スーパーロボット大戦//サイコドライバーズ:Re 作:かぜのこ
※前話にリーンの翼についてのくだりを追加しています。要約すると原作は終わりました、ということになります。
新西暦一八九年 ×月*日
地球圏 《ナデシコC》
さて、遠征である。
オレとアーマラ、イルイは現在、《ナデシコC》に乗船して《ネェル・アーガマ》とともに「地球β」及び「地球γ」に向かっている。他のαナンバーズのメンバーは地球の方々に散って星間連合やゾンダー、三度姿を現した地底勢力の残党、そしてザフトと激しい攻防を繰り広げているところだ。
空間の安定しているクロスゲートの重力圏、その外周ギリギリを通り、時計回りの航路を取って「β」、「γ」の順で訪れる予定。目的はもちろん、両連邦政府との交渉である。
オレが乗艦する「地球γ」担当の《ナデシコC》には専任のサブロウタ、リョーコ、ヤマダのエステ乗り三人衆に軍に復帰した白鳥さん、風龍と雷龍、無理を言って参加してもらったボルフォッグ(本来、彼は護の護衛が任務だ)、そしてオウカとラトゥーニが参加者している。アラド、ゼオラ、クォブレーの三人はロンド・ベルに任せてきた。アラドとゼオラもそろそろ一人前と言ってもいいし、ヤザン大尉のナイトシーカー隊が合流するらしいからな。クォヴレーから目を離すのは少し心配だが、案外オレが過保護に干渉しないほうがいい影響を受けるかもしれん。
閑話休題。
「地球γ」の連邦政府との交渉担当としては地球安全評議会からハマーン・カーン議員と大河長官、護衛に火麻参謀が乗船してるんだがもう一人、ロゼ・アプロヴァール議員が飛び入り参加している。
この人、連邦政府の事務総長も兼任してるドえらーいおひとなんだが、評議会ではいわゆる中立派筆頭で、積極的に異星文明と交流して利益を得ようとする融和派(言わずもがな、ゴップ閣下の影響下にある派閥だ)と、反融和派(慎重派と拒否派とが入り乱れているのであまり纏まりはない)の間で議会のパワーバランスを取っている。派閥の力学を考えたのだろうが、トップ自ら乗り込んでくる辺りただ者ではない。ちなみに、火麻参謀の元上司で大河長官も知らぬ仲ではないらしい。老いても壮健なご婦人のパワーに男二人はタジタジである。
続いて「地球β」担当の《ネェル・アーガマ》だが、元々「Re:V計画」産の新型モビルスーツ《ジェスタ》シリーズの試験運用をしていた関係で、そのチームがスライドする形で任務に就いている。
以前にも説明したと思うが、ユウ・カジマ少佐を始め、旧ホワイトベース隊の「ガンダム乗り」たちが勢揃いだ。
また、最近合流したマスター・P・レイヤー中佐の《ジェスタ・狙撃戦仕様》はセンサー系を強化した狙撃戦とは名ばかりの
要は、歴代主人公を集めた「ぼくのかんがえたさいきょうのモビルスーツぶたい」というわけだ。メンバーの選定には言うまでもなくオレが絡んでるわけだが、関係各所との調整はなかなかタフな交渉が必要だったぞ。各地のエースを引っ張ってくるんだからな。
こちらを担当する地球安全評議会からの特使は、リリーナ・ドーリアンとケルナグール。ケルナグールは何だかんだ政治家として有能なので、ドーリアン事務次官を実務面でフォローしてくれるだろう。ちなみにもちろんヒイロも護衛として同乗している。リリーナがいるからな。
あとは、刹那とティテリアには交渉のオブザーバー役として大いに期待している。
さておき、出発前に孔明から入った報告だが、「地球α」、「地球β」はラダム樹の侵攻を最小限で凌いだ(つまりゼロではない)ようだが、「地球γ」はかなりの数の種子がばらまかれたという。
オレたちの地球に関しては国際警察機構を通じて、宇宙軍のミスマル提督に詳細を伝えてあったのが功を奏した格好だ。「β」は文明的には宇宙開発を始めた段階でも切り抜けられたのは、ELSが大半を粉砕したお陰である。ただ完全に防ぎきれなかったのは、彼らも混乱していたのだろう。
一方の「γ」だが、こちらはコロニー建造まで文明が進んでいないのが響いたようで、数機の“iDOL”が奮闘したようだが多勢に無勢で防ぎきれなかったみたいだ。なかなかにマズイ事態である。
さてここで、この宇宙においてのラダムについておさらいも兼ねて記すことにしよう。
ラダム、本能のみを高度に発達させた知的生命体、及びその種族の名称。
虫状の生物で、頭脳(脳髄)のみを高度に発達させたため、肉体そのものは非常に脆弱であり、僅かな環境変化や外因性ショックに対しても抵抗力を持たない。
その為、専ら他の知的生命体の体内に寄生し、その知的生命体の「脳」をラダムの強い「本能」で支配する事によって生態系の上位を維持してきた。
ここまでは“原作”と同じだが、続きがある。
ラダムの進化は宇宙の滅びを逃れるためのもの、らしい。事実、ラダムは知性体とは認められず、宇宙怪獣にも襲われないようだ。
とはいえ宇宙自体がリセットされれば元も子もないし、連中はもともとああいうエゴの権化のような生き物だったようだが。
なお、これらの情報源はバベルの塔に蓄積されたデータベースからである。
兎にも角にも、両地球連邦政府との協議を成功させないと。敵対勢力が軒並み混乱している今が最大にして最後の好機だ。可及的速やかに協力体制を構築しないとな。
