戦姫絶唱武闘伝シンフォギアG 作:フリューゲル
翼とマリアのライブはツヴァイウイングに負けずと大盛り上がりを見せている。翼のライブが久しぶりなこともあるし、マリアとのコラボはやはり魅力的なのだろう。
「みんな、今日はありがとう」
「振り返らない。全力疾走だ。ついてこれるやつだけついてこい」
最初の曲『不死鳥のフランメ』に続き、2曲目の『星天ギャラクシィクロス』と観客のテンションは止まることなく上がっていく。
その後も問題なくライブは進み、翼とマリアから笑顔が溢れる。
「今日はいいライブだった。マリアとのコラボも楽しいものだな」
「えぇ。私も楽しかったわ。思っていた以上にね」
控え室で話すマリアは言葉とは裏腹に表情は固い。
「ねぇ翼。貴女はいつまで意地を張るつもりなのかしら?」
「私は意地など」
そこまで言って言葉に詰まる。マリアが真剣な目で見つめていたからだ。
「まぁ貴女にはなにも言わないわ。答えはわかっているでしょうしね」
そう言い残し部屋を後にするマリア。静かにその背中を眺めている翼。
「そんなことはわかっている。でも……」
1人部屋に残る翼の呟きは誰にも届かない。
「それで隠れているつもりかしら?」
通路を歩くマリアが立ち止まる。
「ギアを持たないあなたに用はない」
フラメンコを思わせる格好をした女が、衣装を着たマネキンに紛れて姿を見せる。
「それでも」
マリアを護衛する黒服に口を重ねる。口を重ねられた黒服は次々と倒れていく。
「なにをした!」
「思い出を少し頂いただけです」
得体の知れない相手にマリアも警戒して距離を取る。
「あなたの思い出も頂くとしましょう」
襲いかかってくるがライブ後だったこともあり、マリアは手持ちに武器もない。
「なんなの? この動き人間のものじゃない?」
あっさりと壁際に追い込まれる。
「さぁ終わりにしましょう」
「くっ。ここまでか」
マリアが諦めかけたその時、女が体が吹き飛ぶ。
『アメノハバキリ』を纏った翼が蹴りを入れたようで、壁が崩れるほどの勢いで叩きつけられていた。
「やりすぎよ」
着地した翼の表情は険しい。
「やりすぎなものか。今のでわかった。とんでもなく化け物だ」
「待っていました。シンフォギア」
瓦礫から這い出てくる相手に予想通りと、警戒したままだ。
「いったい何者だ?」
火災現場で敵と対峙した切歌も戦闘を始めていた。
【切・呪りeッTぉ】
鎌の刃部分を分裂させブーメランのように投擲して左右から挟撃するが、敵の女もコインを弾いてこれを相殺させる。
「今度はこちらから、派手に行ってみせよう」
コインを今度は切歌に向けて放つ。
「なんデスと?」
鎌の回転させて、なんとか弾く。
「地味に驚きだ。ここまで防ぐとは」
「アタシを甘く見るなデス。どこの誰だか知らないデスけど」
切歌の言葉にゆっくりとした口調で答える。
「オートスコアーのレイア・ダラーヒムお見知り置きを」
「オートスコアーのファラ・スユーフ。風鳴翼、あなたの歌を聴きに来ました」
ファラも刀を持ち出し、翼と斬り合う。
「そんなバカな!」
マリアが驚いたのは、翼の刀が砕けたからだ。
「ソードブレイカー。剣と認識されるものは通用しない」
「ならば、これで」
【逆羅刹】
逆立ちと同時に横回転し、展開した脚部のブレードで切り裂く。
狭いこの通路で逃げ場をなくしているが、これもやはり砕かれてしまう。
「やはり厳しいか」
「思っていたよりショボいのね」
ファラの剣が翼に振りかかる。
「風鳴翼を舐めてもらっては困る」
翼が勢いよく斬りかかるが、ファラは簡単に捌く。
「遊びは終わりにしましょう」
風を集めて塊とし、それが翼に投げられる。
「翼!!!」
直撃し、吹き飛ばされる翼。
一方の切歌も追い込まれていた。
「派手に散るがいい」
レイアの攻撃であるコインをだんだんと弾けられなくなっていく。
「ごめんなさい。ボクのせいで」
切歌が弾いたコインが逃げていた小さな女の子に当たりかけ、庇ったため窮地に陥っていた。
「早く逃げるデスよ」
その隙をつくように巨大なコインを練り上げそれが投げられる。
そして、響の前にも1人の小さな女の子が現れる。
「どうしたの? そんなところにいたら危ないよ?」
魔女を思わせる帽子にローブを着た女の子はゆっくりと響を見つめる。
「僕を追ってきたのかい?」
響の横でウェルがあたふためくように問うが、女の子はウェルには目もくれず、響だけを見つめている。
「オレが用があるのはシンフォギアだけだ。お前には興味がない」
ウェルは安心した表情をし、響は驚く。
「どうしてシンフォギアを?」
「キャロル・マールス・ディーンハイムの錬金術で世界は壊される」
響の問いは、キャロルの放つ衝撃波のようなもので答えられる。