その実力を発揮する時がついにきた。
「艦隊、泊地に帰島しました」
第一艦隊が帰還し、鎮守府は慌しく彼女らを迎え入れる。
「負傷した空母たちは修復剤を使い、出撃の準備をしてください。大和型の2人は、艦隊の再編成の後に再度出撃。それまで休息をとってください」
「了解」
「了解した」
秘書官の愛宕の指示を受ける大和型戦艦1番艦『大和』、2番艦『武蔵』。2人は艤装を外し、修理ドッグへ持っていく。
出撃の命があるまでの間、2人の超弩級戦艦は暫し鎮守府の外、港まで来ていた。
「我々がここまで手こずるとは、状況は芳しくないな」
武蔵が苦々しく言う。2人が見つめる先の海は、あと数十分の後に再び出撃するであろう海域。ピーコック島である。現在ピーコック島には深海棲艦が住み着き、多くの深海棲艦を生み出しているという情報が大本営に伝わり、直ちにこれを叩き、無力化するのが今回の作戦であった。
しかし、敵も拠点を潰されまいと戦力を総動員させ、まさに鉄壁の守りを築き上げている。現在も、出撃した随伴の空母たちが瞬く間に大破に追いやられ、敢え無く帰島を余儀なくされたのだ。
「あの巨大な怪物を連れた深海棲艦。やつの砲撃は他のやつらの比ではない。我々とてやつの攻撃を食らえば只ではすまんかもしれん」
「……ふふふ」
突然、大和の口から笑いが零れ出た。
「ん?どうした大和」
「え?あ……あの、何というか、私嬉しいの」
大和の言葉に武蔵は首を傾げた。
「おかしなことを言う奴だな。状況はこちらに不利だというのに、嬉しいとは」
「いえ、別に今の状況に嬉しいというんじゃなくて、何というか、おかしな話だけれど、戦いに出られる事、私は嬉しく思うの」
大和はまっすぐに海を見つめ言う。
「私は、ここに来てから一度も海域へ出た事がない。自分でも分かってるの。自分が出撃し、被弾して戻れば多くの資材を消費しなくてはいけないことを。天竜ちゃんや摩耶ちゃんは提督の事を小心者とか言うけれど、私は懸命だと思う。資材っていうのはどこまでも大事で、あれがないと私たちは何も出来なくなってしまうから」
大和は少し口を休め、再び言う。
「でも、今回の作戦で提督は、私たちを艦隊に組み入れてくれた。この意味が分かる?」
武蔵は少し考え、首を横に振る。
「提督は今まで、私たちに演習を命じてきたわよね。来る日も来る日も。何でだろうと思う日もあったけど、今回のことでその悩みも吹き飛んだわ。提督は、大切な資材を投げ売ってでも、この鎮守府を守ろうとしてるの」
武蔵は鎮守府を見る。おそらくは提督のいる執務室の方を見ているのだろう。
「今回の海域は、確かに生半可な娘では太刀打ちできない強敵揃いの海域。私たち大和型戦艦の力は、この時のためにあったんだと思ったわ。恐怖もあったけど、私は嬉しかった。この力を手に入れて、提督と一緒に鎮守府を、仲間も守れる力を持てた事が」
大和は海を見ていた目を武蔵の方へ向ける。
「ちょっと偉そうだけど、これは私たちにしかできないことなのよ。そう思うと、ちょっと嬉しいじゃない。提督に、こんな大事な作戦の艦隊の編成を任せられる。それって、信頼されてるってことでしょ?」
大和の話が終わると、目を丸めていた武蔵は、口を大きく開けて笑う。
「ははははは!さすが私の姉上様だ。少々気落ちしていた気持ちが、吹き飛んだぞ」
高らかな笑いを響かせる武蔵と、凛として微笑む大和。対照的だが、2人の顔に恐れの2文字はない。
「さあ戻ろう。もうすぐ準備が整うだろう。私たちもすぐに準備だ」
「ええ。大和型戦艦の力。存分に見せ付けましょう」
2人の超弩級戦艦は、向かうべき海より離れ、準備へ向かう。
これは仲間を守るために、自分達に課せられた使命。必ずや全うしてみせる。
『戦艦大和、連合艦隊、出撃です!』
ちょっとタイムリーなネタを提供
春イベントE-5ピーコック島攻略作戦。噂に名高い難関ステージです。
でも、今まで演習で力を蓄えてきた大和型戦艦がこうして活躍できる場が出来て、かなり楽しかったりします。
イベントに向けて溜め込んだ資材を溶かしきる勢いで、大和、武蔵の2人を全力出撃させ、海域攻略に励みます。