戦姫絶唱武闘伝シンフォギアG 作:フリューゲル
「南極基地を制圧し、通信をこちらが握るのは成功だと言える。が、人選は間違えたのじゃないか? あの2人では見破ってくれと言っているようなものだ」
キャロルやサンジェルマンに内緒で、S.O.N.Gとの通信を行ったアダムとプレラーティを見てキャロルが言う。
「問題だったかい? 僕が受け答えたことが」
「当たり前だ。お前の言い回しは独特すぎる。向こうにはエルフナインがいることを忘れたか?」
悪びれる様子にないアダムにキャロルが怒りを露わにする。
「まぁ気にしないほうがいいワケダ。心配しなくてもシンフォギアは来るワケダ」
「お前が言うか、プレラーティ!」
プレラーティが場を和ませようとするが、キャロルの怒りが爆発する。
「まぁ、キャロルの目撃情報も流してあるんだ。当初の目的は達成されている。だから、その」
サンジェルマンが必死にフォローする姿にキャロルも怒りを鎮める。
「どうやら、お目当ての登場よ?」
錬金術師たちが外を見上げると、デビルガンダムが浮かんでおり、その肩には人らしきものが乗っている。
「あれが先史文明の巫女。フィーネか」
その後は誰からともなく全員が外へ出る。
「これはぞろぞろと。たいそうな出迎えだな。錬金術師」
デビルガンダムを大地に降し、見下ろすように言うフィーネ。その身にはネフシュタンの鎧を纏っていた。
「やはり持っていたね。ネフシュタンの鎧を」
「それだけじゃない。手をよく見ろ。ソロモンの杖だ」
キャロルの言葉に全員の視線がフィーネの右手に握られたソロモンの杖に向かう。
「ノイズを操る杖ね。まぁノイズを出されたところであーしたちには意味がないけどね」
「お前たちを相手にそんな無駄なことなどするわけがあるまい。私自らこの場で沈めてみせよう」
デビルガンダムの肩からゆっくりとフィーネが大地へ降り立つ。
「ガンダムもなしで戦うつもりか?」
「完全聖遺物に勝てると思うてくれるなよ」
フィーネの言うように錬金術師たちは誰も、完全聖遺物を所持していない。
「それがどうした? たかが完全聖遺物ごときでオレに勝てるなどと思いあがるな!」
キャロルは右手を横に伸ばし、なにもない空間から竪琴を呼び出す。
琴を弾き、キャロルの身体をダウルダブラが包む。
「ほう。ならば貴様から血祭りにしてくれる」
ネフシュタンの肩辺りから伸びる、鞭のようなものをキャロルへ放つ。
「先史文明の巫女。この程度か?」
キャロルの目の前には竪琴の弦が張り巡らせ、フィーネの攻撃はキャロルまで届かない。
「刮目せよ。オレの攻撃を」
四大元素(アリストテレス)を使ったレーザーのような光を飛ばす。
「こんなもので」
ネフシュタンの肩を貫く。しかし、貫かれた場所がすぐに再生される。
「まさかデビルガンダムの力を取り込んだ?」
「違う。それこそが、ネフシュタンの持つ力だ」
サンジェルマンが驚いた声を上げるが、キャロルがすぐにそれを否定する。
「こいつがそんな愚かなことなど、するはずがない。しかし、その再生もいつまでも続くか!」
先程フィーネの攻撃を防いだ弦を、フィーネの周りに出現させ、フィーネの体を締めつける。
「私の悲願を邪魔する禍根は、ここで纏めて叩いて砕く!」
ボロボロの姿になりながら、フィーネが弦から抜け出す。
「何度やっても無駄なこと」
すでにネフシュタンの再生は終わっているようで、キャロルが舌打ちする。
「悲願、それはバラルの呪詛のことを言っているのかい?」
キャロルへ鞭が届くがアダムが展開したバリアがそれを弾く。
「これで」
更にファウストローブを纏った3人がそれぞれの武器をフィーネへ向ける。
フリントロック式の銃をサンジェルマンが。大きな爪のついたグローブをカリオストロが。巨大なけん玉をプレラーティが。
「ちぃ。かしましい。黙らせてくれる!」
キャロルに届かなかった鞭を自分の周りに飛ばし、3人を弾き飛ばす。
【Killter Ichaival tron】
空からシンフォギアを纏った少女が2人降りてくる。
「見たことないやつばかり。だけどあたしたちも混ぜてもらうぜ」
錬金術師たちもフィーネもお構いなしに銃を乱射するクリス。しかし、フィーネは微動だにせず。錬金術師たちはバリアを展開しこれを防ぐ。
「ようやく現れたか。シンフォギア」
「響さんを痛めつけた錬金術師デスか」
キャロルに切りかかる切歌。
「今はお前たちと遊んでいる暇はない。シンフォギア、手を貸せ。アレはオレたちにもお前たちにも邪魔な存在だ」
キャロルが指差す方向。デビルガンダムを見てクリスも切歌も言葉を失う。
「オレの推測が正しければ、オレたちだけではアレには勝てん。しかし、オートスコアラーとの戦いから得たお前たちの力を合わせれば勝てる筈だ」
キャロルの言葉にアダム以外の全員が驚く。
「私たちだけでは勝てないだと?」
「どういうワケダ?」
サンジェルマンたちは納得がいかないようで、キャロルに問い詰める。
「どうにか出来ると思うよ。ネフシュタンの鎧だけならね。でもさ、アレ。デビルガンダムまでは無理なのさ。僕たちだけではね」
キャロルの代わりにアダムが答える。
「納得してねえのは、こっちもだ。だが、アレがヤバいのはわかる。気に入らないけどな」
「いいデスか? クリス先輩。アイツは響さんを痛めつけた人デスよ?」
クリスがキャロルの提案を飲もうとしたので慌てて切歌が聞く。
「私としてもシンフォギアの登場は歓迎しよう。お前たちもそれが狙いだろう? シンフォギアの奏でるフォニックゲインが」
「確かに必要なのさ。ここに眠ると思われる聖遺物。シェム・ハの腕輪を呼び出すためにね。彼女たちの歌は」
フィーネの言葉にアダムが返す。そう、サンジェルマンたちもこの部分だけは知っていて、シンフォギアの参入が必須だと思っていた。
「私はここに眠る聖遺物とデビルガンダムを使って月を撃つ」
「月を?」
フィーネの言葉に驚いたのは誰の声だったか。呟かれたそれに答えるようにフィーネは語る。
「私はただ、あのお方と並びたかった。そのために、あのお方へと届く塔を、シナルの野に建てようとした。だがあのお方は、人の身が同じ高みに至ることを赦しはしなかった。」
「あのお方の怒りを買い、雷騁に塔が砕かれたばかりか、人類は交わす言葉まで砕かれる……。果てしなき罰……。バラルの呪詛をかけられてしまったのだ!」
誰もが聞き入るようにフィーネの言葉に耳を傾ける。
「月が何故古代より不和の象徴と伝えられてきたか。それは! 月こそがバラルの呪詛の源だからだ!」
「人類の相互理解を妨げるこの呪いを、月を破壊する事で解いてくれる! そして再び、世界を一つに束ねる!!」