Fate/Grand Devil   作:ユリゼン

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第一特異点 邪竜百年戦争 オルレアン
#9 出立


 人理が崩壊してから数時間とも数日とも、とにかくそれなりの時間が経過した後、ダンテ達は管制室に集まっていた。ロマニを始めとしたスタッフ達がついに最初の特異点を特定したからだ。

 

 管制室にはダンテ、アナスタシア、カーマ、ティアマト、今回同行するアルトリア・オルタ、そしてオレンジ色のライダースーツのようなものを身に纏った立香とマシュがいた。

 

 「これ、着なきゃいけないんですか………?」

 

 少し際どい格好なために落ち着かないのか、そわそわしながら聞く立香。それに対しダヴィンチが口を開いた。

 

 「『レイシフトスーツ』はレイシフトの安全性を上げるものだからね。まあ安心したまえ、レイシフト先ではいつもの服装に戻ってるよ」

 「大丈夫です先輩! すごく似合ってます!」

 「あはは、ちょっと複雑………」

 

 マシュの言葉に立香は苦笑いする。そしてすぐにダンテ達の方を向いて口を開いた。

 

 「ダンテさん達は着なくてもいいんですか?」

 「彼らの場合は存在そのものが奇跡に近いからね。レイシフトに対しても非常に適性が高かったんだ」

 「まあ俺達にとっちゃいつもの格好が一番動きやすいってわけだ。………そんなことよりもだ」

 

 そう言ってダンテはある一点を指さした。

 

 「その白い動物は何だ?」

 「フォーゥ……」

 

 ダンテが指さした先であるマシュの腕の中にはネコだか犬だかよくわからない白っぽい動物がいた。そこそこカルデアにいるが、こいつを見たのは今日が初めてである。

 するとマシュが口を開いた。

 

 「あ、紹介しますね。この方は『フォウ』さん。いつの間にかカルデアにいたよくわからない生き物です」

 「よくわからないのか」

 「はい」

 

 どうやらマシュもよくわかっていないらしい。そのフォウはというと怯えているのか警戒しているのか、マシュの腕から逃れようとしていた。

 

 「あ、ダメですよフォウさん。ちゃんと挨拶しなきゃ」

 「フォウフォウ!!」

 

 マシュがそう言うが、フォウはそれでも逃れようとジタバタする。

 そんなフォウにダンテは笑いながら言った。

 

 「安心しろ、別に取って食ったりなんかしねえよ」

 「フォーゥ」

 

 ダンテがわしゃわしゃと撫でると、ようやく観念したのかフォウが大人しくなる。

 それにしてもこのフォウとかいうやつ、不思議なことにカーマやティアマトと似たような気配を感じる。しかしその当の本人達であるカーマもティアマトもフォウには全くと言っていいほど興味を示していなかった。

 

 (まあ気にすることでもないだろ)

 

 ダンテがそう結論づけると、ちょうどロマニが口を開いた。

 

 「君達が向かうのは第一の特異点。西暦1431年のフランスだ」

 「中世期のフランスで大きな出来事といえば百年戦争かしら」

 

 アナスタシアの言葉にオルガマリーが頷く。

 

 「ええ、そうよ。おそらくその最中に()()が起き、特異点となったと推察されるわ」

 「僕が方針のナビゲーション、元所長が遭遇したサーヴァントの真名の看破、レオナルドがサポートを担当する。立香ちゃん及びマシュは聖杯の探索、異変の調査をお願いするね」

 「「はい!」」

 

 ロマニの指示に立香とマシュが返事する。

 するとロマニがダンテ達の方を向いて口を開いた。

 

 「ダンテさん達はすまないが立香ちゃん達を護衛してくれ」

 「ああ。本来ガキのお守りは仕事じゃないが、今回ばかりはそう言ってられないからな」

 

 ロマニの言葉にダンテはそう返す。

 先ほど話し合ったのだが、特異点に向かった際には別々に行動するのではなく、一つに固まって行動することに決まった。というのも立香とマシュはまだ戦闘に慣れていないため、敵勢力と遭遇した際に大打撃を受ける可能性があるからだ。

