クソつまらないかもしれませんが何卒よろしく
助けて、と叫んでみる。
誰も出てこない。
そりゃそうか。
いまは午前五時。皆寝ている時間だろう。
それに今私のまわりには、
誰もいないのだから
【彼】から逃げながら考える。
路地に追い詰められ、頭に振り下ろされた鉈を見ながら考える。
なんで、こうなったんだっけ。
ーーーーーーー
二日前。
ここは私立久留学園。
「やほー!!黒江、おっはよぉ~~~!」
私は目の前にいる親友の伊藤黒江に話しかける。
「チッ、美亜……朝からドデカい声で話しかけんなって言ったじゃない」
「ウェヘェ~めんごめんごンゴ~!!」
「そのキショイ笑いかたもやめろ、謝りかたもウザいよ」
さて、唐突だが私の親友の黒江は、いじめられている。
暴力等は受けていないが机を見てみると、
「バカ」「シネ」「お前生きてる価値ない」
とか油性ペンで書いてある。
でも彼女は全然気にしてないみたいだ。
一度前に「大丈夫?」と聞いたら、
「こういうことは心の弱い人間が一時の安心を求めてやることなの」
と言っていた。
流石黒江。メンタルの強さと偏差値の高さは一級だ。
お気楽ポジティブな私も恐れ入る。
そんなことより。
「ねぇ黒江聞いて、実はね、
ネットで友達ができちゃったんだ!」
「はっ?!」
そう。私には友達ができた。友達といってもメールを交換しているだけだが。
ネットで知り合ったので、その人とは会ったことがない。
しかし、その人と友達になってから数日後、こんなメールが来た。
『こんど会いませんか。宇宮公園でお待ちしてます』
と。
「会うに決まってるじゃん!!」
「アホか!!!やめろ!!!!」
黒江が怒鳴った。
「あんたネットで知り合ったやつと会うなんて何考えてるの?!!」
このときの私はネットで知り合った人と会うことがどれ程危険かなんて頭になかった。
だから。
あの時「会いましょう!✨」
などと言ってしまったのだと思う。
「つかいつ会うことになってるの?!」
「んー……明後日ェ」
「本気?!」
「うん、ちなみに午前五時に来いって」
「あーーー、もういい!!!!勝手にせぇ!!!!」
それが私と黒江の最後の会話だった。
どうしてこれが最後の会話になってしまったかというと、彼女は以降、一切口をきいてくれなかったからだ。
ーーーーーーーー
日曜日。
私はリュックに大量の荷物を詰めて出発した。
目指すは宇宮公園。
私の家から目的地である公園は少し遠い。
電車の中で、彼とのやり取りをする。
『今どこにいますか』
『電車のなかです 』
『わかりました』
『楽しみにしてます♪』
不思議だったのはこの人がメールで絵文字を使わなかったことだ。
でもそんなことがどうでもよくなるくらい私はこの人と会うのを楽しみにしていた。
一時間後私は無事に宇宮公園に到着した。
周りには住宅街。まだ早朝なので人気はない。
公園の真ん中に緑色のタンクトップを着た背の高い男の人が立っている。
「あの~、メールくれた人ですか?」
彼はゆっくりと振り向いた。
次回へ続く