戦姫絶唱シンフォギアAG・歌とメダルと13のコンボ   作:バルバトスルプスレクス

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前回のあらすじ

命に別状はなかったものの、天羽奏は今後二度とステージに立つこともLiNKERを服用して戦うことも出来なくなっていた

しかし、二年前のライブの生存者の一人立花響がガングニールの装者となってしまった

自ら戦いに身を投じようとする響に弦十郎は一抹の不安を抱くが……

Count the Combo 現在オーズが変身したコンボは…!

タトバ

ガタキリバ

ラトラーター

???

???

???

???


衝突と再会と白銀

 

 どうして、こんな事になってしまったのだろう。

 どうして、こうなってしまったんだろう。

 一緒に戦おう、共闘しようと翼に持ち掛けた響。奏に命を救われただけでなく、闘うための力も受け継いでいる事を知って、ノイズ掃討の手伝いが出来ればと考えていた。

 しかし、突き付けられた現実は違っていた。

 

「な、何を言ってるんですか翼さん!」

 

「貴女が言ったのよ、一緒に戦おうと!」

 

 『共闘』ではなく、『敵対』として捉えられてしまって一触即発の空気を生む。

 変身を解除していた映司が間に入って翼を落ち着かせるも、彼女は聞く耳を持たずに押しのける。

 

「そんな、私はただ()()()()()()()に……!」

 

 必死な響きの訴えが翼の感情を爆発させるには充分だった。

 血走った眼で刀を振るい、響を襲う。

 シンフォギアを纏って間もなさすぎる響はアームドギアの精製など知る由もないわけなのだが、翼にとっては些末な事。出さぬとあれば、強引にでも出させるまで。浮ついた心意気で戦場を駆けるなど、戦場に立てぬ奏の力を振り回そうなど言語道断。

 

「やめるんだ、翼ちゃ……!」

 

 何とか止めようとする映司だったが、どういう訳か身動きが取れないでいた。もしやと思い街灯によって生まれた自分の影を見て、納得がいった。

 『影縫い』と呼ばれるその技は、ナイフや銃弾などを用いて対象の影を地面に縫い付ける様に撃ちこむ事で身動きを封じるという。先ほど押しのけた時にしれっと撃ち込んでいたようで、よほど邪魔をされずに響を始末したいらしい。その証拠に響に対して大技、『天ノ逆鱗』を繰り出していた。

 アームドギアを大型バス程の大きさに変形させ、両足のブースターの推進力を加えたその技は主に強襲型に用いるべきなのだが、このまま行けば響は大けがでは済まされない傷を負うことにあるだろう。今のところ『天ノ逆鱗』を止められる手段は二つある。一つは白銀のコンボなのだが、影縫いで身動きを封じられているので使えない。

 

「フゥンッ!!」

 

 そしてもう一つは、生身でありながら拳一つで巨大な剣の切っ先を受け止める風鳴弦十郎である。

 弦十郎は気合を込めた叫びを一つ上げると、足元のコンクリートは広範囲に砕かれ、巨大な剣も粉砕する。ついでに彼の革靴も犠牲になったが、どう威力を操作すれば革靴だけの犠牲で済むのか疑問に思う映司をよそに、物語は進んでいく。

 

「この靴高かったんだぞぉ?映画何本借りられると思ってんだ」

 

「……すみません」

 

 響の謝罪の言葉は何に対してか定かではないが、取り合えず弦十郎が翼を引き連れて帰投して、映司は展開が解除されて制服姿のままへこたれている響に近寄った。

 

「帰ろっか」

 

 

***

 

 

 響がガングニールの力を顕現して一か月近く経った。

 未だ危なっかしい戦い方動き方をするものの、初日より戦えているようにも見える。それでもまだ逃げ腰なのはご愛嬌と言う奴ではある。そんな彼女のサポートに入っているのはオーズで今はクワガタ・クジャク・チーターからなる亜種コンボの一つ、ガタジャーター。

 ガタジャーターは頭部のクワガタヘッドから電撃を放ち、クジャクウィングで飛行、またはチーターレッグでの高速移動という組み合わせ。これならば、どの角度からでも響のサポートをしながらノイズの掃討も可能である。