 もちろん特異点を解決していくために戦闘は必須なので、敵の数が多い時はダンテ達が敵の数を減らし、残りの少ない敵を立香とマシュが倒すという算段である。

 

 「ダンテさん、その……よろしくお願いします」

 

 立香とマシュが緊張した面持ちでそう言ってくる。それに対しダンテは笑いながら口を開いた。

 

 「そう重く受け止めんな。リツカは昨日言った通り『生き残る』ことを考え、マシュはリツカを守るために敵をぶっ飛ばせばいい」

 「は、はい!」

 「わかりました! 不肖マシュ・キリエライト、先輩を守るために全力で敵勢力をぶっ飛ばします!」

 

 ダンテの言葉に幾分か気が楽になったのか、大きな声でそう返してくる。

 それに対してアナスタシアが微笑みながら口を開いた。

 

 「その意気よ。いざとなったら私達も助けます。だから安心して戦いなさい」

 「そうですよ。今回ばかりは堕落とか言ってられませんからね」

 

 アナスタシアに続きカーマも珍しく真剣な表情でそう返してくる。まあ事態が事態なので、ダンテとの楽しい生活を取り戻すためなら真面目にやるのがカーマである。

 

 「立香ちゃんのサーヴァントは待機している。戦闘になったらいつでも呼んでくれ」

 

 ロマニの言葉に立香とマシュは頷く。そしてレイシフトするメンバーはコフィンの中へと入った。

 

 『アンサモンプログラム、スタート』

 

 

 

 ────これより始まるは、破滅の運命に抗う者達の新たなる伝説。

 

 

………

……

 

 

 一瞬の宙を浮いたような感覚がした後、再び地面に足が着くような感覚がする。

 ダンテが目を開けると、映ったのは鬱蒼とした森の中だった。

 

 「レイシフトは成功したようですね」

 

 ダンテの隣にいるティアマトが周囲を見回しながらそう言ってくる。ティアマトの言う通り誰一人欠けることなくこの場におり、立香とマシュはレイシフトスーツからいつもの服装に戻っていた。

 

 「フォウ!」

 「フォウさん!?」

 

 すると突然マシュの首元からフォウが飛び出してくる。どうやらこの獣にもレイシフト適性があったらしい。

 

 (そういやレイシフトする時、こいついたっけか?)

 

 ふと疑問に思うが、アルトリアの言葉によって意識が現実に引き戻された。

 

 「マスター、上を見ろ」

 

 アルトリアの言葉にダンテ達は上を見上げる。

 そして次の瞬間、言葉を失った。

 

 

 

 

 

 ────何処までも澄み渡る青い空、その中央に光り輝く光帯らしきものが走っていた。

 

 『光帯………ロマニ、1431年にそれに類似したものがあった記録は?』

 『ありません。これは予測ですが、衛星軌道上に展開された何らかの魔術式かと思われます』

 『この人理焼却と何か関係があるのか………?』

 

 通信機器の向こうでロマニ達の声が聞こえてくる。そんな中、アナスタシアがダンテに声をかけてきた。

 

 「ダンテ、試しにナイトメアで撃ち込んでみる?」

 「………やめとけ。こういう時は下手に触らん方がいい」

 

 アナスタシアの言葉にダンテは珍しく慎重的な意見を返す。しかしダンテの言う通り、正体がわからないものを下手に刺激して余計面倒なことになったら手がつけられなくなるので、放っておけるならそれに越したことはない。

 

 「さて、ここでじっとしていても何も始まらない。そろそろ動いた方がいいと思うがどうだ?」

 『そうだね。幸いそこから少し離れたところに現地の兵と見受けられる反応がある。何かわかるかもしれないから接触してみよう』

 「よし、そうと決まれば善は急げだ。リツカ、マシュ、行くぞ」

 「「はい!」」

 

 ロマニからの指示により、ダンテ達は現地の兵がいると思われる場所へ足を向けた。

 

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