スーパーロボット大戦//サイコドライバーズ:Re   作:かぜのこ

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幕間2

 

 

 

 極彩色の闇の中――

 

 豪奢な飾りがされた白き衣を身につけた金髪の少年が、反転した五亡星(ペンタグラム)と逆さまの大樹が描かれた巨大な漆黒の玉座に微睡む。

 その前には、五つの不可解なオブジェクトが浮かんでいた。

 

 ――宇宙とそこに存在する星々とを写し出した空間のスクリーン。

 

 ――天突く意思が如く螺旋渦巻く風の三角錐。

 

 ――煌々と燃え盛る文明の証たる火の篝火。

 

 ――大小さまざまな生命を育む透き通る水の球体。

 

 ――大自然の息吹きを感じさせる苔むした土塊の石柱。

 

 

 スクリーンを中央に、左右にそれぞれ三角錐、篝火、球体、石柱か並ぶ。

 

 

 気の狂いそうな闇を孕むこの領域の主、金髪の少年が気だるげに口を開く。

 

「ご機嫌ななめだね、同志■■?」

『ふん』

 

 石柱が障気を上げて腐り落ち、白い仮面を着けた男が現れる。

 少年のからかうような言葉を受け、腕を組んだ仮面の男は鼻を鳴らす。その周囲には、全てを腐らす障気を蔓延させていた。

 

「やっぱり、()()()()()()()を手ずから始末できないのは不満かい?」

『愚問だな。出来ることならあの()()は、目の前で奴の妹を辱しめた後、私のこの手で八つ裂きにしてやりたいところだ』

「君の気持ちもわかるけどね。僕らの出番はまだまだ先だよ?」

『それも理解している、今は大願のための雌伏の時だとね。……まあ、奴が道化として野垂れ死ぬ様を、ここから高みの見物とさせてもらうさ』

 

 不愉快だと言わんばかりの仮面の男は吐き捨てるように言葉を切った。その様子を少年は愉しそうなに眺めていた。

 悪意、敵意、殺意、害意――そういった負の想念こそが彼らの力の源。少年の同志たる五人の使徒たちは皆、世に蔓延るマイナスエナジーを喰らってあまねく宇宙に破滅をもたらす。

 

「わかってくれてるならいいんだ。――うん?」

 

 満足そうに微笑んだ少年が、何かに気付き視線を躍らせる。その先には、渦巻く風のオブジェクトがあった。

 

「――やあ、同志■■■■■■■■。首尾はどうかな?」

 

 まるでその声を合図にしたかのように、渦巻く風の三角錐が不意に逆巻き、黒く染まっていく。

 逆回転をした黒い風はついには四散して、まるで虚無がより集まったかのような漆黒のヒトガタを形作った。

 

『我々の計画は問題無く推移している』

「それはよかった。段階は今、どの辺りだっただろう」

『もうしばらくすれば、()()()()の人類が百万人に達するだろう』

「なるほどね。では」

『メッセンジャーが目覚め、そして人類に反旗を翻す。そうなれば、“螺旋の男”は彼女を救うために我々の宇宙を目指さざるをえない』

「うん。そして、彼ら彼女らは僕たちの誂えた舞台に上がるというわけだ」

 

 黒いヒトガタに向かって、少年はにっこりと笑みを浮かべた。それはいっそ、蠱惑的とも見えるものだった。

 

「彼の力は強大だからね。()()から運命を奪うためには、是非とも手中に納めたいファクターだ」

『しかし、よく“螺旋の男”の関係者をメッセンジャーに据えることが出来たな。あれはランダムだったのだが』

「ふふ……まあ、因果率の操作のちょっとした応用さ」

『そういった力の使い方は、君に一日の長があるようだ』

 

 辛うじて目に見える虚ろな穴が、感心したように細められる。

 このヒトガタは、少年と同等の力を保持する同志にして同盟者である。主義主張こそ異なるが最終的な目的については一致しており、こうして協力している。

 

『また、因子の回収も順調だ。時が満ちれば全てが出揃うだろう』

「“太陽の翼と機械天使”、“高蓋然性世界の住人”、“電脳暦の戦士たち”、“生命を持つ鋼鉄の獣”、“宇宙をさすらう歌姫の方舟”、“星を往く船々”――集う因子が多ければ多いほど、僕らの()()により因果の逆転が波及する範囲は大きくなる」

『生死、正負、聖邪の逆転。()からの運命の簒奪。新たなる(ことわり)の成立か』

「そうなれば《スパイラルネメシス》”も防がれるね。何せ、霊魂には螺旋力なんてないから」

 

 楽しそうにころころと笑う少年とは裏腹に、黒いヒトガタはゆらゆらとその像を揺らめかせながら、棒立ちのようにその場に佇むのみ。存在意義に関わる言葉にすら何ら反応を示すことはなかった。

 ヒトガタが不意に言葉を発する。

 

『それで、そちらはどうだ、■■』

「うん、まずまずだよ。もうすぐ■■■が目を覚ますだろう。そうなれば、兄さんも行動を開始するはずさ」

 