† † †
オービタルリングを持つ地球――仮称「地球β」に、二隻の白い戦艦が近づいている。
αナンバーズ所属、強襲揚陸艦《ネェル・アーガマ》及び《ナデシコC》は「地球α連邦政府から地球β連邦政府への先遣使節団」という極めて重要な役割を担い、単艦での航行を試みていた。
地球圏全体の重力と空間を安定させているクロスゲートをギリギリ掠めるような航路を取り、地球βへと接近する二隻。非公式に政府間のコンタクトが取れたとはいえ、いったいどんなアクシデントが起きるか想定もできない情勢であるが、同時に母星である「地球α」は絶対防衛線崩壊による混乱のただ中にある。故に、地球連邦政府ならびに地球安全評議会からの外交特使として二つの「地球」に向かうこの試みは、極めて重要な任務と言えた。
そんな彼らの下に、合流予定だった“黒の騎士団“旗艦《斑鳩》が正体不明の勢力と交戦状態に入ったとの急報が入る。
かつての戦友の危機に、刹那とティエリアは《ネオ・バードモード》へと変形したヒイロの《ウイングガンダムゼロ》の力を借り、現場へと急行した。
『ターゲット、所属不明機。撃破する』
《ネオ・バードモード大気圏外形態》で戦域に侵入した《ウイングゼロ》は、白い二対の翼をはためかせ、瞬く間に変形する。そして、その代名詞とも言える二丁のバスターライフルを
激しい荷電粒子ビームの奔流が戦場を貫く。
その間隙を縫い、刹那の操るトリコロールの《量産型F91》がそこに飛び込んで行った。
「ゼロ、援護する!」
『刹那!? 君があちらに渡っていたというのは、本当だったのか』
「詳しい話は後だ。今はこの局面を切り抜ける!」
『……! 了解した!』
黒いKMF《ランスロット・アルビオンゼロ》を駆る仮面の男
合流した二機と《ランスロット》、そして《斑鳩》麾下のライが駆る第九世代ナイトメアフレーム《ヌァザ・アガートラム》、ナオミ率いるパラメイル隊の奮闘により、戦況は徐々に連合軍へと傾いた。
しかし、所属不明機は無人機は元より、有人機までもがまるで自己の生死を問わない無謀な攻勢を繰り広げる。自爆特攻じみた攻撃に戦場は再び混乱していく。
そんな最中――
「ッ、この脳量子波は……!」
《F91》を操りながら、刹那は思わず顔を明後日の方向に向けた。
それは
『ソレスタル・ビーイングのガンダムマイスター、グラハム・エーカーとこのグラハムガンダム、義によって助太刀する!』
戦場に鳴り響く名乗り口上。
純正太陽炉機に由来するエメラルドグリーンの粒子光を纏いながら、七本の
その後ろから追従する灰色の「ガンダム」――《デュナメスリペアIII》が、二枚のシールドから《GNキャノン》を放った。
『まさか、こんなにも早く
フレーム剥き出しの左手に携えた《GNバヨネット》が閃き、戦闘機を寸断する。
「あの男……! グラハム・エーカー!」
『彼とレティシアは、どうやらみんなと上手くやれているようだ。そして――』
ティエリアが視線を向ける。
その先には、背部に備えた一対の翼からGN粒子に似たグリーンの光を放つ、黒に銀色の人型機動兵器――《ルシファード》の姿がある。
「イングの言葉通りなら、あの迫水タクマは――」
『その件だが刹那、先ずはこの状況を切り抜けることが先決だ』
「了解した」
刹那は浮かんだ雑念を振り払い、操縦桿を握り直した。戦闘はまだ続いているのだ。
――ほどなくして《ナデシコC》と《ネェル・アーガマ》が到着し、後に「
† † †
《プトレマイオスII》の一室――
航宙艦らしくこじんまりとした部屋の中央、実用一辺倒な白い会議用の机を挟んで二組の男女が向かい合っている。
奇妙な緊張感を漂わせ、一方の男性――イングが口火を切った。
「改めて、国際警察機構所属、イング・ウィンチェスターです。地球連邦軍では中尉相当官になります」
「同じく国際警察機構所属、アーマラ・バートン。少尉相当官だ……です」
あえて堅苦しい言い回しをするイング。一方、アーマラはどこかズレた調子で自己紹介する。
対するはウェーブのかかった銀色の長髪に眼鏡をかけた男だ。年齢は定かではないが二〇代半ば、一見すると温和な表情の奥に鋭い知性が覗く。SRXチームのメンバーやかつてのSDFの関係者がその顔を見れば、皆がこう言うだろう――イングラムだ、と。
「これはご丁寧に。私は迫水タクマという。そして彼女は私の助手のサキ」男――迫水タクマは、人の良さそうな微笑みを浮かべ、パートナーを紹介する。
「サキと申します。マスターにより製作されたガイノイド、人造人間です」緑がかった黒髪をショートボブに整えた少女サキが目礼する。
なお、イングの迫水タクマについての
閑話休題。
人造人間……“イノベイド”のプロトタイプか、などと考えつつ、イングは本題を切り出した。
「単刀直入にお聞きしますが、あなたは外星人――異星文明からの来訪者であるというのは本当ですか?」
「そうだね。とはいえ、複数の地球が統合したこの宇宙に私の故郷があるとは思えないが」
自嘲気味に言う迫水の言葉に、イングは偽り気配を感じ、自分の考えに対する確信を深めた。
それを知ってか知らずか、迫水はにこやかに告げる。
