スーパーロボット大戦//サイコドライバーズ:Re   作:かぜのこ

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幕間1

 

 

 

 極彩色の闇の中――

 

 豪奢な飾りがされた白き衣を身につけた金髪の少年が、反転した五亡星(ペンタグラム)と逆さまの大樹が描かれた巨大な漆黒の玉座に微睡む。

 その前には、五つの不可解なオブジェクトが浮かんでいた。

 

 ――宇宙とそこに存在する星々とを写し出した空間のスクリーン。

 

 ――天突く意思が如く螺旋渦巻く風の三角錐。

 

 ――煌々と燃え盛る文明の証たる火の篝火。

 

 ――大小さまざまな生命を育む透き通る水の球体。

 

 ――大自然の息吹きを感じさせる苔むした土塊の石柱。

 

 

 スクリーンを中央に、左右にそれぞれ三角錐、篝火、球体、石柱か並ぶ。

 

「――――」

 

 まるで作り物のように整った相貌、金糸の髪がさらさらと流れる。しかし、どこか不穏な気配を漂わせるのは、その隠し持った本性故か。

 不意に切れ長の瞳がゆっくりと開く。

 すると、突如として苔むした土塊のオブジェクトに亀裂が入った。

 

「――やあ、同志■■■。首尾はどうかな?」

 

 黒い障気を吹き上げながら腐り落ちる岩塊より歩き出たのは、白い軍服らしき装束に身を包んだ長い金髪の男だ。

 男は奇妙な白の仮面で顔の上半分を多い表情は窺えないが、口許がわずかに歪ませた。

 

『……陛下、その名は捨てたと言ったはずだが?』

「あはは、ごめんごめん」

『ふん』

 

 鼻を鳴らす仮面の男。正念が悪びれた様子で謝罪を口にする。

 しかし陛下などと呼んではいるが、男は別段少年に忠誠を誓っているわけではない。言葉通り、彼らは“同志”なのである。

 

「それで■■、()()()()の様子はどうだい?」

『どうやらSDFは、作戦を完遂させたようだな』

「ほぅ……“彼ら”は第七艦隊を退けたか。それでこそ、“闘争”の星だね」

『私はこれからジャミトフ・ハイマンに接触しようと思うのだが、どうかな?』

「ああ、それでいいよ。邪魔な“彼ら”が不在のうちに、ティターンズとやらに地球軍の実権を奪わせるんだ」

『了解した』

「くれぐれも、君の存在を気取られぬようにね。君の出番はまだまだ先だ」

『問題ないよ。私自身ではなく、「ヌビア・コネクション」に配置した「ゲシュタルト」を通じて接触する予定だ。プロフェッサー・ランドウ、マリーメイア軍の軍備も整い始めている。次なる戦争の幕はいつでも落とせるさ』

 

 よほど戦乱が待ち遠しいのか、男の唇が愉悦で弧を描く。

 

「素晴らしい手際だ、■■」

『いや、()()()が便利なのさ。人心を読み取り、操り、陥れる――“ニュータイプ”などと呼ばれる者たちは甚だ愚かしい。この力は、本来こうして使うのだと私は思うがね?』

 

 仮面の男が「人類の革新者(ニュータイプ)」たちを指して嘲笑う。

 この男の(うち)には、この世の全てに対する憎しみと悪意しか存在しない。故に、“分かり合うための力”はその肥大したエゴによりあり方を歪められ、破壊を導くのみに使われる。

 

「うんうん、頼もしい限りだ。……おや?」

 

 感心した風に頷いていた少年が何かに気付く。

 生き物が急速に死に絶えた水の球体がブクブクと泡立ち、どす黒く濁っていく。そうして濁った汚水が霧散して変じるのは、仕立てのいいオレンジ色のドレスを身につけた黒髪の美女だ。

 

「やあ、お帰り同志■■■■■。()()()()()の調子はどうかな?」

『ええ、お陰様で。すこぶる快調、現役時代に戻った気分よ』

「それはよかった。君に与えた“コード”とやらも、無事馴染んでいるようだね」

『ええ、問題ないわ。私の持っていた“ギアス”は使い勝手が悪すぎたから、今の方がずっとマシね』

「うん、君専用の“騎馬”も予定しているから、期待していてほしいな」

『あらあら、嬉しいこと。人妻を誘惑するなんて、Your Majesty(陛下)は悪い子ね』

 

 少年をからかうように、ドレスの女がころころと笑みを溢す。

 その様はとても「陛下」と呼ぶ相手にする態度ではない。

 それもそのはず。彼女にとっての主君とは夫ただ一人であり、実態はどうあれ少年はあくまでも“同志”なのである。

 

『それで、■■■。私の方はまだ動かないということでいいのかしら?』

「うん、()()()()も“因子”が揃いきっていないしね。“革新”の時が迫る中、下手に動くのは時期尚早というものさ」

『でも、()()()()してはいけないわけではないのでしょう?』

「そうだね。……もしかして、なにかいい()()でも見つけたのかな?」

『ふふふ、そうなの。あの国と 姉弟(きょうだい)は、よくよく踊ってくれそうだわ』

 

