あるてまで短編集を作ってちやほやされたい! 作:古代 有朱夢
【美っち生イきアンチが美っち生イきによく似た世界に転生】
俺には嫌いな作品がある。その名前は「美少女に転生してちやほやされて人生イージーモードで生きたい!」
特に腹が立つのがタイトルだ。俺はTSものが好きじゃない。そんな俺がこの作品を好きになる訳がないだろう。だいたい、TSとかいうジャンルがダメだ。どうして男を女にしたがるんだ?最初から女で良いじゃねーか。
「黙れ!」
「は?」
「私はTSFの神である。お前が今さっきまで、考えていた事を取り消せ!」
ハゲたじじいが目の前に現れ、俺の考えを撤回させようとしている。
「は?取り消す訳ないだろう。」
「そうか。ならば、お前に罰を与える。」
「は?意味わからんのだが。」
「うるさい。この田分けが!TSを侮辱したことは、決して許さん!
まぁ、俺も鬼じゃない、殺しはせん。
じゃあな!」
その言葉を最後に俺の意識は遠ざかっていった。
気がつくと俺はベットで寝ていた。あたりを見渡すと、ここが保健室であることが分かった。
どうして俺はこんな所にいる?訳がわからん。
とりあえず、誰かを探すか。そうやってベッドから降りた。それと同時に胸元に今までに経験したことのない感覚がやって来た。
恐る恐る、俺は胸に手を持っていく。そこには、あるはずのない感覚が二つあった。
ひとつは、ふにゃんとした柔らかい脂肪の塊に触れる感覚である。これだけならば、まだ詰め物かも知れないと言い訳ができた。
二つ目は、小さな手に胸のにくを触られる感覚である。
もしかしたら、きのせいかも知れない。もう一度触ろう。ふにゃっとしたおっぱいの感触と、おっぱいを揉まれる感触が伝わる。
まっ、まさか。俺は胸を揉むのやめ下を確認しようとする。ちくしょう。胸が邪魔で上手く見えねぇじゃねーか。スカートをめくり、下着を脱ぐ。レースのついた黒色の下着だ。股を触る。くそ、みつからん。そうだ!スマホで動画を撮って確認をしよう。俺は胸ポケットから、スマホを取り出す。運の良いことに指紋ロックだったらしく簡単に空いた。
カメラを起動し、撮影する。そして、動画を確認すると、俺の相棒がなかった。
「何が起こってんだよ!」
俺は叫び声を上げた。可愛らしいソプラノの声である。
俺は喉に触れたが、喉仏は見つからない。
「あー」
出来るだけ低い声を出そうとするが、精々メゾソプラノ程度の高さでしかない。
「大丈夫?」
そう言って、白衣を着たお姉さんが入ってきた。バストはそれなりにある。Dカップぐらいだろう。きっと、さっきの叫び声を聞いて来てくれたのだろう。
「え、あぁ。」
「ふふ、悪い夢でも見たのね大丈夫よ。」
そう言ってお姉さんが抱きしめてきた。いつもなら、こんな状況になったらきっと心臓がバクバクだろうにむしろだんだん落ち着いた。
あぁ、お姉さんに抱きしめられているのに、全く興奮しないなんて、この身体のせいなのか?
「そろそろ、落ち着いたかしら。」
そう言って、お姉さんの腕が私の体からはなれた。
「あ、ありがとうございます。」
「ふふ、どういたしまして。そろそろ、下校時刻よ。さぁ、早くお家に帰りなさい。」
「分かりました。」
俺は、鞄を持って保健室から出た。
えっと、玄関はどっちだ?
とりあえず、心が望むままに進む。
お、なんか外に出た。
「黒音さん、どうしたの?
もしかして、俺の活躍を見に来てくれたの?
