ゲームキャスターさくら   作:てんつゆ

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人形列車 出発進行2

「す、すみません。大丈夫ですか?」

「大丈夫よ、マリアはへいきだから。それより貴方の方は大丈夫?」

 

 自分の事をマリアと名乗る少女はフリル多めのドレスの様な服を着ていて、頭には水色の大きなリボンが結ばれていました。

 見た感じ年齢は私よりちょっと下かもしれません。

 そして、足元には黒猫を模したデバイスが人懐っこくじゃれついているのが見えました。

 私がじっと見つめていると。それに気が付いた黒猫さんは、警戒してかマリアさんの足の後ろに隠れちゃいました。

 

「はい。私は大丈夫です」

「そ。なら良かった」

 

 良かったといいつつもマリアさんは特に関心が無さそうな、そっけない感じがします。

 

「はいこれ。あなたのでしょ?」

「すみません。ありがとうございます」

 

 私はペットボトルを受け取ると、今度は落とさないようにカバンにしまいました。

 キャップをちゃんとしていたので、マリアさんにかからなくて良かったです。

 

「それにしても貴方ずいぶん荷物を持ってるけど、これから旅行にでも行くの?」

「おっと。気付かれてしまいましたか。そうです、実はこれから豪華列車ツアーにいっちゃったりなんかするんです!」

「…………豪華だっけ?」

「むぅ。私が豪華だと思えば豪華なんです!」

 

 私がシャンティのツッコミに応えているとマリアさんは楽しそうにクスクスと笑いました。

 

「…………えっと」

「ああ。マリアの事はマリアでいいわよ」

「わかりました。では私の事も桜って呼んでください。――――――ところで、マリアさんは何をしてたんですか?」

「お使いの途中なの。お父様が忙しいから、その代わりに行くのよ」

「そうなんですか。偉いですね」

「でしょう。マリアはいい子だから、お父様からの言いつけはちゃんとこなすんだから」

「それより桜。時間、時間!」

 

 慌てるシャンティに言われるまま時間を確認すると、少しゆっくりしすぎたのか列車の出発時刻がかなり迫ってきているみたいです。

 

「あっ!? すみません。せっかく知り合えたのに、もう行かないといけないみたいです」

「そうなの? けど、マリアもそろそろ行かないといけないし別にいいわよ」

「でわ、私はこれで」

「楽しい旅行になると良いわね」

「はいっ!」

 

 私は手を振ってマリアさんに別れを告げ、少し早歩きで駅へと向かう事にしました。

 

 ――――そして、私が走り去るのを見送ってから、マリアさんも目的の場所へと向かうみたいです。

 

「…………列車に乗るって言ってたけど。まさか、あの子なわけ無いわよね? ――――まあいいわ、マリアは荷物を受け取るだけなんだし。行くわよ、キティ・ノワール」

「にゃ~~ん」

 

 マリアさんは私を追いかけるかのように、同じ方向に歩いて行きました。

 

 

 

 ――――なんとかギリギリセーフで出発に間に合った私は急いで列車に乗り込み、ひとまず乗車券に書いてある客室へ行く事にしました。

 

 現在私が乗っているのは、長距離旅客列車「アルタイル・デネブ号」。

 出発駅から毎日一駅づつ列車は進み、その日に到着した場所を観光して次の日になったら、また次の駅へと列車の旅が始まるというのが今回の旅行プランです。

 

 列車の旅は退屈だと思うかもしれませんが、ゲームセンターや売店などそれなりに遊ぶ設備は揃っていますし、過ぎゆく景色を見ながら読書をするのも楽しそうです。

 

 2階には温泉も用意されているので、お湯に浸かりながら景色を眺めるのも良いかもしれません。

 

 

 チケットに書かれている番号の部屋の前に到着した私は、そのまま入り口のスキャナーにカード型のチケットを認識させると、引き続き身分証の提示を求められました。

 

「シャンティ。お願いします」

「オッケー」

 

 シャンティに内蔵されている私のパーソナルデータを端末に転送してもらうと、入り口のドアにある小型電子モニターに私の名前が浮かび上がりました。

 これでこの部屋はチェックアウトするまで私の許可無しで入る事は出来ません。

 

「では、入りましょうか」

「旅行のはじまり~」

 

 部屋に入ると、六畳間くらいの空間に机と椅子が用意されていました。

 お風呂はありませんが、奥にはシャワー室があり軽く汗を流すことは出来そうです。

 

「…………このボタンは何でしょう?」

 

 私はボタンを押すと椅子と机が床に収納され、横の壁からベッドがゴトンと出てきました。

 

「夜寝る為のベッドだね。てか桜、まずは部屋の説明見てからボタン押したほうがいいんじゃない?」

「そうですね。けど、その、なんというか。ボタンがあったらとりあえず押したくなっちゃうんです」

「…………気持ちはわかるけど、なるべく止めといた方がいいんじゃないかなぁ」

「まあとりあえず今は寝る予定は無いのでベッドは戻して、重い荷物をロッカーに入れる事にしましょうか」

 

 もう1度同じボタンを押すとベッドが壁に収納され、部屋はそこそこのスペースを取り戻しました。

 

「…………これは」

「あれ? どうしたの桜?」

「えいっ!」

 

 私は更にもう一度ボタンを押すと、またまたベッドが登場ですっ!

 

「おおっ!?」

「……なにやってるの?」

「なんか面白いです!!!!」

「別に桜が面白いならいいげど、あんまりやって乗務員に怒られてもしらないよ?」

「むぅ。それもそうですね」

 

 仕方ないのでこれ以上ベッド出して遊ぶのは止め、奥にあるロッカーに家から持ってきた着替えなどが入っているケースとカバンをロッカーに収納し、軽く一息っと。

 

 

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