「イングくん、だったね、私に畏まる必要はないよ。普段通りに喋ってくれて構わない」
「わかった、そうするよ。――で、刹那たちから聞いたんだが、アンタの故郷はバード星という名で間違いないか?」
「ああ」
「……なるほど。ではギャバン、一乗寺烈という名に聞き覚えは?」
「……!」反応は明白だった。疑わしげだった迫水は一転して驚いたように目を見開き、サキもまた瞠目し動揺を隠せない。「なぜ、その名を……?」
その質問には答えず、イングは畳み掛けるように告げる。
「SRX、イングラム・プリスケン……そして、クロスゲート・パラダイム・システム――アンタが“ユーゼス”なら心当たりのあるはずだぜ」
「ああ、心当たりがあるよ」迫水タクマは――かつてユーゼスと名乗っていた男は、苦悩と後悔を声に滲ませた。「だが知りすぎだ。なぜ、キミがそれらの言葉を知っている? ……きちんと、説明してくれるんだろうね」
「もちろんだ」そう前置きしてイングが語り出す。
この宇宙に今起きている大災厄のことを。それを乗り越えんとした
バルマー戦役でのこと。ゼ・バルマリィ帝国の“ユーゼス・ゴッツォ”と、ユーゼスが完成させようと目論んだクロスゲート・パラダイム・システム。そしてユーゼスに支配され、それから脱却しようと足掻いた男――イングラム・プリスケンがいたことを。
高次元同位体とサイコドライバーの力でアカシックレコードにアクセスして、過去と現在、未来の事象をある程度観測できる(ということにしている。いきなり「あなたはフィクションの存在です!」と告げても、普通は受け入れ難いからだ)ことを説明した。
「“虚構世界“、だったか? アンタの起こした事件のことは、細部はともかく大まかには理解しているつもりだ」
「そんなことまで……」
「アンタが考えるクロスゲート・パラダイム・システムを用いれば、簡単なことだろ?」
「……ふふ、その通りだよ。並行世界の観測は、クロスゲート・パラダイム・システムにおいては基本の機能だ」
自嘲気味に笑う迫水は、視線を落とした。彼の両手は固く握られ、わずかに震えている。
「クロスゲート・パラダイム・システムを追い求め、命を弄んだ“私”――そして、イングラム……彼はまだ、私という因果に囚われていたというのか……」
「マスター」サキが震えた両手の上に、自らの両手を重ねる。
「大丈夫だよ、サキ。私は大丈夫さ」
経験上そう言う言い方をするヤツは大抵大丈夫ばないんだが、それを指摘するのは野暮ってもんか。そう考えたイングは湿っぽくなった空気を払拭しようと話を続ける。
「オレが知ってるのはこれだけさ。アンタがこの地球にいた理由や、これまで何をしていたのかを聞いていいか?」
「……わかった、話をしよう。といっても、私自身理解していないこともあるし、大したことではないよ?」
“虚構世界”での事件でイングラムとSRXら「ガイアセイバーズ」に敗れ、そのまま消滅するはずだったユーゼス――迫水はしかし、西暦二〇九〇年頃の地球――即ち「地球β」に独り取り残されていた。彼は自身の知る地球とは何もかもが違う、だが自身のルーツの半分が感じる懐かしさに身を任せ、ひっそりと暮らしていた。
自らの起こした大きな過ちを償う気持ち、また科学に携わる者としての義務感、地球の自然を愛する使命感も合わさって地球の環境問題に(もちろん穏当な方法で)取り組んでいた時、出会ったのがイオリア・シュヘンベルグだった。
「イオリアは私も驚くほどの優れた頭脳を持っていたが、なんというか……とても変わった男でね」
「つまり偏屈、と」
「ま、まあ、悪く言えばそうなる。イオリアは自ら告げなくとも私が異星人であることもに勘づいていた、その明晰な頭脳でね」
「なるほどね、稀代の大天才ならあり得る話だ。異星人であると明かしたときには、イオリアはどう反応したんだ」
「とても喜んでいたよ。地球人と大差無いヒューマノイドとはいえ、地球外生命体との接触だ、まるで少年のように私の話をせがんで来た」
迫水は過去を懐かしみ、僅かに笑みを浮かべる。あるいは友の思い出話で落ち込んだ気持ちに少しは整理がついたのかもしれなかった。
イオリアの発見、あるいは生み出したGN粒子関連の技術は
「そうして私はイオリアと交友を深める内、彼の思想に共感していた。彼は言っていた「人類は知性を正しく用い、進化しなければならない。そうしなければ、宇宙へ、大いなる世界へ旅立っても、新たな火種を生む事になる。それは、悲しい事だ」と」
遠い過去と、もう会えない友人を思い、迫水は感慨を込めて友の言葉を繰り返した。
長い間、同種族で戦争を続けている「地球」の人間には耳の痛い言葉である。イングとアーマラは頷いてその言葉を肯定した。
「だから私は彼の計画に協力し、地球人類とソレスタルビーイング――その行く末を見守る観察者となった……そういうわけさ」
「私、サキ……本来の名称ファディータはその補佐をするために生み出されました。計画を遂行する“イノベイド”と呼ばれる人造人間の初号機であり、計画の根幹を担う量子コンピューター“ヴェーダ”の姉妹機であるとも言えます」
「じゃあ、アンタの親はイオリア・シュヘンベルグってことか」サキの身の上をイングがやや茶化したように言う。自身の肉体が、作り物であることを告げているからこその本人なりのジョークだ。
