ゲームキャスターさくら   作:てんつゆ

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人形列車 月の色2

 ――――――それから急いで駅に向かっていると、前方から誰かが走ってこっちに向かって来てるのが見えました。

 …………あれは。

 

「あっ。和希!?」

「待たせたな」

「いえ。凄く早いです」

 

 ふぅ。和希さんが来てくれたら百人力です。

 

「さくら~」

 

 後ろからの呼び声に振り向くと、どうやら忍さんも私達に追いついてくれたみたいです。

 

「急いで来てあげたんだから、感謝しなさいよね」

 

 そう言ってる忍さんですが、かなり飛ばして走ってたのにあんまり息切れしてない辺りに、普段から部活で運動している成果が見受けられました。

 

 後は望さんが来てくれたら全員揃いますが、流石にもうちょっと時間がかかるかも。

 

 

 そんな感じで和希さんと忍さんが合流してくれて安心する私でしたが、そんな私達を壁から覗き見している人物の姿がありました――――――。

 

「ふふん。やっぱり最速一番手は、音速で見つけたこの私みたいね!」

 

 その人は上着のポケットから通信機みたいな装置を取り出して、ボタンに手を伸ばした瞬間。

 

「そこか!!!!」

 

 和希さんが凄い速さで懐から1枚カードを取り出して投げつけると、カードは隠れている人が持っていた通信機に突き刺さり、その勢いで通信機が地面に落下。

 

「えっ!? いったい何が!?」

 

 私が突然の出来事に何が起きたのか分からず動揺していると、和希さんが一歩前に出て壁の向こうの相手に言葉を投げかけました。

 

「かくれんぼなら、見つかったら出てくるのがルールだろ?」

 

 少しだけ沈黙が流れた後。

 隠れていた人が。

 

「ふ、ふん。言われなくても、音速で行くわよ!」

 

 と言いながら、無駄に素早い動作で私達の前に姿を現しました。

 

「あっ!? あのデバイスってもしかして!」

 

 謎の人物の装着しているマテリアルデバイスは全体的に青色でカラーリングされていて、上着とスカートには白いラインが入っていました。

 そして、肩の部分には自分の所属先を示すような感じで、金色で十字架の様な紋章が付いています。

 

「マリアさんと同じデバイス!?」

「ふーん。いたずら猫の事を知ってるって事は、やっぱりあんた達で正解って訳ね」

 

 謎の人は右手を私達に突き出し、要求を述べてきました。

 

「こっちの要求は理解ってるでしょ? 大人しくその子を渡したら、今回は見逃してあげてもいいわよ?」

「な、なによ。急に出てきて! そんな事、出来るわけ無いでしょ!」

 

 啖呵を切りかえす忍さんでしたが、相手は何故か凄く余裕な感じで笑みまで浮かべちゃってます。

 

「いいのかしら? 私が通信機のスイッチを押したら仲間が音速で駆けつけて、貴方達はすぐに包囲……………って、ちょっと待ちなさいよ!」

 

 私は仲間を呼ばれる前に、この場所から逃げる事を選択。

 反対側に方向転換し戦う気マンマンの忍さんの手を引きながら、謎の人に背を向けて走り出しました。

 

「ふん。私から逃げられるとでも思ってるの!」

 

 謎の人が私達の居場所を知らせようと、通信機を拾おうとした瞬間、和希さんが謎の人の前に立ちふさがりました。

 

「和希さん!?」

「お前達は先にいけ!」

 

 私は頷いて和樹さんに後を託して、その場から逃げる事に成功。

 そして和希さんは相手に向き合い、ゲーム勝負を持ちかけます。

 

「仲間に連絡したかったら、私にバトルで勝ってからにするんだな」

「ぐぬぬ。いいわ、あなたなんて音速で倒してあげる!」

「音速が光速に勝てると思ってるのか?」

 

 その一言が相手の癪に障ったのか、ちょっとだけブチギレモードに。

 

「言ってくれるじゃない。だったら私の本気を見せてあげる!」

 

 謎の人は首元から取り出したペンダントを掲げて叫びます。

 

「ディス・パージョン!」

 

 言葉が終わると装着していたマテリアルデバイスが消え去り、黄色いブラウスに赤いホットパンツのカジュアルな私服姿に。

 

「どうした? こっちの不戦勝でいいのか?」

「言ったでしょ、本気を見せてあげるって。 来てっ! フミンバイン!」

 

 空がキラリと光り、上空から戦闘機が……………いえ、戦闘機の形をしたマテリアルデバイスが凄い速度でやって来て、真横にホバー状態で停止しました。

 

「これで私の勝利は揺るがない! フミンバイン、コンバージョン!」

 

 音声に反応した戦闘機型デバイスが変形分離して体に装着されていき、最後に決めポーズ!

 

「最速、音速、ナンバーワン。我は音速の菜々子」

 

 音速の菜々子と名乗った人物は、さっきまでの落ち着いたカラーリングとは正反対の真っ赤なマテリアルデバイスを身につけています。

 

「これはさっき付けてた支給品と違って、私のスピードについて来れるようカスタマイズされた音速デバイス。そして、この速さについてこれなかった人はみんな対戦した後に私をこう呼ぶの。音速の菜々子って!」

「…………だったら私もそう呼ぶ事になるのか?」

「当然。音速で呼ぶ事になるってわけ」

「そいつは音速で遠慮したいな。――――――来い、ハヤテ! コンバージョン!」

 

 和希さんも続いて自分のマテリアルデバイスを装着。

 

「神速の閃光ここにあり! 仙堂 和希、見参!」

 

 お互いにデバイスのセットアップが終わり対峙すると、菜々子さんが両手を広げて前に出し、和希さんに見せつけました。

 

「どうした? 手相を見て欲しいなら占い屋に行ったほうがいいぞ?」

「10秒よ! 10秒で終わらせてあげる」

 

 それを見た和希さんも対抗して片手を広げて相手に見せます。

 

「だったら、こっちは半額セールだ。急がないと売り切れるかもな」

「ぐぬぬ。もう、これ以上の警告は必要無いみたいね」

「すまない。アラートを切ってたから、お前の警告音が聞こえなかったみたいだ」

「これ以上の問答は無用のようね。バトル!」

 

 お互いのデバイスの通信接続が終わり、2人の景色はゲームの中へと移行して行き。

 そして――――――――。

 

「音速の菜々子、参る!」

 

 菜々子さんが名乗りを上げた瞬間。

 

「セントラル・エッジ!」

「きゃああああっ」

 

 一筋の光が瞬きをするよりも早くフィールドを貫き、直後。

 

「勝負あり!」

 

 とジャッジが試合終了を告げるコールをあげました。

 

「なんだ。口だけじゃなくて本当に早いんだな。対戦を終わらせるスピードが」

 

 

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