スーパーロボット大戦//サイコドライバーズ:Re   作:かぜのこ

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αl-3「この星の明日のために」

 

 

 新西暦一八七年 ◎月*日

 地球、サンクキングダム周辺海域 《グラン・ガラン》の一室

 

 完全平和主義、ねぇ……。

 サンクキングダムを治めるリリーナ・ピースクラフトの掲げる理想について、オレはどちらかというと否定的だ。

 正直、この状況下じゃちょっと空気読めてんじゃないかな?としかいいようがない。何せ、地球人類同士で戦争してるだけじゃなく、異星人やらからからな。もちろんわかりあえればいいけれど、吐き気を催す邪悪を相手に戦いを放棄するなんて出来るわけがないだろう。

 さすがに侵略者相手にも主義を貫く訳じゃない、よな?

 ちなみに、リリーナ嬢との直接的な接触はない。だってオレ、一介のパイロットだし。一応、挨拶くらいはしたけどな。

 

 まあ、結局サンクキングダムはOZとその黒幕であるロームフェラ財団の策略によって崩壊してしまったのだが。

 このどさくさで、サンクキングダムで建造されていた《ウィングガンダムゼロ》にヒイロが、OZのトレーズ・クリシュナーダが建造させた《エピオンガンダム》にゼクスが乗り換えている。

 しかしまぁ、ヒイロとゼクスは機体取り替えっこしたり陣営変えたり、落ち着かないヤツらだわな。

 

 そういえば、あの《ウィングガンダムゼロ》って敗者版なのに盾がないからネオバードにならないんだよなぁ。最初からEW仕様とはこれいかに?

 

 

 

 新西暦一八七年 ◎月□日

 地球、某無人島 《グラン・ガラン》の一室

 

 オレは今日、ドレイクの軍勢との決戦を勝ち抜き、この日記を書いている。

 いい加減、空気も時勢も読めていない皆さんにはきっちり地底世界にお帰りいただいた。だいぶ激戦だったが、連中についてはこの程度の扱いでいいだろう。

 性懲りもなく現れたイングラムももちろん撃墜してやった。すぐさま修復されたがな。チッ。

 

 で、宿敵との戦いを終えたショウさんやシーラ様たちだが、しばらくこちらでオレたちに協力してくれるそうだ。

 まあ《ゴラオン》が別行動してるわけで、置いて帰るわけにもいかないしね。それに、地球が滅べば、そのアンダーワールドであるバイストン・ウェルだってどうなるかわかったもんじゃない。

 

 ともかく、これで物語に一つカタが付いたわけだ。

 オレたちの戦いも、いよいよクライマックスに近づいている感じだな。

 しかし、色を塗り替えただけで性能の上がる《ビルバイン》ってなにさ。

 

 

 

 新西暦一八七年 ◎月×日

 地球圏、衛星軌道上 《グラン・ガラン》の一室

 

 《ヱクセリヲン》、やっぱデカいな!

 外宇宙での調査任務から急遽帰還した手負いの《ヱクセリヲン》を襲うキャンベル軍、そしてジュピトリアンから防衛した。

 

 キャンベル軍、ジュピトリアンとの戦闘については特に語ることもない。ヤザン・ゲープルの《ハンブラビ》に絡まれて若干ウザかったがまあ、その程度だ。所詮、オレと《アッシュ》の敵じゃない。

 ああ、そうだ。マサキのヤツが、《乱舞の太刀》なる新必殺技を披露してたんだ。

 オイオイ、あれめっちゃカッコいいじゃん。オレもああいう必殺技を考えてみようかしら?

 

 あと、トップ部隊の代わりに《ヱクセリヲン》の護衛をしていた《YFー19》のイサム・ダイソン中尉と《YFー21》のガルド・ゴア・ボーマン主任が加わった。

 さすが最新鋭のバルキリー、半端じゃない機動力だったな。

 

 

 

 新西暦一八七年 △月◎日

 地球圏、衛星軌道上 《マクロス》の自室

 

 三隊に分かれていたSDF艦隊は迫る決戦に向け、再び合流した。

 ソロモン攻略戦はなんとかなった。戦死者とか出なくてよかったよ、ほんと。

 

 と、はたと気がついた。

 最強のマジンガー、《マジンカイザー》が兜甲児さんと一緒に加わってるじゃないか。くそっ、登場を見逃した《真ゲッター》の件といい《ゴラオン》隊に入っときゃよかった!

 と《マクロス》の格納庫でorzとしてたら、偶然通りがかったアスカに「アンタバカァ?」とお決まりの悪態を吐かれてしまった。

 くっ、今回ばかりは反論できん!

 オレと同じく悔しがるリュウセイに、ノリコが得意そうに“魔神皇帝”のエピソードを語るわけだ。

 

 この《マジンカイザー》、甲児さん自らが開発を主導した初めての“マジンガー”である。一応、《真ゲッター》と共にSRX計画のスーパーロボットってことになる。これ、マメ知識な。

 で、ベースとなったのは光子力反応炉の起動実験に失敗して事故を起こしたプロトタイプマジンガーで、旧光子力研究所の第七格納庫に封印されていたところを甲児さんが発見、研究を続けていた。ご本人によれば「おじいさんが俺を呼んでいた」とか。

 発見された時点ではパイルダーがなく、ヒトの意思や心が介在する余地がないことから「皇帝」とだけ呼称されていた。

 可能性の力である光子力の化身である「皇帝」は自意識らしきものを持ち、さらに自己再生、自己進化の性質を有していた。あるいは本当の“悪魔”として終焉の魔神となることを危惧した甲児さんは、後付けの制御装置として《カイザーパイルダー》を開発。また亡き父兜剣造博士の残した技術を用いて「皇帝」が正しい心を持つ、人々の自由と平和を護る正義の魔神へと至るよう研究を続けていた。

