Fate/Grand Devil   作:ユリゼン

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#3 帰還

 「おいおい、こんな綺麗なレディ達を消そうとするとは、男どころか人間の風上にも置けねえな」

 

 洞窟内に姿を現したダンテは笑いながらモサモサの髪の男……いや、男だったモノに向かってそう言い放つ。

 今のやつは先ほどまでとは違ってもはや人間とは呼べないくらい禍々しく嫌な気配を放っていた。

 

 その男だったモノはダンテ達を見て『ありえない』といった表情を浮かべている。

 

 「バ、バカな!? なぜ貴様が、スパーダの息子がここにいるんだ!?」

 「あ? そんなもんこの人理とやらを救いにきたに決まってるだろ」

 

 男だったモノの言葉にダンテは面倒そうに返す。奴がこんなことを引き起こさなければ今頃ダンテは事務所兼自宅でのんびりと過ごしていた頃だろう。

 

 「あ、あの………」

 

 そんな時、後ろにいた薄紫の少し露出が激しい鎧を身に纏った少女が戸惑いながら声をかけてくる。

 ダンテは後ろを向き、笑いながら言った。

 

 「よく頑張ったな嬢ちゃん達。後は俺達に任せとけ」

 「は、はあ………」

 

 ダンテの言葉に少女は戸惑いながらもそう返してくる。

 それを見たダンテはアナスタシアとカーマに言った。

 

 「アナスタシアは嬢ちゃん達を守ってくれ。カーマは俺と一緒にあいつをぶちのめすぞ」

 「わかったわ」

 「任せてください」

 

 ダンテの言葉に全身に赤い紋様を浮かべたアナスタシアと、本来の力を引き出し大人の姿へと変わったカーマがそう返してくる。

 そしてアナスタシアは少女達の前に立って背後にナイトメアを召喚し、カーマは手足から青い炎を纏いながらダンテの隣に立つ。

 

 「その魔力にその霊基………貴様ら、サーヴァントではないな」

 

 男だったモノはアナスタシアとカーマを睨みつけながらそうつぶやく。

 するとカーマが鼻で笑いながら言った。

 

 「ハッ、だからなんだって言うんですか? 私達がサーヴァントだろうとサーヴァントでなかろうと、あなたを愛す(殺す)ことには変わりありませんから」

 

 そう言うと同時にカーマが手の平を男だったモノに向ける。その瞬間男だったモノの周囲に青い光を纏った黒い球体が無数に出現した。

 そしてカーマが手の平を握ると、黒い球体が一斉に男だったモノに向かって飛んでいく。

 

 「チィッ!!」

 

 男だったモノは魔術による火球で黒い球体を撃ち落とすが、それでも撃ち落としきれずに黒い球体を数個喰らう。

 それによってよろめいたところをダンテが右手に呼び出した魔剣ダンテで斬りかかる。男だったモノは魔剣ダンテが持つ力を感じ取ったのか、防ごうとせずに魔剣ダンテを避ける。

 しかし避けた先の上空にはカーマが身の丈もあるヴァジュラをかかげており、男だったモノがカーマの真下に来た瞬間、カーマがヴァジュラを投げつける。

 

 「グウッ!?」

 

 突然の攻撃に男だったモノは結界を張ってヴァジュラの直撃は防ぐものの、衝撃までは防げれず吹き飛ばされる。

 

 「おいおいどうした? さっきまでの威勢は何処にいったんだよ?」

 

 ダンテは魔剣ダンテを肩に担ぎながらそう言う。しかし男だったモノは何も言わずにダンテ達を睨みつけるのみだ。

 ダンテは魔剣ダンテを消すと、エボニーを抜いて男だったモノの頭部に向ける。

 

 そして引き金を引こうとしたとき────不意に空間が揺れた。

 

 「ッ!?」

 

 ダンテは驚いて男だったモノから一瞬目を離す。その瞬間を見逃さず男だったモノはダンテに向かって火球を放ってくる。

 

 「チッ!」

 

 ダンテは舌打ちしながら避けると、再びエボニーを男だったモノに向ける。しかし男だったモノの体がブレ始める。どうやら何処かへ逃げるつもりらしい。

 

 「悪いがここは引かせてもらおう。この特異点はじきに崩壊する。そうなれば貴様らは死ぬ。仮に脱出できたとしても人類の破滅の未来は変わらん!」

 

 そう吐き捨てて何処かへ転移しようとする。

 逃すまいとダンテはエボニーの引き金を引くが、男だったモノの肩を撃ち抜くも男だったモノを仕留め損なった。

 