「その意味では、彼は生みの親の一人と言えるでしょうけれど……」イオリアを親扱いされるのは心外らしく、憮然とした――人造人間にしては感情的すぎる表情でサキは続ける。「ソレスタルビーイングの初期メンバー、研究員たちの中で特にマスターと交友の深かった二人、叶エイジ博士と日向ラン博士の遺伝子情報を元に私はマスターに生み出されています」
「仲のいい友人の遺伝子をベースに人造人間を造るとか……なんか業が深くない?」
「……言わないでくれ、当時私も反対したんだ。しかし彼らのたっての願いだったんだよ、「俺たちを未来に連れて行ってくれ」とね」
イングの指摘に、迫水はゲンナリした。どうも、その二人には随分と振り回されたようで、苦笑いを隠せない。その姿には、時空を股に掛けて謀略を張り巡らせた狂気の科学者としての面影は、微塵も残っていなかった。
「話題がそれちまったな。――話を戻すが、アンタたちは観察者のままではいられなかったな?」
「そうだね……五年前のソレスタルビーイング崩壊と、それに伴うブリタニアユニオンによる国家再編戦争――さらにはシリコン型生命体フェストゥム、平行次元の隣人ドラゴンの活動の過激化という未曾有の危機……地球圏は戦乱に包まれることとなってしまった。国家間戦争自体はイオリアとヴェーダが建てた計画の上でのことだが、私は罪悪感を抱かずにはいられなかった」
「“ミーム”の本格的な覚醒とドラゴンの増加は完全な計画外の出来事でした。そこに、二年前のバイストン・ウェルからの来訪者ホウジョウ軍です」
「どの事象も予期出来るものでもないがね。……私個人としては、ホウジョウ軍のサコミズ王には些か思うところがあるが」
「偽名とは言え、ファミリーネームが同じでしたからね。当時はたいへんでした」
過去を振り返り、迫水とサキは苦笑いを浮かべる。
時系列が二年ほどズレているが、国家再編戦争とは「コードギアス」の冒頭の下りである。また“ホウジョウ軍”の浮上は「リーンの翼」のエピソードだ。
この地球での“北極ミーム“「ポラリス」は来訪から長らく休眠に近い状態で、フェストゥムの活動は散発的なものだった。だからこそ、人類はそれまで呑気にも国家間紛争――同士討ちを出来ていたのだから皮肉な話である。
「ところで“ブラックリベリオン”の前後から、世界情勢に積極的に介入していたみたいだが、何か心境の変化があったのか?」
「ああ、最初は“黒の騎士団”の動向を調査をしていただけなんだがね――賭けてみたくなったんだ……刹那や一騎たち竜宮島の子供ら、エイサップ、アンジュ、そしてゼロ――ルルーシュのような若者に。彼らが齎す“変革”の未来に」
傲慢さと過信から全てを失った男が自分以外の誰かに理想を託そうとするのだ、そこには相当な心境の変化があることは間違いない。
事前に刹那らから聞き取っていた話と大きな差異がないことがわかり、イングは頷いた。「だいたいわかった。話してくれてありがとう」「どういたしまして」
「少し待ってほしい」今まで黙っていたアーマラが口を開いた。「今の話が本当なら、貴方は何歳になるんだ? 貴方方の地球の情勢にはあまり詳しくはないが、少なくない時間が経っているのではないか?」
「うーん、言われてみれば。確かになぁ」首を捻るイングは腕を組み、アーマラの疑問に同意を示した。
「ああ、そのことか。イオリアとの出会いは、今から約三二〇年前のことになるよ」
「さんっ!?」
「おいおい、マジかよ。バード星人ってのはそんなに長生きなのか?」
「いいや、君たちとさほど変わらないはずだよ。それに私は、地球人とのハーフだからね」
言って、迫水が皮肉げに口角を釣り上げた。
「どうやら私の身体は
「まるでコードホルダーだな。もしかして、肉体の再生も?」
「それも知っているのか。ああ確かに、彼らコードホルダーのような再生現象も確認している――さすがに死傷するような傷を自ら負うのは憚られてね、そこまでの検証はしていないが」
「そうじゃない検証はしてんのかよ……」
「私も科学に携わる者の端くれとして、知的好奇心には勝てないのだよ」
「一時期、ギアス教団に潜り込んで彼らの研究結果を読み漁ったこともあったが、詳しいことは分からず仕舞いさ」肩を竦める迫水はふと何かを思いついたように切り出した。
「イング、君はコードやギアスにも詳しいようだが、私の状態について君の知見を聞いてみたいんだが」
「今かよ?」
「言っただろう? 我々、科学の徒は、自身の知的好奇心を抑えられないのさ」
「仕方ないな……」溜息を吐き、イングが忠告する。「……個人的な見解になるし、アンタにとって耳触りのいい話にもならないがいいのか?」迫水は頷いた。
「アンタの烙印ってのは言い得て妙だな。無限力、アカシックレコード、根源、因果律、集合的無意識、太極、オリジン・ロー……まあ、いろいろな言い方はあるが、そういう宇宙を構築する途方も無い力――“運命“を弄ぼうとした反動だろう」
「やはりか……」
「そういう類の力――つまり意志集合体ってのは、知的生命体の精神の集まりだけあって目的意識もあれば好悪の感情みたいなものもあるし、生存……存続意識もあるんだ。実物は見ていないが、例えばコードホルダーってのは目的のために