 そんな「皇帝」を狙ってか、ロンドベルの不在を突き極東支部と新光子力研究所に押し寄せるBF団の《量産型グレート》軍団(《イチナナ式》ではないほぼ完全版。設計図が連邦軍から横流しされていた?)、を迎え撃つ《マジンガーZ》。しかし多勢に無勢、《マジンガー》は倒れ、甲児さんは緒戦で大怪我を負った。

 迫る悪のマジンガー。「皇帝」はまるでそれに呼応するように目醒め、すわ暴走かと思われたその時! 怪我を推して《カイザーパイルダー》で出撃した甲児さんがパイルダーオンを敢行し、見事《マジンカイザー》が誕生、《量産グレート》軍団を蹴散らしたのだった。

 

 ――ということらしい。どや顔で語られた。

 正直、友情にヒビが入りかけた。めっちゃ羨ましいわ!

 ま、そのあとメディアの鑑賞会して仲直りしたけどな。

 ちなみにそのノリコだが、こちらもしばらく見ないうちに《ガンバスター》に乗り換えていた。き、気づいてなかったわけじゃないんだからなっ!?

 

 

 

 新西暦一八七年 △月♪日

 地球圏、サイド3 《ラー・カイラム》の自室

 

 ついに、オレたちSDF艦隊はジオン公国との戦いに勝利した。

 アムロ大尉やクワトロ大尉、ブライト艦長にとっては七年越しの決着になるだろう。この世界での“一年戦争”は、《マクロス》の落下で休戦状態になっていたようなもんだからな。

 

 しかし、不謹慎だが今回はかなり燃えた。

 ジオン公国軍を率いるギレン・ザビとの地球圏の命運を左右する決戦。モビルドール《ビルゴIIl》、《トーラス》のみならず、《ギラ・ドーガ》や《ザクIII 》、《ドーベン・ウルフ》などを無人機化して大量投入。さらに、どこから入手したのだろうか、《量産型グレートマジンガー》《量産型ゲッタードラゴン》、《量産型ゲッターライガー》、《量産型ゲッターポセイドン》の大軍との激闘でもあった。

 悪の手先になったマジンガーとゲッターを、圧倒的なパワーで駆逐する《マジンカイザー》と《真・ゲッターロボ》、そしてスーパーロボットたち。そして、数々の敵モビルスーツを蹴散らして巨大空母《ドロス》に肉薄する《νガンダムHWS装備型》と《サザビー》率いるガンダム軍団。某悪夢の人じゃないが、鎧袖一触とはこのことか。

 このシチュエーションに燃えずして、何に燃えろと言うのだろう。

 まあ、途中で紫ババ、もといキシリア・ザビからの停戦協定の提案があって中途半端な形に終わったのが残念だが。

 

 そんな激戦の最中を、オレはクスハ、ブリットの《龍虎王》、リオがパイロットを務める《AMガンナー》と合体したリョウトの《ヒュッケバインMkーIII・ガンナー》で小隊を組んで戦い抜いた。

 カップルに囲まれて、若干肩身が狭かったのは秘密だ。

 どうしてこんなに頑張ってるのに、オレにはヒロインがいないんだっ!

 

 

 

 新西暦一八七年 △月◇日

 地球圏、衛星軌道上 《ラー・カイラム》の自室

 

 いやはや、酷い目にあった。

 ジュピトリアンの巨大サイコミュ兵器“エンジェルハイロウ”による、サイコウェーブの被害だ。

 カミーユやアムロ大尉たち、感受性の強い面々は特に苦しんでいた。いや、苦しむというよりは強制的な安らぎの念に飲まれかけていたんだろうな。

 オレ?オレの念も自我もそんな柔じゃないから、むしろ対抗してやったが何か? 向こうがチャンネル開けっ広げだったから、軽く交信(テレパシー)出来たし。

 まあ、そのせいでサイキッカーたちの末路を感じ取ってしまったわけだが。

 

 実際の戦闘はわりと力尽くだった。

 マサキの宿敵、DCのシュウ・シラカワ博士が持ってきた作戦、「念動力者複数名の念を増幅してサイコウェーブに対向する」を拒否して戦ったんだ。

 なぜかオレが代表して、協力するか否かを決定することになってしまった。クスハもリョウトも強く主張するタイプじゃないのはわかるが、いいのかな。

 とりあえず、クスハやリオ、アヤ大尉の身体を気遣って拒否したわけだが。

 

 戦場では、()を浚われたヒイロの《ウイングガンダムゼロ》とウッソの《V2ガンダムアサルトバスター》が暴れまわり、大活躍した。

 で、戦いにより崩壊して地球に落ちた《エンジェルハイロウ》を追撃するチームと、ジオン残党とジュピトリアンを叩くためアクシズに赴くチームの二つに分かれて進撃するロンド・ベル。

 オレは地上へ、クスハとリョウトはそのまま宇宙に残留する。

 何か邪悪ものと接触するような、そんな予感がする。気合い、入れないとな。

 

 

 

 新西暦一八七年 △月●日

 地球、某無人島近くの海上 《グラン・ガラン》の一室

 

 相変わらず、《グラン・ガラン》に間借りしているオレである。

 それはともかく。重力に引かれて落下したエンジェルハイロウを舞台に、長らく戦ってきたジュピトリアンのベスパ軍、そしてトレーズ・クリシュナーダ率いるOZとの戦いが終わりを告げた。

 《ゴドラタン》のカテジナ・ルースにはウッソが、《ガンダムエピオン》のミリアルドにはヒイロがそれぞれ相対し、長い因縁に終止符を打った。

 しかし、(いたずら)に世界を混乱させて、トレーズ・クリシュナーダはいったい何を考えていたんだろうな。あるいは、彼なりに世界のことを考えていたのかも知れないが。

 

