2017年、冬
その日、第三新東京市に雪が降った。
17年ぶりの雪だった。
昼過ぎから灰色の雪雲が垂れ込め、午後の授業が終わる頃に雪が舞っていた。
「雪か、懐かしいなあ」
碇シンジはピーコートの肩に積もる雪をパンパンと払い、隣を歩く相田ケンスケは掌で雪を受けてみせる。
「シンジ、雪って冷たいんだな」
「そりゃそうだろうよ……雪なんだから」
芦ノ湖のほとりに建つ神奈川県立湖北高等学校の生徒たちは授業が終わると、そそくさと下校を始める。
シンジとケンスケも下校する生徒の中の一人で、あまりぼやぼやしていたら電車が止まってしまうかもしれないと考えていた。
セカンドインパクトの影響が抜けて冬が戻った今、石油ストーブが飛ぶように売れていた。
また遠赤外線ヒーターが品薄になるという事態も起こっており、ストーブの使い方が分からず誤った使用で火事になるのが第三新東京市だけでも数十件起こっている。
そう、常夏に慣れ切った人々は雪に対して脆弱なのだ。
最寄り駅である環状線湖尻駅から電車に乗った二人は遅延が無いことにホッとしながら椅子に腰かける。
溶けた雪でコートも湿る今日ばかりは、電車の喉が渇くようなヒーターが心地良いとシンジは思った。
「そういえば、シンジ、今日ヒマか?」
「おう、でも買い物があるからそんなに遅くまでは付き合えないぞ」
「わかってるって、あんまり連れ回すとシンジの嫁さんに怒られちゃうよ」
「どこに行くんだよ?」
「マンハッタン」
「了解」
ケンスケはおどけた様子で言った、馴染みの喫茶店へと行くつもりなのだ。
第三新東京市郊外にある喫茶店『マンハッタン』の事で、ちょうどコンフォート17マンションとケンスケ宅の中間地点にあって、シンジたちはよく通っていた。
仙石原駅で降りて歩くこと10分、レンガ造り風の壁に赤い瓦屋根の洋風の建物が見えてきた。
ドアを開けるとベルがカランコロンと鳴り、白いひげを蓄えたマスターが出迎えてくれる。
暖房の効いた室内にアンティーク調のテーブルと椅子が並び、シンジは窓辺の席に座った。
窓の外の雪は勢いを増し、道路は白くなりつつある。
注文を取りにきたアルバイトの若い女性店員が言った。
「うわー凄い雪、はじめて見ました」
するとカウンターの向こうでマスターが笑った。
「なあにセカンドインパクト前じゃ、こんなのは大したことないよ」
「マスターは確か日本海側の出身でしたっけ」
「金沢だよ、冬はよく雪が降ったものさ」
ケンスケは「金沢って兼六園でしたっけ」と聞いてみる。
一方、シンジは訓練で山を越えて今津から石川県に進出し、日本海から上陸する“あか国”の迎撃戦を思い出していた。
そう、とても寒くて防寒戦闘外衣……防寒のジャケットの下に重ね着はもちろん、カイロや自販機で購入したホットのコーヒー缶を仕込んだりして必死に耐えたのである。
「雪の進軍、氷を踏んで……ってか」
「ああ、天は我々を見放したっ……」
雪舞う空に思わず口ずさんだ一節に、ケンスケが乗っかる。
ミリタリーオタクの中ではごく一般的なネタに思わず笑いが出るシンジ。
「まさか、雪の進軍を歌うことになるとはね」
「俺だって生きてるうちに雪を見られるなんて思ってなかったさ」
到着したブルーマウンテンとベトナムコーヒーを飲みながら二人はとりとめの無い話をする。
学校のこと、ミリタリー雑誌に載っていた新装備のこと、そして疎開していった二人の友が冬休みにやってくること。
「米山君と坂田君がこっちに来るのか、2年ぶりだね」
「まあ、向こうも疎開先で忙しかったみたいだしな」
「まさか、使徒がヒト型になってオタク街道まっしぐらなんて思ってもないだろう」
「そういや、カヲルは今日どうしてんの?」
「カヲル君は綾波と筑波に行ってる」
「つくば? 何しに?」
「リツコさんの付き添い、カヲル君は聖地巡礼だって」