 掃討終了後、翼と何度目かのコミュニケーションを試みるも、差し伸べた手を払いのけられ落ち込んでいる響を連れて映司はある場所へと連れ出した。その道中何かを勘違いしていたようで、顔を赤くしていたが目的の場所に到着すると直ぐに赤くしていた表情を元に戻した。

 

「ここは二課の擁する病院だよ。君に会わせたい人がいるんだ」

 

 弦十郎からの許可を得ていることも付け加えた映司は、慣れた様子で手続きを済ませると、響を引き連れて目的の部屋へと向かう。

 部屋の前まで来て、一瞬のうちに緊張し始める響。映司が彼女の視線をたどると、奏の名前が書かれたネームプレート。映司が連れ来たのは奏のいる病室。

 

「奏ちゃーん、入るよー」

 

 引退しているとはいえ、元ツヴァイウィングの天羽奏の見舞いと言うだけあって驚き戸惑い声すらも出なくなった響を引き連れている映司は、構うことなく入室する。

 部屋の主である奏は相変わらず包帯で目隠しされているとはいえ、退屈で仕方ないのかベッドの上で胡坐をかいていて些か行儀悪い格好でウォークマンから流れる音楽をヘッドホン越しに堪能している。目隠しされている為来客に気が付いていないノリに乗ってる彼女には申し訳なく思いながらも映司がスッと外す。

 

「ん?看護師さん?」

 

「俺だよ奏ちゃん。お見舞いに来たよ」

 

「なーんだ映司さんか。ノックぐらいしてくれよな」

 

「したよ。あ、今日はね奏ちゃんにお客さん連れてきたんだ」

 

 恋人だ何だと揶揄(からか)う奏をよそに映司は響の背中を押した。

 

「あ、ああ、あのぉ!ききき、今日はおひおひおおお日柄もよく!!」

 

 緊張のあまりたどたどしい口調になり、どんな話題で話すべきかを悩み、かといって挨拶くらいはマトモにしようとしても何を言えばよいのやら。二の句が継げぬ状況に陥ってしまった響の様子を感じ取った奏はカラカラと笑い声をあげた。

 

「面白い娘だねぇ」

 

「面白って?!」

 

「あ、やっぱり奏ちゃんもそう思う?」

 

「映司さんまでっ?!」

 

 この一連のやり取りで響の緊張の糸が解れてやっと本題に入ることに。

 翼からある程度話は聞いていたのか、奏は響の心臓部にかつての己の欠片が融合侵食されていた事に心を痛めていた。

 

「なぁ、響って言ったっけ。ごめんな、アタシがちゃんと守っていなかったばかりに」

 

「そ、そんなことありません。奏さんのおかげで私、今まで辛いことにあっても奏さんのあの言葉に励まされたんです」

 

 生きるのを諦めるな。もしこの言葉が無かったら、今の響はここにいないことだろう。そう思う奏は、響を近くまで呼び、映司を退室させる。出て行ったかどうか確認させた響の腕を引っ張って、上着の裾の方から手を突っ込んだ。そのまま何かを探る様に響の体を(まさぐ)って、突然この事で驚きながらも嬌声を上げている響など構うことなく漸く奏が手を止めたのは十分弱。

 

「痕、残っちまったんだな」

 

 響の左胸元の音楽記号に於けるフォルテの形状の傷跡を指先で撫でる奏。

 

「そんな落ち込まないでください奏さん。今まで感謝はしても恨んだことは一度もありません!」

 

「そう言ってくれるとこっちも助けた甲斐があるよ」

 

 直に傷を確かめるためとはいえ、せめて許可を取ってほしいと思う響であったが、似たようなスキンシップを幼馴染の親友小日向(こひなた)未来(みく)とつい先日やったことを思い出し次第に慣れていく。

 

「それは良いんですけど奏さん。いつまで私の服の下に手を突っ込んでるんですか?あの奏さん?奏さ、あちょっとど、何処を触って――!!」

 

 

***

 

 

 寮に帰宅して響は課題であるノイズ関連のレポートを纏めていた。

 レポートの形は問わないものの、大多数がノートPCを用いてプリントアウトしたレポートなのだが、響はあくまで手書きにこだわっていた。しかしここ最近のノイズ退治による疲労がたたり、ついついうとうとと舟をこいでしまう。