 “兄さん”――地球には少年がもっとも警戒する存在が健在であり、それが舞台から退場しない限りは地球圏に過度な干渉を行うことはできない。

 今の少年が彼と直接ぶつかれば、お互い被害は免れずに共倒れし、計画は水泡と帰すだろう。そうなれば、また宇宙の寿命と輪廻転生を待ち、幾億万周期を準備に費やすしかない。

 

「それに、「星間連合」が本腰をいれて地球の攻略にかかるようだしね。新しい戦乱の始まりというわけだ」

 

 くつくつと無邪気な、あるいは邪悪な笑みを舌に乗せる。

 彼の支配下にある「ゼ・バルマリィ帝国」と「ギシン星間連合帝国」は幾星霜、気の遠くなるほどの長い間戦争状態にあるがその実、トップ同士は裏で繋がっており、マッチポンプ的に戦禍を銀河に広げている。

 戦争により宇宙に死霊が満ちれば満ちるほど、怨念が増えれば増えるほど、少年とその勢力は力を増していくのだ。

 だからこそ、少年はこの空間に身を隠して暗躍し、その時が来るのを待っているのである。

 

『……君の兄とやらの目的が現世での実体であり、それを以て我々に敵対するという可能性は?』

「うーん、今の人類がよほど不甲斐なければそうなるかもしれないけどね。兄さんは大概にロマンチストだから、それは最終手段だと思うよ。今を生きる人類が自分達の力で“終焉”を乗り越えるべき、と考えるのがあの人なのさ」

 

 黒いヒトガタの懸念を表すと、少年は自身の経験から“兄”をそう分析した。

 少年とそして敵対者たる存在は、宇宙の根元的な力による大変動を利用して必要なファクターを揃えてきた。アカシックレコード(因果率)に記されたシナリオから逸脱し過ぎないように、しかし自分達の思惑に沿うように――()()した汎超能力者(サイコドライバー)たる彼らなら容易いことだ。

 場に配されたカードと、それぞれの手にあるカード――それらがどう“運命”に作用するかは誰にもわからない。しかし、少年は自身が勝利し、全てを手にいれると確信している。

 

「おや……?」

 

 中央のオブジェクト、空間のスクリーンがひび割れ、甲高い――悲鳴のような――音が響いて砕け散る。

 砕かれた破片が消え去ると、そこには白い鉄仮面と甲冑を身に着けた魔人――そう形容するしかない存在がいた。

 絶望、苦痛、憎悪――混沌と破壊という破滅的な力を携えたそれを、金髪の少年は朗らかに迎え入れる。

 

「やあ、同志■■■、お疲れ様。どうだい、邪魔な()()()たちは」

『追い返すことには成功した。だが、やはりあの“光の巨人”どもは難敵だな』

「うーん、君ほどの者でもかい?」

『神と呼び、崇めるものがいるのも頷ける力を持っている。さらに、私のパワーソースであるマイナスエナジーとは致命的に相性が悪い』

 

 鉄仮面によって表情は伺い知れないが、その声には隠しきれない嫌悪と苦々しさが溢れている。また、どこか疲労を滲ませて聞こえるのは気のせいではないだろう。

 少年やヒトガタと同等と言っていい力を持つ甲冑の魔人だが、より星幽(アストラル)面に寄った存在であり、強力なプラスエネルギーを持つ存在は天敵と言って差し支えない。

 

「君には感謝してるんだ、■■■。“銀の翼持つ光の巨人”たちを退けるだけじゃなく、“最弱無敵の旧神”、“終焉の魔神”、“進化の力の行き着く先”などの厄介な連中を、この宇宙に寄せ付けないのは間違いなく大きな功績さ」

『他にも“星を喰らう悪神と星に宿る善神”や“宇宙秩序の使者たる龍神”、“人と心を交わす機械の守人とその仲間たち”、“過去と未来を知ろ示す魔王にして時の王者”などとも交戦したと聴くが――我らの世界は随分と人気だな? ■■』

 

 称賛する少年に続き、仮面の男がからかうような声色で続ける。

 一方、黒いヒトガタはゆらゆらと像を散らしながら、沈黙を守ったままだ。雑談に興じる気はないらしい気はないらしい。

 

『その件についてだが、少々厄介なことになりそうだ』

『ふむ?』

「うん、どういうことかな、■■■」

『どうやら我々の計画を、“聖勇者”どもに嗅ぎ付けられたようだ』

 

 甲冑の魔人は、宿敵にして自身を一度ならず打倒した“青き龍”と“赤き不死鳥”を脳裏に浮かべ、苦々しく吐き捨てた。

 

「思ったよりも早かったね? さすがは“聖勇者”と言っておこうかな」

『して、如何する』

「うーん……」

 

 玉座の肘掛けに頬杖を突き、少年は思案げに瞠目する。

「そうだ、逆に考えるのさ。彼らには舞台に上がってもらおう」僅かな時を置き、目蓋を開いてそう言った。

『というと?』仮面の男が続きを促す。

 

