戦姫絶唱武闘伝シンフォギアG 作:フリューゲル
「その格好どういうことなの?」
「未来」
真剣な表情で問い詰める未来に響はなにも言えない。未来にどうやって説明したらいいのか、切歌や調を助けに行かないといけない。その2つの感情から、一歩も動けなくなっている。
遠くで聞こえる爆発音で我に変える響。
「ごめん。後でちゃんと説明するから。わたし行かなきゃ」
未来の呼び止める声を背中に走り出す。ビルより大きいはずのガンダムの姿が見当たらないのだ。
「切歌ちゃん! 調ちゃん!」
響が戻ったときにはガンダムどころか、シンフォギアも纏えず、普段の姿に戻っている2人が逃げ回っていた。
「させるかぁ!!!」
2人に襲いかかるノイズを蹴り飛ばす。
「助かったデス」
「危機一髪」
それでもまだ残るデスアーミーに絶望感が残る。
『今、翼とクリスくんをそちらに向かわせている。それまでなんとか持ち堪えるんだ』
司令から通信が入るが、響の耳には届かない。
(なんだろう。さっきから胸が焼けるように熱い。なにかがわたしに叫んでいるみたいだ)
胸を抑えて蹲る響に調と切歌も心配になる。
「うぉぉぉ! 出ろ。ガンダーム!」
現れたガンダムに本部も装者たちも言葉を失う。
白を基調とした機体。1度壊れて修復され保管されていたはずのガンダム。『シャイニングガンダム』の登場に。
「わたしの拳が光って唸る! みんなを救うと輝き叫ぶ!!」
胸から湧き上がる想いをぶつける。
「必殺! シャーイニングー!!!!! フィンガァァァァァア!!!!!」
デスアーミーの頭を掴む。どんどん力を加えていきながら。
「いっけぇー!!!!!」
握り潰し、デスアーミーを爆破させる。
「まだまだァァァ」
残るデスアーミーをどんどん撃破していく。
「なんと驚き」
「本当に響さんデスか?」
いつもと違う動きをする響に驚きを隠せない。
(不思議な気分だ。ガンダムがわたしに戦い方を教えてくれているみたい。これならいける)
翼とクリスが到着した頃にはデスアーミーもノイズも残っていなかった。
ガンダムから降り、切歌と調の元へ走る響。
「2人とも大丈夫?」
すでにクリスやS.O.N.G職員が2人をヘリへと運ぼうとしている。
「心配すんな。気を失ってるだけだ」
意識のない2人に代わってクリスが答える。
(ガングニールだけでなく、シャイニングまで。どこまでも私の神経を逆撫でしてくれる)
1人佇む翼はギアを解除することも忘れ、先程までのことを思い出していた。
「わたしまだ足手まといだと思います。でも奏さんの代わりになれるように頑張るので、一緒に戦ってください。翼さん」
「あっ、おい。バカ」
響の言葉で空気が変わる。咄嗟にクリスが庇おうとするほどに。
「そうね。あなたと私、戦いましょうか」
響へ『アメノハバキリ』のアームドギアである刀を向ける。
「わたしが言ってるのはそういう意味ではなくてですね」
問答無用。そう言わんかのように刀で攻撃を開始する。
「ちょっと待ってください。わたしたちが戦う必要なんて」
そこまで言って響は目を見開く。
【天ノ逆鱗】
空中で投擲したアームドギアを巨大化させ、それを蹴り貫く体制に入っていたからだ。
「邪魔だ!」
翼の攻撃が響に当たる直前。クリスが間に入る。
「クリスちゃん!」
「雪音!?」
ギアを纏っていたとは言え、咄嗟の行動だったため受け身も取れず吹き飛ばされる。
「らしくねぇんだよ。こんな先輩は」
そこでクリスは気付く。翼の目から涙が溢れていることに。
「泣いてんのか?」
「私は剣だ。剣に涙など不要だ」
そう言うも泣き続ける翼に響もクリスも言葉を失う。
その後、未来も無事に保護されたことを聞き、1度本部へ全員が戻る。
「未来は大丈夫なんですか?」
「君の友人だ。悪いようにはしないさ。機密保持のため少しは制限させてもらうがね。今別の職員が説明をしている。それが終われば帰れるだろうよ」
風鳴司令の言葉でとりあえず響は安堵する。
「まぁ今回のことでわかっただろ? お前みたいな素人がでしゃばっていいようなところじゃねぇ。たまたまの偶然なんて続くわけねぇんだ」
一歩間違えば、今回出動した3人は死んでいてもおかしくない。
「だいたいな。今までだってあたしと先輩だけでやってきてたんだ。今更お前の力を借りる必要なんてあるもんか!」
現在、風鳴司令とマリア。クリスと響の4人だけがこの司令室にいる。他の切歌と調は治療中だし、翼は1人で何処かへ行ってしまった。
「お前がいなければ先輩だって普通にしてられた。後輩らも危ない目に合わせずに済んだんだ」
パン!
そこでクリスの頬をマリアが叩く。
「言い過ぎよ。冷静になりなさい」
「そうだぞ。それに今回のことは俺の責任だ」
マリアと司令の言葉にクリスの我慢は限界を超える。
「はん。あんたらはこいつを庇うのか。あたしは事実を言っただけだ。なんにも悪くねぇ! 仲良しごっこで守れるほど世界は安いのかよ!!」
「付き合いきれねぇ。ここはやっぱりあたしの居場所じゃないんだな」
司令室を飛び出すクリス。突然のことに誰も反応出来ないでいた。