 そんな響を見守る未来が口を開く。

 

「響、寝たら間に合わないよ。そのレポートさえ提出すれば追試免除なんだからさ」

 

「う……ん。あ、だはーっ」

 

 どれ程頑張ろうと眠気に勝てる道理も無く、ペンを走らせても文字は線のままでレポートの作成は全く進みもしない。ついには力付いて頭から突っ伏した。

 

「だから寝ちゃダメなんだって」

 

「寝てないよ起きてるよぉ。ただちょっと目を瞑ってるだけ」

 

 人それを寝るともいうのだが、今の響の瞼の裏には、あの時自分に剣の切っ先を向けた翼の険しい表情が焼き付いていた。あの時何で奏の代わりになると言ってしまったのだろうか。同じガングニールを纏っていたからなのか、それとも――。

 その時響のスマートフォンに着信が入った。二課からだ。未来からはそれが響が朝と夜を間違えて設定したアラームかと勘繰られる始末。

 

「こっちの方は何とかしてよね」

 

 そう言って響に見せたノートPCの画面には、何年か前のこと座流星群の動画が表示されていた。

 流れ星、特に流星群を眺めたのはいつ振りだろうか。この二年間ゆっくりと夜空を眺める余裕も無かったため、今からとても楽しみにしている響。

 約束の指切りを交わして更にやる気を出していった。

 

 

***

 

 

 レポート作成中にかかってきた召集の連絡を受けて響は二課のブリーフィングに参加していた。彼女以外には、弦十郎や了子、映司に緒川と翼。そして二課のオペレーターの面々。

 

「どう思う?」

 

「いっぱいですね」

 

「いや、まぁそうなんだけどね」

 

 率直で素直な響の感想に思わず苦笑いを浮かべる映司。

 彼らの前面の大型モニターにはここ一か月に渡るノイズの発生状況を分かり易くまとめたものになる。映司がオーズとして戦い始めた時よりも短い間隔でノイズが発生しているのだ。

 

「そもそもノイズの発生が国連での議題に上がったのが十三年前からだけど、観測そのものはもっと前からあったわ。それも世界中に太古の昔から」

 

「そうなると、世界の各地に残る神話や伝承に登場する数々の異能は」

 

「ノイズ由来が多いってことですね」

 

 映司の言葉に首肯する二課司令。

 

「そもそもノイズの発生率は決して高くない筈なの。この発生件数は誰の目から見ても明らかに異常事態ね。そうなると、そこに誰かしらの何らかの()()が働いていると考えるのべきでしょうね」

 

 科学者の天を仰いで展開した推論に響だけでなくその場にいる全員の表情が強張った。

 もしその通りならば、一体誰が何の目的を以てノイズを操作しているというのだろうか。

 その狙いに心当たりがあるのか、翼がコーヒーを飲みきって答える。

 

「中心点はここ、私立リディアン音楽院高等科で我々の真上です。つまりはサクリストD…デュランダルを狙って何らかの意思がこの地に向けられている証左となります」

 

 『デュランダル』とは主に中世のフランスの叙事詩『ローランの歌』に登場する英雄のローランが持つ聖剣のことで不滅の刃の意味を持つのだが、そんな事つゆ知らない響はオウム返しするだけ。

 今響たちのいる場所よりも更に下層のアビスと称される最深部に保管され、日本政府の管理下にて二課が研究を行っている、ほぼ完全状態の聖遺物。それこそがデュランダルであると、オペレーター友里あおいが答える。

 

「それとは別に、翼さんの天羽々斬や響ちゃんの胸のガングニールのような欠片とかは、装者が歌ってシンフォギアとして再構築させなければその力を十分に発揮できないけれど、完全状態の聖遺物……つまり完全聖遺物は一度起動した後は100%の力を常時発揮して、更には装者以外の人間も使用できるだろう、と研究の結果が出ているんだ。映司のもつオーズドライバーも完全聖遺物だね」

 

「その節は大変お騒がせいたしました」

 

「とにかく、それがそれこそが!私の提唱した櫻井理論……なんだけど完全聖遺物の起動には相応のフォニックゲイン値が必要なのよね。ただ、映司君のオーズドライバーはその辺りはまた違うんだけれどね」