「……そしてその存続を脅かした私には敵意しかない、と」
「ああ、アンタの場合は特に重罪と言ってもいいんじゃないか。だから
「……」突き付けられた自身の現状に迫水は言葉を失う。半ば自覚していたとしても、改めて実感すると堪えるのだろう。
「あの」それを見ていたサキが心を痛めた様子で、口を開く。「マスターの、その悪因とはどうしょうもないものなのしょうか?」
「……不老不滅の身体になってる原理とかについてオレにもわからねーってのは、前置きするが――滅びの因果の解消法については心当たりあるな」
「! それはどのようにして?」
「言えない」
「なぜです?」
「“生命の答え“は、自分で見つけなきゃ意味がねーだろ」
「! ですが……ッ!」
「いいんだ、サキ。彼の言うことはもっともだ。自分の罪を贖うのは、自分自身でなくては」
「しかし!」
「ちょうどいいな」ある意味諦観したような態度の迫水となおも言い募るサキのやり取りをあえて無視し、イングが言う。「最後に聞かせてくれ。アンタはこれからどうする」
「どう、とは?」
「この混迷した宇宙で、
「……もちろん、」かつてユーゼス・ゴッツォと呼ばれた男は、苦悩と後悔の旅の果てに見つけた決意を表明する。
「若者が命を掛けて見出した平和のために……そして未来ある者たちのために、この身命を賭して足掻くだけさ。それが私の――
† † †
新西暦一八九年 ×月@日
地球圏 《ナデシコC》
未確認勢力との遭遇戦――てか、あれ“ウルガル”だろ――という思わぬアクシデントはあったものの、《斑鳩》および《プトレマイオスII》と合流できた。
戦闘の後始末もそこそこに、「地球γ」の連邦政府との交渉を担当するドーリアン事務次官とケルナグール議員以下使節団(大河長官らもオンラインで参加)と“「黒の騎士団」CEO“、仮面の男ゼロとシュナイゼル・エル・ブリタニアら首脳陣との事前会談に刹那、ティエリアとともにオブザーバーとして参加してきた。いや、こーいうのやるのもう何度目よ。まあ、いいけど。
ああ、《トレミー》のクルーもオンライン組だったのはいいんだけど、ハムことグラハム・エーカーが生きてて(正確にはELSとの共存状態で)ビビったんだが。あのさぁ、朗読劇のネタ引っ張ってくるとか無限力アプデ当てるの早くね?
内容についてはまあ、互いの持ってる情報のすり合わせが主でオレは情報を吐き出す置物になってたので、特筆することはなし。
そのあと、推定ユーゼスこと迫水タクマと《プトレマイオスII》で個人面談。とりあえず、ユーゼスであることが確定したのと今は悪いやつではなさそうってことはわかった。
というかコイツ、やはり噂に聞く「スーパーヒーロー作戦」の方のユーゼスじゃな? との予想はドンピシャだった。拗らせウルオタらしいってのは聞いてたので身の上ばなしのあと交友を深めるために話を振ってみたら、めっちゃ食いついてきたんだが。オレ、ゼロ推しのニュージェネ世代だから昭和とか平成の話ってそんな詳しくないんだけどね。まあ、ヤツとのウルトラ談義はわりと盛り上がったし面白かったから多分意気投合できたとは思う。
さて、この後の予定だけど、《斑鳩》とともに「地球β」へと向かう《アルビオン》と別れ、《ナデシコC》に搭乗して「地球γ」へと針路を取る。
刹那、ティエリアとはお互いの健闘を祈りつつ一時の別れを交わした。それから、ユーゼスこと迫水タクマから同行を申し込まれた。曰く「他の地球のことをよく知らなければ、事態収拾には繋がらない。イオリアの友人として彼の理想を実現する助けをしたいんだ」とのことで、彼の頭脳は間違いなく頼りになるだろうし、
さあて、事前情報のないここからが正念場だな。
新西暦一八九年 ×月‡日
地球γ ヌーベルトキオシティ 《ナデシコC》
現在、《ナデシコC》は地球γの「ヌーベルトキオシティ」に停泊中だ。
鉄道の発達した極東地区ニホンの様子にオレたちは興味津々だった。所変わればというか世界が変われば都市の様相もかわるもんだが、ここまで文明が違うとちょっと面白いよな。
さて、現在オレたちを含めたクルーの一部や使節団は、会談場所を提供してくれた「旋風寺コンツェルン」の用意した高級ホテルに滞在している。妹様はふかふかのベッドではしゃいでらっしゃるし、さすがのアーマラもスイートな部屋には浮足立ってる様子だ。まあ、オレはオレで会談前の打ち合わせに出ててヘロヘロなんだけどな。
しかし、わかっていたことだけどすんなり到着とはいかなかったぜ。
事前に先方へ通告していた通りの軌道で地球γの重力圏へと進む最中、「光るおじさん」こと“エルドラン”が操る《ライジンオー》、《ガンバルガー》、《ゴウザウラー》のスーパーロボット三機と、地球へ侵攻しようとする“邪悪獣”、“魔界獣”、“機械化獣”の大軍団の戦闘に出会したのだ。
また、エルドランと共闘していた“聖勇者”と名乗るフェニックスを思わせる意匠の紅い人型メカ――《マッハスペリオン》は、左右非対称の特徴的な肩アーマーを持つ白い人型メカ――《デスマレフィック》と激しく激突していた。
