※ほぼノロケ話※
朝。
私の部屋に淡い光が差し込みます。
その光の眩しさに目を覚ました私は、ベッドから起き上がり、夫が買ってくれた薄荷色のスリッパに足を通します。
私の部屋がある三階から二階に降りると、夫がフライ返しを片手に「おはようごさいます」と、微笑みかけてくれるのです。
今日の朝食はフレンチトーストとブルーレディ。
どちらも私の大好物です。
フレンチトーストを頬張る私を横目に夫はコーヒーを淹れています。
以前彼に「紅茶は飲まれないのですか?」と聞いたら、「少し苦手なのです。君が勧めるなら喜んで飲みますが」と、答えてくれました。
苦手なのなら無理強いはしません。
それに私もコーヒーが苦手なので強くは言えないのです。
昼。
夫が神父として働いている間、私は夫の部屋を掃除します。
私が生きていた頃は「男の部屋に入るなどとんでもない」と言われてきましたが、どうやら彼は入られても構わないようです。
彼の机の上には私との思い出の写真が飾ってあります。
…………少し怖いです。
夫の部屋の掃除を終えると、私は昼食作りに取り組みます。
昼食のメニューはサンドイッチと鮭のサラダと簡単なもの。
私はお菓子作り以外の料理はあまり得意ではありません。なので火や包丁をなるべく使わない料理を選んでいるわけです。
サラダに使う鮭も切り身です。
そこに夫がどたばたと駆け込んできました。
「少し急いでくれませんか。急に用事ができました」
どうやら【地獄】から召集が掛かっているようです。
「でしたらお昼ご飯、持っていってください」
私はサンドイッチをバスケットに詰め、彼に渡します。
「ありがとうマリア、助かります」
夫は私の頬に軽くキスをし、慌ただしく出ていきました。
「いってらっしゃい」
走る彼の背中を眺めてそう呟いた私は、昼食を食べるためにキッチンに戻りました。
一人の昼食は寂しいものがありますが、それもまた良いものです。
夫がいない間、私は読書をしたり刺繍をしたり、たまに………………
……これは恥ずかしいので言わないでおきましょう……。
夜。
疲れた顔の夫が帰ってきました。
「お帰りなさい」
「ああ、ただいまマリア、あなたのその笑顔を見るだけで疲労が吹き飛んでいくようです」
そう言って私の頬に手を当てます。やはり少し怖いです。
普段夕食は夫が作ってくれるのですが、肝心の彼はどうやら疲れているようです。
「どこか、食べに行きましょう」
私が提案すると、彼は心のそこから嬉しそうに笑い、そして私に向かって言いました。
「いい店を知ってるんです」
着いたところはファストフード店。
彼にしては意外な選択です。
「たまにはいいでしょう」と笑う彼はまるで無邪気な子供のよう。
本当に、退屈しません。
店で食事をとったあとは、当然二人で家に戻ります。
が、その途中で色々寄り道をし、戻った頃にはもう時計は11時を指していました。
私がソファーに座り込むと、彼も同じように座り、覆い被さってきました。
普段ならベッドで寝ない彼を叱るところですが、あいにくそんな気力はもう私にはありませんでした。
いつものような規則正しい生活ではなく、たまにはこんな日も良いものです。
いきなり終わる。
難しいですね。