 

 

 新西暦一八七年 △月◇日

 地球、第三新東京市 《グラン・ガラン》の一室

 

 突如、単騎でネルフに強襲したゼ・バルマリィ帝国の特機級機動兵器《アンティノラ》と、それを操るユーゼス・ゴッツォにより精神汚染を受けたアスカを守って戦った。仲間を、友人を救うため、決死の覚悟で自爆特攻したレイの行為も《アンティノラ》を揺るがすには至らなかった。

 ユーゼス・ゴッツォ、邪悪な念を持った危険なヤツだ。アレは、オレが倒さなきゃならない存在だろう。一目見た瞬間に理解した。そして、ヤツがイングラムを縛る邪念の鎖の根元であると直感した。

 ヤツと交わした会話はこんな感じ。

 

「貴様か! イングラムを縛る邪念の出所は!」

「ほう……アウレフの集めたサンプルの内のイレギュラーか。その強念、さながら愚帝ようだな。お前を取り込むのはいささか危険なようだ。私自ら処分しよう」

「こっちだって願い下げだ! ユーゼス・ゴッツォ、貴様はオレとアッシュが断ち斬る!!」

 

 アスカを傷つけられ、レイが犠牲になって完全にキレていたオレは、サイコドライバーの力を全開にしてヤツを刻んでやった。メタ的に言うなら「気合×3、ド根性、加速、努力、幸運、ひらめき、必中、魂」の精神コマンドコンボをかけてフルボッコにしたってとこか。

 とはいえ致命傷を与えたものの、お約束的に修復されたけどな。……ちくしょう。

 

 

 

 新西暦一八七年 △月☆日

 地球、第三新東京市 《グラン・ガラン》の自室

 

 しんみりとした気分で今日の日記を綴っている。

 ネルフの地下深くにあるセントラル・ドグマで、渚カヲルこと最後の使徒、第一三使徒《タブリス》と戦った。正確には彼に操られた《弐号機》とだが。

 本性を現した彼に対して、ゲッター線の申し子《真・ゲッターロボ》と意志ある魔神《マジンカイザー》が過剰反応していた。向こうも、何やら両機に感じるところがあったらしい。

 短い間とはいえ、カヲルと友好を深めていたシンジにトドメを刺させるのは忍びなく、最終的にはオレがケリをつけた。

 

 彼はオレのことを「いつか太極に至る者」と呼び、「古き強念の持ち主たちが今もキミを見守っているよ」と言った。

 古き強念の持ち主、サイコドライバーのことか? たち、ってことは複数いるわけだな。そいつらが、オレをこの世界に呼び寄せたのだろうか。

 そして、太極……どこかで聞いたことのある単語だが、思い出せない。ったく、相変わらず肝心なところで役に立たない記憶だ。

 言葉の真意を確認する術はもうなく、カヲル自身、詳しく語るつもりはなかったのだろう。オレがこの世界にいる意味がわかったかもしれないのに……残念だ。

 

 

 

 新西暦一八七年 △月●日

 地球圏、衛星軌道上 《マクロス》の自室

 

 再び部隊が合流したのだが、どうやら向こうもいろいろヤバかったらしい。

 バルマーの連中に、アヤ大尉、リオ、リューネ、獣戦機隊の沙羅が拉致され、洗脳されて戦うことになってしまったのだとか。ユーゼス・ゴッツォめ、最悪に迷惑なヤツだな。

 全員無事に救い出せたわけだが危なかった、いろいろと。主に本が薄くなる、そういうことだ。

 ちなみに、ブリットくんに「さらわれなくてよかったな」と冗談混じりに言ったら顔をしかめられた。さもありなん。

 

 さておき、女性型巨人族メルトランディとの戦いである。

 その中で、赤いパーソナルカラーの機体と戦い、マックスが相打ち気味にMIAになった。まあ、ヤツは天才だからな、ほっといても大丈夫だろう。

 それと、いろいろあって《ジュデッカ》から()()されたレビ・トーラーと、SRX計画から派遣されたイングラムの後任者ヴィレッタ・バティム大尉が修復された《RーGUNパワード》ともにやってきた。どうやらレビの方が《RーGUNパワード》に乗るらしい。

 つーかリュウセイよ、お前さんいつの間に敵の幹部をナンパしてきたのさ。と言ったら盛大に否定していたが、実際そんなもんだろ? フォウやプル姉妹、クェスとは事情がまるで違うんだからさ。

 まあ確かに、レビ自身からは邪悪な念は感じなかったし、どちらかと言えば《ジュデッカ》に操られている感じはしてたけど。

 

 ところでヴィレッタ大尉、アンタ、バルマーの人でしょう。

 わかるぞ、交戦中に関知した念は忘れない質でね。つーか、あっちも隠す気なくね?

 一応、ライ少尉と一緒にヴィレッタ大尉の意思は確認してコンセンサスは取れたので、特に事を荒立てる気はない。

 これで、イングラムのこれまでの行為が本意でない可能性に真実味が出てきたな。

 

 

 

 新西暦一八七年 △月●日

 地球圏、衛星軌道上 《マクロス》の自室

 

 もうすぐ、女巨人族メルトランディの旗艦、《ラプラミズ旗艦》との決戦が始まる。

 いつものようにチームを組むクスハだが、過去最大規模の戦いを前にどうやら緊張した様子だった。まあ、ブリットがフォローするだろう。オレの出番じゃない。

 

 リン・ミンメイの歌に心打たれて“文化”に目覚めたブリタイの計らいで、彼らの旗艦にして司令であるボドルザーが協力してくれるという。若干嫌な予感がするが、まあ、大丈夫だろう。

 ひさびさに「霊感がささやく」ってヤツだな。

 

 

 