「“聖勇者”たちをこの宇宙に招き入れるのさ」

『なるほど、我々の計画に巻き込み、新しき世の供物にしてしまおうということか』

「うん。たしか、“調和の地球”には彼らと()のある“勇者”がいたよね? あそこに送り込むというのはどうだろう、■■■。それなら因果を結びやすいはずだよ」

 

 甲冑の魔人は、わずかに考えるそぶりを見せる。

 

『……可能だが、奴らを誘い込む間は守りが手薄になるな。真に奴らを贄として()べるならば、パートナーであった人間たちも誘導せねばなるまい。その手間がある』

『むしろ、パートナーとやらとは分断した方がよいのではないかね? 力を削げばより御し易く思えるが』

「僕は■■■の考えに賛成かな。古来から、そういった策を弄したものは逆転されて最後には打倒されるのさ。――他ならぬ■■■がそうだったようにね」

『……』

 

 仮面の男の言を退けた少年の当て擦りじみた言葉に、甲冑の魔人が押し黙る。

 

「そうならないためにも、彼らの全力の状態を真っ向から叩き潰さなければね。もちろん、僕らが有利になるように働きかけも欠かさないけど」

『なるほど、理解したよ』

 

 少年が言葉を結ぶと仮面の男が納得した風に頷いた。

 「アカシックレコード」の支配するこの宇宙では、そういった一種の()()()()()()因果の流れ(物語のお約束)も馬鹿にはできない。

 天網恢恢疎(てんもうかいかいそ)にして漏らさず――過程はどうあれ、「勧善懲悪」「正義は勝つ」というのは概ね正しい。それはきっと、「宇宙意思」を成すものたちの祈りがそうさせているのだろう。

 

「では、その間は■■■■■■■■に守りを任せよう。どうかな?」

『了解した。“螺旋の男”らがこちらに向かうまでには、今しばらくの猶予があるだろう』

「■■■もそれでいいかい?」

『いいだろう。奴らに雪辱を果たすことはこちらとしても望むところだ』

『私は引き続き、“闘争の地球”の状況をコントロールしていよう』

 

 黒いヒトガタが代役に了承を示すと、甲冑の魔人が闘志を露にする。仮面の男が自身の行動を確認した。

 金髪の少年は三柱の同志を順々に見やり、満足そうに微笑んだ。

 

「うん、ではそういうことで行こう。――“すべての霊魂の安寧のために”」

 

『“すべての霊魂の安寧のために”」

 

 






 Re:RISE、素晴らしかった。
 これはまさしく令和のファーストガンダムに相応しいアニメだ……(恍惚)
 リライジングガンダムちょーかっけー。エクストラリミテッドチェンジだいすき。グランドクロスバスターは絶対どっかでやると思う。



 ■やべーやつらの集まり(二回目)
 なお、宇宙の外ではもっとやべーやつらが蔓延っている模様。退屈持て余しているわけではない。
 悪役は悪役なりに苦労してるんです。


 ■仮面の男
 なにやら事情のある男。これは正体見たりでは……?
 こいつの設定的に難としても今週お出ししたいとなったので、頑張って書ききりました。
 ( ・ω・)理由は察して。
 Re:RISEというか、ビルドシリーズの視聴者ならわかると思う。


 ■黒いヒトガタ
 恐らく一番(規模が)やべーやつ。風担当。
 特に言うことはなし。あえて言うなら若干喋り方が怪しい気がするのは、あまりキャラを捉えきれてないから。


 ■甲冑の魔人
 スパロボ的には誰…?されてもおかしくない人。空担当。
 ある意味ゲストキャラで五人のリーダー格、実力というよりはしぶとさが売り。
 こいつも喋り方怪しいのは、本人であって本人でない的な理由。メタ的には作者が覚えてないから。原作が古すぎっていうか、こいつのこと印象に残ってない……。



 約半月ぶりの投稿ですが幕間です。申し訳ない。
 第二次の1話は上手くいけば明日出せるかも……?(出来るとは言ってない)
 これから歴戦激ラー狩らなきゃいかんし、クラウンも集めたいし……時間が足りませんね(。・ω・。)

 ここで余談。
 ビルドダイバーズRe:RISEがあまりにも素晴らしかったので、GBNを舞台にした二次創作を書きたくなってきました。
 ガンタムブレイカー3とのクロスオーバーで、主殿とペチャパイの息子が主人公。と、ここまで考えて「第二次有志連合の時に主殿とペチャがチャンプ(とカツラギさん)に殴り込みをかけてしまう…」となって頭を抱えました。とりま、バトローグ待ちかな、と。
 あーあ、ガンブレの新作出ないかなぁ(棒)

ジュドーの最終乗機は?

  • フルアーマーZZ(そのまま)でおk
  • 赤ジム様も出るのでメガゼータ
  • EX-S(サイコミュ仕様カスタム機)
  • 大穴?ZZll(同じくサイコミュ仕様)
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