赤木博士と助手の綾波レイが戦略自衛隊つくば技術研究所に出向いて三日間の技術指導をしている時に、カヲルはアニメやゲームの舞台となった土地を見て回るのだ。
もちろん有休を取得し、旅費等は全額自己負担である。
シンジが3杯目のコーヒーを飲んで、窓の外を見るともう暗くなっていた。
街灯の明かりに大粒の雪が映り、風もあるようで斜めに降っている。
「雪、止まないなあ」
「ケンスケ、買い物に行かないと飯ないから帰るよ」
「そうだな、で、晩飯は何にすんの?」
シンジはメモ帳を取り出すと、書き記した冷蔵庫の中の材料を確かめる。
豚肉と豆腐、ジャガイモ、里芋という何にでも使えそうなものが多かった。
スープ系かそれとも鍋物かと考えた結果、部屋でやる鍋のほうが暖まるのではないかと考えた。
「寒いし、鍋かな」
「いいなあ、鍋。俺んちはメシ何だろう」
ケンスケはふと義母の姿を思い浮かべる。
父の部下でネルフ解体をきっかけに交際が始まり、昨年末に結婚したのだ。
父よりも若く、25歳で料理も上手くてかわいらしい女性だったから家での姿にドキドキしたけれど、再婚から1年が経ってようやく慣れたところだ。
あまり母を待たせると父がうるさいのでケンスケは「お開きにしよう」と言った。
「じゃあな、また月曜日学校で。気を付けて」
「おう、シンジもな」
ケンスケとマンハッタンの前で別れ、雪の中を歩いてスーパーに向かう。
買い物を終えたシンジが部屋に帰ると、明かりが点いていた。
リビングに入ると、そこにはコタツに半身をうずめたアスカが居る。
オレンジのハイネックのセーターに中綿の入った赤い
「シンジ、遅い」
「アスカ、帰ってたんだな」
「あたりまえよ。エヴァに乗らないテストなんて、そんなに遅くならないんだから」
「今晩は水炊きにしよう」
「みずたき、みず……たき?」
「いろんな具材を鍋で炊く、えっと煮るんだよ」
「水で煮たら味付かないんじゃない?」
「まあまあ、一緒にやろうよ」
コタツの上にカセットコンロを置いて、土鍋を用意する。
シンジが台所で買って来た水炊きの具を切っている時に、アスカはダシ用の昆布が水を張った土鍋の中で踊るのを見ていた。
この煮られている昆布は食べられるのだろうかと考えて、シンジに聞いた。
「シンジ、この煮えてるのって食べてもいいの?」
「ダシガラ昆布か、あんまり味しないと思うけど」
ダシを取るために入れているのでうま味は鍋の中に溶けだし、沸騰したお湯の中で踊っているのは水を吸ってブヨっと柔らかくなった
アスカは箸で掬い上げて、口に入れてみたが単体ではあまりおいしくはない。
「……なにコレ」
「ゴマダレかポン酢をつけてよ」
シンジが指さしたところに瓶に入ったポン酢とゴマダレ、取り皿が置いてある。
取り皿のポン酢につけて、あっさりとした感じで食べるのが主流だ。
しかし、そればっかりでは飽きるんじゃないかという配慮でゴマダレも準備しているのだ。
アスカはダシガラ昆布をゴマダレで食べてみた。
するとゴマの風味とほんのりと残った昆布の風味が合わさって、なんとか食べることができた。
「それじゃ、具を入れようか」
「アタシもやるわ!」
切った野菜、キノコ類、豆腐と鶏肉、豚肉を鍋に投入し、蓋をする。
煮えるまでの間、ふたりはこたつに入りテレビをつけてくつろぐ。
「こうしてると、日本に冬が戻って来たことを実感するよね」
「そうね、去年まで暑かったのに今年は雪、どうなってんのよ」
「まあ、年中夏よりはこっちのほうがいいよ、鍋とコタツが楽しめるし」
「そういえば、レイって原付の免許取ってからよく一人で出かけてんの知ってる?」
「ああ、ぶらり撮影一人旅だよな、今の時期寒いのによくやるよね」
レイは高校生になり原付免許を取得するとスクーターを買い、カメラを持って休みになると遠出するようになった。
カヲルはというとその様子を見て、「大都市の喧騒を離れて、自然は僕たちを魅了する……そう思わないかい?」と言って同意を求めたとか。
