ゲームキャスターさくら   作:てんつゆ

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人形列車 人形使い5

 ――――それから数分後。

 私達はVRエリアの3番入場ゲートが見える場所に到着しました。

 

「あ。本当にすいてる」

「ほら。やっぱり私が言った通りじゃないですか」

「…………なんで桜が自慢気なのよ」

 

 移動時間を入れてもかなり短縮出来たので、そのままスイスイと入場ゲートまで進む事が出来ちゃいました。

 

 そして、VRエリアの入り口につくと音声案内が聞こえてきました。

 

「ようこそVRエリアへ。このエリアでは専用ゴーグルを使ってお楽しみいただく仕様となっております。それでは皆様、ゴーグルをお取りください」

 

 音声案内が終わると近くに設置してあるボックスのロックが解除され、中から頭に装着するヘッドギアみたいな物が出てきました。

 

「えっと。これをつければいいのね?」

「じゃあ早速つけましょうか」

「そうちゃ~~~く!」

 

 つけてみると、まるで測ったかの様にジャストフィット。

 

「おおっ!? 何故かぴったりです」

「…………入り口でデータ取ったからでしょ」

「ああ。そういえばそんな事してましたね」

 

 ちなみに入る時に取った生体データは、後で第三機関によって責任を持って削除されるのでプライバシー的な事も安心です。

 

「右側に付いているボタンを押してからエリアに入場されると、新しい世界が広がります。それではVRエリアをお楽しみください」

 

 私達は音声案内に従いヘッドギアの横に付いているボタンを押すと、額にあるバイザーが目線の高さまで降りてきました。

 

 半透明なバイザー越しに向こうの景色が透けて見えているので、普通に歩く分には全く問題は無い感じですね。

 

 多分エリアに入ったらこのバイザーに…………っと、それは入ってからのお楽しみで、今は考えないようにしときましょう。

 

「ほらほら。早く行きましょうよ」

 

 忍さんもわくわくが抑えられない様子なので、早く行くとしましょうか。

 

「そうですね。レッツゴーです」

 

 そして、私達がVRエリアに足を踏み入れると――――。

 

「わわっ!? 何か飛んでる!?」

「これは凄いです」

 

 空には飛竜やユニコーンが飛び交い、アトラクションの屋根にもファンタジーの世界で見るような妖精が羽を休めていました。

 

「これって全部VRなんですよね?」

 

 私は試しにボタンを押してバイザーを引っ込めるとすぐにドラゴンや妖精の姿は消え、普通の遊園地が現れました。

 

「あっ!? ほんとに消えた~」

 

 リニスもバイザーを引っ込めて見えてる映像がバーチャルな物だと確認し、

 

「バイザー取ったら音とかも消えるんだ」

 

 忍さんも続いて現実との違いを楽しんでます。

 

 ―――――と、言うか。

 このエリアに入ってきた人のほとんどが同じ事をしているような。

 

「なんかもう入っただけでお腹いっぱいになりそうです」

 

 このエリアのテーマは現実とVRの融合。

 専用バイザー越しに風景を見る事によって、まるで現実の世界にファンタジーの世界の住人がやってきたみたいな映像が見れるようになります。

 

 そして、なにより凄いのは空調機能と連動した体感システム。

 エリア内に無数に設置された空調機能がそれぞれの専用ゴーグルと連動する事によって、ドラゴンが近くで羽ばたけば軽い風圧が体を覆うように吹いてきたりするんです。

 

 他にもドラゴンが炎を吹けば温風が、氷の精霊が近寄ってきたら冷風が吹いてきたりと、使い方は多岐に渡ります。

 

「さくら~。面白いのあったわよ~。それっ!」

 

 突然、忍さんが何かを投げてきたので、とっさにキャッチした瞬間。

 

「冷たっ!?」

 

 手に凄く冷たい感触がしたので確認してみると、どうやら缶ジュースみたいでした。

 

「…………あの。急に缶を投げたら危ない気がするんですが」

「でもそれ、バーチャルのやつだけど?」

「えっ!?」

 

 確かに缶を握った手は凄く冷たいです。

 けど、この缶には重さが感じられませんでした。

 中味が空っぽ?

 

 ―――――いえ。

 上部にある蓋は空いていないので、まだ中味はあるはず。

 

 試しに缶を耳元に持っていって軽く上下に揺らしてみると、確かにちゃぷちゃぷと音がしています。

 

「これがバーチャル?」

 

 試しにバイザーを外してみると手に持っていた缶は消え去り、冷たい感触も無くなりました。

 

「本当です!?」

 

 それからバイザーを戻すと、手の中に再び缶が出現して冷たい感触も元通り。

 

 ――――そういえば、このエリアはバーチャルとの区別が付きづらいって理由で、缶ジュースとかの販売はしてないってガイドブックに書いてあったような気がします。

 

 一応水道はあるので喉が渇いた時でも大丈夫なのですが、今は特に行く必要は無いですね。

 

「ねえねえ。これって飲めるの?」

 

 好奇心旺盛なリニスがさっそく缶を開けると、プシュッと音を立ててから白い煙が出てきました。

 なんか本当に飲めちゃいそうな感じです。

 

「それじゃあ飲むわね」

 

 私と忍さんが見守る中、リニスはジュースを一気に飲むと。

 

「うへ~。味がしない~」

「う~ん。やっぱ味は無いかぁ~」

「流石に重さと味は無理かと」

 

 私達はVRゲームで味の無いアイテムを飲んで回復する事は慣れてますが、始めて飲んで戸惑う人の気持ちも分からないでは無いです。

 

 かくいう私も最初に飲んだ時は変な感覚に混乱して、速攻でジュースを飲みにいったりしました。

 

 最近は味覚を錯覚させて味を認識できるVRも出てきましたが、まだまだ無味無臭が基本ですね。

 

 ちなみに重さは重力制御である程度は再現する事も出来なくはないです。

 

 けれど人が多い場所で同時にそれぞれ違う重力制御をやると、システムの負荷が膨大な事になって最悪システム自体が落ちてしまう可能性があるので、大規模なフィールドでの運用はまだまだ先になりそうです。

 

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