Dead・in・wonderland   作:ばにらいむ

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大変遅くなりました。
第7話、スタートです。
今回はとある要素に挑戦してみました。


partⅦ

黒江が、この世界に来ている。

 

 

「一体どうなってるの……?」

私は思わず声を漏らした。

 

死者の国に来たということは、黒江は死んでしまったのだろうか。

けれど黒江はとっても強い子。理由がわからない。

 

「おい、ミア、大丈夫か?」

ただならぬ雰囲気に、先ほどまでクッキーを貪り食っていた殺人鬼さんも顔を上げ心配する。

「あ、んーん、大丈夫大丈夫……」

私は首をブンブン振ってごまかす。本当は全然大丈夫じゃない。

 

 

「ヤバイヤバイヤバイ!」

突然教会に女の子が飛び込んできた。

女の子は頭にペレー帽をつけており、その髪の色は深い青色だった。

「ギラ!」

焔さんが驚いたような声を上げる。

「え、ど、どうしたのです⁉」

 

「こ、この世界に……生きた女の子が来てる‼」

「「「えええええーーーーーーっっ!?」」」

焔さん、マリアさん、ホイメンちゃんが驚愕の声を上げた。

 

「生きてる人間が来ちゃマズいのか?」

殺人鬼さんが目玉を丸くして言った。

 

「ええ。マズいもなにも、死者の国のバランスが崩れてしまうのですよ……」

ただでさえ色白な顔色をさらに白くさせる焔さん。

よほどの緊急事態なのだろう。

「しかももう何度か入られてるんですよ……」

ギラと呼ばれた少女が頭を抱えてうずくまる。

 

「そ、それって黒江が何度もこの世界に来てるってこと⁉」

たまらなくなった私はギラに詰め寄る。

「い、いや、それは分かりませんが、私が今まで確認できた限りだと、その黒江という名前の少女は来てませんでしたが……」

私に気圧されたのか、小さくなるギラ。

そんなギラの一言を聞いて、私は少し安心した。

「良かった、じゃあまだ死んだとは限らないってことね」

 

「それにしても死者の国のセキュリティがこんなにもガバガバだったとは……つくづく嫌になりますねぇ」

ガックリと肩を落とす焔さん。その背中をマリアさんがさする。

 

そんな焔さんを見ながら、私はある決意を固めた。

 

「決めた‼私黒江を探す‼」

「「「「えええええーーーーーーっっ⁉」」」」

 

再び驚愕の声が上がった。

 

「だって親友がこの世界に来てるんだよ?こんなところでじっとなんてしてらんないよ‼

それに私、黒江に…黒江に……あれ」

 

黒江について思い出そうとすると頭に激痛が走る。

「痛たたた!頭がピリピリする‼」

「何だよ頭ピリピリって、脳みその筋肉痛か!」

頭を抱え悶える私を見て、殺人鬼さんがよく分からないツッコミを入れる。

 

 

「もしかしたらそれは「心残り」なのかもしれませんね」

 

「「心残り」?」

 

焔さん曰く、心残りとは生前やり残したことを指すらしい。

しかし、死者の国に一度入ってしまえばその心残りは少しずつ消されてしまう仕組みなのだという。

 

「何で消されちゃうんですか?」

 

「なぜかは分かりませんが、死者の国の主がそうなるように改良したんですよ。私も生前心残りがあったような気がしましたが、もう忘れてしまいました」

そう締め括り、焔さんは深い深いため息をついた。

 

「そっか……じゃあ私も黒江のこと忘れていくのかなぁ」

一気に重くなる空気。

 

「も、もしかしたら……その黒江という子に会うことが出来れば解決するかもしれませんよ」

今の今まで黙っていたマリアさんが満を持したかのように口を開いた。

「え!」

「か、確証はありませんよ…?」

 

「それですよ!さすが私の愛する妻!天才!」

それを聞いた焔さんが絶叫に近い叫び声をあげ、マリアさんを誉めちぎる。引く。

 

 

「でもなぁ、確証がないんじゃ試しようg」

「私の妻の言うことを信用できないのですか?」

苦言を漏らす殺人鬼さん。その胸ぐらを焔さんががっしり掴む。

「ちょ、分かった、信用する‼すればいいんだろすれば‼だから下ろせ、ってか力強いなお前!!」

殺人鬼さんの言葉を聞いた焔さんはその場で手を離した。

しかし殺人鬼さんの体は床から浮いていたので、離したというよりは落としたということになる。

 

まあ、平たく言うと……殺人鬼さんは尻餅をついた。

 

「いってぇ~……もう少し優しく下ろせよ」

 

 

文句を言う殺人鬼さんを無視して焔さんは話を続ける。

「美亜さん、地獄へ行きなさい、そこに行けば国の主に会える。そこで黒江の行方について話せばきっと協力してくれるはずです」

 

「あ、じゃあ地獄までは私が案内しますよ~」

ふと、後ろから声がかかる。

 

ギラの方を見ると「ち、違いますよ!」と首をブンブン降られた。

「ここです‼ここ!!」

 

上を見上げると、なんと羊の角のような物を着けた女の子が空中に立っていた。

 

「おやまあ皆さんお揃いで、本日もいい朝ですね。

私はメルテナ、この死者の街の神様です♥」

「め、メルテナ殿!」

焔さんがその場で膝間付き、マリアさん、ギラもそれに続く。

ホイメンはというと、一人膝間付かずに「おーい、メルテナ~」と、嬉しそうに手をブンブン振っている。

メルテナと呼ばれた女の子はホイメンに手を振り替えしたあと、私たちの目の前に降り立った。

 

