セバル   作:レストB

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第1部 3章 第7話「メリスVSガナパルト&コレンナ」

 ガナパルトは冷静にメリスを睨みつけながら言った。

 

「俺たち2人に対して1人で足止めしようとは、命知らずもいいところだ」

 

 メリスは拳を構えた。

 

「足止め? 最初からあんたたちを倒すつもりでここにいるんだけど?」

 

「あら。私たちもなめられたものね。その命、ゼノス様のためにもらいうけましょう」

 

 ガナパルトとコレンナも構える。2人とも無手。どうやらメリスと同じスタイルのようだ。

 

 工場を一瞬の静寂が包んだ。場に重い緊張が流れる。硬直を先に破ったのはガナパルトとコレンナだった。

 

 ガナパルトは手と足を渦巻くような気の刃で包むと、メリスに向かって突撃してきた。コレンナは指先から次々と細長い気弾を発射してきた。

 

 メリスは気弾をかわして飛び上がると、ガナパルトが上から襲いかかってきた。ガナパルトの両手の渦が離れ、竜巻状の気がメリスに迫る。

 

 メリスはバリアを張り、すんでのところで竜巻を弾いた。竜巻は工場の壁を消し飛ばし、空中へ飛んで行った。彼女はそのままガナパルトに向かって拳を突きたてるが、彼は気が渦巻く足を使ってその攻撃を防いだ、と同時にメリスを覆っていたバリアが削り取られ、メリスの拳から血が噴き出した。

 

「だあっ!」

 

 ガナパルトは拳が少しえぐれたメリスを見て、チャンスとばかりに追撃の蹴りを食らわせようとしてきた。メリスはしかし、身を翻して蹴りをかわし、敵の腹にめりこむカウンターを食らわせた。ガナパルトはその攻撃で工場の壁を突き破って飛んでいった。

 

「調子に乗るな」

 

 メリスはそう言って、それからコレンナの方を見た。コレンナはすでに次の攻撃に入っていた。

 

「うふふ。これでも食らいな」

 

 コレンナの両手から2本ずつ指を突き出し、腕を交差させるように振り下ろすと、十字を切るような気の刃が飛び出した。その攻撃範囲は広く、切り口は鋭い。避けきることはできない。

 

 メリスはとっさの判断でこの気の刃に合わせて同じく気の刃を切り返し打ち消した。しかし、そのスキがコレンナに狙われていた。

 

「かかったわね。あなたとガナパルトが戦っていたときに用意したもの、味わうといいわ」

 

 上方から無数の連続エネルギー弾がメリスを襲う。

 

「ああああっ!」

 

 メリスはそのほとんどをまともに被弾し、受け身も取れずにもろに地面に叩きつけられた。そこにガナパルトが戻ってきた。

 

「この女のパンチ、き、効いたぜ。だがよくやった。コレンナ! いくぞ! とどめの攻撃だ!」

 

 ガナパルトは両手から竜巻を出し、それを合わせて巨大にしたものをメリスへとぶつけてきた。メリスは起き上がって避けようとしたが、間に合わない。気の風刃がメリスを切り刻む。メリスの服のあちこちが裂け、腕も足も顔も、血の滲む裂傷ができた。竜巻の威力は、工場を跡形もなく吹き飛ばしてしまうほどだった。

 

 その竜巻にメリスがとらわれたまま、コレンナが竜巻の中心、その上から巨大な矢のような気弾を放つ。

 

「これで終わりね」

 

 だが、竜巻にとらわれたメリスは、竜巻とは逆に回転する気を中から一気に噴き出した。

 

「てやあああああああ!」

 

 竜巻は瞬間にかき消えてしまった。

 

「なにっ!?」「なんですって!?」

 

 驚きの声を上げた頃には、メリスはもう動いていた。矢の気弾をかわし、コレンナに近づくと、右手人差し指をコレンナの腹に突き刺した。

 

「うっ、こ、こんな攻撃なんともないわっ!」

 

 メリスが指を突きさしたまま動かないので、コレンナは蹴りでメリスを再び地面に叩きつけた。

 

 メリスは蹴られた顔の埃を払いながら、言った。

 

「これで1人。あとはガナパルト、あなただけよ」

 

「おい、なにをふざけたことを言っているんだ?」

 

 ガナパルトは笑っていたが、その直後、笑顔は消えた。コレンナが急に地面に叩きつけられるようにして落ちてしまったからだ。

 

「コ、コレンナ!」

 

「う、うごか……ない。一体、何をした」

 

 メリスはコレンナを見下ろしながら言い放った。

 

「あなたの神経系を気でマヒさせたのよ。しばらくは動けない」

 

「そ、そんな。ゼ、ゼノス様、万歳」

 

 コレンナはそのまましゃべることもできなくなってしまった。

 

「さあ、どうする? 私の強さ、よく分かったでしょう? まだやるつもりなの?」

 

「俺たちはリーダーに尽くすもの。倒すことは絶対なのだ!」

 

 ガナパルトは再び竜巻をまとい、メリスに向かって拳を突き出した。しかし、その拳は空を切り、直後、メリスの足が彼の顎を蹴りあげる。

 

 メリスはそれからガナパルトを気の膜に閉じ込めた。

 

「う、だ、出せ!」

 

 メリスは両手を広げ、気の膜の周りに、針状の気の塊を雨あられのように振りまいた。

 

「あと10秒。降参するというのならやめてあげるわ。9,8,7,6……」

 

「降参など死よりも許せん! うおおおお」

 

 ガナパルトは最大の力を振り絞り、メリスの気の膜を破った。

 

「ただの残虐集団かと思ったら、そんな一本気の通ったやつもいたのね。少しは見直したわ。でも、0」

 

 止まっていた無数の針が、一気にガナパルトに襲いかかった。

 

「うぐああああああああ!」

 

 ガナパルトは倒れた。メリスは彼に近づくと、彼は血まみれになり、ズタズタになっていたが、命は無事なようだった。見た目には相当ひどい状態だったが。メリスは倒れているガナパルトに言った。

 

「安心して。私もできるだけ命までは取りたくないから。それにしても――今夜の飯がまずくなるわね」

 

 メリスは工場を後にした。もはや工場跡地と言ったほうが正確だろう。上空でジルフが戦い始めている。今からでも応援に行こう。

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