状況とオレの事前知識から判断し、オレたちはエルドランらに加勢する。
雑兵を蹴散らし、敵の首魁と思わしき《デスマレフィック》を撃破したかと思われたその時、《マッハスペリオン》の影――宇宙空間なので比喩表現だ――から、彼によく似た姿の黒いメカが姿を現す。《ダークギルディオン》――後に本人から聞いたのだが、あれは過去に闇墜ちした時の姿らしい――の不意打ちにより《マッハスペリオン》は深手を負い、また《ダークギルディオン》の発する強大な負の想念により満身創痍だった三機のエルドランロボは黄金の巨剣に封印され地球へと落下、エルドラン自身も生死不明となってしまうのだった。
おそらくこれは「完全勝利ダイテイオー」のエピソードかとは思うんだが、あれってプロモーションフィルムと雑誌で展開されてた作品で詳しいことは知らないんだよなぁ。聖勇者とかの件はまったく知らんし。
まあ、臨機応変にやるしかないか。
戦闘後、《マッハスペリオン》もとい、《スペリオン》と彼のパートナー、
うーむ、《スペリオン》は隙をついてパートナーの二人とコンタクトを取ったって言ってたけど、そんな生易しい手合いかねぇ、あのショルツってヤツ。オレには罠にしか思えないけど。
ちなみに、彼ら聖勇者とエルドランは古き友らしいぞ。
それにしてもあのショルツ・バッハとかいうの、あの邪念は尋常ではない。「“絶対悪グランダーク”とやらに成り代わった精神生命体」という御大層な肩書は伊達じゃない。ヤツめご丁寧にも
つーかなんだよ、“
まったくわけわからんことばかりで、先が思いやられるぜ。
いやぁ大河長官、“聖勇者”についてはオレもなんも知らないっす。えぇ? エルドランのことは詳しかった? それはそう。
とまあ、そんなこんなで。
明日は早速「旋風寺コンツェルン」の総帥、旋風寺舞人氏(どうやら原作終了後らしいぞ)との会合である。すんなり行けばいいなぁ。無理かなぁ。無理だろうなぁ。
† † †
「あ、ちゃんと開いた――って、うっわ、めちゃくちゃじゃん。なにこれ」
「JUNK SHOP絢」と辛うじて読める看板は薄汚れ、錆び付き、軋んだ音を立てるシャッターを開けた店内はガラクタだらけ――元々ジャンクショップではあるが――でホコリに塗れ、荒れ果てていた。
「この辺り、去年の怪獣被害で復興中なんです。たぶん、このお店も被害を受けて廃業しちゃったんじゃないかな」そういうのは人当たりの良さそうな青い髪の少年――
「怪獣被害……そういうのあるんだ」
「あるんです、そういうの」
“怪獣”――身に覚えしかない単語に、六花はげんなりとした。
それまで黙っていた栗色の髪の少女――
「蓬、蓬、それにしてもマジ開いたよね」
「ねー」
「えぇ……ていうか、信じてなかったんですか?」
胡乱な顔をする六花。蓬と夢芽の二人がどこかのほほんとした表情で顔を見合わせた。「そりゃあ、ね」「ねぇ?」
六花の脳裏に、「このバカップルが」という罵倒が浮かんで消えた。口に出さなかったのは、仮にも困っていたところを助けられた恩人であるからだ。
市内のとあるカフェ、ふと手に取った
「いやぁ、宝多さん、結構突飛な身の上じゃないですか。まあ、地球が増えたんだから平行世界?的な人が紛れ込んで来ても不思議じゃないかもしれないけど」
「まあ、それはそうだけど……」
「え、え、なに? ちょっと待って? 地球が増えたってどういうこと」
「あー、そうか、いや、話がややこしくなるし、それは後にしません?」
「いや、ムリだから。聞き捨てならないでしょ、」
ヌーベルトキオシティ郊外、旧東京都アヤナシ市フジヨキ台の一角で、彼らは
†
ヌーベルトキオシティ、旋風寺コンツェルン本社、応接室。
華美すぎない品のある調度品の数々に、合皮じゃない革張りの黒いソファ――如何にも大企業って感じの室内だ。
オレ、大河長官、洋、そして迫水博士(地球βの代表とブレイン役として招いた)の四名は、こちらの連邦政府との交渉を前にこの旋風寺コンツェルン、ひいては地球γの交通・経済その他もろもろを牛耳るこの人物、「旋風寺舞人」との会合に臨んでいた。――彼の隣にいる
まずは年長者として、大河長官が代表して謝意を述べる。
「旋風寺総帥、まずはこの度のご協力、本表敬団を代表しましてお礼申し上げます。ありがとうございます」
「いえ、この困難な局面に政府へ協力するのは民間人として当然のことですので」
記憶にある“旋風寺舞人”よりも少し成長した――具体的にいうと十八から二十歳くらいの――精悍な風貌をした旋風寺総帥は、明らかに仕立てのいいクラシックスタイルのスーツに身を包んでいる。
「失礼致します」ノックとともに、トレーを持った――紅茶を乗せているようだ――スーツ姿の女性が入室する。彼女もオレの記憶より幾分か成長しているように思う。その後ろから、同じようにトレーを手にした
「紹介します。まず彼女は
「旋風寺サリーと申します。皆さん、どうぞよろしくお願いします。こちらをどうぞ」
「どうぞ」
「ありがとうございます」
サリーさんと
次に、旋風寺総帥は隣に座る男を紹介する。
「それから彼はロジャー・スミス氏。弊社の顧問交渉人をしてくれています」
「ご紹介に預かりました、ロジャー・スミスです」
