艦これ日誌   作:オリナル

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元気いっぱいの高速巡洋戦艦『比叡』
その元気が向く先とは……


初めては比叡

「金剛お姉さまの妹分、比叡です!本日鎮守府に着任いたしました。お国のため、気合!入れて!頑張ります!」

 

本日づけで鎮守府に着任した、この鎮守府始まって以来初の戦艦の艦娘比叡。その有り余った元気を発散するかのように、大声で挨拶する比叡。

 

「へ~。この鎮守府では私しか戦艦がいらっしゃらないんですか。あ、私と同じ戦艦は、金剛お姉さまを含めてあと2人いるんですよ。早くお姉さまや妹たちに会うためにも、私、頑張りますからね!」

 

初の戦艦ということで、提督は比叡の実力を測るべく早速実戦投入を試みる事にした。海域は東オリョール海。編成は電を旗艦に比叡、愛宕、蒼龍、多摩、天龍の6人で行われた。

 

「本日よりお世話になります比叡です!よろしくお願いします!」

 

初対面でも臆さず、明朗快活な笑顔を振りまく比叡。

 

「旗艦を勤めさせてもらいます電です。よろしくお願いします」

 

「私は愛宕。よろしくね~」

 

「蒼龍よ。航空戦力は任せておいて」

 

「多摩にゃ」

 

「俺は天龍。よろしく頼むぜ」

 

5人のうち目に見えて比叡に興味を示したのは、天龍だった。

 

「へ~、お前が噂の金剛型戦艦かよ」

 

「はい。金剛お姉さまの妹分です」

 

「随分りっぱな主砲つんでんなーおい」

 

「はい!お姉さま譲りの自慢の主砲です!」

 

初めて見る戦艦の主砲に、天龍の目は釘付けだった。

 

「戦艦がきたことで、艦隊の火力がより増したわね。艦載機運用ももっと大変になるわ」

 

「とっても頼もしいのです。一緒に頑張りましょうなのです」

 

「はい!皆さんのご期待に応えるよう、気合!入れて!いきます!」

 

挨拶も程ほどに、艦隊は敵海域に向けて出発した。

敵深海棲艦とは早い段階で接触。すぐさま交戦に入った。

 

「第一次攻撃隊、発艦!」

 

蒼龍によって放たれた艦載機部隊が、敵深海棲艦の戦力を削る。そしてすぐさま砲撃戦が始まった。

 

「主砲!斉射!始め!」

 

艦の中で誰よりも長い射程距離を持つ比叡の主砲から放たれた一撃は、真っ先に敵軽巡洋艦を貫いた。爆音を立てて撃沈を確認し、まざまざと戦艦の実力を敵味方に見せ付ける。

 

「やったのです!」

 

「まだです!敵重巡の砲撃来ますよ!」

 

敵重巡の少し後れての反撃は、敵接近中の多摩、天龍の両軽巡に向かった。

 

「へへ、そんな攻撃当たるかっての!」

 

するりと敵砲撃を避ける天龍と多摩はすぐさま反撃を開始する。

 

「新入りばっかにいい格好はさせねえぜ!オラオラァ!」

 

「撃つにゃ!」

 

天龍の砲撃が、敵駆逐艦を中破。追い討ちの多摩の攻撃が中破の駆逐艦を撃沈する。

 

「よっしゃあ!」

 

「はにゃあ!?」

 

天龍が喜んだのも束の間。後方に位置していた電が、敵攻撃を受けていた。

 

「な、なので……はわわ!」

 

必死に攻撃を交わす中、一発の電の動きを正確に捉えた敵の砲撃が電に向かう。直撃を覚悟した電は腕で顔を隠して目を瞑った。

 

「……あれ?」

 

いつまでも来ない痛みに不思議に思った電は顔を上げると、優しく微笑む愛宕の顔があった。

 

「あ、愛宕さん!」

 

「うふふ、可愛いうちの旗艦さんは、私が守るわ」

 

すぐに旋回し、敵に主砲を向ける。

 

「主砲、うてー」

 

「さあそろそろ反撃よ。全艦載機、発進!」

 

愛宕の放った砲撃に続くように、蒼龍の艦載機が敵艦隊に向かう。

 

 

 

「艦隊が帰等したのです」

 

