ゲームキャスターさくら   作:てんつゆ

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人形列車 雪菓子の律 了

 そもそも何で私は空調システムを直そうと…………。

 

「ああああーーーーーっ!?」

「わわっ!? 桜ちゃん、急に大きな声出してどうしたの?」

「望さん大変です! 特製プリンの屋台にまだ行ってません!」

「ああっ!? そういえば忘れてたよ!?」

「急ぎましょう!」

 

 私達は急いでプリン屋台へと走ったのですが。

 

「…………………あ」

 

 屋台には売り切れと書かれた紙が貼られていて、お店の人は片付けを始めていました。

 

「…………そ、そんな」

「…………望のプリン」

「あ~、いたいた。探したわよ」

「――――え?」

 

 後ろを振り向くと、そこには何か黄色い物が入っている入れ物を4個持っているリニスの姿が。

 

「どうしたんですか? 今の私達はプリンが買えなくてスーパーしょんぼりモードなんですが…………」

「だからそのプリンを貰ってきたんだけど?」

「ああああーーーーーっ!? それは紛れもなく、望のプリン!?」

「な、なんでリニスがそれを持ってるんですか!?」

「私達が空調システムの修理したから、そのお礼にってお店の人から貰ったのよ」

「やったああああ。じゃあ一番上は望のね~!!」

 

 望さんは凄い速さでプリンを1個奪い去り蓋を開けて早速食べ始めちゃいました。

 

「はい。これ桜の分ね」

 

 そう言ってリニスは私の手にプリンの容器を乗せます。

 ああっ!? もう手に入らないと思っていた幸せが、今私の手の中にっ!!!!

 

「あ、ありがとうございます!」

「そして、これは貴方の分ね」

 

 残った2個のうち片方を後からやって来たマリアさんに渡すとマリアさんは、

 

「ふふ、ありがと」

 

 と軽く笑顔を浮かべながら受け取り、全員にプリンが行き渡った所で早速おやつタイム。

 

「いただきます!」

 

 はむっ。

 基本はシンプルなカスタードプリンなのですが、最初に興味をそそられたのはカラメルソースがかかってない事。

 それなのに甘くて濃厚なコクもあって、なめらかふわトロな食感が口の中いっぱいに広がっていくらでも食べ続ける事ができちゃいます。

 一口…………もう一口と、ああっ!? 手が止まりません!!

 

「…………おや?」

 

 いつの間にか私の持っていた容器が空になっています。

 

「こ、これは能力者による攻撃では!?」

「わわっ!? 望のプリンもいつの間にか空になっちゃってる!?」

「こうなったら、また来るしか無いですね」

「そだね。けどプリンはもう満足したし、次はラーメン屋に行こうよ」

 

 それからチラシに乗っているコードをスキャンして、シャンティのナビでラーメン屋さんへと向かい、しばらく歩くと4階建てのビルの1階に店舗を構えているお店を発見しました。

 

 まだお店の中に入ってないのに10メートルくらい先にある店舗から食欲をそそる味噌味スープの香りが漂ってきて、まるでお店に吸い込まれる様に私達はラーメン屋さんへと入って行きます。

 

 お店の中はテーブル席無しの全てカウンター席になっていて、食券機や注文用の端末は見当たらず、どうやら店員さんに直接オーダーを伝えるみたいですね。

 カウンター席にはメニュー表が立てかけられていて、数種類のラーメンが写真と共に載っていました。

 

「いらっしゃい。ご注文は?」

「んじゃあ、望みは一番上にある、この札幌ラーメンで!!!!」

「では、私も同じでお願いします」

「え~と、え~と。うん、私もそれで!」

「マリアも同じでいいわ」

「あいよ、札幌ラーメン4丁ね」

 

 数分後、届けられたラーメンを食べていると、突然望さんが何かに気が付いたようです。

 

「あああああああっ!?」

「おや? 望さん、どうかしましたか?」

「望の札幌ラーメン………札幌が入って無いじゃん!?」

「ええっ!?」

「ちょっと、聞いてくるよ!!!!」

「あっ!? 望さん!?」

 

 そう言って望さんはラーメンを作っている親父さんの所にラーメンを持って走って行き、親父さんに詰め寄りました。

 

「あのっ! 望の札幌ラーメンに札幌が入ってないんだけど!!!!」

「ああ、札幌入れ忘れちゃったか~。はい、これくらいでいいかい?」

 

