宇宙に輝くウルトラの星   作:貴司崎

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宇宙警備隊員アークの日記:異生獣-ビースト-

 ω月α日

 

 今日も元気に宇宙保安庁のお仕事、だいぶ1人での仕事も様になって来たかな。日記を見返してみても情報収集の為の他組織やフリーの情報屋へのコネが一応出来た事とか、各種調査資料のまとめとかもスムーズに出来る様になった辺りに成長を感じられる。

 

 それはそれとして今日も怪獣に襲われた隊員の救助に行ったんだが、その際に戦った怪獣がアーカイブや警備隊の記録にも載っていない新種の怪獣だったんだよな。頭部が三つあって火炎弾と催眠音波による幻術を駆使してくる厄介な相手ではあった。

 ……まあ、現地の警備隊員を苦戦させていたのは主にウルトラ族すら嵌める幻術によるものであり、俺には『銀の鍵』による空間索敵があるから問題なく見破れたので普通に倒せたが。フィジカルはそこそこだったし火球に関しても連射性は良かったけど威力は腕の一振りで弾ける程度だったからな。

 

 だが、そいつを光線技で爆散させた後に肉片や因子みたいなのが残り、それが『倒した後にも関わらず活性化状態にあった』のには驚いたが。どうも相当に生命力が強い……と言うレベルでは無い気もする厄介な種族だったらしい。

 とりあえず肉片は可能な限り消滅させた上で因子も出来るだけ浄化してみたが、何というか因子自体は『マイナスエネルギー』に近い気配があったんだよな……ぶっちゃけこれは絶対にタチの悪い新種生物だな(確信)

 念の為に一番小さい肉片を確保した上で凍結処理を施して科学技術局に解析を頼んでおいた。ヤバめな新種生物が発見されるのは偶によくある事だし、その手の生物の解析に関してのプロである彼等なら何とかしてくれるだろう。

 

 

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 ○月○日

 

 件の新種に何となく嫌な感じを受けたので、今日は先日新種が現れた場所周辺を念入りに捜索する事にした。今思うとあの新種はこちらに対する悪意が異常に強かったからな。生物兵器で無機質な超獣とかとはまた違う異常性がありそうだったし、もし繁殖とかしていたら厄介な事になりそうだったからな。

 ……何というか、あの新種は今まで出会ってきた怪獣・超獣とはまた根本的に違う感じがするんだよな。新種の怪獣自体は珍しく無いが、根本的にこの辺りの生態系から外れてるし外来種かな。

 

 この宇宙では星間航行出来る生物は珍しく無いから、一つの惑星に外来種が現れて生態系が乱れるのは割と良くあるし。ウチでも文明監視員とかがメインでその辺りの対象も行なっているが、いかんせん人員が足りないから保護する必要のある惑星か余程ヤバいヤツ以外はそこまで積極的に対応してないし。

 ……そもそも宇宙を移動出来る種類以外にも、大昔に【エンペラ星人】やら【レイブラッド星人】やら【ジュダ】やらが怪獣軍団なんてものを組織する為に全宇宙から強力な怪獣を集めて、更に彼等が倒された後に生き残りの怪獣が色々な惑星に散らばって持ち前の生命力で環境に適応しちゃったりしてるので、この宇宙の生態系は大分分かりにくい事になってるからな。

 

 異なる惑星で同じ種類の怪獣やその近似種がいたりするのはこれが理由なんだよね。正直言って昔の伝説レベルのヤベー連中がどのくらい手を伸ばしていたのかとか、現在の宇宙警備隊でも完全に把握し切れていないレベルだし。

 直近の第二次大戦争ではエンペラ軍団の主力が量産型のロボット軍団だったからそこまで生態系の変動は起こらなかったけど、当然惑星規模で被害が出た所や協力していた勢力の影響もあったので今でも文明監視員が調査資料作りに奔走してるのだとか。

 今回の一件でも『こっちで調査してから資料作っておきますね』って言ったら滅茶苦茶感謝されたしな。やっぱ戦闘よりも資料作りや調査の方が重要なんだなって。

 

 

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 ○月◇日

 

 調査中に今度はまた別の新種と遭遇して戦闘状態になった。外見は動物で言うネズミの様な感じで鋭く長い爪と牙を持っていて、先日遭遇した三頭型と同じ様にこちらに異様な殺気と悪意を向けて来たから生物的な共通項は殆ど無いが同種、もしくは同族と思って間違いないだろう。

 幸い今回は俺1人だったので味方のフォローの必要とかもなく余裕があったので色々と試してみた。例えばまず凶暴化した怪獣を鎮静させるテレパシー応用の精神干渉とかもやってみた……が、効果は全く無し。それどころか相手の意識が悪意一色である事が分かった。やっぱ只の怪獣じゃねえなコイツ。

 

