仮面ライダー電王LYRICAL OTHER STORY   作:(MINA)

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この話は short story 第四話 を元にしています。


OTHER-07 「闇を棲家とする者達」

とある場所では二人の男がテーブルを囲んで、巨大モニターを見ていた。

モニターには停車したリニアレールとその事後処理をしているチームデンライナーと機動六課が映し出されていた。

セミロングで学者風の男が、グラスに入っている食前酒を口にしていた。

 

 

『刻印ナンバー9、護送体勢に入りました』

 

 

巨大モニターの傍にモニターがあり、中心には女性が映し出されていた。

先程の報告はこの女性によるものだ。

「ふむ」

食前酒を口にした学者風の男は頷く。

それが女性の報告によるものか、食前酒の味によるものなのかはわからない。

『追撃戦力を送りますか?』

女性が今後の処置を訊ねてくる。

 

 

「メシが食い終わったらでいいなら、俺が行ってやってもいいぜ?」

 

 

学者風の男の向かいには『粗野』とか『粗暴』とか『豪胆』というような言葉がはまりそうな大男がいた。

向かいにいる相手とは対照的にグラスは注がずに、食前酒をボトルでラッパ飲みしていた。

「やめておこう。レリックは惜しいが、データが取れただけでも上首尾だ」

「いらねぇのか?」

「いや、そうではなくてね……」

大男が学者風の男を問い詰めようとした時だ。

 

 

「『遊び心』が出てきたってところでしょ?父さん」

 

 

金髪の青年が、テーブルに座っている二人の前に二つの皿を置く。

皿の上に乗っているのはレタスとトマトといったもので、フルコースで言う前菜だ。

「ふっ……」

指摘は正しかったのか、学者風の男は笑みを浮かべていた。

「またかよ。ったく、勘弁しろよなぁ」

大男は呆れながら、前菜を口の中にドバっと放り込んでムシャムシャと口を動かす。

「すまないね」

謝罪をしながらも、学者風の男はフォークを用いて上品に食べる。

「心にもないことを言うなっての」

大男は向かいの男の『遊び好き』を知っているので、謝罪をされたところで変更する気はないという事を知っている。

「ま、そう言わないであげてよ」

金髪の青年は調理をしながら、大男を宥める。

鍋の中に入っているものを皿に入れていく。

 

 

「僕達が本気で動けば一日で時空管理局を壊滅させる事ぐらい、わけないでしょ」

 

 

金髪の青年が新しい皿を二つテーブルに乗せていく。

その瞳がギラリと光っていた。

それは獲物を狩る狩人のごとく輝きでもあった。

空になった前菜の皿を回収していく。

「怖い怖い」

大男がおどけてから、スープを一口スプーンで飲む。

ただし、ずずーっという音を出してはいるが。

学者風の男も同じようにスープを飲んでいるが、上品に飲んでおり音は出ていなかった。

「それにしてもこの案件はやはり素晴らしい。私の研究にとって、興味深い素材がそろっている上に……」

モニターの映像が切り替わる。

そこにはエリオ・モンディアルとフェイト・T・ハラオウンが映し出されていた。

「それにこの子達、生きて動いているプロジェクトFの残滓を手に入れるチャンスがあるのだからね」

「手に入れてどうするつもりですか?洗脳でもしない限り言う事は聞きませんよ」

金髪の青年が魚を捌きながら、学者風の男に忠告する。

「確かにね。どうしたいのか正直わからないね。戦力とするにも君達や“将軍”や“王子”がいる以上、この二人を加えてもプラスにはならないしね」

口元をナプキンで拭いてから、学者風の男は素直な意見を述べる。

「テーブルでも囲んで食事でもします?」

金髪の青年がおどけながら、空になったスープ皿を回収する。

魚料理は南蛮漬けだった。

「何を話す気だよ?危ないから逃げろよって忠告でもするのか?」

少しは腹の足しになるものが来てくれたので、大男は喜色の表情を浮かべる。

「さて、どうしようかね……」

学者風の男は、本当にどうしたいのかわからないようだった。

「ところで父さん。“塾”の方はどうなんですか?」

金髪の青年はこれ以上、この話題を進展も得られそうにないと判断したため話題を変える事にした。

「“塾生”は集まってはいるよ。“将軍”や“王子”のような組織ではないからね。人材を集めるには何かと手間が掛かっているようだよ」

学者風の男は知る限りの情報を二人に教えた。

「あいつ等、何かの役に立つのかよ?」

大男にしてみれば“塾生”の評価は低いようだ。

「時間稼ぎくらいには役立つと思うよ」

金髪の青年も似たような評価をする。

「全く、厳しいね。君達は」

 

 

「「遊ぶなら本気で遊べ。でなければ楽しめない」」

 

 

