◇トロスト区本部
各兵装を装備し、事前に立案された作戦通りに班を分ける。クリスタとユミルに、コニー、ハンナとフランツが俺と同じ班である。
「くそっ……なんつータイミングだよ…」
現実に絶望するユミルが片手で頭を抱える。しかし彼女はまだマシな方で、ギリギリ合格ラインにいたダズに関しては、ストレスに耐えきれず嘔吐してしまい、現在クリスタに介抱されている。元々ダズは、訓練兵を無事卒業出来たのも奇跡なくらい気弱な性格なので、無理もないだろう。
場所は変わり、トロスト区街。俺たちの班は中衛部の担当だ。出撃まで俺は装備のチェクを入念に行なっているが、その途中、コニーとユミルが喧嘩を始めたようだ。
「おい、お前、もう一回言ってみろよ!」
「バカと一緒でツイてないって言ったんだよ、何度も言わずなバカ」
「てっ、てめぇ!!」
「やめなよ二人とも、今は言い争っている場合じゃないだろ!?」
「そうだよ、こんな非常事態(とき)に喧嘩なんてやめてよ!」
どうやら班の編成に不満を持ったユミルがコニーに余計なことを言ったようだ。そう推測した俺はクリスタ達に近づくとーーー
「あっ、リン!いいところに……聞いてよ、ユミルとコニーったら––」
「はいはい、わかったわかった!…クリスタに免じて…今回は仲良くやってやるよ」
「まぁ……こんな時にいがみ合ってもな…」
「とにかく、一緒に頑張ろう」
「お前ら、くれぐれも私とクリスタの足を引っ張るなよ」
「そうならないよう、努力はする」
元々足を引っ張るつもりはない。今回は、全集中の呼吸を巨人に試す絶好の機会だ。無論、作成内容は忘れてはいない。
「チッ…口の減らねぇ奴!フランツ、ハンナ、いこうぜ!」
コニーはフランツ達と共に立体機動を使い先に飛び始めた。
「さて、俺達も行くか…」
俺も後を追うように移動を開始する
街は不気味なほど静かだった。装置の音以外聞こえないその静けさがかえって緊張感を増す。
「ッ!みんな、止まれ!」
俺が言うと、皆、屋根の上に止まって、俺の顔を窺う。
「どっ、どうしたのリン?急に大声なんて出し「いる」えっ?」
「巨人が近くいる。全員、周囲を警戒しろ」
すると巨人のものらしき大きな足音が響き始め、それがどんどん近づいてくる。すると建物の影から10mをも超える巨人が、リン達の前に現れた。
「あれが……巨人」
その姿は、薄気味悪い表情を浮かべた巨大な人間そのものであった。巨人は、俺たちに気づいたのかゆっくり接近してくる。
「………ひっ!」
震えているハンナの顔は恐怖の表情だった、そんなハンナに寄り添うフランツ。コニーとユミル、クリスタはそこまでなかったが余りの気味の悪さに戦慄する
「はっ、はは、俺たち、あんな奴相手に戦うのかよ……」
「チッ、いきなり10m越えは冗談きついぜ」
「どうするの、リン?」
周囲を見るが確認できるのは一体。この人数ならなんとかできるかもしれない……やるしかないか!