「先代旋風寺旭氏がご存命の時分より、旋風寺コンツェルンの交渉人を務めております」黒いスーツの男――ロジャー・スミスが言うと、旋風寺総帥がそれに応じる。「私にとっては歳の離れた兄のような方で、今回の会談に立ち会ってもらいました」
なるほど、両者は家族ぐるみの付き合いのようで、二人の間の雰囲気も気安い様子だ。マイトガインとビッグ・オーは世界観が合うからなぁ、混じってもおかしくない。
「それから、さきほどサリー夫人と配膳を務めたのは私のアシスタントで、R・ドロシー・ウェインライト。ドロシー、皆さんにご挨拶を」
「よろしく」
「ドロシー!」
「ははは、お気になさらず。彼女のような、
黒いドレスの少女――ドロシーの無作法を咎めるロジャー氏を、大河長官がやんわりと鷹揚に取り出す。って、えぇ……長官なんで今オレを横目で見たの? オレって
とまあ前置きはこれくらいにして、まずは洋の身に起きたことを伝えることから始めよう。
「――そんなことが。それにしてもショルツ――いや、グランダークの復活か……。わかった、瞬兵の行方については俺からも働きかけていく」
「お願いします」
「心配するな。バーンがついているんだろう? それに、瞬兵もまた“勇者”だ。どんな困難にも負けないさ」
「……はい」
旋風寺総帥と洋は直接的に面識があったわけではないようだが、同じ敵と戦った仲だし、知らない間柄ではない。行方知れずの共通の友人についての捜索を要請するのは当然の成り行きだろう。
「それから、エルドランが敗北したと聞いていますが」
「ええ、その現場に居合わせました。旋風寺総帥は彼とも面識が?」大河長官が答える。
「いえ、直接的には。ですが、彼が力を託した子どもたちとは連携して侵略者に対処していましたから」
旋風寺総帥は、生死不明のエルドランと封印されたエルドランロボについて懸念を示して――当然の如く共闘していたらしい――すでに当時操っていた子供たちとコンタクトを取っているそうだ。
エルドランロボが変じた三本の黄金の巨剣の所在は当然把握済み――やはり極楽町とやらにあるらしい――で、現在防衛軍が監視中とのこと。その内、“ダンケッツ”が結成されるんじゃねーかな。
さて、ここからがある意味本題である。
「それで、近年に起きた重大事件や公的機関の動静、名の知れた犯罪者や犯罪組織を知りたい、だったか。サリー、皆さんに例のものを」
「はい、舞人さん。こちらが資料になります」サリーさんが冊子をオレたちに手渡してくれる。今回のチームの頭脳として期待している迫水博士はもちろん、この世界に来たばかりの洋にも知っていて損はないだろう。
代わりに用意してあった地球α、地球βの年表(地球γの連邦政府に提供するものと同じ)などをまとめたものを旋風寺総帥とロジャー氏に提出する。
さて、早速とばかりに斜め読みするオレ。どれどれ……思ったよりイベントが少ないのは嬉しいのか嬉しくないのか……原作終了してないから嬉しくないと思ったほうがいいな。主に精神衛生面で。
「ところで、こういった情報から未来予知ができる能力者がいると聞きましたが。いったいどなたが?」
「オレです」
「超能力か……」旋風寺総帥がやや複雑そうな表情を見せる。
「信じ難いというのは理解しているつもりです」大河長官が深刻そうに言う。すると旋風寺は「いえ、そう言うわけではありませんよ。そういった能力を持つ人物と知己が無いわけではないので」と言い繕った。
「興味本位で恐縮だが、超能力というが、未来予知以外にはどういったことが具体的に可能なのだろう?」ロジャー氏が言う。
「一般的に、“超能力”と聞いて想像されるものは一通りには」「それは凄いな」などと四方山話に応対しつつ資料を読み進めるわけだが、徐々にヤバそうな
「オレのこれは未来視というか過去視というか千里眼というか……話はかわりますが旋風寺総帥は、ブラック・ノワールについてどこまでご存知で?」
「? ブラック・ノワールのついてかい?」総帥は一瞬、困惑を見せる。「地球外文明によって作られた自称高位次元人の社会管理システムだったと理解しているよ」
あっ、そういう設定。と内心で納得しつつ、オレは説明を続けることにする。
「高次元、すなわち二次元に対する三次元――ブラック・ノワールは皆さんに対して、「フィクションのキャラクターだ」など
「そうだった。――なるほど、つまりキミはブラックノワールと同じ視点で世界を俯瞰することができる、と?」
「お察しの通りです。オレの認識が正しいかどうかは置いといて、オレの能力は、シネマやノベル、あるいはコミックやカートゥーンを閲覧するように、より高次元の視点から
というのは対外的な説明なんだが、実際そうして情報も得てるからまるっきりウソってわけじゃない。主にメタ知識を当てにしたチートだから完全に本当でもないけど。
「こちらの情勢の情報を求めたのは、ヒーローやヴィランの存在を確認できれば、逆算して状況を把握できるからだね」
「ええ、オレの記憶や知識にある情報を用いて“脚本”を参照し、読み解いて、これから起こることを予め備えることができるわけです」
「我々も彼の知識と能力には大変助けられています」と大河長官。嬉しいこと言ってくれるじゃん。普段からコキ使われてるからなぁ。