 新西暦一八七年 △月●日

 地球圏、衛星軌道上 《マクロス》の自室

 

 メルトランディ及びゼントラーディとの戦いにケリがついた。

 葛城さん命名、「ミンメイ・アタック」によりメルトランディが戦意を失ったところ案の定ボドルザーが裏切り、ラプラミズらを砲撃。撃破した後、SDFに対して攻撃を開始した。

 曰く「文化は危険」なんだと。知らんがな。

 

 「愛・おぼえていますか」をバックに、宇宙を突き進む《マクロス》とスカル小隊。予想通り生きていたマックスがメルトランディの技術で巨人化、“エース”のミリアを引き連れて参戦する。

 オレたちロンド・ベルもミンメイの歌声に触発され、気力万端。ゼントラーディ軍を蹴散らして、目指すは超々弩級の艦隊旗艦《ボドル旗艦》。

 オレはリオの《AMガンナー》と《アッシュ》を合体させ、さらに《ヒュッケバインMkーIII・ボクサー》に換装したリョウト機との合体攻撃を敢行した。

 ブラックホール・エンジンとトロニウム・エンジンが生み出す莫大なパワーを一つに合わせ、4つの《Gインパクトキャノン》から放たれた空前絶後の重力波がゼントラーディの巨大戦艦を次々に薙ぎ払った。

 名付けて《オーバー・フルインパクトキャノン》。即興技と思われそうだが、《アッシュ》の前身、《MkーIII》の時点から想定されていた設計通りの運用法である。

 え? リョウトのポジションを奪っていいのかって? 《アッシュ》も一応《AMボクサー》と合体できるけど、趣味じゃないんだよなぁ。あれはあれで格好いいけど、高機動による剣戟戦闘がオレの持ち味なんだし。

 

 そんなこんなでオレたちの活躍もあり、ボドルザーは倒れ、ゼントラーディや生き残ったメルトランディは戦意を完全に喪失、あるいはミンメイの歌に感銘を受けて投降した。

 彼らはSDF主導のもと、地球人類と友好な異星人の第一号となるだろう。

 その先駆けとしてマックスとミリアは結婚するんだと。ケッ、いちゃつきやがってからに。

 ――でもま、解り合うって、素晴らしいよな。

 

 

 

 新西暦一八七年 △月※日

 地球、第三新東京市 《ラー・カイラム》の自室

 

 宇宙から一転、急遽地球に降りたのにはわけがある。

 人類保完計画の発動を目論むゼーレは、ティターンズを利用してネルフを襲撃する。オレたちが宇宙にいると知って、行動を開始したのだろう。姑息なことだ。

 だが、ロンド・ベルを甘くみたようだな。《真・ゲッターロボ》、《マジンカイザー》を先導に《EVA初号機F型装備》、《龍虎王》、《ヒュッケバインMkーIII・ガンナー》、そしてオレの《アッシュ》が大気圏に突入し、《エヴァンゲリオン量産機》相手に孤軍奮闘していたアスカを救出した。

 直に《ラー・カイラム》も到着し、ロンド・ベル全軍により《EVA量産機》は瞬く間に駆逐された。

 オレたちロンド・ベルがいる限り、原作のように鳥葬なんて惨いことはさせねー!

 

 甲児さんや竜馬さんらゲッターチームの皆さんはもちろん、オレやリョウト、クスハも張り切ってたが、今回一番気合いが入ってたのはシンジだろう。鬼気迫る勢いで新兵器(出撃時に、リツコさんが「こんなこともあろうかと!」ってドヤってた)F型装備の《マゴロク・カウンター・ソード》を振りかざし、白ウナギどもを切り刻んでいた。

 レイやカヲルの犠牲に、アイツなりに思うところがあったのだろう。シンジは、初めて会ったときよりずっと頼もしく、男らしくなったように思う。

 これで悲惨な未来を一つ、回避できたはずだ。

 

 追記

 F型装備って聞いたことないんだけどなにあれ? なんか、変なルートに入った悪寒ががが

 

 

 

 新西暦一八七年 *月#日

 地球圏、月面 《ラー・カイラム》の自室

 

 バルマー帝国に組み込まれたキャンベル軍及びボアザン軍との戦い。正式名称を、帝国監察軍第七艦隊というらしいゼ・バルマリィ帝国との前哨戦と言っていいだろう。

 戦い自体については、豹馬が宿敵ガルーダと決着をつけたり、健一が敵将で腹違いの兄らしいハイネルを説得したり、イルムのオッサンが援軍にやってきた。あれか、元カノにいいとこ見せたかったのか。

 

 後顧の憂いも断った。

 あとは、ユーゼス――バルマーの連中を打倒し、雷王星に巣くった宇宙怪獣を駆逐するだけだ。

 ――エンドマークは、近い。

 

 

   †  †  †

 

 

 SDF艦隊ロンド・ベル《ラー・カイラム》、格納庫。多種多様、様々な機動兵器を抱えたロンド・ベルらしく、雑多で統一感のかけらもない。

 

 最終決戦を明日に控え、整備班長アストナージ率いる整備士たちは各機の最終チェックに余念がない。

 その片隅、銀髪紅眼の少年――イングは、キャットウォークの欄干に身体を預けてぼんやりと愛機《アッシュ》を眺めていた。

 甲高い足音とともに人の気配を感じ、振り向く。

 

「ん、クスハか」

「こんばんは、イングくん」

「おう、こんばんは」

 

 気配の正体、クスハが穏やかに挨拶する。

 

「なんだクスハ、休まなくていいのか?」

「うん……なんだか落ち着かなくて、龍王機の様子を見てみようかなって思ったの。イングくんも?」

「まあ、な。柄にもなく、緊張しちまってるらしい」

「そうなんだ」

 

