いよいよ美亜たちは死者の世界へ……。
霧を抜けた私と殺人鬼さんを待っていたのは、珍しい、白い汽車だった。
「なんだあの白い物体は」
「あれは汽車だよ。知らないの?」
殺人鬼さんは顎にてを当てる。
「俺が生まれたところにはキシャなんて物はなかったぞ……?」
「あっ……何かごめん」
「お客さま、駅のホームで屯されては困ります」
駅員らしき風貌の、茶色い髪の毛の少女が話しかけてくる。
「はぁ?たむろってなんだよ、ただちょっとこいつと話してただけじゃねぇか」
殺人鬼さんが恐ろしい顔を歪ませる。たぶん怒ってるんだ。
「それを屯というのです。それにこの汽車を逃せば次に来るのは三時間後ですよ。
ここはこの駅とあそこの門以外は何もない場所。暇ですよ」
「ぐっ……」
仕方がないといった顔をし、殺人鬼さんは真っ白な汽車に乗り込んだ。
「それでは出発します」
私たちを乗せた汽車は走り出す。
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汽車に乗り込んだ私たちは、適当な座席に座る。
座席もまた真っ白で、シートはふかふかだった。
窓の外から景色は見えるが、どこもかしこも真っ白でよく分からない。
そういえば私はまだこの男に名前を名乗っていなかった。
「あ、そうそう、私の名前はね……」
「知ってる。フジタ・ミアだろ?」
殺人鬼さんはどうやら私の名前を知っているようだ。
まあ、出会い系サイトを使っていればそりゃ知ってるか。
つくづく自分の愚かさに嫌気がさす。
「汽車は知らないのに出会い系サイトは知ってるなんて変だよ」
「あ?あれ出会い系サイトってのか……知らなかった……あれを使えば効率よく人と出会えると思ったんだよ」
どうやら相当頭が悪いらしい。
「携帯はどうしたの?」
「殺したやつからパクった。そいつがそのサイト見てたからそれを使ったんだ」
「文字はどうやって打ったの?」
「えーと……コピペ?ってやつ」
「コピペ識知ってるのかよ」
「へへっ、まあな、偶然知った」
顔は恐ろしいが、彼は普通に話すととてもいい人のように思えてくる。
何が彼を恐ろしい殺人鬼にさせたのだろう。
「次は~、死者の町~、死者の町~」
車内に先程の店員のアナウンスが響く。
「ここで降りよっか」
「ああ、そうだな」
とりあえず私たちは【死者の町】という駅で降りることにした。
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「おっきい門があるね」
私たちは今、【死者の町】の入り口らしき門の前に立っている。
「この門は開かないのかな」
「ああ、どうやら開かないみたいだな」
さっきから殺人鬼さんが門を開けようとしているが、びくともしない。
「その門は音声認識で開くのですよ」
後からまた声がした。
私たちが振り向くと、赤い目に神父風の衣服に身を包んだ青年が立っていた。
顔に笑みを浮かべているが、どうも胡散臭い。
「まあ見ていてください。すみません、開けてくれませんか?」
青年の声に反応するかのように門が開く。
「さあ、お入りください」
青年に促されるようにして私たちは門の奥へと足を踏み入れた。
「あ、そうそう、私の名前は【
焔と名乗る青年に案内された先には驚くべき光景が広がっていた。
「こ、これは……」
「すげぇな……」
先程までの真っ白な世界とはうってかわって、樹木に覆われた赤レンガの町がそこにはあった。
白い壁に色とりどりの屋根の家がたくさん並んでおり、なかにはお菓子屋らしき店や図書館、服屋もある。
その向こうには白い壁の教会がある。
普通の町と何らかわりない。
「いいところでしょう?この場所こそが【死者の町】ですよ」
焔さんはまた、ニコニコと胡散臭い笑みを浮かべた。
次回に続く