手に『ゆるキャン△』があって台無しだよ!とシンジはツッコミ、レイはというと「あなたとは、違うもの」と言ってカメラを見せた。
しょっちゅうソロキャンをする二人だが、レイとカヲルには大きな違いがあった。
大自然の中でくつろぎたいカヲル、愛車に乗って遠征した上で、いい構図や被写体を求めて歩き回りたいのがレイなのだ。
焚火の脇で漫画を読んだりクッカーで料理をしている頃、レイはカメラのファインダーを覗いて、絞りやシャッタースピードを調整しその一瞬を切り取る。
雄大な自然の中で独りの時間を楽しむことに主軸を置くか、愛車でのドライブと写真撮影がメインで野営はその
二人の野外活動にかける情熱に、どちらかというとインドア派のアスカとシンジは舌を巻くばかりだ。
「寒い時の野営なんて……なあ」
「アンタのはまた違うでしょ、そんなのやってんのマナくらいじゃないの?」
「ああ、こないだ三曹候補士になったんだっけ」
「あの金バッジ?」
「そうそう、桜花章」
「あれ、どうなるの?」
「来年の1月1日付で霧島三曹、襟に階級章が付く」
霧島マナは三士相当の
ついこの間、“第12期初級軍曹教育課程”の写真が富士の麓から送られてきたばかりだ。
二人はきりっとした表情の自撮りマナと、同期とふざけている姿を撮られた写真を見ている。
「アタシ達はどうなんの?」
「
「じゃあ、アンタ戦車には乗れないのね」
「高校卒業後に一度特災研を退職して、
シンジはそういうと鍋の蓋を取る。
いい匂いと共に具は煮えていて、お玉でアクを取ると出来上がりだ。
「なかなかイケるじゃない!」
「だろ? 冬の風物詩だよなあ、鍋」
アスカとシンジは土鍋の中の具に箸を伸ばして、次々と食べる。
ダシの味とポン酢のさっぱりした味とゴマダレで2つの風味を楽しんでいた。
まだ冷蔵庫の中には昨晩炊いたご飯の残りと、うどん玉があるのでシメはバッチリだ。
テレビは日本全国各地で雪が降ったという事ばっかりで、第三新東京市郊外の展望台でテレビ生中継が行われていた。
『お二人はカップルですか?』
『職場の同僚です』
『お、おい、葛城……つれないなあ』
聞き覚えのある声にふたりは思わずテレビに視線をやる。
コート姿の男女が雪の中で寄り添っている場面で、“第三新東京市でも大雪”というテロップが付いている。
「加持さん、ミサトさん!」
「ミサト、それでさっさと切り上げたってわけね!」
赤いニットのタートルネックにMA-1ジャケットを着たカジュアルな感じのミサト。
そしてグレーのトレンチコートに身を包み、ミサトの腰に手を回そうとしてはたかれる加持。
『今日、雪降ってますけど、どう思いますか』
『タイヤチェーンか冬タイヤ買っとけばよかったと思います』
『結構滑ったからなぁ』
『お二人はここまで何で来られたんですか?』
『車です』
駐車場に止めたアルピーヌも雪化粧で真っ白で、レポーターのお姉さんは「凄いですねー」なんて言っていた。
この雪の中、デートスポットにわざわざ行っといて「同僚です」って言うのは苦しいよなぁとシンジとアスカは思った。
「ミサトさん、スタッドレスなしであの坂道登ったのか!」
「シンジ、スタッドレスって何? 聞いたことないんだけど」
「雪道、凍結路用の柔らかいタイヤで滑りにくいやつ、こっちじゃ要らなかったからな」
「滑らない金具の無いタイヤってこと?」
「そう、昔は金属の鋲が埋め込まれていて、スパイクタイヤは路面削るから禁止になったんだよ」
「ふーん」
セカンドインパクト前の気候に戻りつつあることから、今後の雪対策として冬用タイヤの普及活動や除雪装置の導入を検討中という発表が運輸省からあったようだ。
常夏しか知らない多くの人が「
なお、シンジが言っている2000年代に大きく進化した“スタッドレス”と、国内向けが出たばかりの“冬タイヤ”は別物である。
「第三東京は山だから、通行規制かかると厳しいな」