 くすくすと小さく笑みをこぼすクスハ。年下に見える少年のキザな物言いは、彼女には背伸びしたように聞こえるらしい。

 やや憮然とするイングは、クスハのパートナーであるブリットが一緒にいないことに気づいたが、あえて指摘はしなかった。女心は時に複雑なのだと承知している程度には、彼は大人だった。

 

「あれ? 二人とも、どうしてここに?」

「なんだ、リョウトも来たのか」

「こんばんは、リョウトくん」

 

 驚いた様子のリョウトに、二人はのんびりと挨拶した。

 

「そっか、二人とも僕と同じか」

「うん」

「奇遇だったな」

 

 三人は会話を交わしながら、ゆったりと格納庫内を散策する。もちろん作業員の邪魔にならないよう、こっそりと。

 薄暗い格納庫には、三人と共に激戦を戦い抜いた鋼鉄の巨人たちが鎮座し、決戦の時を静かに待っている。

 そうして三人は、《龍王機》及び《虎王機》が駐機している場所までやってきた。

 イングたちの姿に気がつき、うつ伏せて休んでいた彼らは瞑っていた瞳を開く。その瞳はわりとつぶらである。

 

「龍王機、明日もよろしくね」

 

 穏やかに《龍王機》を撫でるクスハを背後からリョウトが見守っている。

 リョウトも念動力者である、クスハほどではないが超機人たちの意志を感じ取ることが出来る。《龍王機》からは、クスハを気遣う念と決戦を戦い抜く気概が感じられた。

 だが、イングはなぜか隣のスペースに留めてあった《Rー1》の足元で隠れるようにして、その様子を遠巻きに眺めている。

 

「イング、そんなところにいないで、近くに来たら?」

「イヤだね。威嚇されんだよ、近づくと」

「もう龍王機ったら、意地悪しちゃダメだよ?」

 

 リョウトの勧めに顔をしかめるイング。ロボット好きな彼にしては珍しく、本気で嫌がっている。

 当初《ライディーン》から警戒されていたイングだったが、最近は超機人だけでなく《マジンカイザー》からも警戒されていたりする。逆に、《真ゲッターロボ》からは僅かながら興味を持たれているようだが。

 

 超機人の元を離れ、ぶらりと格納庫内を行く三人。

 先頭を歩いていたイングがふと振り返り、思いついたように言葉を発した。

 

「そういえば、お前らは次の戦いが終わったらどうするんだ?」

「終わったら……? そっか……もうすぐ最後なんだね、この戦争も」

「考えたこともなかったかな」

 

 イングの問いに、二人はキョトンとしたあと、苦笑いを浮かべた。本当に意識していなかったのだろう。

 最初に声を上げたのはクスハだった。

 

「私は……、看護師さんの勉強をしたいな」

「看護師?」

「うん。子どものころからの夢だったの」

「へぇ、クスハらしいな。じゃあ、リョウトは?」

「僕はたぶん、マオ社に戻るかな」

「ほぉ、マオ社に務めてるって話のリオの親父さんに挨拶しに行くわけだな」

「ち、違うよっ! そうじゃなくて、実はカークさんに誘われてるんだ。「PTデザイナーにならないか」って」

 

 からかいに顔を赤らめつつ、リョウトは事情を証す。堅物なカークのことであるから、単純に彼の才能を評価したということだろう。

 表情から満更ではないことを察し、イングとクスハは微笑んだ。

 

「そういうイングくんは、どうするの?」

「オレか? オレはロンド・ベルに残るよ。いろいろと、ややこしい身の上だしな」

 

 マシンナリー・チルドレン、人造人間であることを暗に示し、苦笑するイング。その生まれのせいで当初は万丈から疑われたり――もっとも今は後輩としてかわいがられているが――もしたが、結局彼が生まれた理由は不明なままだった。

 気遣わしげな視線を年下(?)の友人に向ける二人。しかし当のイングは言葉こそ自嘲気味だったが、声の調子はいつも通り明るくおちゃらけたもので。

 

「そんでもって、戦いから離れたお前らの未来を護ってやるよ。だから、安心して夢を叶えてくれよな」

 

 ニッ、と快活な笑み。どこか悪童的なイングがよく浮かべる表情だ。

 クスハとリョウトは、冗談めかした態度の裏にある彼の不器用な想いと決意を感じ取った。それは友情と言っていい純粋な思いだった。

 

「イングくん……」

「ありがとう、イング」

「よせやい。友達だろ、オレたちはさ。ウルトラ任せとけってヤツだ」

「ふふっ、なにそれ」

 湿っぽくなった空気をからりと笑い飛ばし、イングは言う。

 友達ならば当然だと、自らが傷つくことを恐れもせず、臆面なく言えてしまう彼の強さはまるで太陽のようだと、クスハとリョウトはこのとき思った。

 

「さて、もう休もうぜ。オレたちパイロットは休息も大事な仕事だ」

「うん」

「そうだね」

 

 

 

 

 時間を戻して。

 多くの市民が退去して静けさに包まれた《マクロス》艦内都市の一角、うらぶれた雑居ビルが建ち並ぶエリアで。

 とある雑居ビルの地下にあるバーに、アムロ・レイ、流竜馬、そして兜甲児の三人が連れ立って訪れていた。

 

「ここだよ、甲児」

「へぇ……、雰囲気あるな。竜馬が見つけたんだって?」

「おう。隠れ家、ってヤツだ」

「お前にしちゃあ趣味のいい店だな」

「おい甲児、ケンカ売ってんのか」

「はははっ、冗談だよ冗談」

 

 学生のようなやり取りをする二人に、アムロは苦笑を漏らすもどこか楽しげだ。

 間接照明が照らす落ち着いた雰囲気の店内、カウンターに立ったバーテンは三人に目を向けると、わずかに表情を動かすがすぐに平素を取り戻す。黙々とグラスを磨く作業に戻った彼は退役軍人で、明日の最終便で大半の非戦闘員とともに《マクロス》を退去することになっている。

