ゲームキャスターさくら   作:てんつゆ

78 / 118
人形列車 雪菓子の律5

 

 崩れ落ちそうになった体を台を掴んでなんとか踏みとどまると、私達を心配したスタッフの人が駆け寄ってきました。

 

「だ、大丈夫かい?」

「はい。な、なんとか」

 

 台を3個に分割した事で衝撃は3分の1になっていますが、流石にもう1回失敗するとちょっと厳しいかも――――。

 というかもう雪像が溶けちゃうので、ギリギリあと1回プレイ出来るかどうかみたいな状況になっちゃってます。

 

 すぐにゲームを始めるべきですが、もっかい同じ事をするだけだとまた最後で失敗ちゃうかも…………。

 

 ――――なにか。

 そう。この状況を少しでも改善出来る何かがあれば…………。

 

「あら? なかなか面白い事をしているのね」

「…………え?」

 

 声のした方を見ると、わたあめを持って立ってるマリアさんの姿がありました。

 足元には相変わらず黒猫デバイスが、頭をすりすりしてじゃれついています。

 …………黒猫デバイス? そうです!

 

「マリアさん、ちょっと来てください!」

「えっ!? いきなりどうしたの?」

 

 私はマリアさんの手を引いて運営本部まで連れ込み状況を説明すると、すぐに理解してくれました。

 

「ふ~ん。そんな事になってるんだ」

「マテリアル・デバイスを持っているって事は、マリアさんもゲームは得意ですよね?」

「ま、それなりには出来るわね」

「だったら私達を手伝って貰えませんか?」

 

 マリアさんはちょっとだけ悩む素振りを見せてから。

 

「仕方ないわね。ちょうど退屈してたし、今回だけ特別に手伝ってあげる」

 

 と快く引き受けてくれました。

 もう時間も残ってないし、そうと決まれば素早く行動しないと!

 

「あのっ。予備の端末ってありますか?」

「あるけど、空調システムは3台以上繋げる事は出来ないよ?」

「はい。それで問題ないです」

 

 急いでスタッフの人に予備端末を運んでもらい、空調システムの隣にすぐにセットしてもらう事で、現在は横並びの3台の端末とそれと向かい合うように1台の予備端末が設置されている感じの配置になってます。

 

「では、行きましょう!」

「まかせてよ!」

「よ、よ~し。次こそは…………」

「せいぜい足を引っ張らないくらいには、頑張るわ」

 

 マリアさんに担当してもらうゲームはタクトタクト・エボリューション。

 タクトを操って指揮者になりきるゲームです。

 このゲームの特徴はなんといっても、他のゲームと楽曲リンクが出来る事。

 

 つまり。

 楽曲がごちゃごちゃに混ざって迷っても、指揮者が導いてくれる事でそれぞれの演奏に集中する事が出来る……………はずです!

 

「それで、最初は誰のサポートをしたらいいのかしら?」

「まずは慣れてないリニスのサポートをお願いします!」

「わかったわ。それじゃあよろしくね」

「う、うん。サポートお願い」

 

 初プレイの時もそんなにミスはしなかったのですが、今回はマリアさんのサポートが入った事で、なんと序盤はノーミスで折り返す事が出来ました。

 

 そして次は少し疲れてきた望さんへのサポート。

 

「ふっふっふ。望のビートについてこれるかなぁ~?」

「ふぅん? ずいぶん元気な子ね」

 

 中盤は数回ミスしてしまいましたが、これくらいならまだじゅうぶん許容範囲内です!

 

 最後は一番難易度が高い私に付いて指揮棒を振ってもらう事にしました。

 

「あと少しです!」

「フフ、なんだか楽しくなっちゃったかも」

 

 激しくスクロールする楽譜は目で追うだけでもかなり大変なのですが、マリアさんのおかげて自然と手が目的の場所に導かれているような感覚になり、かなりいい感じで進み――――。

 

「これが最後っ!」

 

 楽曲を終える最後のボタンを気合を入れてッターンと叩くと、音楽が消えた後すぐにリザルト画面へと以降して、空調システムへとエネルギーが充填されていきました。

 

 もうやれる事は全て終わったので、私に出来る事はこの画面を眺める事だけ。

 

 手を合わせて両目を閉じて祈りを捧げると、ジャンという音と共にエネルギーが充電されてる音も消えました。

 

 私はゆっくりを目をあけると――――――。

 

「や、やりました!?」

 

 空調システムへのエネルギー充填は成功し、すぐに冷たい風が私の頬を撫でてきました。

 ミッション完了を確認した会長さんがすぐに私達の元へと駆けつけてきて、私の両手を掴んでブンブンと振りながら感謝の気持ちを伝えてきました。

 

「よ、よくやった君達。これで最後までお祭りが続けられるし、雪像も安心だ」

 

 スタッフさん達も運営テントの中で喜びを分かち合っているようです。

 

「じゃあ、マリアはもう行くわね」

 

 そういってマリアさんはすぐにまた何処かへと行こうとしました。

 流石に急すぎるし引き止めないと。

 

「え!? もう行っちゃうんですか?」

「だってもうマリアの出番は終わったでしょ? それともまだ他に何か用があるのかしら?」

「…………えっと」

「じゃあ、望達と一緒にご飯を食べに行こうよ!」

 

 何処かのラーメン屋さんのチラシを持った望さんが笑顔で登場です。

 

「そ、そうです! 祝勝会でラーメンを食べに行きましょう!」

「…………ふぅ。わかったわ。マリアがここまでするのはレアなんだからね?」

「くふふ。SSRゲットです」

 

 ――――というわけで。

 それから私達はスタッフの人達が大変そうだったので装置の後片付けを手伝う事にして、ちょうど片付け終わった時にはお祭りもちょうど終わりの時間を迎えたので、夕ご飯のラーメンを食べにラーメン屋さんに向かう事にします。

 

「…………あれ? そういえば何か忘れているような?」

 

 何か凄く重大な事を忘れてしまっている気がします。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。