セバル   作:レストB

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第1部 2章 第2話「ジルフとの再会」

 移動は休憩を取りながら行われた。クレア山から大都ケスミアまでは数千キロ。いかにメリスといえども一息に行ける距離ではなかった。途中の町で降り、ネクトと水を買う。ネクトは、パンみたいだが食感は米よりの、携帯に便利な食品である。今日はニリンの葉とコーン、そしてデリという魚が挟まれたものを購入した。デリは甘みがあっておいしい。2人の現在の好物の一つである。

 

 そんなこんなで2日後、ようやくケスミアに到着した。メリスにはちょっとだけ疲れが見える。ケスミア、そこには高層ビルが立ち並び、ところせましと歩く人、人、人。山暮らしをずっとしてきた2人には、別世界に見えた。ついビルを見上げたりしてしまう。

 

 2人は、メリスに連れられて、待ち合わせ場所というホテルに向かう。到着すると、そこには懐かしい姿が。ジルフだった。

 

「よう。おまえたちに会うのはもう2年半ぶりになるかな。久しぶり!」

 

「ジルフさ~ん!」

 

 2人は大喜びでジルフに飛びつく。

 

「おいおい。ちょっと落ち着けって。それにしても、ずいぶん大きくなったな、2人とも。修行はちゃんと頑張ったのか?」

 

「はい。ちゃんとやりましたよ」「わたしもちゃんとやりました」

 

 ゆうやとゆかりは得意げに言った。

 

「まあ、お前たちの気を見ればどれだけ頑張ったかはよくわかる。あとで成果を見せてくれよ。ところで、例のおもりの修行は大変だったろ? 俺も昔あれで苦労したから、あのきつさはよく分かるぞ」

 

「本当に大変でした。だってメリス先生が鬼のようにどんどん重さを上げていくから……」

 

「ははは。まあ、あいつは昔から鬼のような性格だったからな」

 

「誰が鬼ですって?」

 

 メリスは冷ややかな目でジルフを睨んだ。

 

「ま、待てよ。冗談だよ、冗談」こえ~な、おい。

 

「でも、やさしいところもありました。大変だったけど、本当に楽しかったです」

 

 とゆかりが言った。

 

「そうそう。時々見せるやさしいところには、俺もよくだまされたね。昔、深く傷ついた俺によりそって、ずっと回復気功を当ててくれたりしたときはうれしかったけど、そのあとの言葉がこれまたひどくてなあ……」

 

「ジ~ル~フ~、それ以上は黙っとかないと命がないわよ!」

 

 メリスは拳をうならせながらジルフを見据えている。

 

「わかったよ。もう言わないから勘弁してくれ」

 

「でもな、そういうのも含めて、俺はずっとメリスが好きだったし、一緒にいようって思える、そんなすてきな人だよ」

 

 ジルフはゆうやとゆかりの2人に言った。

 

 2人とも、そうだね、とうなずく。

 

「……わ、わかったらいいのよ」

 

 メリスはちょっとだけ顔を赤くした。私だってそうよ。

 

「……そういえばまだちゃんとあいさつが済んでなかったわね。久しぶり」

 

「ああ。ガキの世話は大変だったか? 俺は俺の方で、やっぱりお前がいないとちょっと仕事がやりにくかったが、まあなんとかこなしてきたさ」

 

 電話でたまに話していたとはいえ、直接会うのはこれが2年半ぶりということもあり、2人は再会を喜んでいた。

 

「まあね。でも、結構楽しかったわ。ちょっと期間が空いちゃったけど、今日からまた一緒に仕事頑張ろう。よろしくね」

 

「おう、よろしく」

 

「それで、ちょっとあんたにも頼みたいことがあるんだけど。あの子たちの修行の続きを手伝ってくれない?」

 

「できることならな」

 

「特にゆうやになんだけど、剣技を教えてやってほしいの。今は赤気だから気功剣術はできないけど、気の性質からあの子はいずれそちらの方で力を発揮できるはずよ。そのときのためにね」

 

「なるほど。分かった。みっちり稽古をつけてやるさ」

 

「ゆかりのほうは、気功変化に向いていそうだから、黄気になったら私が教えるわ。今はできるだけ赤気のコントロールを教えて準備させておくわ」

 

「気功変化のスペシャリストがついに本気を出すってか。ゆかりも災難だな。はは」

 

「あなたこそ気功剣術のマスターじゃないの。あまり手痛くやらないようにね」

 

「俺はこういうのは手を抜けないんだよ。やると決めたら徹底的に、だ。それはお互い様だろ」

 

「まあね」

 

 

 そんな話をしているとタイミングよくゆうやが言ってきた。

 

「あっ。そういえばジルフさん、背中に大きな剣背負ってますね」

 

 ジルフの背中には、鞘にしまわれた立派な大剣が背負われていた。

 

「ああ、これか。俺は普段仕事では剣を使っているんだ。前おまえに会った時は、たまたま打ち直しに出してたから、手ぶらだったんだがな」

 

「おまえにも剣技を教えてやることになったよ。手加減はしないから覚悟しとけ」

 

「はい! 頑張ります!」

 

 するとゆかりが口を割ってきた。

 

「あ、いいなー。ずるいよ、ゆうや」

 

 メリスが言った。

 

「人にはそれぞれ向き不向きがあるわ。ゆかり、あなたは気の変化に向いているから、私が特別に鍛えてあげるわよ。ゆうやにはできないこともね」

 

「本当ですか? よし、負けないわよ、ゆうや!」

 

「こっちだって負けないよ。お互い頑張ろうな!」

 

「うん」

 

 

 ジルフはメリスに仕事の話を始めた。

 

「さて、メリス。おまえの復帰後初仕事なんだが……」

 

「依頼はここから南に約1000キロ。バスチア王国の反乱勢力の鎮圧だ」

 

「バスチア王国と言えば、近年悪政の影響で革命運動が活発化しているところね」

 

「ああ。どうもその中の最大反乱勢力の一つ、ディーン・クルスレッドという一団が、過激な活動を行っていて、死者も相当出ているらしい。どこからか情報が漏れているのか、軍隊をもってしても決定的な打撃は与えられてないそうだ」

 

「そこで私たちの出番ってことね」

 

「ああ。明日早速出発するぞ。今日はずっと飛んできて疲れてるだろうからゆっくり休め」

 

「ええ。そうさせてもらうわ」

 

 ジルフは楽しそうに話すゆうやとゆかりの2人の方を向いて声をかけた。

 

「おい、ゆうや、ゆかり。2人とも、久々に会えたし、今日はうまいもの食べるぞ!」

 

「ほんと!? やったー!」

 

 大はしゃぎする2人を見て、ジルフはやっぱ子供ってこういうものだなと思う。まったく賑やかになりやがって。だが悪い気はしなかった。

 

 

 この日はホテルに宿泊した4人。次の日、4人はバスチア王国に旅立つこととなる。

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