「そうねぇ……って、明日、リツコ帰ってこれんの?」
降り続く雪に各交通機関が運転見合わせを発表し、道路には通行規制がかかっているようでニュースキャスターが読み上げていく。
「リツコさん、常磐リニアが止まったら向こうに泊まるんじゃないの」
「輸送機ぐらい出しなさいよねまったく」
「ネルフの時みたいに金使えないからなあ、仕方ないね」
内務省の独立行政法人という事もあって予算は少なく、経費削減の一環として特災研はVTOL連絡機を売却してしまったのだ。
シンジは墓参りに連絡機を使っていたネルフ時代を思い出す。
国連加盟国からの分担金とゼーレからの資金提供を受けていたネルフはエヴァの運用だけでなく、こういう所でお金を浪費していたんだなと実感した。
一応、国連軍から供与された輸送ヘリCH-53EとUH-1Hの4機が残ってはいるものの、余り飛ぶことはなく長距離出張は今や在来線、新幹線リニア、バスの三本柱である。
それに有事になれば戦略自衛隊の航空隊が派遣されるのだから、自隊保有機を多く残す必要もないのだ。
ニュースが終わり、ドラマが始まったのでチャンネルを変えるとサスペンス物のドラマか、“衝撃映像100連発”なんていうバラエティ番組しかやっていない。
途中から見る気も起こらなかったのでアスカはバラエティ番組にする。
未確認移動物体やら心霊写真といったもののほか、間一髪の様子などを紹介する番組だ。
しばらく見ていると芦ノ湖の海賊船から撮影された投稿動画が紹介され、そこには黒い影がざぶざぶと泳いでいく様子が映し出されていた。
ゲンドウに似た声のナレーションが「何だコレ」なんて言っている。
尾のようなもので泳いでいるようだが、水面下にうっすらと金属のようなものも見えた。
「はぁ……くっだらない、何が芦ノ湖の怪生物よ」
「まあ、泳いでるだけならどうとでもなるよな」
「そうよね、A.Tフィールドがなかったらお茶の子さいさいよ」
スタジオの出演者のオーバーなリアクションに対して、アスカとシンジは醒めた感じだ。
大きさは第六使徒以下、海賊船に体当たりを仕掛けてくるわけでも無く、ただ泳いでいるだけの相手なら何の脅威も感じないのだ。
__それにしても、やけに移動物体撮るの上手いなこの投稿者。
『午前10時、水中移動物体は第三新東京市方向へ泳いでいます』
『この投稿者、ノリノリである……謎の移動物体は水中へと消えていった』
シンジがこの手の投稿モノでありがちな、動画の粗さやよくわからない謎のカメラのブレが無いなぁと思っていると声が入った。
「あのさ、この声って……」
「やけにピント合ってると思ったら相田なのね」
「まあ使徒よりは遅いしなあ」
未確認移動物体相手とはいえ砲爆撃の爆風や激しい戦闘振動もない状況での撮影なんて、ケンスケにとって余裕だ。
番組に採用されたらクオカードが貰えるとのことで、投稿番組に応募したのだ。
さすがのケンスケも没収を免れたエヴァと使徒の戦うお宝映像を投稿しようとはしなかった、つい最近に撮った映像らしい。
アスカは鶏肉をゴマダレにつけて食べながら、シンジの顔を見つめる。
__アイツ、戦うならどうすればいいか考えてんのかしら。
当のシンジはというと、「垂直式使徒キャッチャー」なる巨大釣り竿で釣りをしている零号機の姿を思い浮かべていた。
まあ、戦自で戦う
旧劇場版において地底湖のエヴァ弐号機撃破に駆り出された地対艦ミサイル連隊隷下の“水際阻止障害中隊”が爆雷もとい“沈降式水際地雷”を撒けば並大抵の相手はおしまいなのだ。
爆雷投下すなわちダイナマイト漁であり、水中衝撃波で水産資源に多大な損害を与えるので許可が下りないと思うが。
__あるとしたら捕獲かなあ。爆雷はたぶんNGだろうし。
ふたりが鍋の具を食べ切ってシメの雑炊に行こうかとしているとき、一本の電話がかかって来た。
「はい、碇です」
「シンジ君、アスカさんもいる?」
「いますけど、どうしたんですか?」
