解散式を終えた104期生達は兵舎に戻った。今期の上位成績者はこの通りだ。
主席 ミカサ・アッカーマン
2番 ライナー・ブラウン
3番 ベルトルト・フーバー
4番 アニ・レオンハート
5番 エレン・イェーガー
6番 ジャン・キルシュタイン
7番 マルコ・ボット
8番 コニー・スプリンガー
9番 サシャ・ブラウス
10番 クリスタ・レンズ
正直言って俺は成績なんてどうでもよかった。この先の志願する兵団が二択になっただけの事だ。俺はエレンの演説を聞いて一瞬調査兵団がよぎってしまった。しかしそれを言ったら、クリスタは絶対に猛反対してくるに違いない。俺はクリスタの決めたことを止めるつもりはない。彼女が選んだ道なら、俺はそれを応援するまでだ。そう考えながら、明日の任務に向けて、睡眠を取る。
◇
「またか…今回は一体なんだ」
リンは見慣れない道に立っていた。辺りを見渡すと、いつも夢で見る耳飾りの剣士がいた。そして今回は、彼と向かい合うように一組の男女も立っていた。
耳飾りの剣士が対峙している男を見て、リンは一気に顔色が悪くなる。
「な、なんだよあいつ……!なんで心臓と脳が一つじゃないんだ!?」
透き通る世界で見ると、男には心臓と脳がいくつもあった。リンは初めて見る異形の身体に戦慄した。
耳飾りの男性は抜刀して異形の男へと迫っていく。異形は触手のようなものを、普通の人では視認できない速さで振るうが、耳飾りの剣士はリンと同様に目で捉える事ができるようだった。
そして、耳飾りの剣士はまるで日輪のような動きを体現し、あっという間に戦意喪失するまで追い込んだ。
『失われた命は回帰しない 二度と戻らない。生身の者は鬼のようにはいかない。なぜ奪う?なぜ命を踏みつける……?』
耳飾りの剣士は問うが斬られた男は何も答えなかった。すると、男は身体が変化し、幾つかの肉塊に変化し分裂する。
耳飾りの剣士は対応するものの幾つかの肉塊を取り逃してしまう。
「あの人、無傷で勝った……」
結果的には取り逃したが、耳飾りの剣士は無傷で相手を追い詰めた。そしてその光景を見た女性の瞳は、希望を見たかのように輝いていた。
◇翌朝
「まさか寝坊するとは…」
朝、起床が遅れてしまった。なんとか遅刻はしなかったが、トロスト区西側壁上に着いたのは俺が最後だった。そして、ギリギリの到着者を見つけた7班メンバーのジャンが話しかけてきた。
「お前がギリギリの時間帯に来るなんてな。ブタでも飛んだか?」
いつもの会話を聞き流しながら、任務である壁上固定砲の整備にかかる。ここにいる7班がやるべきことは、砲塔内の掃除,壁上に設置された砲台移動用レールの点検,水平方向から垂直方向への砲台角度変更の点検…以上の3つである。
「ジャンの言う通りだよ、リンが時間ギリギリに来るなんて珍しいね」
「すまない」
「謝らなくてもいいよ……あのさ、僕が言えたことじゃないと思うけど、リンはたまに何か難しい顔して考えてるよね」
「そうだろうか?」
「うん、僕もよくエレン達にそう言われるから分かるよ。君が何を考えているのかまでは分からないけどね」
反省を促すようなことを言って、アルミンは作業に戻る。確かに、俺は相談することはあってもその回数は少ない。
「……簡単には言える内容じゃないからな」
少なくとも、内容は他人に相談できるものでは無い。俺については全くわからない、相談するのもやぶさかではないのだが。とりあえず、昨夜見た夢の事は一旦忘れよう。
「なぁ、アルミンはどの兵団を志願するんだ?」
作業中、同じ砲台を整備していた彼にどの兵団に入るつもりか質問してみた。
「僕は調査兵団に入る…」
ハッキリと答えた。訓練兵団時代に話を聞いたことがあった、外の世界に憧れている、と。その時の彼の目は輝いて見えた。外の世界に行くためには調査兵団しかないが、それはウォール・マリアを奪回しなければ夢のまた夢な話だ。
「そうか…お前は、もう決めたんだな」
「うん、死んでも足手纏いになるつもりはない……そう言うリンは決めたの?」
「正直まだ決まっていない。あの時、エレンの演説を聞いたとき、調査兵団がよぎったが、クリスタに言ったら反対されそうだからな…」
「アハハ、確か二人は長い付き合いだっけ?反対しそうなのも無理ないか」
「お前はクリスタが怒ったのをみた事ないからそんなことが言えるんだ。怒った時のアイツの顔……怖いんだぞ?」
笑っているようで笑っていない笑顔のまま無言で見つめられた記憶を思い出したのか顔が青ざめていく。
「えっ、クリスタが?全然イメージできないな、あのクリスタが怒るところなんて」
「すまない、さっき言ったことは忘れてくれ」
「えっ?う、うん、わかった」
危うくクリスタ・レンズのイメージを崩すところだった。今の彼女はヒストリアではなく、あくまでクリスタ・レンズとして仲間と接している。
だが例えクリスタだとしても、ヒストリアの時と同じで怒った時の笑顔が怖いのは間違いない。その時の俺は何も言えず、なすがままだった。余計なことを言えばさらに圧がすごくなる。このことは忘れよう、思い出すだけでも怖くなる。
「(この3年で、四つの呼吸を習得できた。岩はイマイチ形にならないが、なんとかするしかない)」
こんな平和で呑気な日常がずっと続けば。そう願う者は多い。特に5年前の地獄を見た者は強くそう思っているはずだ。しかし皮肉にも、それは叶わぬ願いだということも、経験者は知っている。
「………整備任務を中止。作戦通り、俺たちは本部へ向かうぞ!」
突然の出来事に対して反応できずにいる兵士たちに、今とるべき行動を伝える。絶望を隠しきれないまま移動を始めた仲間達を先導しながら、事態の発生場所に目を向ける。立ちのぼる土煙と蒸気の合間から一瞬見えた赤い顔。
5年ぶりの超大型巨人出現。調査兵団が壁外調査で出払っているタイミングを狙ったかのように現れたソレは、トロスト区外壁の門を蹴り破った。
「あれが超大型か……だがなんだ?さっきのは、うなじ辺りに人の形があったような……」
突如現れた超大型巨人を見た時の疑問を抱いたまま、リンは同期達と本部へと急ぐのであった。
リヴァイに全集中の呼吸(常中を含め)を習得させるかさせないか
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習得させる
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必要ない
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作者に任せる