 「ハッ、負け犬の遠吠えだけは一流だな」

 

 ダンテは鼻で笑いながらそう言ってエボニーをコート内のホルスターにしまう。そしてカーマと共にアナスタシア達の元へと戻った。

 

 「お疲れ様、ダンテ。惜しかったわね」

 「なに、次会った時は確実に仕留めてやるさ」

 

 アナスタシアの言葉にダンテはそう返すと、アナスタシアに守られていた少女達の方を向く。

 

 「よお、怪我はないか?」

 「は、はい、おかげさまで…………あの、失礼ですがあなた達は………?」

 

 薄紫の鎧に身を包んだ少女がそう聞いてくる。

 それに対してカーマが口を開いた。

 

 「別に答えてもいいですけど、ここにいたら全員お陀仏ですよ?」

 「そ、そうね。ロマニ、脱出の準備は?」

 『大丈夫だ! 今からそこにいる皆をレイシフトする!』

 

 そう音声が聞こえるのと同時に体が光に包まれ始める。

 

 そして視界も光に包まれ、ダンテ達はこの空間から脱出した。

 

 

………

……

 

 

 視界を染めていた光が晴れると、ダンテは先ほど飛び込んだ大広間に戻っていた。

 周囲を見回せば隣でアナスタシアとカーマが気を失って倒れており、少女達は職員と思われる人物達によって担架に乗せられて運ばれていた。その中には死から蘇った少女の姿もある。

 

 「アナスタシア、カーマ、起きろ」

 

 ダンテはアナスタシアとカーマに声をかける。すると二人は少し身動ぎしてから、ゆっくりと目を開けた。

 

 「あ、ここは……?」

 「カルデアだ。どうやらあの空間から戻ってこれたらしい」

 

 アナスタシアの言葉にダンテはそう返す。どうやら無事にあの異空間から戻ってこれたようだ。

 

 「この感覚は慣れそうにありませんね………」

 

 アナスタシアに続きカーマが片手で頭を押さえながら起き上がる。

 すると白衣を着た柔和そうな青年が近づいてきた。

 

 「あの、大丈夫ですか?」

 「ん? ああ、大丈夫だ」

 

 青年の言葉にダンテはそう返す。すると青年が警戒するように聞いてきた。

 

 「………あなた達は一体何者ですか? ここはカルデアの職員以外は入れないはずですが」

 「別に怪しいもんじゃない。俺達は『ある依頼』のためにここに来ただけだ」

 「ある依頼、ですか?」

 「ああ。『人理に危機が訪れるから救ってほしい』っていう依頼がな」

 

 ダンテがそう言い放つと、青年の表情が驚きに染まる。

 まあそうなるのも無理はないだろう。カルデアは先の爆発事件が起きるまでは人理に危機が訪れることを知ることができなかったのに対し、ダンテ達は何者かからの依頼によって人理に危機が訪れることを察知していたのだ。

 魔術師でも何処かの組織に所属しているわけでもないダンテ達が人理の危機を察知していたことに驚きを隠せない青年はダンテに聞く。

 

 「じ、じゃあ君達はこの『人理焼却』が起こることがわかっていたのかい!?」

 「いや? 俺はただ依頼にあった場所がここだったから来ただけだ」

 

 ダンテは肩をすくめながらそう返す。

 そのことに青年は胡散臭そうに見ていたが、やがてため息を吐いてから口を開いた。

 

 「………とりあえず君達がレフの仲間ではないことはわかった。今は状況が状況だし落ち着いたら君達のことについて聞かせてもらうけど、それで構わないね?」

 「ああ、全然いいぜ」

 

 青年の言葉にダンテはそう返す。

 すると青年は慌ただしく動き回る職員達の元へと向かって走っていった。

 その後ろ姿を眺めていると、子供の姿に戻ったカーマが口を開く。

 

 「ダンテ、彼らに自分の正体を話すんですか?」

 「普段ならバラさないだろうが、今回は状況が状況だ。俺達だけの力じゃ依頼をこなすことはできん。なら力を借りるためにも自分のことも話さないとな」

 「そーですか。まあ私はあなたの判断に任せるだけですよ」

 

 ダンテの言葉にカーマは投げやりに返し、そのまま適当な瓦礫の上に腰掛ける。アナスタシアはいつの間にかナイトメアを上半身だけ呼び出して、自分を腰掛けさせていた。

 

 (さて、これからどうなることやら)

 

 そう思いながらダンテも適当な瓦礫の上に腰掛けて、慌ただしく動き回る職員達を眺めるのだった。

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