嬉しいな。」
the 陽キャみたいな奴がなんかいっている。
【TSではない黒猫燦に需要はあるのか?】
私は黒猫燦が好きだ。あるてまが好きだ。美っち生イきが好きだ。あるてま虹が好きだ。バーチャルバーチャルYouTuber が好きだ。黒音小宵が好きだ。
今は昔というほど昔ではないが、少し昔のことである。私が幼い頃から慕っていた人に人生最大の告白をかました。結果は最悪のものだった。
「は?お前みたいな奴と付き合いたい男なんかいねぇよ。」と返事をされた。
許せなかった。腹ただしかった。苦しかった。辛かった。何より、切なかった。
もしも、私が美少女だったら返答も違ったのかな。そんな感情が胸の奥から湧き上がってくる。
そんな感情の渦の中で私はひとつの作品を見つけた。
『美少女に転生してちやほやされて人生イージーモードで生きたい』
タイトルが私の心持ちを表していた。速攻で読んだ。特殊タグもストーリーも素晴らしいものだったけど、それ以上にひとつの点に私は感激をした。それは登場する人達が好感を持てる存在だったことだ。
フィクションの人物なのだから当然だと思うかもしれないけど、実際にはフィクションであろうと悪いキャラクターがいることが多い。その方がストーリーを作りやすいから。
とにかく、『美少女に転生してちやほやされて人生イージーモードで生きたい』略して『美っち生イき』のファンに私はなっていた。
支援絵を描こうと思ったことがある。だけど、私の画力じゃダメだと思ったからやめた。2次創作小説を描こうと思った。だけど、キャラクターを上手く書けないから諦めた。なりきりをしようと思ったことがある。だけど、キャラクターを上手く掴めないからやめた。
そんなこんなで私は美っち生イきの新作を心待ちにしては、あるてま虹の配信を見る日々を送っていた。
「今日は七夕!今日も元気に頑張って行きましょう!」
ラジオから声が流れてくる。
七夕かぁ。日本に昔から伝わっている恋愛の結末としては明るい方だよね。輝夜姫は恋仲にあった帝のことを忘れて月に帰ってしまうし、浦島太郎は恋仲にあった乙姫の玉手箱で散りになってしまう。そう思えば、1年に1回とはいえ毎年に会えることが決まっている織姫と彦星は幸せな方だと思う。
七夕にお願いをしたら、願いが叶うんだよね。
お願いします。私を美少女にしてください!
そんな事を願い眠りについた。
【異世界に迷い混む自らを黒猫燦と思い混んでいる何か】
その日は良く晴れた暑い休日であった。立ち並ぶビルと太陽によって熱くなっている黒いアスファルトは東京の象徴であろう。
こんな暑い場所を歩きたい者などいるだろうか。ましてや、休日だ。クーラーの効いた家に多くの人が閉じこもっていた。
では、家の中で何をするのか。それは人による。
ある人はたまったアニメの録画を消化するだろう。また、ある人は推しているアイドルや声優のラジオをきいて過ごすだろう。
そして、ある人は推しの配信を見るだろう。
この話の主人公である少女もその中の1人である。
「うわぁ。あすかちゃんの配信見忘れた!
アーカイブ消化しないと。」
黒猫燦の推しであるあすかちゃんは彼女にとっても推しなのだ。
こうして、推しの配信を眺めて一日が終わるはずだった。
ゴロゴロドッカーン。
雷鳴が轟く。
とあるサイバーウイルス研究所に落雷が落ちた。
そのウイルスは研究所から漏れ出る。素粒子研究所に侵入し、ブラックホールを生成する。そのブラックホールは突如として転移をして少女の前に現れる。少女は一瞬にして吸い込まれてしまった。その後、ブラックホールは消えた。
「大丈夫か?」
18歳ほどの女性が少女に話しかける。
「ふわぁー。あれ?ここどこ?」
寝ぼけた声で少女は呟く。
「えっと、ナルキッソスの森だが、君の名前は?」
「私の名前はーー黒猫燦。」
「えっと、もしかして日本人?」
「うん、そうだけど。」
「俺もそうなんだよ。」
「ふぇ?」
「起きたばっかじゃわかんないよな。」
没ネタは自由に使ってもらって構わないです。
感想らんで続きが気になるとか言われたら続きを書きますよ。たぶん。