「チィ! 八つ裂き光輪!!!」
「フハハハ! 無駄無駄ァ!!!」
宇宙のとある宙域、そこでは宇宙警備隊員アークと黒赤い髪と湾曲した2本角が特徴的な宇宙人──【宇宙大魔王 ジャッカル大魔王】が激しい戦いを繰り広げていた……最も複数枚投げて八つ裂き光輪が大魔王の片手の一振りで砕かれるなど、アーク側の防戦一方な戦況だったが。
何故こんな事になっているのかと言うと、宇宙保安庁の仕事でパトロールをしていたアークにいきなりジャッカル大魔王を名乗る相手が襲いかかって来たのだ。事前にセブン21から注意を受けて警戒していた事もあって奇襲でいきなりやられるのは避けられたのだが、まともな戦いになってもアーク単独では実力差が大き過ぎてこの状況と言う訳である。
「ええいっ⁉︎ 昔親父にやられた恨みで息子の俺に不意打ちを仕掛けて来るとか、大魔王を名乗る割にみみっちいぞ!!!」
「ふん! そんなもの貴様の父親であるゾフィーから受けた屈辱に比べれば些細な事よ!!! ヤツが使った『黒い光線』に消しとばされた先代の無念を晴らすため、ブラックホール内部のエネルギーを吸収して同じ『大魔王』へと至ったこの俺の力をゾフィーに思い知らせる礎となって貰うぞ!!!」
(成る程、コイツは親父が倒したやつとは別人。所謂ジャッカル大魔王(2代目)って所か)
そんな事になっている理由は所謂逆恨み、かつてゾフィーに撃退された意趣返しにその息子であるアークの事を狙った様だ。宇宙保安庁としての仕事振りや大戦争の一件でアークはそれなりに有名になっていたので、何処からか情報を仕入れて来たらしい。
……そんなやり取りをしている間にもジャッカル大魔王は次々と強力な破壊光線を放ってアークを追い詰めていき、彼もそれを避けるか防いで時間を稼ぐのが精一杯な様子だった。
「時間稼ぎをしようとしても無駄だぞ! ここ一帯の宙域は俺の配下によって封鎖されているから、ウルトラサインも出せんし援軍も来ない! テレポートで逃げる事も出来んぞ!!!」
「そもそもサイン出す余裕も無いんだが……全く念入りな事で! スペシウム光線!!!」
そう言いながら苦し紛れにアークが放った光線すらも掌で受け止めたジャッカル大魔王は、そのまま両手を合わせてその間に『漆黒のエネルギー球体』を作り始めた。
「とは言え、貴様程度を相手にそこまで時間をかけてはいられんからな。……貴様の父親が使った黒い光線に対抗する為に編み出したこの技で葬ってくれる! ブラックホールノヴァ!!!」
「何ッ! ヌ、ヌワァァァ────ー!!!」
そうしてジャッカル大魔王が放った黒いエネルギー球体がアークの近くに着弾した瞬間、強力な超重力により吸引力を持つマイクロブラックホールを作り上げて彼を吸い込んでしまったのだ……この『ブラックホールノヴァ』はジャッカル大魔王(2代目)がゾフィーが使ったブラックストリームM87を見て、それに対抗する為にブラックホールから得たエネルギーを直接攻撃に転用した技である。
……先代のジャッカル大魔王を倒したゾフィーを消し去るべく編み出したその技の威力は凄まじく、宇宙警備隊の中でも精鋭と言えるアークであっても発生された超重力から逃れる事は出来ず、悲痛な悲鳴を上げながらブラックホールに飲み込まれてこの宇宙から消え去ってしまった。
「フハハハハハハハ! 見たかゾフィー! 貴様の息子を跡形も無く消しとばしてやったぞ!!! 次は貴様の番だ!!! ……さて、予定通りまずは息子の死を奴等に伝えて動揺させつつ、その隙を突いて光の国に保管された【アーマードダークネス】と【ウルトラベル】を奪うとするか。復旧作業がひと段落した今が最も警戒が緩いだろうからな」
そんな宇宙を揺るがす程の二つの神器、それらを手に入れれば再び自分達ジャッカル軍団がこの宇宙を支配する事が出来る……と考えながら、ジャッカル大魔王は光の国への侵攻計画を続行する為に部下と合流してその場から去って行ったのだった。
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ω月ω日
そう言うわけでブラックホールからサクッと脱出した俺は、近場にあったアンドロメダ星雲支部にてジャッカル大魔王(2代目)に関する情報を支部長であるゾルビーさんとメロスさんに伝えておいたのでした。