 

「二人とも、今「地獄にいく」って言ったよね?あそこまで行くのは少し大変なのよ、私が案内してあげる♥」

 

にっこり笑うメルテナ。その笑みはまるで太陽のようだ。

「ととととんでもない‼案内は我々でやります、あなた様のような方がそんなことを……」

あわあわする焔さん。

そんな焔さんを無視してメルテナはぐいぐい背中を押す。

「さあ行きましょ!はやく行きましょ!友達に会うんでしょ、時間は待ってはくれませんよ!!!」

駅の方向へダッシュするメルテナ。それを追う私と殺人鬼さん。それに続く焔さんたち。

 

これで大丈夫なんだろうか……。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

「次は~、地獄~地獄~」

 

 

「黒江さーん、到着しましたよ~」

Mr.RDに叩き起こされた私、白澤。 

 

「んん……ここは?」

「ここはって……地獄ですよ、じごく」

 

 

「…………え」

地獄。それは生前悪行を重ねた罪人が落ちる場所。

そこに落ちた者はあらゆる責め苦を受け続ける。

 

「ななな、何で、何でそんな、そそそんなところろろに!!」

パニックになる私。

 

「落ち着いてください黒江さん!」

そんな私を、金魚鉢を眺めつつなだめる白澤。 

 

「確かに現世ではそういう風に伝えられています。でもここの「地獄」は少し違うんですよ。ここは「死者の国で罪を犯した者」の監獄なんです。

生きている我々には適応されませんよ」

「な、なんだ……そうだったの……」

 

しかし疑問が残る。

そんな監獄にMr.RD は一体何の用なのだろう。

「ここは監獄だけではなく、交番の役割も果たしてるんです。人探しをするには打ってつけですよ」

 

「な、なるほど……」

「ま、私たちは外で待ってましょ。本来生きてる人間が入るのはご法度ですし。師匠は何度も入り慣れてますから大丈夫です」

どうやらRDは地獄にも行っているらしかった。

 

「分かった、じゃあ待ちますか……」

 

ふと、何かの気配を感じた。

 

「貴女方、「生きている人間」ですね?」

私が振り返ると、そこには頭がブラウン管テレビのような形をした人間(?)が立っていた。

 

「ここは生きた人間が入り込んでいい場所ではありませんよ。二人には申し訳ないですが……

消えていただきます」

 

「「えっ」」

突然の消えろ発言に戸惑いを禁じ得ない私と白澤。

 

「くっ!」

私より先に身の危険を感じたらしい白澤。

その場で持っていた金魚鉢を叩き割った。

 

「んん……白澤、呼んだ?」 

「おいどんを呼んだか?昼寝の途中だから後にしてほしいんだが」

 

その中から出てきたのは、まるでタコとクラゲを組み合わせたような見た目の女の子。

女の子の頭の上にはヤドカリの体を持った、眠そうにまどろむ少年(?)が乗っている。 

 

「シェーミュリア、ヘイルミー!あいつをどうにかしてください!」

叫ぶ白澤。

「ん、分かった、白澤」

「……しかたねーな、おいどんに任せろ」

 

テレビ男は標的の前にに立ちふさがる二人(二匹?)を一瞥すると、「これは厄介そうですね」とぼやく。

「しかしこれは命令、遂行しないわけにはいきませんね」

 

そのまま襲いかかるテレビ男。

しかしそれは少女の伸ばす蛸足によって簡単に弾かれてしまう。

「ぐっ……」

吹っ飛ばされた状態から華麗に着地を決め、尚もテレビ男はこちらに向かってくる。

 

「ちょ、白澤!どーすんのよ!」

「まあ見ててください!」

 

「シェーミュリア、右だ」

「了解」

ヤドカリ少年の指示を受けた蛸足少女。まるで軟体動物のように右に体をくねらせる。

 

そして案の定少女の顔面に右ストレートを決めようとしてきたテレビ男の顎(?)に、思いきり触手を叩きつけた。

 

「あがっ!!」

またも吹っ飛ばされるテレビ男。今度は着地も決まらなかったようだ。

 

「す、凄い……」

驚きのあまり、思わず声を漏らす私。

美亜が見たらきっと歓声という名の奇声をあげているところだろう。

 

「くそ、ここまで手強いとは……」

テレビ男が悔しそうに唸る。その顔には少しヒビが入っていた。

 

 

 

【俺が力を貸してやろうか?】

どこからか声が聞こえる。

 

「また……貴方ですか」

テレビ男が苦しそうに声を漏らす。

 

【ああ。また俺だ】

「結構ですよ、貴方の力など借りたくはありません」

【ふん、意固地だな。俺に体を預ければ全てが解決するというのに】

 

その声がテレビ男の画面からしたということに気づくのに少し時間が掛かった。

 

【俺の力を借りないということは、この戦いに負けるということだぞ】

「貴方の力を借りなくとも私は勝てます、もう引っ込んでなさい……」

【その体は限界だろう。力を借りたくないというのならしばらくおとなしくしていろ】

 

その声と同時にテレビ男の全身は電流に包まれる。

 

「は?ちょっ、やめっ"、あ"あ"あ"あ"!」

電流を浴びまくったテレビ男は絶叫し、そのまま地面に倒れ伏した。 

 

 

 

 

 

「こ、これ、勝ったってことなの?」

「かもですね」

とにかくここにいては危ないようです。

そういうと白澤はRDの入った門を潜る。私もそれに続くことにした。

 

 

 

 

 

    

 

 




8話に続く。
ヘイルミー「おいどん」
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