「戦闘準備!目標は、眼前の10m級一体!ユミル、クリスタ、ハンナは周囲を警戒しつつ、巨人の注意を引いてくれ!コニーとフランツが油断した巨人の足首を削いで、その隙に俺がうなじを削ぐ!後、命令は一つ、“死ぬな!”……以上」
「プフッ!なんかリンが声を張るなんてらしくないや」
先ほど震えていたハンナは笑い出し突っ込んでくれた。
「お前、そんなデカい声出せたんだな?」
「ああ、意外だよ。リンが声を張り上げるなんて」
「……おかしかったか?」
「誰だって死にたかないよ、甘ちゃんの班長さん。へっ、いいぜ、お前さんの作戦…乗ってやるよ」
「それしかないよね……みんな、気を引き締めて行こう!」
「よし、戦闘開始!」
号令で飛び立った後、作戦通りクリスタ達は巨人の注意を引く。三人を捕まえようと手を振り回す巨人に対し、俺達急襲チームは隙を窺う。そしてすぐに好機は訪れた。
俺が手で合図をすると二人は一斉に巨人に奇襲を仕掛ける、
「ふっ!」
「てやぁ!!」
コニーとフランツの奇襲が成功し両足首を削ぎ落としバランスを崩し倒れた巨人。そしてーーー
「今だ!リン!!」
コニーがそう言うと、リンはうなじに目掛けてワイヤーを射出し、巻き取り機能とガスの勢いを利用して急降下する。そして、
「斬」
うなじを削ぎ落とす……巨人の唯一の弱点、後頭部より下のうなじにかけての縦1m幅10cmの部分を削ぎ落とす。すると、巨人の肉体は気化するように朽ちて消滅し始めた。
「やった…のか?」
「やった…やったぞ!俺達、巨人を倒したんだ!」
喜びの声を上げるコニー。
「フゥー…」
何とか巨人を討伐して一息つくリンに、注意を引きつけていたクリスタ達が駆け寄ってきた。
「フランツ!大丈夫!?怪我はない?」
「ハンナ、ああ大丈夫だ!それと見たか、俺達三人の連携!!」
フランツに駆け寄り無事な事に安堵したハンナ。お前ら、そう言うのは他所でやれ。
「喜ぶのはそこまでだ。まだ巨人はいる。警戒を怠るな」
「大将さんの言う通りだ。たかだか一体仕留めたくらいで、宴でも始めようってか?」
「そうだよね、まだ戦いは始まったばかりなんだ……」
そしてしばらく順調に連携をとりながら巨人を討伐していく最中、先輩方が捕食されるのを見てしまったが、何とか耐えることができた。
移動を続けると、何故か一人でうずくまっているアルミンを発見した。他の班員の姿が見えない……まさか、エレン達は喰われたのか?アルミンの姿に、俺は何も言えないでいると、彼は突然一人で何処かに飛んで行った。心配になったフランツとハンナはアルミンを追う為、別行動をとることになった。一人で行動させるよりはまだマシだ。
残った俺とクリスタ、ユミル、コニーで行動を再開したが、いつまで経っても避難完了の鐘が鳴らない……どうなっているんだ?
「なぁ、どうなってんだ、これ?」
「鐘の音が鳴らないってことは……まだ住民の避難が完了していないってことだと思う」
「くそっ、ちんたらしやがって、これじゃあ私達がもたないぞ」
雲行きも怪しくなってきたな。これは一雨降りそうだ。そんな事を考えながら、周りを見ると衝撃的な光景が映った。
「ッ⁉︎クリスタ!!危ねぇ!!」
「……え?」
建物の死角になっていたのか15m級の巨人がクリスタ目掛けて口を開いて飛びついてきたのだ。その光景にクリスタは反応が遅れている。この距離では間に合わない。そう思った時だった。
「(雷の呼吸 壱ノ型・霹靂一閃)」
ドコォーン!と天より雷が鳴り響く。
リンは、建物の壁に張り付いて深く呼吸を行い、一瞬にして巨人の首を斬り落とし、クリスタを抱え救出する。
落雷音とともに巨人は建物に追突した。ユミルとコニーは、あまりの一瞬の出来事に距離を取り体制を立て直す。
「クリスタ、大丈夫か?」
「う、うん、ありがとう……リン」
クリスタの顔はほんのり赤い。リンがクリスタをお姫様抱っこしている状態である。恥ずかしがるのも無理なからぬことであろう。
「お、おい!無事か!」
「う、うん、リンのおかげでなんとか…ユミル達も大丈夫?」
「平気だ。それよりリン、いつまで女神にベタベタしてるつもりだ?」
「ああ、そうだな、すまないクリスタ」
リンはユミルに言われ、クリスタを下ろすが、彼女は何処か残念そうな面持ちだった。
「おいリン、さっきのいったいなんなんだよ!?巨人の首、斬り落としたよな!?」
「悪いが説明してる暇はない。さっきの巨人が起き上がる前にとどめを刺さないと」
リンはその場から巨人に向かって飛び上がり、落下と同時に巨人のうなじを削ぎ落とした。
「お、おい!こっから結構距離あったよな!?あいつ、どんな体してんだよ!?立体機動どこいった!?」
「バカ、私が知るか……そんなの」
二人は今まで見たことのないリンの動きに動揺を隠せず、ただ、茫然と見ることしかできなかった。
巨人にとどめを刺したリンは、クリスタ達の元に戻り、行動を再開した。
リヴァイに全集中の呼吸(常中を含め)を習得させるかさせないか
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習得させる
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必要ない
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作者に任せる