ゲームキャスターさくら   作:てんつゆ

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人形列車 月の色 完

「ちなみに、その子の事はどれくらい知ってるんだい?」

「衛星レーザーを撃てる!」

「自分で答えちゃってます!?」

 

 まあ自分の事は自分が一番解っているとは思いますが。

 

「ちょっと違うかな。正確には君は、衛星の遠隔メンテナンスをしてもらうために作られたんだ」

 

 あんまり自分の事解ってなかった!?

 

「そうだったんだ」

「けど。軍事衛星の兵器も自由に動かせちゃう事が分かって、君は自分の意思で眠る事を選んで、聖梟教会が管理する事になったんだけど…………覚えていないかい?」

「そう言えば、そうだった…………ような?」

「多分長期スリープ中に無理やり覚醒したせいで、一部の記憶がまだ曖昧なんじゃないかな?」

「つまり常時ねぼすけさんって事ですね」

「あっ。ひっど~い」

「一応、今後の対応は教会所属の人形師と相談する感じになるんだけど」

「…………人形師?」

 

 私がハテナマークを浮かべた瞬間。

 教会の奥にある扉が開き、コツコツと足音を立てながら誰かが講堂に入ってきました。

 

「待ったかしら?」

 

 幼くも威圧感が隠しきれていない声。

 私はこの声を知っている。

 

「あっ!? ちょうどその人形師の子が来たみたいだね」

 

 青い修道服を着ていて、頭に被った頭巾からは綺麗な金髪が見えていました。

 足元にはじゃれつくように猫型のマテリアルデバイスが付き添っています。

 

「ごきげんよう」

「マリアさん!? どうしてここに!?」

 

 身構える私に、神父さんが「はぁ」とため息をついてからマリアさんの方を見ました。

 

「…………やっぱりまたマリアが何かして、面倒な事になってるんだね」

「別にマリアは何もやってないわよ? それに、その子を渡してって、ちゃ~んとお願いもしたんだから」

「…………それで、渡す理由も言わずに力ずくで受け取ろうってなったわけ?」

「だっていちいち説明するのって、とっても面倒なんだもの」

「いや。どう考えても、今の状況の方が面倒な事になってるでしょ! 菜々子達には後でちゃんと説明しておくんだよ?」

「なら後で差し入れでも持っていくわ」

「…………あの。これは一体どうなって」

「警戒を解いていいよ。この子の身分は僕とこの教会が保証するから」

 

 結論から言うと、マリアさんは本当にこの教会に所属する人形師で、呪いの人形や遺跡などから発掘された異物を専門に扱う専門家でした。

 

 ただ本人にクセが強いというか気まぐれと言うか、今回の事も普通に人形を回収するだけだと退屈だから、あえて騒ぎを大きくしたとかどうとか。

 

 私が偶然列車の中でトランクケースを見つけて勝手に持っていった事で、マリアさんが回収出来ずに今回の騒ぎになったので、半分くらいは私のせいかもしれませんが…………。

 

 ちなみにマリアさんの存在は、その特殊性から教会の中でも一部の人しか知らなくて、トランクケースの受け取りも間接的に行われる予定だったみたいです。

 

 落とし物の届け出が無かったのもトランクケースの中身が中身なので、あまり外部に知られてはいけなかったから。

 

 まあ本来の目的地へと届ける事が出来たので、今回は結果オーライって事で!

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――それから数日後。

 日常生活に戻った私は自分の部屋でゴロゴロしながら、月刊 闇のゲーム列伝を読んでいちゃったりします。

 

 そして、先日の旅行で知り合った人形少女はどうしているのかと言うと――――。

 

「さくら~。お菓子のおかわりは~?」

 

 同じく私の部屋で、のんびりと棒状のお菓子を食べているのでした。

 声の方を向くと、机の上には空になったお皿が2つ。

 

「って、私のお菓子が消えちゃってる!?」

 

 中途半端にスリープから解除されてしまった為、不安定な状態ですぐにまた長期スリープ状態になると記憶がどうなるのかわからないので、ひとまず記憶が完全に戻るまで様子見をすると言う結論に。

 

「ちょっと追加のお菓子を取ってきます」

「私のもお願いね~」

「ふぅ。仕方ないですね」

 

 私は部屋から出て1階への階段を降りていきます。

 

 今回の旅行で得たものは、不思議な友達が出来た事と――――――。

 

「さくら~。お客さんの注文受けてきてくれる~?」

「は~い」

 

 今の時間はお客さんが少し多めなので、ちょっとお手伝い。

 ロッカーにかけてあるエプロンを付けると、すぐに水とおしぼりを持ってお客さんの待つテーブルへと持っていきました。

 

「ご注文は?」 

「そうね。紅茶とトーストをもらえるかしら?」

「…………うちは喫茶店じゃないです」

 

 テーブルには金髪でフリルのたくさんついたドレスを着ている少女の姿がありました。

 普段はリニスの近くにいて守護役として悪い人から守る事にしてるとか。

 

「食事が終わったら私の部屋に来ますか?」

「遠慮するわ。マリアはこれから駅前のお店に、新しいお人形を見に行く予定があるから」

「いきなり職務放棄!?」

 

 ――――――不思議な常連さんが増えた事です。

 

 

 

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