「“メモリー”を読み取っていると考えればなるほど理解できる話だ」とはロジャー氏。やっぱパラダイムシティはあるんだね。知ってたけど。
「では、不幸な出来事……例えば人の死なども避けることが出来ると?」
「理屈の上ではそうなります。ただ、生死の因果は基本的に
オレは出来る限り人死には回避する方向で行動しているが、特に「
「それでイング君、何か気になる情報はあったかな」
「ええ、大河長官。旋風寺総帥、この怪獣被害の再活発化というのは?」
「“怪獣“とは、
「怪獣、それに異星人ですか……」
「基本的には規格外に巨大な生物を怪獣と称するけど、他にもヘテロダインと呼ばれる自然現象の一種などもいてね、私たちの文明が人型ロボットを発展させた主な理由だよ。
「(紅い粉塵……??)なるほど」
「それから昨年、“怪獣優生思想”というテロ組織が使った巨大生体兵器も彼らの呼び方にならって怪獣と称されるね。とはいえ、彼らはすでに壊滅しているが」
「うーん、怪獣、ヘテロダイン……“優生思想”の方は解決済みかぁ。じゃあヨシ」
「極東軍警察、“レイバー“を試験運用……
「そうだね。普及されるにつれて、犯罪に使用される例が多くついに警察でも運用が開始されることになったんだ。私たち民間人だけではなく行政で対応できるのはいいことだよ」
「私の地元でも、レイバーに類する機動メカを用いた犯罪は多くてね。毎回現れる度に手を焼かされるものだよ」
「国際機関WSO、奇械島にスカルフォースを派遣。重力炉崩壊の阻止に成功するも、
「イング君、この“カイザー“というのはひょっとして――」
「ええ、長官。マジンカイザーの同型機です。正確な来歴不明ですが、おそらく並行世界の兜博士が建造したものでしょう」
「貴方がたの地球にも、カイザーと同様の存在が?」
「はい、マジンカイザー、グレートマジンガー、そしてマジンガーZ――それら“魔神“は、我々にとって特別な意味を持つ……まさしく始まりのスーパーロボットと言っていい存在なのです」
「……大空魔竜隊とその支援組織NEX、ダリウス界。――イング君、大空魔竜というと?」」
「オレたちの知る大空魔竜とは並行同位体ってところですね。……ああ、
「うん、NEXとは以前から緊密に連携していてね、そちらを通じて彼らの活動を助けているんだ」
「……もしかして、瞬兵ってやつはダリウス界で大空魔竜隊に拾われてるかもな」
「! 本当ですか、イングさん」
「まあ、勘というかお約束的にはだけど。総帥、先方にその旨を伝えておいてもらえませんか」
「ダリウス界……それは盲点だったな。わかった、伝えておくよ」
「あ、アーカムシティ……覇道財閥、ブラックロッジ―――そうかぁ、そうきたかぁ……」
「イング君、そんなに不味い案件か」
「大分ヤバいっすね、長官。下手しなくてもゾンダー以上っす。個人的にはブラックロッジの“魔術”が
「覇道財閥とわが社は付き合いがあまりなくてね。彼らはアーカムからほとんど離れないので、接触は政財界の大きなパーティーで顔を合わせるくらいだよ」
「ふむ……アーカムシティは私たちの地元だが、
「そ、そっすか……(ぱ、パラダイムシティも融合してるー!?)」
「魔術、魔法か……興味深いな。イング、もしかしてキミも使えたりするのだろうか」
「まあ、やろうと思えば。魔法だろうが魔術だろうなんだろうが、突き詰めれば全部“超能力”なんで」
「それは暴論では……?」
「ブラックロッジはかなり危険な集団だけど、アーカムシティの外ではほとんど見られないのが幸いかな」
「ヤツらは邪教を信仰する
――などなど懸案事件がすでに山程あるし、見えてないものももっとあるだろうが。すでに目眩がしてきた。
ともかく伝えるべきことを伝え、知るべきことを知ったあとは、事務的なあれそれと友好を深めるためにお互いの地球について話し合う。大河長官は興味津々な様子で「勇者特急隊」のことを質問し、旋風寺総帥も超AIを用いたGGGの“勇者ロボ”には興味が引かれようだ。
オレが内心「くぅ~、これだよーこれ」と夢のクロスオーバーを楽しんでいた、そんなときだ。
「! ちょっと失礼」
旋風寺総帥の腕に身に着けた通信ブレスレット、「ダイヤグラマー」がけたたましい呼び出し音を打ち鳴らす。
「皆さん、緊急事態です」
「旋風寺総帥、緊急事態とは?」大河司令が険しい表情で問い掛ける。
「――怪獣が、現れました」
無限力(主にイデ/作者)「ヒャッハー! 因果の歳末バーゲンセールや! 全部ぶち込んだろ!」
ニャル「なら、こんなのはどうだい?」っデモンベイン
無限力(主にイデ略)「おおー、ええやんええやん」
ニャル「そうでしょうそうでしょう」ニヤニヤ
闇監督「これも追加だ」っグリッドマンユニバース
無限力(主に略)「ありがとナス!」
《それ》(あるいは公式)「……ふーん」スッ
無限力(主略)「え?」
ニャル「うん?」
闇監督「は?」
カイザーさん「あっ(白目)」
ゲッペラ「ヒェッ」
おっちゃん「アカン」
ZERO「スゥー(察し)」
net迷惑神「」
ン我が魔王「え、これヤバない?」
スパルタカウンセラー「ヤバい。ガチでヤバい」
■ジ■■ュ■■「…………」