……ブラックホール内部は親父でもメロス氏(アンドロ警備隊で先代さんの方)に助け出されなければ死んでいたレベルの環境だが、俺には時空間に関して万能な『銀の鍵』があるからな。まだ完璧に使いこなせずとも大量のエネルギーを消費すればブラックホールに押しつぶされない事も、そこから脱出する事も容易いのだ。メロスさんにはちょっと引かれたけど。
そもそも連中の転移妨害結界に覆われていようが『銀の鍵』を使えば脱出は簡単だからな。ジャッカル大魔王から情報を可能な限り抜き出した所で撤退する予定だったし。あのブラックホールは怪しまれず離脱する為にむしろ好都合だったわ(笑)計算通り。
そう言うわけで俺がもたらした情報によって宇宙警備隊は警戒態勢に入ったんだけど……そのちょっと前ぐらいにあのジャッカル大魔王が『宇宙警備隊隊長ゾフィーの息子であるアークは俺が殺した!!!』とか布告してくれたんだよな(笑)正直コメントに困る。
俺からジャッカル大魔王の情報を持ち帰ったと親父を始めとする隊長格に報告されたすぐ後の事だったから、その宣言を聞いた親父達も(・Д・)ってなったわwww。
……既に宇宙警備隊には俺の生存が伝えられていたから『実は生きていたのさァー!』とかも出来ないし。むしろ情報が錯綜してちょっと混乱したぐらいだ……だからメビウス、俺は普通に生きてるからな。おばけとか言って騒ぐんじゃない。
とりあえず親父達を中心に俺の生存を警備隊には伝えたので混乱は収まったし、ジャッカル大魔王(2代目)の宣言に関してもフカシと誤報って事にして解決した。
ついでにジャッカル大魔王の方に『アレ? 仕留めたと思った? 残念俺は生きてました〜www。ブラックホールノヴァ(笑)の威力がクソショボかったので脱出余裕だった件www。ドヤ顔で宣言しておいてフカシ扱いされてねえ今どんな気持ち? NDKNDKwww』みたいな挑発文を返信しておいたZE!
ちなみにこれは敢えてジャッカル大魔王を挑発して俺を狙わせて、そこを集めたウルトラ兄弟を始めとする精鋭部隊でタコ殴りにすると言う作戦の為だからな。親父からは『挑発文はもう少しなんとかならなかったのか?』って言われたけど、プライドが無駄に高そうなアイツならこのぐらいの方が有効だろうと納得してもらった。
……まあ、趣味が入っているのは否定しないけどね!
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○月○日
そんな訳で囮役としてアンドロメダ星雲支部で待機していた俺の元へ、何故かめっちゃキレてる(残当)ジャッカル大魔王とその配下達が強襲して来ましたとさ。
まあ支部には長のメロスさんを始めとしてセブン21先輩、マンさん、ジャックさん、エースさん、レオさん、アストラさん、それとメビウスが詰めてたし、他にもベテランの宇宙警備隊員が常駐している上に他の支部や光の国から直ぐに援軍を送れる様に特殊なトゥウィンクルウェイを準備してあったから狙い通り迎え撃つ事が出来たんだがね。
……でも大魔王が積極的に俺を狙ってくるのは酷くない? 魔王名乗る割にみみっちいんだよな。どうにか凌げはするけどさ。
最初は少し押され気味ではあったけど俺を囮にしながらメロスさんやウルトラ兄弟がジャッカル大魔王を攻撃する感じで善戦しつつ、援軍に来た親父を始めとしる残りのウルトラ兄弟や精鋭部隊との協力で一気にジャッカル軍団の戦力を削ぐ事が出来た。
……その際に大魔王相手に命令無視して突出した女性警備隊員アウラ(どうも父親を殺されたとか言ってた)を庇ってメロスさんが負傷すると言うアクシデントもあったが、親父のフォローによってどうにか持ち直したしな。
その後は宇宙警備隊の精鋭部隊による攻撃で配下の軍団はほぼ壊滅し、後は大魔王を総掛かりでボコって倒すだけ……だったのだが、あの大魔王のやつ性格は割とみみっちい割に戦闘能力はバカ高いからウルトラ兄弟+オマケの俺による一斉攻撃にも耐えて、更には反撃のブラックホールノヴァを(俺に対して罵声を放ちながら)撃ち込んでくる有り様なんだが。
まあ見たのは2回目だったし『銀の鍵』を使って対消滅させてやったけど、そしたら今度は普通に破壊光線をブッパして来たからエネルギー切れもあってキツイキツイ。ウルトラ兄弟達がフォローしてくれたからエネルギー切れ寸前を悟られる事は無かったけど。
それでも他の隊員達の援護によってどうにか優勢に戦えてはいたのだが、そこで光の国から緊急の連絡があった……なんと光の国で保管されていた【アーマードダークネス】が奪われたと言うのだ! ちょっとセキリュティ班ー!
