目的の教室に辿り着いた私は窓から中を覗いたのですが、どうやら目的の人物はいないようです。
教室にいないとなると、いったい何処に……………?
そう言えば、屋上で謎の生徒が良く目撃されるって噂を聞いた事があった気がします。
もしかしたら屋上にいるのかもしれませんね。
とりあえず目的地を屋上に変更して階段を駆け上り屋上の扉を開くと、ふわっとした風が私の全身を包み込みました。
「誰だ!?」
私に投げかけられた声の方を向くと、屋上の建物の影になって日の当たらない場所に1人の少女が立っていたのでした。
「…………何だお前か」
「こんにちわ和希さん」
和希さんは右手に持ってた物を私に見えない様に後ろに隠しました。
まあ見せたくない物を無理に見る必要も無いですしね。
「ところで、こんな場所で何してたんですか?」
「なに、ちょっと影遊びをしてただけだ」
「影遊び?」
「それよりお前こそ、何でこんな所に来たんだ?」
「おっと、そうでした。実は和希さんにお願いが――――――」
―――――――そして、数日後。
ついに投票の日がやってきました。
現在会場である体育館に設置してある投票箱の前には、麗華さんとそのお付の人達が数人並んでいて、どうやら投票にやって来る生徒を待っているようです。
「ついにこの日が来ましたわね」
「ここまで来たら、もう麗華様の当選は確実でしょう」
「おーっほっほっほ。当然ですわ。……………それにしても、誰も投票に来ませんわね?」
「みんな麗華様に投票するのに緊張してるのかもしれませんね」
そこに突然、生徒が1人急いだ様子で麗華さんに走り寄って来ました。
「た、大変です。麗華様!」
「なんなの田中。騒々しい」
「そ、それが風宮陣営が体育館の入り口に陣取ってて…………」
「なんですって!? みんな行きますわよ!」
麗華さん達が体育館の入り口に到着すると、そこには入り口の真ん中に仁王立ちをしている私の姿があったのです!
「さ、桜さん。一体何をしているんですの!?」
「おや? これは麗華さん。何って私はただゲームをしているだけですよ? ―――――ただし」
私がボタンを押すと体育館の扉がゆっくりと閉じていきました。
「私に勝てないと、体育館に入る事は出来ませんけどね!!!!」
私は体育館のシステムを掌握して、私にゲームで勝った人しか入り口が開かないようにしたのです。
私が取った作戦は、生徒を投票箱のある場所まで辿り着かせないこと。
そもそも投票が出来なければ、麗華さんが当選する事はありません。
つまり時間ギリギリまで麗華さんに投票する人を投票箱に近づかせずにここを死守。
――――そして、私に投票する人だけここを通せば勝てる!!!!
「これが私のファイナル・オペレーション。通せんぼ作戦ですっ!!!!」
「ぐぬぬ。こしゃくな真似を。……………はっ!? そうですわ。確か体育館の北側にも入り口はあったはず―――――」
その瞬間、私達がいる体育館の反対側から巨大な爆発音と共に爆煙が立ち上りました。
「な、なんですの!?」
「くふふ。もちろん、そっちも対策済みです」
―――――体育館の北側の入り口で、大量の生徒を前に1人の少女が立ちふさがっていました。
「来ないのか? 別にこっちは100人同時に相手でも構わないぞ?」
先程、圧倒的実力差を見せつけられて敗北した生徒が地面に倒れているせいか、他の生徒もなかなか対戦を申し込み辛そうな感じです。
―――――そして、体育館の非常口の前。
「うぉおおおおおおおおおおお。ここは望が絶対に死守っ!!!!! ―――――って、誰もいないじゃん!?」
どうやら非常口は普段あんまり使う人がいないので、存在を知ってる人がほとんどいないみたいで暇そうです。
「まあいいや。ゲームでもして待ってよっと」
と、望さんはポケットにしまってあった携帯ゲームを取り出して、遊び始めてしまいました。
――――――更に、管制室。
ここはある意味、一番重要な場所かもしれません。
「あーもう。なんでこんな事になってるのよ!」
ぶつくさ文句をいいながらも、しっかり守ってくれそうな忍さんでした。
―――――といった感じで、私の最終防衛ラインの布陣に抜かりはありません!
そして私は迫りくる麗華さんの親衛隊を各個撃破していたのでした。
「うわあああっ」
「さあ、もう残ってるのは麗華さんだけです!」
親衛隊の最後の1人をやっつけて、麗華さん陣営で残っているのは麗華さんのみになりました。
流石に学校の生徒全員を相手にするのは厳しいので、麗華さんに投票しないっぽい人は事前に調べておいて何人かは通したのですが、それでもちょっと疲れてきたかもしれません。
―――――けど、残るは麗華さん1人っ!
「いいでしょう。最後にわたくしが相手をして差し上げますわ!」
「勝負ですっ!」
麗華さんはすたすたと私の方に歩いてきてゲーミングの準備を終わらせ、ついに最終局面がやってきました。
「ところで桜さん。ずいぶんとお強いようですが、イカサマとかはしてないでしょうね?」
「…………やってませんが、何が言いたいんですか?」
「最後の勝負は公平に行いたいので、ジャッジに判定をやってもらおうと思いまして」
「ジャッジですか? けど、ジャッジなんてどこにも―――――」
「おーっほっほっほ。心配ご無用ですわ」
麗華さんがパチンと指を鳴らすと、どこからともなく執事服を来た人物が現れました。
…………というかこの人、麗華さんの執事さんだった気がします。
「さあ公平に勝負ですわ!」
「ええっ!? どう考えても麗華さんに有利なジャッジをするような気がするんですが」
「こう見えて萩野は国際審判のライセンスを持ってますのよ。桜さんは、そのジャッジに文句がありまして?」
「うぐっ。確かにライセンスを持ってるのなら信用は出来ます。でも…………」
流石に麗華さんの身内がジャッジするとなると、少し不安は残ります。
「でしたら、桜さんが他のジャッジを用意する事が出来て? 出来ないのなら、このまま萩野のジャッジで開始ですわ!」
「そ、そんな…………」
これは大ピンチになってしまいました。
流石に今から協会からジャッジを派遣してもらうのは時間がかかりすぎます。
それに麗華さんがジャッジが到着するまで待ってくれるとは思えませんし…………。
ああっ。いったいどうしたら!?