 愉しみね。そう溢す女は、艶々と微笑む。まるで夜会に赴く貴婦人のような声色で、しかしその行為により起きるのは血みどろの戦乱である。

 

『ふん、恐ろしい女だ。とても二児の母親とは思えんな?』

『お生憎様、息子も娘もきちんと育て上げましたわ』

()()()の間違いだろう』

『“子は親を見て育つ”ともいいますのよ?』

『君らを見て成長したのだ、よほど歪んだ育ち方をしたのだろうね』

『それはもう、息子は世界全てを敵に回した“悪逆皇帝”ですもの』

 

 仮面の男の揶揄に、ドレスの女は童女のように朗らかな笑顔で我が子について語る。しかしその内心は、とても血を分けた子どもに向けたものではない。命を懸けて成したその所業を、無様で無意味と嘲笑っている。

 この女は徹底底尾、自分自身が全てなのである。

 このような毒婦を母親に持った兄妹(きょうだい)は、さぞや不幸な人生を歩んだのだろう。

 

『ところで、■■■。()()()()()はどうなったのだ?』

 

 仮面の男が燃え立つ篝火に目を向けながら、少年に問い掛ける。

 少年は玉座の肘掛けに頬杖を突き、ため息を吐いた。

 

「うーん、()()、いや()かな?ともかく、候補者には接触は続けているんだけどね。なかなかに色好い返事をもらえないんだ」

 

 取り付く島もなしさ。没交渉であることを告げ、少年はやれやれと首を横に振った。

 

「それに、()()()()は今のところ“調和”が取れていて、あまり大っぴらに介入ができないんだ。特に“光の戦士”が邪魔でね。――まあ、いずれ時がくれば僕らの同志となるだろう。君たちのように」

 

 とはいえ、それも今だけだ。

 時期に()()()()()()向こうから接触してくるだろうことを、少年は識っている。

 ――森羅万象、全ての事象は少年の思うままに進んでいた。

 

「じゃあ、各々よろしく頼むよ。――“すべての霊魂の安寧のために”、ね」

 

『“すべての霊魂の安寧のために”』

 

 少年と同じ言葉を唱えて、仮面の男とドレスの女が溶けるようにしてその場から姿を消す。

 二人が現れたオブジェクトは、いつの間にか元通りになっていた。

 

 極彩色の闇に、再び静寂が訪れる。

 

「おっと、そろそろ“彼”が来る頃合いかな? おもてなしの準備をしなくっちゃね」

 

 脳裏に“黒き堕天使”の姿を思い描き、少年は笑みを深める。

 

「ふふふ……さぁて、あなたはいったいどんな手を打ってくるのかな? ――バビル兄さん」

 

 





 

 ■謎の集まり(1+5)
 やべーやつとやべーやつらが手を組んだ!
 四星とか五聖刃とか六神将とかそんな感じの集まり。五大元素をモチーフにしているけど担当はわりと適当に決めてます。
 ちなみに、ヒントのある風と火はともかく、空担当は絶対わからないと思う。というか、読めたらサイキッカー。
 本来は全員まとめて二次と三次の間で登場の予定だったけど、急遽でっち上げてみました。これはこれでいい出来に仕上がったかも。
 正式名称とか概要とかは全員揃う三次の前降りで出すと思います。



 ■仮面の男
 いったい何ーゼなんだ……。
 戦争の裏で暗躍するやべーやつ。作中の人類勢力の混乱はだいたいこいつのせい。土担当。
 旧作では結果的に大ボスになってしまった(頭が)可哀想な人。今回はかなり大幅な魔改造して、ラスボスに相応しくしたつもりです。


 ■ドレスの女
 いったい何アンヌなんだ……(二回目)
 サイコパスのやべーやつがパワーアップして帰ってきました。水担当。
 Xの時に公式でお出しされたときには「やられた!」となりました。しかし、こちらはオリジナルの専用機を用意したんだからね!(対抗心)


 ■風担当の人
 天元…螺旋…うっ頭が。
 つまりそういうことです。
 予定では外伝と二次の間に登場するとかしないとか。


 ■火担当の人
 男だか女だかわからない人。
 旧作にそんなのがいたような…?(棒)
 性格的に素直に他人と協力したりするわけないのであとから参加。抜擢したのは単純に作者の趣味です。


 ■空担当の人
 正体はヒミツ。
 最速で外伝と二次の間に登場します。



 再掲載だからかあまり伸びがよくないのでちょっぴりテコ入れしてみる。
 実は、今回のリメイクに踏み切ったのはこいつらのアイデアが降ってきたからだったり。特に土、水、火の三人が個人的にお気に入りです。

 明日の更新もあるので、お楽しみに!

アムロの最終乗機は?

  • 魔改造Hi-νHWS(変更なし)
  • 魔改造ユニコーンPD(オリAAあり)
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