ゲームキャスターさくら   作:てんつゆ

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格闘ゲーム編2 遊びは終わりです!

 シャンティのオンラインゲームのラグ論争をしていると、ふとある人物の名言を思い出しました。

 

「それにプロゲーマーのドララさんも言ってました」

「えっと、なんか言ってたっけ?」

 

 私はシャンティに指をさして宣言します。

 

「勝ったら実力! 負けたらラグっ! これはドララさんの自伝の帯にも書いてあった名言です!」

 

 ドララさんとは様々な対戦ゲームで活躍するプロゲーマーの1人です。

 総勢100キャラいるゲームで全てのキャラを使いこなし、大会の参加者全員に有利キャラを被せるという離れ業をやった事は今でも伝説の1つとして語られていますね。

 

 そのドララさんの自伝である「ド・ラグ」税込み2500円は私も購入し何度か読んで、今までの生き方に感銘を受けました。

 

「あ~、あの無駄に高かった本か~」

「いえ、あれは高いと言うか適正価格です。ドララさん関係の商品はある法則性があるので」

「……なにそれどういう事?」

 

 ふむ。ドララさんの事を知らないとは、これはシャンティを少し教育してあげないといけないようですね。

 

「ちょっと待っててください」

 

 私は本棚の前に移動し、そこから1冊の本を取り出しました。

 そして、パラパラとページをめくり目当てのページを見つけると、本を広げてシャンティに見せてあげました。

 

「これがドララさん監修のお菓子ドララ焼き1個2500円です」

「普通のドラ焼きの25倍!? 何が入ってたらそんな値段になるの!?」

「そしてこれがドララさん監修のスポーツカー1台2500円です」

「やっす!? てか安すぎて逆に怖いんだけど」

「最後にドララさん監修のゲームが2500円です」

「あ、適正価格のもあるんだね」

 

 ドララさんの2500へのこだわりをシャンティに教えてあげた私は本をパタンと閉じて自慢気に胸を張りました。

 

「…………ねえ、桜?」

「おや? どうかしましたか?」

「もしかしてただ2500って言いたいだけだったりしない?」

「おおっ!? 流石に気付いてしまいましたか。まあこれは知ってる人だけのお約束ネタみたいな物ですので気にしないでください。私が毎月買ってる雑誌にも定番ネタになってますし」

 

 ――――と、シャンティといつものやり取りをしていると、下の階からトントンと階段を登って来る足音が聞こえてきて、少ししてから私の部屋の扉が開け放たれました。

 

「さくら、ちょっといいか?」

 

 ドアの開閉と共に聞こえてきた声は普段着の上にお店のエプロンを付けたお父さんの姿ででした。

 

 

 

「おや? なにか用事ですか?」

「うむ。 実は桜に用があって来たのだ。店で使う材料が少なくなっていたので、お使いに行ってきて欲しいのだが頼めるだろうか?」

「いいですよ。丁度ゲームも切りが良い所で終わりましたし」

「終わったと言うか自分で終わらせちゃった感じだけどね~」

「あ、あれは事故です!」

「――ふむ? よくわからんが行ってくれるなら助かる。では桜の端末に買ってくる物リストと電子マネーを送っておくので後はたのんだぞ」

「わかりました」

 

 要件を伝え終えたお父さんはそのまま部屋を出て階段を降りていき、少ししてからシャンティに通知が来ました。

 

「あっ。送金と買い物リストが届いたよ」

 

 それを聞いた私は出かける準備をする為に帽子置きからお出かけ用の帽子を手に取り頭にかぶると、無駄にくるりと一回転。

 

「ねえ、桜。回る必要あるの?」

「あたりまえじゃないですか。気分をおでかけモードに切り替えるのに必要なんです!」

「ああそう…………」

「では、出かける準備も終わったので買い物に向かいましょうか」

「りょーかい」

 

 シャンティはふわふわと移動してきて、私の右肩のちょっと上くらいで停止しました。

 私の場所を探知して障害物を自動で避けながら周辺を浮遊する自動追尾モードに移行したみたいです。

 

 ――――私は部屋から出て階段を降りて1階に行くと、お店の準備をしているお母さんを見つけたので声をかける事にしました。

 

「ちょっと買い物に言ってきます」

「――――買い物? 何か欲しい物でもあるの?」

「いえ、お父さんに材料の買い出しを頼まれたので」

「あ~。そういえばそんな事言ってたかも」

 

 と、口元に人差し指を当てて、ちょっと前の事を思い出す感じのポーズをするお母さんの姿が微笑ましく見えました。

 

「何か他に買ってくる物とかあったらついでに買ってきます」

「ん~と。今は特に無いかな。せっかくお使いに行ってもらうんだし、少し位ならお釣りを好きな物に使ってもいいからね?」

「では帰りに本を買ってきます。…………っと。そういえば、今日って何日でしたっけ?」

「え? 今日は30日だけど?」

「30日…………あっ!? す、すぐに買ってきます!」

 

 私は早る気持ちを抑えきれずに外に飛び出て、目的のお店へと急ぎました。

 

「あっ。ちょっと桜。走ったら危な――――も~、そんなに慌てて行かなくてもいいのに」

 

 そんな私に自動追尾で付いてきたシャンティが話しかけてきました。

 

「そんなに慌てなくてもお駄賃は逃げないってば」

「いいえ、逃げます。ちょうど発売したばかりの本にとても欲しい物があるので急がないといけません」

「どうせまた変な本買うんでしょ? 通販でもいいんじゃない?」

「まったく、シャンティは解ってませんね。それに私が欲しいのは本屋さんで買うと特典があるので通販じゃ駄目なんです。今月の月刊永久コンボにはこの街のゲームセンターが特集されてるので絶対買わないといけません!」

「やっぱり変な本じゃん……」

 

 ――――ぱぱっと買い物を済ませた私は本屋さんに直行し目当ての本を探すと、どうやら最後の1冊だけ残っていたようで何とかギリギリで購入する事が出来ました。

 

 

 

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