 三人はカウンター席に座るとそれぞれ注文する。アムロがビール、竜馬が日本酒に、甲児がウイスキーだ。

 

「じゃあ、乾杯といくか」

「決戦前に歓迎会ってのも可笑しな話だが」

「いいってことよ。俺がここに来た時には慌ただしかったしな」

 

 SDFに合流した旧ホワイトベース隊の関係者では甲児が最後だった。《マクロス》で偶発的に宇宙に出ていた彼らに代わり、地球圏の平和維持を先の大戦の英雄として担っていたのだ。

 一線を退いて研究職に付く甲児が未だ戦場に出ることについて、新光子力研究所の所長である弓さやかは常々反発しているが、世界情勢がそれを許さない。

 

「隼人は鉄也と編成の確認、弁慶は整備班に混じって決起会。……ブライトさんも呼べばよかったか?」

 

 澄んだ日本酒の注がれたグラスを弄びながら、竜馬が言う。

 

「ブライトを呼べばシャアを呼ばないわけにはいかないが、それは趣旨が違うだろう?」

「まあ、シャア……クワトロ大尉に思うところがない訳じゃないけどな」

 

 それもそうか。二人の意見に竜馬は納得し、グラスを傾けた。

 クワトロ・バジーナ――シャア・アズナブルと彼ら三人は、戦争で殺しあった間柄だ。蟠りはこのバルマー戦役である程度解けたが、それはそれ、これはこれである。フォッカーであるならまだアリだが、今頃彼は恋人(いいひと)と過ごしているだろう。

「しっかし、こうして俺たちで酒を飲むようになるとはなぁ……」甲児がかつてを思い浮かべて染々と呟く。

「俺と甲児は喧嘩ばっかりだったし、知り合った頃のアムロはモヤシだったな」竜馬がかつてを思い出してどう猛な笑みを浮かべた。

「二人には、悪い影響を多分に受けた気がするな」アムロがかつてを思い返して笑みを溢す。

 

 すでに一端の特機乗り(そしてライバルじみた関係)だった甲児と竜馬に挟まれて、年下で経験の浅いアムロは必然的に子分か後輩のような立ち位置に収まった。

 二人の張り合いに巻き込まれたり、温泉地で女風呂の覗きに付き合わされたり(当然、女性陣にブッ飛ばされた)。最終的には毒されて、ギレン・ザビの演説に怒り、モニターを破壊することもあった。

 

「ホワイトベース隊解隊の約束がやっと果たされたな」

「ああ……」

 

 五年前、多大な犠牲を払いながらも地球圏に幾ばくかの平穏をもたらした彼らは、再会を誓い合いそれぞれの道へ別れていった。

 そうして叶った再会が未曾有の危機の中というのは皮肉なものだが、苦楽を共にした戦友との語らいは続く戦争により荒んだ心を癒すことになるだろう。

 

「あの後、アムロが五年軟禁されてたからな」

「すまない。鉄也とジュンさんの結婚式にも結局出席出来ずじまいだった」

「お前が謝ることじゃねぇさ。悪いのは頭の固い連邦軍のお偉方よ」

「そうそう。弓教授とかも頑張ってくれたんだけどな」

「今は教授じゃなくて、政治家のセンセイだろ」

「そうだった」

 

 弓教授こと弓弦之助は、来年には極東地区の首相に就任することが内定している。師から受け継いだ光子力の研究をさやか()甲児(愛弟子)に任せ、自身は政界に進むことで若者たちの力になろうとしているのだ。

 

「結婚といえば甲児、さやかさんとはどうなってる?」

「うっ! ……そ、それは……」

 

 ふと、疑問を思いついたアムロが告げると甲児は言葉を詰まらせた。

 隣に座る竜馬が呆れたように視線を向ける。

 

「こいつ、ヘタレてやがるんだよ、アムロ。鉄也たちの結婚式でさやかがブーケを取ったってのに。仕舞いには隼人にまで先を越されてやがる」

「隼人はミチルさんと婚約したんだったな」

「ああ。その内籍を入れるだろうな」

「ヘタレてるんじゃねぇ! ……ただ、お互いに忙しいだけでな?」

「はいはい、そういうことにしといてやるよ」

 

 やれやれ、と竜馬が肩を竦める。その煽るような態度に甲児はムッと眉を吊り上げ、言い返す。

 

「そ、そういうお前はどうなんだよ!」

「ん、俺か? まあ、ガキじゃねぇんだ、ぼちぼちとな」

「マジか」

「つっても所帯を持つつもりは今のところねぇな。……このご時世だ、少なくとも侵略者どもを片付けねぇとな。オチオチ引退もできやしねぇ」

「確かにな……ミケーネや恐竜帝国に代表される地下勢力は後を絶たない。近頃じゃ、BF団の活動が活発だ」

「それに、ジオンとは一応の決着を見たが、地球圏は未だ平和とはほど遠い」

 

 甲児、アムロが続けて懸念を示す。

「結局、この地球(ほし)が平和にならなきゃ、俺たちに平穏は来ねぇのさ」。ニヒルにそう溢す彼、竜馬が軍を抜けたのは戦士として闘いに集中するため、政治に縛られるのを嫌ったからだ。

 重くなった空気を変えるように、甲児が口を開いた。

 

「じゃあ、アムロはどうなんだよ」

「僕?」

「セイラさんとはどうなったんだってこと。せっかく高嶺の花をモノにしたんだろ」

「うん、自然消滅と言えばいいか……お互い難しい立場だからな……。今は、イギリスで戦災孤児を支援する活動をしているらしい」

「連絡は取ってんのか」

「ああ、一応は。セイラさんも政府の監視下にあるから、それほど頻繁というわけにはいかないが」

 