当直勤務の女性職員で扶桑ショウコ二尉……ネルフ作戦課からいる古株オペレーターの一人だ。
「じゃあ、アスカさんにも伝えて」
「シンジー、誰から」
「扶桑さん、スピーカーにするよ」
シンジはスピーカーモードにして受話器を置く。
アスカが聞いていることを確認した彼女は本題に入った。
「来週から、段階的に特別警戒シフトに移行するわ」
「どうしてなのよ」
「1週間前、日本重化学工業共同体の
「はい」
「それで今捜索中なんだけどね、何かに乗っ取られてるんじゃないかということで……」
「えっ、それって時田さんとこの“ジェットアローン”だったりしませんか?」
一度ある事は二度ある、またどこかの組織による妨害工作でも受けたのだろうか。
「違うわ、えっと、“水中探索機アシュラ”っていう実験機なんだけど」
「ああ、日重の新型ですね……どこでですか?」
「芦ノ湖南岸の実験場よ」
「それって、沈んだんじゃないのぉ」
「なんで今更……、盗難騒ぎは警察のお仕事でしょ」
アスカもシンジも日重の実験機喪失と警戒シフトの繋がりに疑問を持っていた。
湖底サルベージも、実験機泥棒と戦って現行犯逮捕をするのも自分たちの仕事ではないはずだ。
「さっき放送された映像にその実験機の一部らしいものが映ってたのよ」
「まさか芦ノ湖の怪物アッシーと戦えって事じゃないでしょうね」
「そうね、最悪の場合それがありうるかもしれないわ」
「餅は餅屋、怪物退治は旧ネルフにってか……」
「そう、ウチの所長が『やりましょう』って安請け合いしちゃったのよね」
「害獣駆除で戦自か自衛隊動かせばいいところを」
「……来期予算獲得のためよ」
「アタシ達の実績作りってわけね」
シンジのツッコミに扶桑二尉はため息交じりに言った。
そう、アスカの言うように実績がなければ、来年度の予算は降りてこないのだ。
「で、葛城三佐はこの件知ってるんですか?」
「一応連絡入れたんだけど、今、繋がらなくって……」
「あっ(察し)」
シンジとアスカはミサトが何をしてるか想像が付いてしまい、何とも言えない表情となった。
出張に行ってるリツコと同室のレイにはマヤが連絡を入れており、出張から戻り次第動き出すという。
週明けから忙しくなるんだろうなと思ったシンジであった。
2017年、冬。
シンジたちは平和のために再び戦う……のかもしれない。
漫画版エヴァ最終巻で冬服を見てつい書きたくなった。
用語解説
特技生徒課程:高度な装備を運用するにあたり、優れた技能を有する軍曹を育成するべく云々で創設された課程であり、防衛庁の少年工科学校が高校生相当なのに対し、さらに前倒しした中学生相当から始まる教育課程で、修了後は直ちに軍曹へと昇格する。
初級軍曹課程:陸自における陸教に相当する課程。春と秋の2期制でありマナは秋っ子である。
普通科・特科は専門の軍曹教育隊で行われるが機甲科は陸自の第一機甲教育隊で実施される。それ以外の後方職種は共通教育であるためキャンプ富士の軍曹教育隊で行われる。
冬タイヤ:柔らかいゴムで雪道を走りやすくしたもので舗装路などではヨレるような走り心地となり高速走行は難しい。
こちらの世界のスタッドレスタイヤはトレッドパターンから発泡ゴムと言ったタイヤの構成が2000年頃から格段に進化し、滑りにくくなってアイスバーンにも対応しているほか燃費や乗り心地も大幅に良くなっている。
アッシー:構成部品丸ごとや、あるいは女性にアシとして使われるかわいそうな男の事ではない。芦ノ湖に棲む謎の水中移動物体の便宜的呼称。メッシーやミツグクンという友達がいるかどうかは不明。
害獣駆除:北海道の海岸に集結したトドをF-86戦闘機で掃射したり、大量発生したナメクジを火炎放射器で焼いてみたり、ゴジラと呼ばれる怪獣と戦ったりすること。大抵の場合結果は芳しくない。
武器の使用など近年では動物愛護の観点から行えないような手法もある。