戦姫絶唱武闘伝シンフォギアG   作:フリューゲル

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エピソード20《もう一振りの烈槍》

「まったくなにをやっているのよ。あの子は」

 

 

部屋を出ながらマリアが呟く。

 

 

「立花響を保護しに行きます」

 

 

「マリアさん、それならわたしも」

 

 

すぐに未来が追いかけようとするが、マリアが止める。

 

 

「貴女はここで待っててあげてくれるかしら? 立花響は必ず私が帰してみせるから」

 

 

未来が一瞬動きを止めた隙にマリアは飛び出す。

 

 

「万が一のときは、仕方がないわね」

 

 

ギアを握りしめながら走るマリアの前に人影。

 

 

「ナスターシャには僕から連絡しておきます。こちらに戻っても構いませんが、もしもの時はここに連絡してください。僕のプライベート用連絡先です。それとこれも必要でしょう? 僕が作った優しいLINKERも」

 

 

「貴方に頼るなんて癪だけど、ありがとう。ドクター」

 

 

マリアはウェルからメモ用紙とLINKERを受け取るとそのまま車に乗って急ぐ。

 

 

 

「さすがにしんどいか」

 

 

戦えない響を守りながら戦うクリス。

 

 

「もらった!」

 

 

ガリィが水の塊を飛ばしてくる。これを防御するしかなく、どんどんクリスは追い込まれていた。

 

 

「どうして、聖詠が浮かばないの? 応えてよ!」

 

 

【Granzizel bilfen gungnir zizzl】

 

 

マリアが到着と同時に聖詠を歌ったことで、全員が驚く。

 

 

「黒い……」

 

 

『ガングニールだとぉ?』

 

 

マリアが纏った『ガングニール』は本部でも確認されており、指令の驚く声は翼たちの耳にも入る。

 

 

「立ちなさい。立花響」

 

 

「マリアさん?」

 

 

敵から視線を動かさないままのマリア。

 

 

「人の姿をしているから戦いたくない。そんなものは、強者の力のある者の傲慢だ! 忘れないで。戦わなければ、大切なモノが守れないかもしれないと」

 

 

『♪♪♪』

 

 

歌いながらアルカ・ノイズを倒していくマリア。その姿に響は見惚れていた。

 

 

「頭の中がお花畑のこいつよりは。決めた、ガリィも相手はアンタよ」

 

 

ガリィも戦う意志のない響よりはとマリアに狙いをつける。

 

 

「おい。いったいそれはどうなってやがるんだ?」

 

 

「クリス、貴女はデスアーミーをお願いする。それと」

 

 

響に視線を移し。まだ惚ける響を見つめる。

 

 

「これが私のガンダム! 出てきなさい。マスターガンダム!」

 

 

「黒いガンダムだと?」

 

 

マリアが呼び出した、黒を基調としたマスターガンダムにクリスが驚きの声を上げる。

 

 

「何物をも貫き通す、無双の一振り。見せてあげる」

 

 

ガリィの乗るシャッフル・ハートと交戦を始める。

 

 

「だぁ! なんなのよ。当たりなさいな」

 

 

【HORIZON†SPEAR】

 

 

マスターガンダムに持たせた、アームドギアである槍の矛先を展開させ、エネルギーを解放させる。ガリィの放つ水の塊を弾きながら。

 

 

「マイターン! もう迷わない。一気に駆け抜ける!」

 

 

マスターガンダムの左腕からリボンのようなものが出てシャッフル・ハートの体を絡める。

 

 

「行くわ。マスタークロス!」

 

 

「ちょ、これはさすがに」

 

 

身動きが取れないことに焦るガリィ。

 

 

「嫌ですよ。マスター。ガリィが1番乗りじゃないですか」

 

 

「ここだ!!!!」

 

 

【超級覇王電影弾】

 

 

頭部以外の全身を気弾で渦巻き状に包み、頭から敵を突き抜く。

 

 

「これで終わりだ!」

 

 

マリアの言葉通り、ガリィはその活動を終えていた。

 

 

「マリアさん、そのギアは?」

 

 

ガリィが完全に沈黙したのを確認し、ガンダムから降りたマリアへ響が近寄る。

 

 

「そうね。『ガングニール』は貴女の力だ! だから、目を背けるな!」

 

 

辺りを見渡し、デスアーミーもクリスが片付けたことを確認すると再びガンダムに乗るマリア。

 

 

「貴女たちとはここでお別れよ」

 

 

「どうしてですか? マリアさん一緒に帰りましょうよ?」

 

 

ガンダムに乗り込む背中に響は呼びかける。マリアの背中が幼い頃の母親と重なったのだ。

 

 

「無理よ。もう遅いのよ」

 

 

そう言って飛び立つマリアに響もクリスも追いかけることが出来ないでいた。

 

 

『やはり連絡があると思っていましたよ』

 

 

「これから私にどうさせたいのかしら?」

 

 

海辺でガンダムからウェルに連絡を取るマリア。

 

 

『僕はまだここから離れるわけにはいきません。なんたって優しいLINKERを作れるのは僕だけですからね。頭のいいあなたなら、意味わかりますよね?』

 

 

「切歌と調のためにか。わかったわ。もちろんこのギアのこと、ガンダムにドクターが関わっていることは洩らさない」

 

 

マリアの返答に満足なのか、ウェルが続ける。

 

 

『とりあえずナスターシャには連絡してあります。そちらを頼ってください。当面はギアとガンダムに慣れることでもやっていたらどうですか?』

 

 

「わかったわ」

 

 

通話を終了しようとしたマリアにウェルの言葉が続く。

 

 

『そうそう、これはお節介なんですがね。手の甲にある紋章。悟られないようにしてくださいね。色々と面倒なことになるので』

 

 

そう言われて左の手の甲を見る。確かにハートのような紋章がいつの間にか浮かんでいた。

 

 

「話はそれで終わりかしら?」

 

 

『ええ。ではお気をつけて』

 

 

通話が終了するとマリアは天を仰ぐ。

 

 

「どうしてこうなったのかしらね」

 

 

 

 

『ミカ、ガリィが倒された。ここは1度退け』

 

 

ガリィが倒されたことでミカにキャロルから通信が入る。翼たちは未だにマリアのことで理解が追いついていないのか、唖然としている。

 

 

「わかったんだゾ」

 

 

その隙にと、小瓶『テレポートジェム』を使ってこの場から撤退するミカ。

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