 そういって親父さんは平たいお皿を取り出して、どこからか取り出したサッポロポテトをお皿に乗せました。

 …………もしかして似たような注文が過去にもあったのかも。

 

「ええ~。もうちょっと欲しいなぁ~」

「ふぅ、しょうがねぇなぁ。だったら袋ごとやるよ」

「やったーーーーー!!!!!」

 

 こうして。よくわからない質問をしに行った望さんは、お菓子の袋を持ちながら笑顔で帰ってきました。

 

「札幌いっぱいもらっちゃったよ!」

「…………よかったですね」

「桜ちゃんも札幌いる?」

「では少しだけ」

「あああ~っ、ずる~い。私にも頂戴よ~」

「えっと、マリアさんはどうしますか?」

「マリアは遠慮しとくわ」

 

 そのまま望さんは袋を逆さまにしてラーメンにドボドボとサッポロポテトを入れちゃいました。

 

「名付けて。札幌サッポロラーメン!」

「…………ちゃんと残さないで食べましょうね」

「もちろんだよ。それに家でもたまにやってるし」

「実践済み!?」

 

 ラーメンを食べ終わって外に出ると、突然冷たい夜風が吹き付けてきましたが、熱々のラーメンを食べたばかりなので、まだまだ体はポカポカです。

 

「そういえば望さんって、いつの電車で帰るんですか?」

 

 駅へと歩きながら、ふと気になった疑問を聞きました。

 

「………………ん? あああ~~~っ!? そういえば帰りの電車予約するの忘れちゃってるよおおおお!?」

「ええっ!? どうするんですか!?」

「ど、どうしよう? 望はまだ瞬間移動覚えてないのにぃ」

「…………てかどう頑張っても使える様にはなら無いと思うんですが」

「だったら私達と一緒の列車で帰る事にしたら?」

 

 いっぱいになったお腹を擦りながら少し離れて後ろを歩いていたリニスが提案してきました。

 

「けどこんな急にチケットなんて取れるんでしょうか?」

「あ~。それは大丈夫かも」

 

 シャンティが今回の列車ツアーのチケットに書かれている概要文を出力してくれたので読んでみると、そこには予備のベッド貸し出し可能の文字が。

 どうやら部屋には複数人で宿泊可能みたいですね。

 

「では、望さん。私達と一緒に列車で帰りませんか?」

「いいの!? じゃあお礼にサッポロポテトあげるよ」

「…………親父さんに追加のお菓子もらってたんですね」

 

 列車に戻った私達は早速乗員さんにリニスと望さんが私の部屋に泊める事をお願いし、なんとか了承を取る事が出来ました。

 けど急だったせいかベッドの用意が間に合わず、今回は3人で同じベッドで寝る感じになりそうです。

 

 ――――夜も遅くなり、そろそろ寝ようと思っていたら突然どこかから通信が入って来ました。

 ちなみに2人はお疲れモードなのか、すでにベッドで寝息を立てています。

 

「さくら~。和希から連絡だよ~」

「和希さんから? わかりました繋いでください」

「オッケ~」

 

 通信を繋げるとバーチャルモニターが表示され、和希さんの姿が現れました。

 

「今いいか?」

「はい。大丈夫ですけど、どうかしましたか?」

「今、日光にいて明日帰るんだが、ついでだしお土産でも買おうと思ってな。何か欲しい物はあるか?」

「別になんでもいいですが、手裏剣饅頭は1度食べてみたいと思ってました」

「了解だ。それじゃあ切るぞ――――」

 

 そういえば日光って…………。

 

「ちょ。ちょっと待っててください!」

 

 私は列車のツアーガイドを開き次の目的地を確認してから、モニターの前に戻りました。

 

「すみません、やっぱりお土産は結構です。それより明日、私からいい報告があるので楽しみにしててください」

「なんだ? ゲームショップの割引クーポンでも当たったのか?」

「…………いえ。そんなトボけたのでは無くもっと良い事です」

「よくわからないが、それなら楽しみにしとく」

「くふふ。絶対ビックリするので期待しててください!」

 

 通信を終えた私はベッドに向かい、少し崩れたシーツを直してから2人の寝ている真ん中へと潜り込みました。

 ――――ふぅ。なんだか明日も楽しい事が起こりそうな予感が。

 

 それからすぐに睡魔がやってきて、私は3秒で夢の中へ。

 

 次の列車の目的地は忍者の里、日光です!

 

 

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