艦隊は無事に鎮守府に帰ってくることができた。戦果は、残念な事に失敗。敵主力と接触する前に旗艦電の大破。やむなく撤退となった。

提督は電のすぐさまの入渠、そして傷ついた比叡、天龍の入渠も命じるのだった。

 

「今回の作戦は惜しかったわねー。もうちょっとで敵の大物を狙えたのに」

 

悔しそうに言う蒼龍に愛宕は微笑みながら言った。

 

「でも、敵の補給艦を叩けたし、結果オーライよ」

 

「あーあ。久々の出撃だったのによぉ。まだ戦えるってのに、入渠とかめんどくせえなぁ。」

 

「中波までしといて言う台詞じゃないにゃ」

 

「うるせえ!」

 

「あ、あの!」

 

何かと思い、振り返る4人の前に、申し訳なさそうに佇むボロボロの電がいた。

 

「ご、ごめんなさいなのです。私の、せいで……」

 

目に涙を溜める電に、愛宕がそっと抱きしめた。

 

「大丈夫よ。だぁれも電ちゃんが悪いなんて思ってないわ」

 

「でも、愛宕さんには庇ってもらったのに、結局こんな結果に……」

 

「大丈夫にゃ。天龍のやつなんか敵のひょろひょろの魚雷に当たってたにゃ。電よりずっと情けないにゃ」

 

「おい!俺をダシに使うなっての!」

 

皆が励まそうとあれやこれやと言ってみるも、電は変わらず沈んだまま。どうしたものかと悩んでいたその時。

 

「気合です!」

 

「ひゃい!?」

 

背後より近づき電をお姫様抱っこする比叡。

 

「ボロボロの格好をしているから、気分も沈んでしまうんです!電さん、私と一緒に入渠しに行きましょう!」

 

「え、あ、あの……」

 

「気合!入れて!いきまーーーす!」

 

「はにゃああああああああああ!」

 

 

 

入渠ドッグという名の温泉。最大で4人が入れるこの温泉は、修理妖精による手厚い修復作業を受ける事が出来る。現在比叡と電の2人は艤装の修理を妖精に任せ、温泉に浸かっていた。

 

「はあぁ、生き返りますねー」

 

心からリラックスした顔の比叡と対照に、電は未だ浮かない顔をしていた。

 

「……比叡さんはすごいのです」

 

ぽつりぽつりと電は話し始めた。

 

「私みたいな駆逐艦と違って、初めての出撃なのにおっきな戦果を上げれて。私は長くこの艦隊にいますけど、今日みたいな失敗も多いのです。とても、自分が情けないのです」

 

電は比叡を見る。相変わらずの顔していた。

 

「時々、何で自分が旗艦をしているのか疑問に思うのです。きっと、お情けで旗艦でいられるんじゃないかって。そのうち、艦隊にもいられなくなるんじゃないかって。そう思って……」

 

「それは違います!」

 

急に声を上げる比叡に、電の背は跳ね上がった。

 

「私は今日来たばかりだから詳しいことは分からないけど、司令はそんなことで電さんを艦隊から抜いたりはしないと思います!」

 

「……比叡さん」

 

「むしろ、旗艦をお守りするのが随伴艦の私の役目なのに……この比叡、一生の不覚です!電さんになんてお詫びすればいいんでしょうか」

 

湯に顔が浸かるほど頭を下げ、鼻に湯が入ったのかすぐに顔を上げて盛大にむせる比叡。一連の動作があまりに滑稽すぎて、電は思わずくすくすと笑ってしまう。

 

「お、やっと笑ってくれましたね」

 

電ははっとし、謝ろうとしたが比叡が制止する。

 

「電さんは、笑ってる方が素敵ですよ。気合です!気合入れて、これからも頑張りましょう!」

 

「比叡さん……はい!」

 

今日見た中で一番の笑顔を見て、満足したように比叡も笑う。

 

 

 




比叡は私の艦体に来た最初の戦艦です。
初戦で今まで見たことのないダメージを叩き出す彼女に大きく期待を寄せました。
しかし、戦艦が現れ、今まで主力だった駆逐、軽巡たちが隅に追いやってしまうのもまた、悲しくも現実です。
比叡の可愛さと元気はつらつっぷりを書くつもりが、少ししんみりしてしまいました。
提督の皆さんは、戦艦も駆逐も等しく愛でれる提督であってください。
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