 

 友里、藤堯、そして了子の三人の言葉を聞いてもやはりピンと来ていない響。そのそばで九十度の角度で最敬礼している映司など気にしている余裕は彼女には無い。

 最後に完全聖遺物の起動実験を行ったのは、二年前。弦十郎は今の翼の歌ならばデュランダルを起動できるだろうと推論する。

 

「というかそもそも起動実験の認可なんて降りるんですか?日本政府も二年前の事があるから」

 

「それ以前の問題さ。安保を盾に米国が再三のデュランダル引き渡しを要求してきてるらしいじゃないか。起動実験どころか、扱いに関しては慎重にならざるを得ないよ。下手をすれば国際問題だ」

 

「重ね重ねお騒がせしてすみませんでした」

 

 最敬礼から土下座の格好になった映司など誰も気にする様子も見せない。

 

「それと、調査部からの報告によればここ数ヶ月の間に数万回に及ぶ本部コンピュータへのハッキングを試みた痕跡が認められているそうだ。流石にアクセスの出処は不明。それらを短絡的に米国政府の仕業とは断定出来ないんだ」

 

 そのハッキング元がいくら米国であることを匂わせていても、それがそうである確証がない限り公に訴える事も出来ない。

 かくしてミーティングは翼のアルバムの打ち合わせがある為お開きになり、緒川を引き連れて翼が退室した後、映司たちは休憩スペースにて一息ついていた。

 そう言えば翼にイギリスのレコード会社の話があったなと緒川から聞いていたことを思い出した映司は、視界の端で了子から耳を甘噛みされた響の様子を眺めていた。

 

「ところで映司さんて、いつからオーズに変身しているんですか?」

 

 そう言えば話したことなかったな、と映司は天井を仰ぎ見る。

 

「始まりは俺が高校二年生の時かな」

 

 下校途中で寄ったスーパーでの買い物帰りに起きたノイズの襲撃の際に、二課のエージェントらしき人物が炭化させられた際にその手から放れたドライバーが入っていたアタッシュケースが映司の手元に渡って変身。奏と翼の助力を得てノイズを撃退。

 しかし、その際にドライバーが映司をマスター登録したようで、今のところ映司以外が変身を試みるも、それ以前の問題でドライバーを腰に当てても帯が出ないのだ。映司からそれを聞いて変身したかったと残念がる響であった。

 

「でも、最初は俺戦うことをためらってたんだけど、あることが切っ掛けで俺は戦うことを決意したんだ」

 

「そのある事ってのはね響ちゃん、映司君が片思いしている娘が関係しているのよ?」

 

「了子さん?!やめてくださいよ恥ずかしい!!」

 

「しかも二年以上も前に日本を出たっていうのに好きだの一言も言えてないの」

 

「友里さんもやめてくださいよ恥ずかしい!!」

 

 

***

 

 

 何とか期限ぎりぎりでレポート提出出来た響であったが、未来が荷物を取りに行ってくれているその時、二課から支給された通信機の着信音が鳴り響く。

 ノイズだ。サッと通信機を取り出して回線を開くと弦十郎の声で出撃の要請が出た。既に映司も別の場所でノイズの掃討にあたっており、すぐには駆けつけるのは難しいとのこと。

 短く了承の返事を出して、響は一目散に現場へと駆けだした。

 着いたのは地下鉄入り口。現場は階段を下りた先の構内。地上にいながらも地下からの炭の独特な臭いが鼻に突いた。既に何人か犠牲になっている事だろう。人の営みを何の感情も無く、何のためらいも無く簡単に命を奪っていくそんな奴らに対して強い憤り見せる。

 そんな時に響のスマートフォンのバイブレーション機能が作動する。未来からの着信だった。

 

「あ、未来?ごめん……、急用が入っちゃってさ、今晩の流れ星一緒に見られないかも。うん。ありがとう、ごめんね……」

 

 通話を終えて駅構内へと振り返る。階段や壁を覆い隠すように地下から湧き出るノイズの大群。

 あれは敵だ。倒すべき敵だ。

 

――Balwisyall nescell gungnir tron(喪失までのカウントダウン)