金髪の青年と大男が声を揃えて告げた。

「それにしてもイマジンをこうも簡単に倒してしまうとはね。これではいくらはぐれイマジンを引き入れても意味がないね」

モニターにはソード電王とガン電王がペレグリンイマジンを倒している映像が映った。

「彼等も成長しているって事ですね」

「それにしてもイマジンって成長できるんだな。知らなかったぜ」

金髪の青年も大男も真剣な表情でモニターを見ていた。

「成長する前にほとんどのイマジンは倒されてるから仕方ないのではないかい」

学者風の男は、イマジンのこれまでの顛末を告げた。

「イマジンは成長できるか否か、興味深いことだね」

好奇心もくすぐられたようだ。

「まさか連れてこいって言わないでしょうね……」

「倒すよりよっぽど難解だぜ」

金髪の青年と大男は学者風の男なら言いかねないと予想していた。

「あいつ等、集団戦にも慣れてやがるしな。新手の種類でも送ったらどうだ?」

大男はイマジン以外をぶつけてみたらどうだ、と言う。

「“将軍”と“王子”に頼むって事?」

「面白くならねぇか?イマジン以外にも出てくるんだぜ」

金髪の青年の言葉に、大男は首を縦に振って愉快そうに笑みを浮かべる。

「どう思います?父さん」

「彼の言う通り、面白いかもしれないね。“将軍”と“王子”に何体か回せるように頼んでみてはくれないかい?」

学者風の男が、金髪の青年に頼む。

「わかりました。直に会って話してきます」

「直談判かよ?俺も行こうか?」

「頼める?」

「どうせ暇だしな」

金髪の青年は肉料理をテーブルに乗せた。

大男は目を輝かせて、食べた。

学者風の男はナイフとフォークを使って上品に食べた。

 

 

 

 

時空管理局の管理が行き届いていない世界、いわゆる管理外世界の一つが翼竜の怪人とサーベルタイガーの

怪人、三葉虫の怪人、そして動物や虫がベースとなっている怪人達が我が物顔で蹂躙していた。

地面に転がっているのは死体。

流れているのはその死体から出ている血。

散らばっているのは建造物の残骸や破損した乗り物の類だった。

「何と他愛のないモノどもよ」

三葉虫の怪人が、死体を見下ろしながら言う。

「全くだ。骨がないにもほどがある。これでは我らが出向く必要はなかったのではないか」

サーベルタイガーの怪人は感想を言いながら、ビルだった柱を自前の爪で引っ掻く。

軽く引っ掻いたが、威力は十分なもので瓦礫が飛び散った。

「仕方ありません。このモノ達はただの人間。我らと違うのですから歯応えを求めるというのが贅沢なものかと」

翼竜の怪人が、先の二体を諌めた。

 

 

「終わったか」

 

 

その声で三体の怪人を始め、他の怪人達も全員が膝をついた。

声の主は長身の青年で、年齢は二十歳前後くらいだろう。

この青年が怪人達の親玉という事になる。

「この世界の九割は我らの手中に収めることに成功しました」

三葉虫の怪人が報告をする。

「手応えがなさすぎるな」

青年は短く感想を告げる。

「はっ、奴がいないだけで世界がこうも手に入るとは思いませんでした」

「怪人達も少々暴れ足りないように感じているようでございます」

サーベルタイガーの怪人と翼竜の怪人が告げる。

「そうか……」

青年は空を見上げて目を細めていた。

彼にとって、太陽の光は少々眩しすぎるらしい。

 

 

 

 

煙と炎と悲鳴が飛び交う別の次元世界。

ガシュンガシュンチャキッという音が規則正しく響く。

「首尾はどうだ?」

音の主が立つと、四人の幹部らしき者達が膝をつく。

「はっ。あと三十分もあればこの世界を完全に掌握することができます」

幹部の一人---女幹部が膝を地に着いたまま、顔を上げて報告する。

「よくやったぞ。お前達」

「「「「ははっ」」」」

称賛の言葉をもらい、幹部四人が再び頭を下げる。

「しかし奴がいないだけでこうも簡単に手に入るとはな……」

「それだけ奴の存在が脅威だったとも言えます」

幹部の一人---貴族風の格好をした男幹部が分析した。

「ふむ」

チャキっと杖を左掌に軽く叩く。

「アレはどうなっている?」

幹部の一人---アンドロイド系の男幹部に訊ねる。

「七十パーセントまで修理は完了しております。安全航行のためにはもう少しお時間が必要となります」

「急げよ」

「はっ!」

別段凄みをかけたわけではないが、アンドロイド幹部は恐縮していた。

「この世界を手に入れた後、どうするんですか?」

小柄で獣顔の男幹部が今後の方針を訊ねる。

「奴等の要請がない限り、ここを我らの拠点とする。修理が完了次第に別の次元世界へと足を進める!!」

チャキッという音を立てて杖で左掌を叩いた。

 

 

 

 

機動六課が初任務を終えた直後にも、闇を棲家とする者達は着実に歩を進めていた。

静かに、しかし恐怖と絶望をまき散らしながら。

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