 セイラ・マス、またの名をアルテイシア・ソム・ダイクン。クワトロ・バジーナ、あるいはシャア・アズナブル、キャスバル・レム・ダイクンの妹というだけで、彼女がどれだけ難しい立場かわかるだろう。

 話題マズったか、と内心、頭を抱えた甲児の脳裏に、ふといつだったかの学会での出来事が過る。フォッカーと同じく戦友で、彼らの兄貴分でもあった猿渡ゴオの近況についてだ。

 

「そうかよ。――あ、そういやダンナーベースの霧子さんから聞いたんだけどよ……ゴオさん、結婚してたらしいぜ。三年くらい前に」

「はぁ? あの、ミラにゾッコンだった猿渡のオッサンがか? マジかよ」

「相手は誰だ? やはり静流さんか?」

「いや、それがさ……霧子さんの娘で今、高校生なんだと」

 

 空気が固まった。天使が通った、ともいう。

「葵博士に娘? いや、高校生(ハイスクール)……!?」「三年前……完っ全に事案じゃねぇか」「だよなぁ」アムロが目を見開き、竜馬が眉間にシワを寄せ、甲児が頭をかいた。

 混沌である。

 少なくない動揺を抑えるように、竜馬は息を吐いた。

 

「……はぁ、まあ……ともかくだ。俺らには結婚とか家庭を持つのはまだ早いってことで、どうだ」

「異議なし」「同じく」

 

 そういうことになった。

 

 ――酒の(さかな)に四方山話をして過ごす三人。かつての仲間、ボスが経営する「ぼすらーめん」の常連である甲児と竜馬の感想を聞き、アムロは是非とも味わいたいと思った。

 いつしか話題は、ロンド・ベルに集まったいつかの自分(後輩)達に移っていた。

 

「――ロートルを気取るつもりはねぇが、見所のある奴が増えてきた。シローも一端の顔をするようになったしな」

「お前んとこの號もなかなか活きがいいじゃねぇか」

「活きが良すぎて手を焼いてるがな」

「お前が言うかよ」

「ブライトに一番手を焼かせたのは竜馬だろうな」

「おいおい、そりゃねぇだろ? 一番はお前だよ、アムロ」

「ああ、それな。間違いない」

「ンッ、そうだったかな?」

 

 アムロが惚けた答えすると、三人はドッ、と一斉に笑い声をあげる。ブライトが聞けば、お前たち全員まとめて問題児だ、と答えただろうが。

 

「カミーユ、ジュドー、シーブック、ウッソ……優れたニュータイプの才能がある少年たちだ。ただ、カミーユには少し注意が必要にも思えるが」

「確かにあいつは繊細そうだ。まあ、號とよくつるんでる辺り、案外タフになってくかもしれねぇけどな」

「……子どもたちを戦争に駆り出しちまうのは、俺たち大人が不甲斐ないせいだな」

 

 甲児が悔しさを滲ませながら、少なくなったグラスの液体に目を落とす。

 

「――しかし、戦う力と意思があるなら自分の未来のために立ち向かうべきだ、という考えもある」

「一理あるが、アムロらしくないな。誰の意見だよ?」

「イングだ」

「アイツか、確かにアイツならそう言うだろうぜ」

「イング……ああ、あの。どうなんだ、彼は」

 

 最近、ロンド・ベル隊に合流した甲児は二人に人となりを聞く。

 彼が知っていることといえば、サインを求めて来て(それ自体は珍しくない。ほかにも何十人といた)、開口一番、自分が“マシンナリー・チルドレン”と呼ばれる人造人間であるとあっけらかんと告げるような少年だ。そして、アムロやクワトロ、竜馬らゲッターチームに匹敵する、ロンド・ベルのトップガンの一人である。

 

「面白いヤツだ。ゲッターの訓練に自分から混じって、ケロッとしてやがる。まあ、メンタル含めて頑丈なのは間違いねぇな」

「隊の潤滑油、といったところか。新しい仲間と積極的に接触して、コミュニケーションを取ってくれているのは正直助かるよ」

「そりゃ、単にミーハーなだけだろ。リュウセイやノリコの同類のオタクだぞ、アイツ」

 

 竜馬が呆れ顔で所見を述べると、アムロが苦笑を漏らした。

 

「まあ、趣味と実益を兼ねているのは間違いないだろうが。しかし、彼が意識的に周りのフォローをしているのは間違いないさ」

「そいつはニュータイプの勘、ってやつか?」

「そんな大層なものじゃないよ。実体験から来る経験則、ってところだ」

「……なるほどな」

 

 アムロの意見を聞き、甲児が頷く。“巨神戦争”当時のナイーブなアムロの思い出が浮かぶ。

 慣れない軍隊生活で、辛く厳しい戦いのなかで、甲児、竜馬共々何度もぶつかり合ったものだ。今、こうして友人としていられるのは幾度となく感情をぶつけ、傷つけあったからこそで、一歩間違えば関係が破綻していたかもしれない。

 イングは言わば、皆がそうならないように間を取り持っているのだと甲児は解釈した。

 

「俺はニュータイプじゃねぇがわかるぜ、ヤツとは()()()()()()になるだろうってことがな」

「長い付き合い、か。いいことなのか悪いことのか、判断に苦しむな」

「出来のいい後輩が居るんだ、いいことじゃねぇか」

「……俺にはそう簡単には割り切れないが」

「ま、そこがアムロのいいところだけどよ」

 

