戦姫絶唱武闘伝シンフォギアG 作:フリューゲル
LINKERを自らの首に当てて打ち込み、再びガンダムを呼べるほどの適合係数を復活させる。力が戻っているのを感じて、早々とガンダム再び呼び出しクリスの援護に入る。
「待たせたデス」
「これでわたしたちも戦える」
2人の姿を見て一瞬だけ顔を歪めるが、すぐにレイアへと向き合う。
「増えたところで、ワタシが派手に散らせてみせる」
レイアのコイン捌きが早くなり、3方向へ飛び別れる。
「くそっ! あたしがあのコインを引きつける。あいつは任せるぞ?」
クリスの言葉に2人は驚く。自分たちがクリスの援護をすると思っていたが、クリスが援護に回ってくれると言ったからだ。
「調、もう一度行くデスよ?」
「うん。わかっているよ。切ちゃん」
『『♪♪♪』』
2人の歌が再び共鳴するように旋律を奏でる。
「同じ手でやられるほどワタシは地味じゃない」
レイアが2人へと攻撃を移そうとする。
「やらせるかよ」
クリスが放つ銃弾がそれを阻止する。
【ドラゴンファイヤー 】
クローに内蔵された火炎放射器がまずはレイアを襲う。
【ローゼススクリーマー】
ビットのエネルギーで形成した電流の空間へレイアを閉じ込める。
「こんなもので動きを。ワタシに地味は似合わない」
なんとかもがいてこれを逃れようとするが上手くいかない。
「決めちまいやがれ!」
【断殺・邪刃ウォttKKK】
噴出された鎖でレイアの体を拘束していく。
「今デスよ。調!」
「切ちゃん、どうして?」
1度負けた相手とこだわっていた切歌が、トドメを譲ったことに調は動揺する。
「調がアタシの代わりに倒してくれるなら、問題はないのデス。だから、お願いデス」
「切ちゃん……。うん、わかった」
【β式・巨円斬】
両手のヨーヨーを融合し頭上で巨大化させ、振り下ろす。
「ワタシは散るときも派手に!」
爆散するレイアは最後に叫んでいた。
「これで終わったな」
ガンダムから降り、ギアを解除すると切歌と調は倒れこむ。
「あぶねぇ」
なんとか2人を受け止めたクリスは、安心そうに眠る2人を優しく見つめていた。
「おい! さすがにあたしも2人を抱えるのは無理だ。手伝え」
颯爽と立ち去ろうとしていたウェルを睨みつけるように言う。
「まさか僕に担げって言うのかい? この体力のない僕に?」
「なんで偉そうなんだよ。あんたが無理なら応援をよこしてもらってくれ。見ての通りあたしは両手が塞がってるんだ」
自慢げに体力のなさをアピールするウェルに呆れ、応援を呼ぶように頼む。現在、右手で切歌を左手で調を抱えるクリスには通信機を取り出す余裕はないからだ。
オートスコアラーたちを撃破して数日後、なんとか翼は目を覚ましたが、戦闘に参加することは難しい。まずは通常の生活に戻れるように休養となった。
「LINKERの影響もあり、切歌くんや調くんは出動を許可することはいかない。翼もいない今、君が頼りだクリスくん」
切歌や調は入院するほどではなかったが、あの後LINKERの過剰投与により体内洗浄を行ったが、しばらくは使用を控えるように言われている。
「あぁわかってる」
問題は今精密検査を受けている響だ。エルフナインやウェルは装者それぞれのデータを見て、響のデータに驚いていたのだ。
「響さんのことで、少し耳に入れておいてほしいことがあります」
検査がひと段落したのか、エルフナインとウェルが司令室へと入ってきた。
「彼女が何故、シンフォギアを纏うことが出来るのか。この小さな研究者と話しましてね。ある仮説が1つ」
今この場には風鳴司令とクリス。オペレーターの2人と緒川がいる。他の人は誰もいないのでその仮説を聞くことに。
「原因は心臓付近に突き刺さったギアの欠片だと思います。ギアの欠片も聖遺物の欠片と同じ作用をしていると推測されます」
響のレントゲン写真をモニターに映し出しながら説明を続けるエルフナイン。
「ギアとして起動し除去不能なほど食い込んでいた状態の欠片だから、響さんがシンフォギアを纏うことが出来るのではないかと予想されます。そしてこれをボクたちは融合症例と名付けました」
「ずっとあのバカが、シンフォギアを纏えることが謎だったけど」
エルフナインの説明にクリスが頷く。
「それが、喜んでばかりはいられないと思うんですけどね」
ウェルの言葉に全員が視線を向ける。エルフナインは辛そうな顔をして俯いている。
「今見てもらっているのが、先ほど撮ったレントゲン。こちらがここの職員によって彼女が初めてシンフォギアを纏った後に検査したときのものです」
もう1枚のレントゲン写真が映し出されると皆絶句する。
「これは、大きくなって、いるのか?」
司令がなんとか言葉を絞り出す。そう、最初に検査したときの写に比べて現在の写真では、ガングニールの欠片が大きくなっていた。
「あくまで仮説ですけどね。この少女の歌にフォニックゲインに触発され成長しているように感じますね」
ウェルの説明に信じられないと、困惑した表情をしている。
「それじゃあ、このまま響くんが戦い続ければ」
「今はまだ大丈夫だと思います。それでもこのまま続けていればいずれ、響さんの体を突き破ってしまう。それがボクらの仮説です」
話すエルフナインの目は潤んでいた。
「とりあえずこのことは、ここにいる者の胸に秘めていてくれ。翼たち装者には頃合いを見て話すが……」
当事者である響や未来にどうするべきか悩んでいた。
(過去に例のない融合症例。出来れば詳しく検査してみたいところですが、それをすれば僕は追い出されるでしょうね。それでは意味がない)
「とりあえずは様子を見るというのはどうでしょう? 何度か出動してもらって、毎回検査をする。それで僕やこの小さな研究者が調べて解決策を探るというのは?」
ウェルの発案にすぐに賛成する者はいなかった。
「それは響さんが……」
「それでも彼女は戦うことを望むと思いますがね?」
ウェルの言うようにそれでも戦うと言うことは容易に想像がつく。
「とりあえずこのことは慎重に進めることにしよう」
全員の胸に色々な感情を残しながらこの日は解散となった。