まあ、その報告を受けた後にジャッカル大魔王が『フハハハハ! 馬鹿どもめ! 此処にいる我らは囮で本命は光の国に向かわせた別働隊よ、エンペラ星人が残した神器【アーマードダークネス】を奪うためのな! あの鎧と俺の力が合わされば最早宇宙に敵はいない! 次に会う時が貴様ら……特にこっちを散々おちょくって来たアーク! 貴様の最後になるからなぁ!!! 覚えておけよ!!!』と言ってその場から消え去ってしまった。
なんかスッゴイ目の敵にされてるわ。引き続き囮が務められそうなのは何よりだけど、流石にあの大魔王にアーマードダークネスが追加されるのはヤバいから後を追わないとなぁ。
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○月◉日
ジャッカル大魔王襲撃並びにアーマードダークネス強奪事件についての詳細報告……まずジャッカル大魔王に関しては銀河連邦にも協力を要請して現在追跡中。襲撃して来た軍団の殆どは倒せて組織力が大きく下がってるから見つけるのは時間の問題だろうって話だ。
一応、光の国に侵入した連中も半分くらいは倒したから向こうの戦力はかなり減ってる筈だと……というか、むしろ光の国に潜入したのはほぼ自分の命を捨てる事が前提の決死隊だったみたい。潜入のプロな上で躊躇なく自爆特攻もしてくるから、まだ完全な封印をしていなかったアーマードダークネスを奪われた形らしい。
それで肝心のアーマードダークネスの方だけどどう封印すれば良いのか分からず、科学技術局が中心になって可能な限り厳重に保管しながら調査・研究している所を奪われたそうな……その時に技術局の局員に被害が出たけどヒカリさんがその場にいたから死者は出なかったらしい。
そもそもアーマードダークネスと言っても未だに完全な鎧の形に再生していない、小手とか兜の一部以外は単なるマイナスエネルギーの塊だったみたいだからな。お陰で保管もかなり難しく、襲撃して来たジャッカル軍団の思念に反応してそいつに装着されて半ば暴走気味に暴れたのも取り逃がした理由だそうだ。
とは言え、そこは技術局の科学者達故ただやられっぱなしで終わる事は無く、マイナスエネルギー感知装置を改造して現状垂れ流しになっているアーマードダークネスのマイナスエネルギーを感知する装置を開発、量産してジャッカル軍団捜索の一助となっている様だ。
また、向こうの研究成果によってアーマードダークネスの再生には大量のマイナスエネルギーが必要であり、現在の宇宙の状況込みだと自動再生終了まで数千年かかる事が分かっている。勿論どうにかして大量のマイナスエネルギーを用意すれば再生可能だが、そんな事をすれば直ぐに感知出来るしな。
そして最も重要なのは今の状態のアーマードダークネスを装備したとしてもジャッカル大魔王の力はそこまで上がらないって事だ。流石に多少は強化されるだろうがどうしようもないレベルにまで到達する事は無いだろうとの見立てである。
まあ、ジャッカル大魔王(2代目)自身の戦闘能力がウルトラ兄弟をまとめて相手取れるレベルだから、多少強化されるだけでも十分危険だと言えるんだが。何とかして早く見つけないといかん。
……最も、俺は挑発し過ぎて狙われてるから精鋭が詰めてる支部に待機させられてるんですけどね! 大魔王のブラックホールに対抗出来る数少ない人員だからいざとなれば救援に行くけど、単騎の所を狙われたらヤバいし囮戦術もまだ使えるだろうって事でこんな配置なのである。ノコノコやって来るなら迎撃出入るんだけどどうなるかな。
あとがき・各種設定解説
アーク:大魔王がみみっちいと言うのは彼の主観
・最も本気でそう思っている訳でもなく集中的に狙われた腹いせと、向こうの実力が高すぎると分かっている故に挑発する事で動きを鈍らせようとする策が殆ど。
・『銀の鍵』の扱いに慣れて来たので、歪んだ空間を元に戻すという形式なら多量のエネルギーを使う事でマイクロブラックホールを相殺するなどが出来る様になっている。
ジャッカル大魔王:原作よりもゾフィーへの恨みが強い
・この世界線では以前の戦いでは光の国相手にジャッカル軍団は大敗を期しているので軍団の総戦力は原作よりもかなり小さいが、その分囮作戦や(失敗したけど)アークを倒す事でゾフィーの動揺を誘う策など搦め手をよく使って来る。
・ただ、大魔王自身はゾフィーに対抗する為にブラックホールのエネルギーを使いこなす修行を積んだので、何が新技とかを覚えているなど若干強化されている。
読了ありがとうございました。
ジャッカル大魔王及び軍団戦は現先とは大分違う感じになると思いますがご了承ください。感想・評価・誤字報告などはいつでも歓迎です。