 次に浄化光線を直接打ち込んでみたが、こっちは精神干渉よりはマシで相手は悶え苦しむ様子を見せたものの倒すまでには行かなかった。多分肉体自体は物理的な生物に近いのかね。連中から漏れ出てる因子はマイナスエネルギーに近いんだが根本的にどこか違うのかね。

 とりあえず一通り試した後に本気の光線によって細胞の一片も残さず跡形もなく消し飛ばして、霧散した因子も出来るだけ浄化したんだが……やっぱりまだ分からない事が多いな。そもそも“この惑星には怪獣の様な大型生物は殆どおらず、小型の動物ぐらいしか生息していない”筈なんだが。ここは技術局の解析結果を期待しつつもう少し調べてみるか。

 

 

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 ○月△日

 

 今日ようやく技術局の方から解析結果が届いたぞ。流石に早いね! ……それによるとコイツらは『特殊な因子』が他の生物に取り憑くことで変異・誕生する謎の生物群だと言う事らしい。通りで見た目や生物的に特性が違うのに同じ性質を持っている訳だ。そもそも別の生物に取り憑いて変異させたんだろうな。

 更に細胞全てからマイナスエネルギーに近い特殊な震動波を発せられていて、種族全体がこの振動波のネットワークで絶えず情報交換を行っているとの事。そして知性体の恐怖の感情そのものを食らって進化する特性も確認されたと言う……これは共存とか出来ない上に放置しておくと不味いやつじゃな? 幸いこの辺りには知的生命体は余りいないし、少ない街とかに見張りを立てておけばなんとかなるか? 

 

 ただ、連中を倒す際に細胞一片まで焼き尽くすのは有効だが、その後に霧散した因子を浄化する事に関しては効果が微妙らしい。一応浄化能力でもある程度因子を消滅させる事は出来るが怪獣を倒した時の量からしても1割程度が限界で、残りは吸収するべき生物の負の感情──マイナスエネルギーが浄化された影響で休眠状態に入っているだけとの事。

 ……うむむ、これは浄化するのは逆効果だったか。不活性状態って事はいずれ活性化するって事でもあるし、未来への禍根を残しただけになった様な気がする……まあ、技術局の方で因子を感知出来る装置を作ってくれると言われたし、この因子は危険性が高いって事で援軍を送ってくれるって話だから出来る限り対応するしかないか。

 

 

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 ○月▽日

 

 そんな訳で援軍として文明監視員のマックスとゼノンが来てくれた。彼等はこの手の外来種への対応法とかにも詳しいし、戦闘能力に関しても言わずもがなだから凄い頼りになる。

 加えて技術局謹製の因子探知機まで持ってきてくれたし……最近しょっちゅう色々な探知機を作っていたからノウハウが溜まっていたので楽に作れたのだとか。この運用データを使って様々な情報を解析出来る新型汎用探知機の開発も進められているらしいし。

 

 それはともかくとして探知機の助けもあり因子によって変容した現地生物の発見はスムーズに進行した。なんか不定形な感じのヤツが大量に出て来たけど一体一体は弱かったから3人で普通に倒せたしね。合体してデカくなったのもいたけど3人がかりなら敵じゃなかったのでした。

 倒した後に拡散する因子もエネルギーフィールドを作り上げてその内側に閉じ込めて地道に浄化する事で対処出来たので、今後も連中の排除と因子の浄化、そしてこの因子が何処からやって来たのかなどを詳しく調べていく予定。

 

 

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 ○月▼日

 

 とりあえず探知機に反応がある範囲内にあった因子とそれによって変化した生物の討伐と浄化は無事に完了したぞ! ……幾ら何でも早すぎないかと思われるかもしれないが、ぶっちゃけ出て来た怪獣は犬型・ネズミ型・不定形型の三種三体だけで、後は小型か不活性状態の因子だけだったので割とあっさり討伐が終わったのだ。

 マックスとゼノンの意見では例の因子は何処からかこの地区にやって来たが数は少なかったと思われるとの事。あの因子の繁殖力……と言うか憑依・変異能力からして時間が立っていれば惑星一つ二つぐらいは余裕で効果範囲に収める事が出来ると思われるのが理由の様だ。更に俺が早期に見つけて細胞一片まで焼き尽くすとか浄化などの対処を行ったお陰で異常な繁殖をせずに済んだのだろうとさ。

 

 ……ただ、この謎の因子は一体何処からやって来たのか分からないのが不気味なんだと言うのも二人の意見だった。別の星系からやって来たのならその道中にある惑星も侵食されている筈なのだが、この惑星周辺を念入りに調べてみてもそう言った痕跡は無く平和そのものだったのだ。まるでいきなりこの惑星に因子が現れたかのように。

 まあ、ワープとかテレポートとか異次元から来た侵略者とかは別に珍しくもないから、いきなり因子が発生した事自体は驚く事じゃないんだが……その原因を見つけないと再び同じ事が起きかねないし、あの因子の危険度を考えると早期に対処出来なければどれだけの被害が出るか分からないからな。

