ゲームキャスターさくら   作:てんつゆ

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バトロワ編5

「…………あの。シャンティ、大丈夫ですか? 私が理解ります?」

「………………………」

 

 更に数十秒の沈黙の後、ギランと一瞬デバイスの目が光り、カメラのセンサーが私の姿を捉えてからデバイスの口についている本体のスピーカーから機械音声が聞こえてきました。

 

「ふぃ~。やっぱり新型は反応速度が違うね~。―――――って、どうかしたの桜?」

 

 シャンティはちゃんと私の事を認識しているみたいで、どうやら無事にデバイスの交換が終わったみたいです。安心した私は気が抜けてしまったのか、その場にペタンと座り込んでしまいました。

 

「その。記憶カートリッジを新しいデバイスの中に入れるのは初めてだったので…………上手く出来たのかちょっと緊張しちゃいました」

「なんかデータが沢山あって新しいデバイスに最適化するのに時間がかかってたみたいだね~」

「…………データが沢山? う~ん、写真や動画はそんなに頻繁に撮ってなかったと思うのですが…………まあ今度暇な時にデータの整理をした方がいいかもしれませんね」

 

「まあ無事にデータの移行も終わった事だし、そろそろゲームの準備を始めようか?」

「そうですね。では早速――――――」

 私は部屋の真ん中に立ち、右手を上に掲げながら音声認識でシステムを起動させる事にしました。

「では、いきます。シャンティ、クロスアップ!」

「オッケー、桜!」

 

 

 私が声を発するとシャンティのカメラが私の体をスキャニングし始め、体型データがデバイスに登録されると猫型デバイスのパーツがパージされ私の体に装着されていきました。

 そして、最後のパーツが装着された瞬間、私は変身ヒロインみたいなポーズを決めて準備は完了。

 

「桜花爛漫(おうからんまん) 風宮 桜 参上ですっ!!!!」

「ねえ桜。そのセリフとポーズ…………いる?」

「いるに決まってます!!!」

 

 まあ、ポーズするのは個人の自由なのですが、これをする事により私のやる気が当社比50%くらい上がるので、私に取っては結構重要なんです!!!!

 …………ただ、周りにあまりこの重要性を理解してくれる人がいないのは難点なのですが。

 

 忍さんなんて、棒立ちで「そうちゃーく」ってやる気の無いセリフを言うだけで終わらせてしまうので、いつか一緒にポーズを取ってくれる友達が出来たらいいんですが。

 

「……ふぅ。これが新しいダイブスーツですか」

 

 私は鏡の前に立ってくるりと回って新しい服を確認してみました。

 水色のロングスカートがひらりとひるがえりスカートに施された青い宝石のような装飾がキラリと鏡に反射して輝きました。

 

「前のクソダサスーツとは全然違います!」

 

 旧デバイスのスーツは妙にゴツゴツしていて、手動でパーツを分解させて自分の手で付けていく必要があったのでかなり面倒でした。

 それに頭部パーツは髪の毛が全て隠れる様なヘルメットでしたから、前のと比べるとかなり可愛くてカッコいいです!

 

 マシンのスペックが大幅アップしたのも嬉しいですが、それより見た目の性能が大幅アップした事に花丸をあげちゃいます!

 

 

 ――――ふぅ。それにしてもこのデバイスを買ってもらえるまでどれだけお店のお手伝いを頑張ったか。

 たかがゲームにそこまでするの? って思う人もいるかもしれませんが、私のやっているブレード&マジック バトルフィールドは今世界的に人気ナンバー1のゲームで、このゲームだけで生活しているプロの人も沢山いるくらい凄いゲームなんです。

 私もいつか大きな大会に出場するのが夢なのですが、そのためには自分の強さを表すレートを上げなければいけません。

 なので私は今日もこのゲームの練習をひたすらに頑張るのです!

 

 

 ――――ピピピピ。

 私が初めて装着した新型デバイスに浸っていると、突然誰かからの連絡を告げる着信音が左腕に装着しているパーツから鳴りだしました。

 

「桜~。忍から電話だよ~」

「忍さんから? シャンティ、ちょっと繋げてください」

「はいは~い」

 

 私はシャンティに通話に出る事を告げると私の前に小さな画面が表示され、私が言葉を発するよりも早く画面の向こうの忍さんが話だしました。

 

「やっほー、桜。もうお店のお手伝いは終わったの?」

「はい、今終わった所です。――――と言うか、こちらから連絡をする約束だった気がしたのですが」

「ごめんごめん。なんだか待ちきれなくてさ~。じゃあ私は先に広場に行ってるから急いで来てね~」

「わかりました。私もすぐに行きます」 

 

 私は画面をフリックして横に飛ばすと、通話画面がすうっと消えて忍さんとの通話は終了しました。

 

「――――そろそろ私もログインしないと、これ以上待たせてしまったらまた電話がかかって来るかもしれませんし」

 

 私はヘッドパーツの耳付近にあるスイッチを押すと、シャカっと目の部分をバイザーが覆いこれでネットの海にダイブする準備は完了しました。

 

「それでは。――――クロスワールド!」

 

 私はネットに接続する言葉を発すると、周りの景色が崩れるように少しづつ溶けていき形を変えていきました。

 そして数秒後、私の前には壮大なファンタジーの世界が広がっていたのです。

 

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