ゲームキャスターさくら   作:てんつゆ

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バトロワ編6

 ――――ここは異世界ユグドラシル。

 

 剣と魔法で戦う私の大好きなもう1つの世界。

 この世界で私はいろんな姿になることが出来ます。

 かっこいい剣士にも華麗な森の狩人にも派手な服を来た大魔法使いにだってなれてしまうです。

 

 …………まあ、派手なアバタースキンを手に入れるには有料ガチャを引くかゲーム内マネーを貯めて購入するしか無いのですが、私はまだ小学生なので課金するお小遣いなんてそんなにあるはずもなく、毎日少しずつゲームをプレイしてゲーム内マネーを頑張って貯めている最中だったりします。

 

「――――と、そんな事より早く待ち合わせ場所に急がないと」

 

 私は小走りで急いで待ち合わせ場所に向かうと、そこには待ちくたびれた様子の忍さんが壁に背をつけてもたりかかりながら私を待っていました。

 忍さんの待っている場所の上には大画面のモニターが設置してあって、そこでは現在行われているゲームの1つが映っていました。

 

 状況から察するにこのゲームはもう終盤に差し掛かっていてそろそろ終わりそうです。

 私に気が付いた忍さんはこっちこっちを手を振って私に自分の居場所をアピールをしました。

 

「桜~。こっちこっち~」

 

 私もそれに答えるように忍さんの元へと歩いていきました。

 ちなみにこのユグドラシルの世界ではサクラ、忍さんはシノブと言うプレイヤーネームでゲームをプレイしています。

 

 まあお互いに本名をカタカナにしただけなのですが、漢字をカタカナにするだけでもゲームの世界にやってきた雰囲気は出ていると思うので問題はないですね。

 …………決してお互いに名前を考えるのが面倒だった訳ではありません。

 

「――――すみません、待ちましたか?」

 

「少しだけね~。――そんな事よりデュオの大画面で放映されるゲームがそろそろ始まるみたいからエントリーしない?」

「そうですね、では受付に行きましょう」

 

 このゲームでは1人用のソロ、2人でチームを組むデュオ、4人でチームを組むスクワッド、そして50VS50の団体戦があってこの中からローテーションでメイン広場の大画面で放映されるゲームが決まるのですが、今放送されているのがソロゲームなのでちょうど次がデュオが放映される番みたいです。

 

 自分のプレイを見せたくない人の為にここに放映されない非公開のゲームも用意されていますが、やっぱり人に見られてるって思うとプレイに緊張感が出てきますし、なにより勝負に勝った時に皆さんから凄いって称賛されるのがたまらなく気持ちいいので私はこの大画面に映るゲームの方が好きなんです。

 

 ――――私達が受付に行くとちょうど締切間際だったみたいでしたが、なんとかギリギリでエントリーに間に合いました。

 私達でちょうど100人目だったので、今回は抽選で外れる事もなさそうです。

 

「ねえ桜。そういや今回のルールってどんな感じだっけ?」

「ルールですか? えっと、簡単に説明するとですね―――――ムーブメントシュムックが一周するとグリモワールフィールドがスケールダウンするので、それまでにエレメタルアタッチメントをシェードチェインしながらマテリアルアーツなどを駆使して相手をオールアウトさせたら勝ちになるゲームです」

「…………は?」

 

 少し理解らない言葉があったのでしょうか。

 忍さんは目をパチクリさせながらイマイチ理解出来ていないみたいです。

 

「ですからムーブ――――」

「ストーーーーーーーーップ!」

「あの…………忍さん、どうかしましたか?」

 

「ねえ桜。その何とかムーブってチュートリアルで説明してたっけ?」

「その――なんとかムーブでは無くてムーブメントシュムックなのですが――――」

「そんなのどっちでもいいでしょ! 私そんな言葉聞いたこと無いんだけど」

 

「えっと、これは公式のガイドブックに書いてあった設定です。システムについてとても理解りやすく書いてあったのですが、その――どの辺が理解らなかったのでしょうか?」

 

 ちなみにこの公式ガイドブックはカイザーフェニックス書房から出版されているブレード&マジック パーフェクトガイドブックと言って定価は5000円もするのですが、総ページ数はなんと6000ページを超える大ボリュームで私がこのゲームをする上でのバイブルになっています。

 

 お年玉やお小遣いをコツコツと貯めて買ったこの本はもう10回以上は読み返していて、今では大半の内容が本を見ないでも言えるようになっている事が私の自慢の1つでもあります。

 

 こういう本は攻略記事だけ読んで設定はおざなりにする人もいるようですが、やっぱりゲームを楽しむ為には設定も全部理解した上で楽しまないとですね。

 

「どの辺が? じゃなくて全部よ、全部。もっと要点だけ理解りやすく説明してよね!」

「むぅ――――世界観に浸るためにはゲーム専用の言語で説明した方が楽しめるのですが――――そうですね、まず戦うマップを確認するのでメニュー画面を開いてマップを選んでください」

「え~っと―――――あっ!? これね」

 

 

 私達が何もない場所をタッチすると突然メニュー画面が空中に表示されて、そこの上の方にあるマップと書かれたボタンを押すと続けて地図が空中に表示されました。

 

「これが今回私達が戦うマップのホルホル高原です。初期からある一番基本的なマップですね」

「へ~。そうなんだ。ところでマップにいくつか建物があるみたいなんだけど、これは何だっけ?」

「それはこのマップにある火、水、風、土の4属性の神殿ですね。それぞれの神殿には装備を強くするアイテムが落ちているのですが、道中にある宝箱の中にも強化アイテムが入っている事があるので無理に向かわなくてもいいと思います」

 

 

 ――――説明を終えた私達はそのまま談笑していると、しばらくして私達の前にスタンバイの文字が出てきました。

 これを押したら私達は戦場へと転送されていく事になります。

 

「桜、準備はいい?」

「はい、いつでも行けます」

「よしっ、それじゃあ――――」

「レッツ、イグニッションです!」

 

 私達はスタンバイの表示を横にスワイプすると表示がGOに変更され私達の準備は完了しました。

 そして次の瞬間。私達の体は光に包まれて行き、船の様な乗り物の上へと転送されました。

 

 

 

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