 この因子とそれによって生まれた生物はかなりの危険度を持っていると警備隊の方でも判断され、仮称として【スペースビースト】と言う名前をつけた上で俺達により詳細な調査を命じて来た。とにかく原因を見つけ出さないと。

 

 

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 ◉月◉日

 

 あれから調査範囲を広めてこの恒星系周りまで【スペースビースト】の存在は確認出来ず、仮称【ビースト因子】の反応も検出されなかった。どうやらあの惑星にいた連中を倒した事によって大体消去してしまったらしい。

 ……また、この恒星系に『大規模な空間異常』が起きていた痕跡があったので、やはりマックスとゼノンの予想通り因子は銀河連邦の領域範囲外にあった因子の直接転移、或いは異次元か異世界辺りからの来訪者である可能性が高そうだ。

 

 ビースト因子の侵食率から考えて例え辺境であっても存在していれば連邦か警備隊の耳に入らない筈がないので、おそらく異次元や異世界・並行世界関連である線が濃厚だろう。異次元に到っては怪獣墓場や暗黒宇宙など色々あるし、並行世界に関してもマックスやメビウスを始めとしてそこに訪れた警備隊員は何人かいるし、最近では【マルチバース理論】とかで研究も盛んだから十分にありえるんだよね。

 ……さて、問題は異次元やら異世界から来たのはこれまで浄化した少数のビースト因子だけなのかと言う事だ……ぶっちゃけ、ここで起こった空間転移の規模からして僅かな因子が来訪したにしては大き過ぎるんだよな。

 

 単に偶々デカイ空間転移が起きて偶然少数の因子が流れ着いただけなら問題無いんだが、ビースト因子とスペースビーストの危険性を考えると楽観視は出来ないし、これ以上何か厄介なものが流れ着いていないとも限らないのでもう少し調査をするつもりだ。

 ……後は【銀の鍵】を持って空間に関する感覚が鋭い俺の勘なんだが、ここの空間異常にはビースト因子とは“比べ物にならない強大な存在”が関わっている感じがするんだよな。まあ証拠とか詳しい説明をしてくれと言われても困るんだが、大戦争の時に俺の力を見ていた二人は普通に信じてくれたので入念に調査をしていくと言ってくれた。

 二人としても文明監視員としての経験からスペースビーストやビースト因子には相当な脅威を感じていたからスムーズに話は進んだよ……何か大変な事が起こってる気もするから急いで状況を正確に把握したい所だな。

 

 

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 ◉月▲日

 

 例の恒星系の隣にある文明圏が無く知的生命体が居らず、逆に巨大怪獣の多くが生息している惑星が複数ある星系で木乃伊化した怪獣の遺体が数多く発見された。どうも何者かに生命エネルギーを奪われたらしい。

 その中には【ブラックキング】や【レッドキング】などの強力な種族もいたのでこれをやった者は相当な力を持っていると考えられた。態々生命エネルギーを奪うなんて回りくどいやり方で強豪怪獣を複数殺害出来るレベルの。

 いきなり現れたビースト因子との関係は不明であるし探知機の反応もなかったが、同時期に起きた異常事件である以上何らかの関係があると考えて調査するべきだろう。生命エネルギーを奪ったって事はそのエネルギーを何かに使おうとしているのだろうし。

 

 

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 ◉月▼日

 

 怪獣のエネルギーを奪う事件を追っていたら【小型の短刀】の様な物を拾った……いや、何故か“これを拾わなければならない”と強く感じ取ってしまったんだが。と言うかいつのまにか地面に落ちていて気付いた時には手にとってたんだが。

 それにコイツには探知機や技術としてのエネルギー探知でも一切反応は無いにも関わらず、俺の“直感”には凄い力が込められてる気がしてるしなぁ。まあ中にあるソレは“悪いモノ”では無い気もするし、一応マックスとゼノンには見せに行くか。




あとがき・各種設定解説

スペースビースト:言うまでもなく【ネクサス】に登場したアレである
・ちなみにM78スペースの平行同位体とかではなく【ネクサス】世界からやって来たヤツで、漂着した場所が知的生命体が殆ど居なかったのでエサ不足で大した事が出来なかった。
・どうにか作った怪獣も直ぐにアークに見つかった所為でサクッと駆除されたので、原作みたいな深夜番組並みのトラウマ展開は起きなかった。
・何故この世界に来たのかとかはまだ不明であるが、少しネタバレをすると『オマケ』で僅かにくっついて来ただけの連中だったり。

【小型の短刀】:何故か時折鼓動の様な反応を示すらしい
・ちなみに『赤と黒のヤツ』じゃなくて『白いヤツ』なので圧倒的にセーフ。


読了ありがとうございました。
今年もボチボチ投稿していくのでよろしくお願いします。感想・評価・誤字報告もいつも通り受け付けます。
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