 

 胸の奥から湧き出る聖詠を紡ぎ、次の瞬間にはガングニールのシンフォギアを響は纏う。

 そのまま階段を駆け下りながら我武者羅に拳を振るい、極彩色の災害を駆逐していく。

 

『小型の中に、一回り大きな反応が見られる。映司は無理だが、間もなく翼が到着する。それまで持ちこたえるんだ。くれぐれも無茶はするなよ』

 

「わかってます!」

 

 弦十郎からの通信に短く返しながらも一体一体ノイズを駆逐していく。その中で今までに見た事がない形状のノイズを見付けた。紫色をして、頭に葡萄(ぶどう)の房の様な物体を被ったノイズだ。

 しかし、今の響には冷静になる余裕などなく、仮称ブドウノイズの一挙手一投足に目がいかなかった。だからこそ、ブドウノイズの房から放たれた葡萄の実を模したいくつもの爆弾の衝撃により、崩れた天井の下敷きになってしまった。

 他のノイズが瓦礫の山を前にする中ブドウノイズはホームの方へと飛び跳ねながら進んでいく。

 

「見たかった………流れ星、見たかったァっ!!」

 

 シンフォギアを纏っていなければ今頃はミンチであったことだろう。己に積み重なる瓦礫の山を吹き飛ばし、感情を爆発させた響は怒りに身を任せたまま視界に入ったノイズを悉く殲滅していく。

 本来ならば親友と共に流星群を見に行けたことだろう。その為に溜まりに溜まった課題や追試を必死に片づけてきた。それなのに災害(ノイズ)はこちらの事を考えてはくれない。

 ブドウノイズを追いかけていく内に戦姫から戦鬼へと変貌する響。その表情は黒く塗りつぶされ、目は濁った血液の様な輝きを放っていた。

 

 

***

 

 

 言うなればキックの雨と称されるオーズガタキリバコンボの必殺技がその場にいたノイズを殲滅しきると、オーズはタトバコンボに戻り愛車を走らせた。

 目的地は響のいる地下鉄。先ほど来た通信によれば、彼女は今半暴走状態であるとのこと。奏がガングニールを纏っていた頃は暴走状態に陥ることは無かった。人一倍好戦的であることを除けば。

 ノイズの出現もあってか近隣住民も既に非難も終えている人通りのない国道をオーズが走っていたその時、突如として通りかかった公園の敷地内で爆発が起きた。これにより出来た穴から響が追いかけていたと言うノイズがオーズの視界に入った。逃すものかと、メダルを三枚白銀のメダルに交換する。

 

サイゴリラゾウ

サゴーゾサッゴォーゾッ!!

 

 白銀の猛き角、剛腕、そして大地を揺るがす脚。そのコンボは重力を支配する。

 サゴーゾコンボに変身したオーズはドラミングによる固有能力重力操作でブドウノイズを拘束。

 元来ドラミングとは、ゴリラが興奮したり緊張したりした際に後肢で立ち上がって大声を発しながら両腕で胸をたたいて音を出す行動である。その際に手は拳ではなく平手なのが正しいドラミングである。

 閑話休題。

 身動きも取れず宙に浮かんだままのブドウノイズは何処か人間臭く、不可視の拘束から逃れようと尚ももがき続ける。

 

「今だ、翼ちゃん!!」

 

 オーズが叫び、夜空に流れる一筋の流星が瞬けば、蒼い斬撃波がブドウノイズを両断。

 流星の正体は刀剣型アームドギアを携えた翼であった。程なくして響も合流するも、二人の間には未だに重い空気が漂っていた。

 

「私だって、守りたいものがあるんです。だから――!」

 

「――だから?ンで、どーするんだよ?」

 

 聞き覚えのない声した方を三人は一斉に見やるとそこにいたのは、サゴーゾとは別の白銀の鎧を纏っていた一人の少女がいた。

 オーズと翼はその鎧に見覚えがあった。いや、今の今まで一度たりとも忘れることは無かった。二年前のあの日、響の胸にガングニールの破片が突き刺さったあの日、奏が絶唱を使わざるを得なかったあの日行方不明になった完全聖遺物ネフシュタンの鎧だったからだ。

 

 

 

 

続く

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