークは反撃の光刃を連射して攻撃するが、それらを受けても円盤生物らしからぬ硬い装甲を持つクリムゾンロベルガーはさして怯まず、逆に手裏剣型光弾を連射して反撃に出る始末だ。
『皇帝命令、光の者、破壊!』
「これではが埒があかないな……なら、スペシウム光線! そんでノーマルモードで……行けセブンガー!!!」
なので、まずアークは素早く腕を十時に組んでスペシウム光線をクリムゾンロベルガーに向けて放った……無論、即座に反応した相手が頭部から撃った光線によって相殺されたが、その爆発が生んだ煙幕に紛れてアークは怪獣ボールを相手の近くに投擲した。
『◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️ー!!!』
『皇帝命令、光の者、破カッ⁉︎』
そうして皇帝命令によりアークとの戦いに集中していたクリムゾンロベルガーは、突如として隣に現れたセブンガー(ノーマル)の拳を避ける事は出来ず、そのまま横っ面をブン殴られて地面に倒れた。
「そこだ! ダイレクト八つ裂き光輪!」
『ココココ皇帝命レッ!?!』
倒れたクリムゾンロベルガーにすかさずアークは馬乗りになり、更に八つ裂き光輪を手に持ちながら直接相手の首に押し付けて物凄い勢いの火花を散らしながら無理矢理切断しようと試みた。
……そんな
「くっ、エースさん直伝のダイレクト八つ裂き光輪でもダメか! セブンガー!!!」
『◼️◼️◼️◼️◼️ー! ◼️◼️◼️◼️◼️ー!!!』
『皇帝命令、光の者、破壊!』
そして即座に起き上がったクリムゾンロベルガーは戦闘兵器故に痛みも恐怖も感じないので首が千切れかけていても攻撃の手を緩める事無く、更に皇帝の護衛機として最後まで戦い続ける為に特に強化されていた円盤生物由来の細胞変異による再生能力で傷を回復させつつあった。
……それでもダメージを与えている今の内に優勢を取るべく、アークはセブンガーと連携しながらクリムゾンロベルガーに攻撃を仕掛けていく。
『◼️◼️◼️◼️◼️◼️ー! ◼️◼️◼️◼️◼️ー!!!』
「アークブレード! セエイッ!!!」
『皇帝命令、光の者、破壊!』
超パワーを誇るセブンガーの鉄拳とアークの光剣による斬撃が左右から襲い来るが、それらの連携攻撃をクリムゾンロベルガーは的確に捌きつつ反撃の手裏剣光弾を放って攻撃の手を阻害させて行く……先程は皇帝命令による『ウルトラ戦士への優先攻撃』の所為でセブンガーへの対応が僅かに遅れたが、クリムゾンロベルガーの超高性能AIは既に戦闘パターンを修正済みだ。
更にクリムゾンロベルガーは戦闘経験からの学習による敵の行動パターンの解析と対応すら可能な様に作られており、それ故徐々にアークとセブンガーへの対応手段が鋭くなって来ていた。
『皇帝命令、光の者、破壊!』
『◼️◼️◼️◼️ー! ◼️◼️◼️◼️◼️ー!?』
「コイツ、首の再生がもう……⁉︎」
首のダメージを最低限修復したクリムゾンロベルガーは使用可能になった頭部の光線をセブンガーに当てて吹き飛ばし、そうして分断した間にアークを始末すべく得意の手裏剣光弾連打で攻撃し始めたのだ。
辛うじて光剣でそれらを斬り払っていくアークだったが、通常のロベルガーの三倍の速度とエネルギー量から放たれる光弾のラッシュを完全には防ぎきれず、とうとういくつかの光弾が身体に当たった所為で近くのビルまで吹き飛ばされてしまった。
『皇帝命令、光の者、破壊!』
『◼️◼️◼️◼️ー! ◼️◼️ー! ◼️◼️◼️◼️◼️ー!!!』
「くっ、助かったセブンガー!」
ダメージに倒れたアークにトドメの光線を放とうとしたクリムゾンロベルガーだったが、その攻撃は戻ってきたセブンガーが組み付いて動きを封じてくれたお陰で阻止された。
(成る程、パワー・スピード・装甲・頭脳・火力、それら全てにおいてロベルガーの三倍近い性能だな。総合的な戦闘能力を見れば以前戦ったボガールやエースキラー、或いはマザーケルビムにも匹敵するか。……さて、どう倒すかな)
……そんな事を考えつつ、アークはとにかく少しでもダメージを与えるべくセブンガーに組み付かれたクリムゾンロベルガーに格闘戦を挑みに行くのであった。
あとがき・各種設定解説
惑星ヤオトリ:銀河連邦所属惑星の1つ
・住民であるヤオトリ人は特殊なエネルギーを宿している以外は地球人と変わらず、その特殊なエネルギーも専用の機材が無ければ引き出せない。
・だが、専用装備で超人みたいな戦いも出来たりするし、300年ぐらい前まではそれで異次元から来る怪獣と戦ったりしてた。
・その戦いが終わってからは銀河連邦に加盟して技術レベルが上がった事で防衛軍は無人機主体になり、生身戦闘は緊急時の自衛とかスポーツみたいな感じに今はなってるとか。
・その特殊なエネルギー自体が基本的に惑星ヤオトリ周辺でしか高出力で使えないので、他の惑星との交易はある程度の輸出入ぐらいで余り外惑星と関わる事が少ない星。
・大戦争の時も先の理由で戦力の派遣とかは殆ど不可能だったので自惑星の防衛に徹しており、そこまで旨味のある星では無かったのでエンペラ軍団側からもスルーされていた。
・今回襲撃を受けたのは単にそこそこ地球の近くにあったからで、不意打ちだったので防宙網も抜かれ防衛隊も苦戦した模様。
アーク&セブンガー:絶賛苦戦中
・セブン21は惑星ヤオトリに居る他のインペライザーやロベルガーを倒す事を優先しており、アーク達に関しては信頼しているので後回しでも良いかと考えている。
・セブンガーは市街地での戦いという事で過剰な火力が無く陸戦での運動性やパワーに優れた通常状態で起動させている。
【皇帝近衛機 クリムゾンロベルガー】:赤くてツノ付きだから性能は通常の三倍
・メタ的にはネタしかない見た目だが、性能に関しては暗黒四天王などの幹部メンバーがエンペラ星人の護衛用として作ったので侵略用と比べても遥かにガチな物になっている。
・単騎の性能も高い上に超高性能なAIを積んでいるので、他の近衛機との連携や通常の戦闘兵器を配下とした組織戦で皇帝に仇名す者を殲滅するコンセプトで作られた。
・……最も、エンペラ星人的には数を揃えても護衛としては誤差の範囲としか思われてないので、ウルトラ戦士への妨害とマイナスエネルギー徴収の為の侵略兵器として色々な惑星に放り込まれてその猛威を振るう事に。
読了ありがとうございました。
尚、同じ頃にメビウスは死に掛けてる模様。後2〜3話ぐらいでこの章も完結予定です。