ソードアート・オンライン〜黒の剣士と紅の最強プレイヤー〜 作:麒麟@
「グヘェ!」
「キャア!」
俺たちは走りながら転移したからそのままの勢いでこけて着いた。そして今の現状が理解できない俺を放ってコハルは口を開き始めた。
「なんでそんなにも無茶するの?」
「なんでって」
「無理しすぎだよ。いくらなんでも。1人でボスなんて勝てないに決まってるよ」
「なんでだ?勝てるかもしれないだろ」
「ムラクモがなんでそんなこともわからないの?あれβの時と違ってたよ。周りに子分もいたしあの時よりもレベルが低いのに勝てるわけがないよ」
正にその通りだ。けどまだ納得できない。俺はもうすぐ死ぬんだからやれることはやっておきたいということもわかるはず。というか大体の人間は自分のことしか見えていない。こんな偉そうなことを考えている俺もだが。
けれどコハルは危険を犯してまで俺を助けにきた。コハルになら話してもいいかもしれない。
「コハル少し移動しようか。できたら宿がどこかに」
「わかったよ」
俺たちは宿に向かって歩き出した。始まりの街の一番安いところで宿を取り部屋に入る。
「それでどうしたの?」
「宿を取ったのは周りに聞こえなくするためだ」
「あーなるほど」
「それで話しないといけないのか?」
「してよ!ここまできたんだから」
「まぁそうか」
俺はメニューウインドを開き道具を出す。飲み物と食べ物だ。この一層にはこれといってまともな食べ物がまだ流通していない。
だからパンとバターを出す。コハルも知っているがおそらくまだこのクエストはクリアしていないはずだ。
「あ、ありがと」
「まぁ話すか。俺今一人暮らしなんだよ。だから俺の体は水も食べ物も入らない。持って3日ってところだからな」
「けど!家族は?家族なら助けてくれるんじゃ」
「それが一番無理だな。俺は家族と縁が切れてる状態だから」
「なんで!!?」
俺は家族のことを何も隠さず話した。隠す必要もないし隠していてもすぐに死ぬんだからもうどうでもいいかなと思ってしまった。
けれど俺はこの時知ることもなかった。現実世界でどんなことがあったのか。
ソードアートオンライン
その言葉がテレビで流れた途端に嫌な予感がした。これは確か紫雲が言っていたゲームだから。
わたしはすぐに電話をかける。今わたしだけじゃあ紫雲の部屋を開けてもらえない。
「もしもしわたし朝田詩乃と言います」
「朝田?かけてこないで!!」
やっぱりこうなることがわかっていた。けれど諦めたら紫雲が死んでしまう。絶対にでも話を通してもらわないと思い何度も電話をかけたが結局つながらなかった。
わたしは大家さんのところに電話をしたが話をとってくれなかった。その日はベッドに電話を持ったまま寝ていた。
なんだか家族の様子がおかしい。いやおかしいというより電話に出た時からだ。夜になっても両親はイライラしている。
「何かあったの?」
「なんでもないわ」
「朝田から電話があったんだ」
「ちょっと待って!詩乃さんから電話があったって本当?」
「詩乃……さんだと?」
「うっさいバカ親父。何があったのか教えて今すぐ」
「なに……を?」
「話さないとこの家でていく。それに縁も切らせてもらうから」
「「な、それは……」」
2人とも驚いていた。まぁそれもそうだろう。あたしの名前を出汁にいろんなところに自慢してるからそれを切られるのは痛いんだろう。ましてや自分たちのせいで切られるなんで知られなくもないはずだ。
「内容は知らん。けどかなり慌てていた」
「まさか……?けどいやそんな」
あたしの中をよぎったのはここ最近ニュースに出ているソードアートオンラインだ。お兄ちゃんのことだからやっている可能性は大いにある。それでかけてきたのかもしれない。
電話をかけ直そうと思ったがもう夜も遅いので明日かけ直すことにした。
ベッドに入ってからも嫌な予感が消えない。まさかとは思っていたけどやっている可能性は大いにある。というかそれしかないと思う。
そのまま眠って次の日になった。
朝すぐに電話をかけて内容を聞くと正にその通りだった。あたしはすぐに教えてもらった住所に向かっていく。けれど距離があるせいで朝に出たのに着いたのは夕方になった。
「詩乃さん!!」
「沙耶香ちゃんごめんね」
「それよりお兄ちゃんは?」
「こっち。何か証明できるものは?」
「これを」
あたしは保険証とその他にも役に立ちそうなものを持ってきた。そして詩乃さんと大家さんのところに行き部屋を開けてもらった。
ベッドをみるとそこでナーヴギアに繋がれたお兄ちゃんがいた。
「お兄ちゃん」
「紫雲……」
改めて見てみるとやっぱりショックだ。けどまだ息はしているから死んではいないみたいだ。あたしはすぐに救急車を呼んで事情を話す。するとそれ専用の車が来て運んでいく。
そのまま病室に入り繋がれたまま点滴を腕に打たれていた。
「紫雲……」
「だいじょーぶですよ。あのムラクモですから。すぐに帰ってきますよ」
「なんでそんなにも強いの?」
「強いんじゃないんです。あたしだって怖い。けどそれ以上に信じてるから」
「そう」
詩乃さんは何も言わずに帰っていった。あたしは看護師さんに無理言ってここに泊めてもらえることになった。ここにいるにはあの両親から根こそぎ奪ってやらないと厳しい。
あたしはお兄ちゃんに寄り添いながら潰す算段を考えた。あの家は金だけは山ほど持ってるから全て奪ってやる。そう考えて。
コハルと話した後俺たちは宿で休むことになった。コハルはなぜか出ていくつもりはなくて問い詰めると宿に部屋がなくてここに寝るとのことだ。俺を見張るのもあるとかいうが見張られることなんてないのに……
次の日コハルが先に目覚めておりすでに装備を整えている。
「ムラクモ最後まで諦めないで行こうよ。まだ希望はあるかもしれないから」
その声は元気がなかった。事象を知っているというのもあるがコハル自身が優しいからだろう。それで今俺に同情していてそれで何か方法がないか探しているんだと思う。
フィールドに出てレベリングをする。何においてもレベルが第一だ。レベルが高いとそれだけHPも上がるしステータスも上がる。生き残るにはいろんなスキルが必要というが何よりもレベルだ。
結局その日もレベリングしていて異常が起きたのは一旦街に帰ってきた昼だった。街に入ると異変が起きた。
「ムラクモ?」
「あ……れ?」
その言葉を最後に俺は話せることがなくなり意識がどこかに消えた。