戦姫絶唱武闘伝シンフォギアG 作:フリューゲル
ノイズを蹴散らすクリスの前に、デスアーミーが登場する。
「まったく次から次へと」
一瞬だけ後ろを振り返る。目の前のデスアーミーをなんとかしないとフォローに行けないと悟って。
「出ろってんだ。マックスター」
クリスのガンダム。マックスターを呼び出しデスアーミーを倒していく。
「あたしに拳を使わせたな。ボクサーモード」
両手はボクシンググローブのようなものが付いているため、銃の類いは使用出来ない。背中や腰からミサイルを撃ってはいるが。
【バーニングパンチ】
強力なパンチを繰り出し、デスアーミーを駆逐していく。
「あたしはお前らに構ってる暇はないんだ」
【MEGA DETH INFINITY】
12機もの大型ミサイルを展開し発射する。
「はぁはぁ。こっちはなんとかなったが、あのバカは?」
響はなんとかノイズを1人で倒して行きながら、あるビルの前で立ち止まる。中から物音が聞こえた気がした。
「誰かいま……」
そこで響の口に手が当てられる。
「未来?」
そこには口に人差し指を立てて静かにしろと合図する未来がいた。
「あれ」
小声で話す未来が指差す方向には葡萄のようなノイズがいる。
[あれは音に反応するみたい]
携帯の画面で文字を打ち教えてくれる。
[ならあれはわたしが倒すから未来は逃げて]
響も自分の携帯で文字を打つ。そこで未来がノイズとは違う方向を指差す。
「あっ」
思わず声が出そうになってまた未来に口を塞がれる。響の視線の先にはフラワーのおばちゃんの姿があった。意識を失っているようで、ぐったりと倒れている。
[わたしが囮りになるから響はおばちゃんをお願い]
その文を見てすぐに響は打ち返す。
[そんなのダメだよ。未来を危険になんて晒さない]
[じゃあなんとかして。危険なのはわかってる、だからお願いしているの。わたしの全部を預けられるの、響だけなんだから]
響は不安そうな顔をする。未来が携帯をしまってしまい。これ以上やりとりをするつもりがないとわかったから。ゆっくりとノイズを挟んで響と反対へ移動する未来。目で響に合図を送ると、
「どう思われようと関係ない。響1人に背負わせたくないんだ。わたし、もう迷わない!」
大声でノイズの気を引く。ノイズが自分に狙いを定めたのを見計らうと全力でここから遠ざかるように走り出す。
「未来……」
追いかけたい気持ちを押し殺し、おばちゃんを抱えて飛び出す。なんとか自分が乗ってきたヘリまで戻り、職員に預けると再び来た道を引き返す。
未来は元陸上部の実力を発揮させながらなんとか逃げているが、その差はどんどん縮まっているのがよくわかる。
「ここで、終わりなのかな。仕方ないよね、響……!」
ついには足がもつれ転んでしまう。
「だけど、まだ響と流れ星を見ていない!」
諦めるかと転がるようにノイズの攻撃を交わすと立ち上がり、再び走り出す。
「うぉぉ!」
間一髪。響が到着しノイズを蹴飛ばした。そのまま未来を抱え坂道を転がる。
「あっちこっち痛くて……。でも生きてる。ありがとう、響なら絶対に助けに来てくれるって信じてた」
「わたしも、未来なら絶対に最後まで諦めないって信じてた。だってわたしの親友だもん」
2人で笑うのは久しぶりの感じがしていた。
「わたし、響が黙っていたことに腹を立ててたんじゃないの。誰かの役に立ちたいと思ってているのは、いつもの響だから……。でも、最近は辛いこと苦しいこと、全部背負いこもうとしていたじゃない…。わたしはそれがたまらなく嫌だった……! また響が大きな怪我をするんじゃないかって心配してた。だけど、それは響を失いたくないわたしの我が儘だ! そんな気持ちに気づいたのに、今までと同じようになんて出来なかった」
涙で告げる未来に優しく響も頷く。
「小日向未来はね。わたしの陽だまりなんだ。だからわたしが帰ってくるのはいつでもここだよ。これからも絶対にね」
響の胸に飛び込んで泣く未来の背中を軽く撫でる。
「貴女が気にしていた子は立花響が保護したそうよ」
マリアの言葉にクリスは安堵する。
「立花響の親友のようだけど、どういう関係なのかしら?」
「マリアさーん。クリスちゃーん」
ここで響が未来を連れて合流してくる。
「痛っ! なんでぇ?」
無言で響の頭に拳骨を落とすクリスは未来を見つめる。
「あたしが代わりに殴っといた。だから」
「ありがとう、クリス。もうわたしたちは大丈夫だから」
響はなにがなんだかわからず、未来とクリスを何度も交互に見る。
「それで貴女はこれからどうするつもり?」
「そうだよ。クリスちゃん。戻ってきてよ」
マリアと響の視線にクリスはそっぽを向く。
「あたしがいないとお前らが困るってんなら」
「そうね。貴女がいた方が助かることが多いのは間違いないわ」
遮るようにマリアに言われ、クリスは少し戸惑うが続ける。
「まぁこのバカもやるようになったみたいだが、あたしがフォローしてやんねぇとバカみてぇに突っ走って行きやがるからな。あたしが首輪つけてやる」
「話はついたか。なら小日向未来くんだったね。君も一緒に来てもらえないだろうか?」
いつの間に来ていた司令の言葉に全員が顔を見合わせる。が、とりあえずみんなで戻ることにした。
本部司令室へ入ると切歌と調、友里と藤尭に緒川もおり、翼を除く主要メンバーが揃っていた。
「とある依頼がS.O.N.Gに入った。そこで緊急のミーティングを始める」
「あのぉ、わたしいてもいいんですか?」
未来がこの場所に自分がいていいのか不安になる。
「そうだな。まずはそのことなんだが、君は響くんの親友だそうだな」
「はい。そうです」
未来の返事を聞いて続ける。
「クリスくんが戻ってきてくれたのも君のおかげだ。そこで、君には装者たちの精神的なケアをお願いしたい。切歌くんと調くんも君たちと同じリディアンの生徒でもある。民間協力者としてお願いしたい」
「わたしに出来ることがやるならやらせてください」
未来の言葉に響やクリスは複雑そうな顔をする。
「あの子のことを本当に想うのなら、彼女の気持ちを尊重してあげなさい」
マリアの言葉で納得させる2人。
「それでは話を戻す。とある人物をここS.O.N.Gで迎え入れることになった。その人物の護衛を響くんと切歌くんに任せたい」
全員を一度見渡して続ける。
「護衛の日時が翼とマリアくんのユニット曲発表ライブと日時が重なっているため、2人はライブを。クリスくんと調くんは装者が出払うため本部に待機してノイズが現れたときのために備えてもらう」
「護衛が必要ってなにかしでかしたやつなのか?」
クリスの言葉に少しだけ間を置く。
「米国聖遺物研究施設を脱走したそうだ。本人から直接我々に依頼があったのだ」
「米国聖遺物研究施設ってまさか」
マリアの予感は嫌な方向で当たる。
「ウェル博士だ」