 どこまでも好戦的な竜馬と、生来のナイーブな一面を覗かせるアムロ。甲児はその中間といった立ち位置で、結果的に三人のバランスを取っていた。

 そう考えれば、自分はイングと似たような立場だったのかもな。と考えた甲児は、腕時計にちらりと目を落とす。

 そろそろいい時間だ。楽しい語らいのひとときもお仕舞いらしい。それに気付いた竜馬とアムロも、年相応の青年の顔から戦士のそれにガラリと変わる。

 

「――ともかく、だ。明日も頼むぜ、竜馬、アムロ」

「おう」

「ああ、この戦いを終わらせよう」

 

 三人は力強く頷き合いグラスを掲げ、ぶつけ合った。

 

 

 

 

 ――そうして、決戦前夜の穏やかな時間は過ぎていった。

 

 

   †  †  †

 

 

 新西暦一八七年 $月×日

 極東地区日本 《ラー・カイラム》の自室

 

 長い戦争が終わり、オレたちは地球へと帰還した。

 

 雷王星宙域での決戦、《ヱクセリヲン》そのものをブラックホール爆弾とすることによる宇宙怪獣の殲滅、およびゼ・バルマリィ帝国監察軍第七艦隊の壊滅により、地球圏での戦争は一応の終結を見たと言っていいだろう。

 だが、依然として多くの勢力が健在のままであり、特に宇宙怪獣とゼ・バルマ リィ帝国は勢力のほんの一部分でしかない。それに、雷王星でのブラックホール爆弾使用の余波で、地球圏には重力崩壊衝撃波の脅威が迫っている。

 ビアン博士の言うように、『人類に逃げ場なし』の状況はさらに続いていくのだろうな。

 

 決戦の推移を箇条書きしよう。

 バルマーに組するパプテマス・シロッコ、シャピロ・キーツとの戦いにはハマーンやガトー、ハイネルらが助太刀に来てくれた。

 タシロ提督らの犠牲をもって宇宙怪獣を撃滅した後、閉鎖空間に囚われたオレたちの前にバルマー帝国軍が現れた。

 敵旗艦《ヘルモーズ》、そしてこちらの機動兵器に対抗したという決戦兵器《ズフィルード》を撃破、するとユーゼス・ゴッツォは切り札である黒い《ジュデッカ》で決戦を仕掛けた。

 その最中、イングラムはリュウセイの決死の説得により邪念の呪縛を破り、再び味方に転じてユーゼスを追い詰める。スーパーロボット軍団の必殺技が炸裂し、《アッシュ》の《TーLINKセイバー》がヤツの邪念を斬り裂く。

 そして《SRX》の《天上天下一撃必殺砲》を受けて《ジュデッカ》は消滅し、長い戦いに決着がついた。

 

 しかし、ユーゼスの「それも私だ」の連打はシュールだったが、「じゃあ、オレがこの世界にいるのもお前のせいか?」という問いに黙ったのは最高だったな。まあ、ヤツの仕業じゃないのは目に見えてたから、あえて言ってやったんだが。

 「クロスゲート・パラダイム・システム」だったか? その完成のために地球圏に干渉し、最終的に神とやらに成り代わることが目論見だったらしいが、下らない。

 運命だかアカシックレコードだか知らないが、そんなあやふやなものに未来を決められてたまるか。運命なんぞ、オレの斬り拓いた後からついてこいってこったな。

 

 ……戦いは終わり、みんなそれぞれの道を進んでいく。別れの時だ。

 オレはロンド・ベルに残り、《エクスバイン・アッシュ》とともに戦い続けるつもりだ。

 この世界にいる意味、それを知るために。そして仲間を、平和を、地球の未来を護るためにも。

 あるいはそれすらも黒幕の思惑通りなのかもしれないが――知ったことか。オレはオレだ。

 

 ……さて、今は筆を置いて、それぞれの場所へと旅立つみんなの見送りに行くとしようか。

 






 カイザーさん「はぁ~…甲児くんてぇてぇなぁ…」(尊死)
 ゲッペラ「拓馬くんの種、仕込んどいたからね!」(善意)
 おっちゃん「後輩のオルフェンズくんみたいにラブホにされんでよかったわぁ」(安堵)


 資料としてマジンガーZ/INFINITEと劇場版ガンダムOOを再履修してきました。
 控え目に言ってウルトラサイコーかな? 筆が走りますね。走りすぎて書きすぎました。
 次は復活のルルーシュとファフナーHAE観てから「平成」キメなきゃ…。ニュージェネファイナル観に行かなきゃ…(使命感)


 ※アンケートの補足

 魔改造Hi-νHWS(変更なし)と言ったな。あれはウソだ。
 Gガンが参戦したので、その辺りの技術がぶちこまれます。ミノフスキー・ドライブ(V)は確か書いたけど、さらにライフルがヴェスバーになったり(F91)、動力が縮退炉になったり(∀)、ガンダニュウムが使われたり(W)もします。たぶん。

 あと魔改造ユニコーンPDと言ったな。あれもウソだ。
 いや、名前がペルフェクティビティ・ディヴァインにならないというか。ハイパー・バズーカ・プラス背負った姿が統一感なくてディヴァインじゃなくね?というか。そもそもネーミングセンスなくね?というか。好きな人はごめんなさいね。
 命名の経緯はまあ理解しましたが、神聖ってつけるならフルコーンの要素はシールドファンネルでよくね?的な(プロペラントはアリよりのアリ)。だいたいペルフェクティビティってのが個人的にアリよりのナシって感じ。プランBとかパーフェクトとかでいいんだよなぁ。

 あ、締め切りは次回投稿日になります。


 PS.
 推しの作者様の名前がお気に入りに入ってると嬉しくなりますね。小躍りしました。
 それから、ウルトラマンZがウルトラおもしろい。あー、ウルトラ◯◯って表現使いやすいわぁ。

アムロの最終乗機は?

  • 魔改造Hi-νHWS(変更なし)
  • 魔改造ユニコーンPD(オリAAあり)
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